Sacrifice統合質問スレッド【ネタバレ注意】
16:名無しさん@パレード参加者2007/12/28(金) 18:30:35 ID:NwI7wvIh
タイトルの「Sacrifice」についてなのですが…、
これまでの考察を拝見する限り、「Sacrifice」とは妹を指す、と、おおむね解釈
されているようです。が、私は「Sacrifice」とは妹だけでなく、姉も指すのでは
ないかと考えております。

その理由は、作中で語られている通り、妹は「ひとりでは何もできない、可愛い天使」
であり、姉は「可愛いけれども世話の焼ける妹」を、自分を「犠牲」にして、面倒を
見続けていた、と感じられたからです。

これまでにも考察されている通り、恐らく妹は昔の言葉でいえば「知恵遅れ」、
「人とは違う」子である妹は、その容姿の美しさと無邪気さが可愛がられる一方で、
一時も目を離せないような、危ない行動を度々取っていたことでしょう。
また、後の事件(性的虐待)を予感させるような出来事も、すでに起きていたかも
知れません。

姉は、(父親のいない、貧しい家庭のようですし)大黒柱である母を
手伝う一方で、妹の世話もせねばならず、遊ぶ暇もなかったと思われます。
となれば、つい妹を憎んでしまったとしても、仕方のないことでしょう。
しかし、ついそんな憎まれ口をきいた(愚痴のようなものですが)直後に、妹が
高熱を出して寝込み、驚いた姉は神様に懺悔し、妹を助けて下さいと願います。
時々世話に疲れて、憎らしく思っても、やっぱり愛する妹。

幸い妹は全快し、姉は喜びとともに、妹への愛を再確認しますが、今度は母が
(たぶん過労で)倒れ、息を引き取る。
母の「あの子は…あなたが助けてあげてね」という遺言を、姉はどんな思いで
聞いたのか。この先、何年も何十年も、自分が妹を守っていかねばならない。
姉は、きっとこの瞬間、恋も結婚も諦めたことでしょう。

敬虔なキリスト教信者を想像させる姉は、妹と二人の生活を守ろうと必死に働きます。
「夜も働く」ことから水商売を連想された方もおられましたが、敬虔な姉の態度から
して、それはなかったでしょう。
働くすべを持たない妹は、当然その間、一人で置いておかれることになり、ろくな娯楽も
ない村に、美しく(少なくとも性の対象になる程度には)成長し、しかも子供同然の従順な娘、
とくれば、起こるべきことが起こります。「ただで相手をしてくれる便利な娼婦」とばかりに、
やがて村中の男たちが彼女を弄ぶようになる。そして、その後ろめたさから、男たちは姉妹に
優しく振舞うようになり、それを嗅ぎつけた女たちは逆に冷たくなっていく。
しかし、毎日寝る暇もないほど働いている姉には、異変に気付く余裕はない。しかし、なにか
変だ、とは感じていたのでしょう。
「断片的な記憶」という言葉からは、「急に優しくなった男たち」「冷たくなった女たち」
「ある日様子のおかしかった妹」などの、姉が「何か変だ」と感じていたその時々の出来事が、
次々に思い浮かぶ様子が想像できます。

敬虔な姉は、もしかしたらそうした出来事を、できる限り善意に解釈しようとしていたのかも
しれません。例えば、男たちは純粋に妹を心配してあれこれと優しくしてくれたのであって、
しかし女たちはそれが面白くなかった、程度に。

しかし世界は暗転し、しかも、恐らくは姉が一番尊敬し、信頼していたであろう神父からも
裏切られ、そして妹は火刑に処されて、「村の秩序を守るための『Sacrifice』」になる。
では、姉は?
姉は、まさしく自分の青春の全てを「Sacrifice」にして、守ってきた妹を殺されたのです。
姉もまた、「村の秩序を守るための『Sacrifice』」にされたのです。
その事実に気付いてくれる人もないままに……

以上の解釈から、私はタイトルの「Sacrifice」を妹と姉、2人を指すものと捉えます。
そして、姉に焼き殺されたと思われる村人たちは、「Sacrifice」に数えようとは思いません。
「誰かや何かのために、自分のものを投げ捨てること」が「犠牲」という言葉の意味ですから、
村人はそれには当てはまらないと考えます。

以上、いかがでしょうか。

長くなってしまいましたが、お許し下さい。



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