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☆思いついた舞台設定を嵐のように出し合うスレ☆
78:★玉川雄一 2003/10/26(日) 16:56 続き だが、それから情勢は大きく変わった。 前年度末の「回廊の戦い」で基幹戦力を大幅に失った帰宅部連合としては、 得意分野で力を100%発揮する一点突破方式を目指さざるを得なくなっていたのである。 それぞれの局面においては前者の方式を用いるにやぶさかではなかったものの、 現状は連合の主な構成員である文化系団体の底力が頼りだった。 「…せやったら、りょーちゃんも出るゆー事?」 「はい。残念ながら、生徒会連合に数で劣るのは事実です。しかし、我々としては質で劣るつもりはありません。 もっとも、綱渡りであることには変わりませんから、私が前線で指揮をとろうと思いますが…」 この時期の諸葛亮は劉備時代のエキセントリックな言動が影を潜めており、 帰宅部連合のゼネラルマネージャーとしてその隠されていた(?)組織力、実行力を発揮していた。 寄り合い所帯の活動を調整し、連合の総帥代行としての責務を立派に果たしていたのである。 一方で実際の総帥である劉禅もこのことは諒解しており、諸葛亮のその精勤ぶりは他の誰もが認めていたこともあって、 この体制は現状のところ有効に機能しているといって差し支えなかった。 そして今、生徒会連合との新たな決戦に赴くべく、最高幹部を集めた協議が行われていたわけだが… 劉禅は、チョコンと立ち上がると諸葛亮の前にててて、と歩み寄った。 「りょーちゃん、手ぇ出してくれへん?」 「?? はい、これでよろしいですか?」 突然の劉禅の行動にその意図をはかりかねながらも諸葛亮は立ち上がる。 ちんまりした劉禅とスラリとした長身の諸葛亮が向き合う姿は妙ではありつつも却って微笑ましい物があったが、 劉禅が差し出した“それ”を見て諸葛亮以下一同は息を飲んだ。 「あ、アトさん、これは…」 「うん。 …りょーちゃん、ねえさまの分まで頑張ってや」 使い込まれたハリセン… 劉備が学園内を駆け回った3年間、常にその手にあったものである。 夷陵回廊で大敗し、引責引退した際に妹である劉禅に渡されたそれは、帰宅部連合総帥の証でもあった。 それが今、諸葛亮の手に渡されようとしていたのである。 彼女もまた、わずか一年間ではあったが劉備と共に激動の学園生活を送っていた。 苦しいときも、そして楽しいときも常に劉備の手に握られていたハリセンである。 その由緒正しきアイテムが、連合の新たなる門出を前にして諸葛亮に委ねられることになったのである。 この重みは生半可な覚悟で背負えるものではないが、先代の遺した志、劉禅の寄せる信頼、それらを鑑みれば自ずと決心は付いていた。 「了解しました。不肖この諸葛亮、先代の志、アトさんの思い、しかと預かります」 「うん、りょーちゃんならやれるて。 −みんなも、気張ってや」 その言葉に、一同は席から立ち上がる。そしてハリセンをおし戴いた諸葛亮ともども一礼。 かくして、諸葛亮は名実ともに帰宅部連合の総帥代行となったのだった。 (後略)
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