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7th Story CD 「Marchen」総合考察スレ
428:名無しさん@何にするか募集中2010/12/16(木) 02:05:21  ID:NHtOsJ7/
エリーゼとは何者なのか? 
結論から言えば、彼女はエリーザベトの幼い頃にメルに抱いていた恋心(キリスト教の概念で言えばエロース)… 
より正確に言えば、幼い恋心に魔女と化したテレーゼの呪い(怨念)が降り注いだ存在でしょうか。 
これに対し、エリーゼの正体はテレーゼではないか?とする意見がありますが、僕はこれには懐疑的です。 
理由として 
1.人形の本来の持ち主がエリーザベトであったこと 
メルが井戸に突き落とされたのはエリーザベトとの別れの直後だったとされています。 
すなわち、テレーゼは人形をちらっと、あるいは燃えている姿しか見ておらず、息子が大切にしていたものという認識さえあるかどうか微妙なところです。 
これに対し、エリーザベトは自らの分身として初恋の人に託せるほど思い入れを持っています。 
2.恋心すら知らなかったとする少年に対し、本来母たる存在が恋人として付き添っているのは不自然であること 
先ほど、エリーザベトの恋心をエロースとしましたが、同じ「愛」でも、母子のそれはストルゲーと呼ばれるもので、エロースとは異なる概念です。(余談ながら、このストルゲーは「血は水よりも濃い」の元となった概念だそうです) 
確かにメルは近親相姦によって生まれた子のようですが、テレーゼがメルに対してそのような感情を持っていたという描写は存在しない以上、根拠としては薄いと考えざるをえません。 
(また、別の視点として、愛と恋の概念は異なるモノであり、メルを愛している母とメルに恋をしている少女との差異も考えられるでしょう) 
が挙げられます。 
以上のことから、彼女のベースとなっているのはエリーザベトと考える方が自然ではないでしょうか? 
しかし、「この狭い鳥籠の中で」及び「磔刑の聖女」に登場するエリーザベトを見れば、そんな怨念を持つ人間には見えません。 
むしろ、エリーゼの台詞から彼女らは別人のようにすら感じられます。 
そう、エリーゼの人形に込められた(あるいは託された)メルへの恋心(すなわち執着・執念)が、生命を持つにはもう1アクションが必要なのです。 
それこそがテレーゼの呪い…そう、火刑に処せられた彼女の「呪い」ではないかと考えるのです。 
ですが、こうも言えるでしょう。 
あんなに愛していた息子にも呪いを掛けるのか、と。 
ここで思い出して欲しいのですが、作中の「魔女」は大概テレーゼ役のMIKI氏が演じています。 
中には誤解によるものもありましたが、その殆どは「呪いを掛ける存在」でした。 
彼女の呪いは彼女の意志を離れ、無差別にまき散らされたと考えれば、全てが繋がります。 
そう、恋心という魂が呪いという生命を得て人形を突き動かしたのです。 
聖女となったエリーザベトはその愛を以て変わり果てたメルを照らし、彼を縛る自らの幼い恋心を打ち払って、彼を安息へと導いたのでしょう。 
いかなる形であれ、もはやそれが彼と彼女を繋ぐ唯一の糸であることを承知の上で。
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