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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
208:雪月華2003/02/23(日) 09:11AAS
懊悩
冀州校区[業β]棟保健室にて。
曹操が緊張した面持ちで丸椅子に座っている。
傍にはつきそいの許[ネ者]がぼーっと立っている。
パラパラとカルテをめくっていた校医の華陀がやがて重々しく宣言した。
「結果が出た。おぬしの頭痛の原因、それは…」
「ゴクリ…」
「脳腫瘍じゃ。すでに手遅れ。あと三ヶ月ももたん。」
「えええええーーーっ!!」
「嘘じゃ。そうでかい声を出すでない。」
「な、なんてこと言うんだよっ!このクソじじいっ!」
「ぐわっ!こ、校医に脳天唐竹割りを食らわすでない!」
頭を押さえる華陀と本気で怒る曹操。許[ネ者]はあいかわらずぼーっしている。
「どこも悪くないわい。強いて言えば、おぬしは一度に色々なことに頭を使いすぎじゃ。」
「どーいうことよ?」
「テストでは全科目90点台は当たり前。100点も珍しいことではない。8校区の統合生徒会長職。放課後の覇王の二つ名。おぬしは青春を謳歌しすぎじゃ。やらねばならぬこと、やりたいことがあまりに多く、それが人間の許容範囲を越え、頭痛を引き起こしておる。そうとしか言えんのう。」
「じゃあどうしろというのよ。いまさら自主返済して一般生徒に戻れとでも?」
「それはおぬしが決めることじゃ。とにかく、現状のままでは頭痛はさらに酷くなる。これだけは間違いないのう。」
「ところでおぬし郭嘉のことについて知りたがっておったの。」
「あたしは会長として部下の健康状態を知っておく必要があるのよ。」
「知らんほうがいい。知れば頭痛がいっそう酷くなるじゃろう。それでもか?」
「当然だよ!」
「許[ネ者]、すまんが席をはずしてくれんか?」
「うん。」
頷いて許[ネ者]が保健室を出ていった。
「後悔するでないぞ。ほれ。」
「カルテ…?。…ALS…。」
「筋萎縮性側索硬化症。脳からの信号が筋肉に伝わりづらくなる病気じゃ。信号が伝わらんとやがて筋肉は衰弱してゆく。影響が出るのは随意筋のみで、内臓の働きは損なわれんからいきなり命にかかわるということはないが、呼吸が浅く、困難になったり、何ともないところで頻繁に転んだりする。病状が進むと寝たきりになる。入学当初は、卒業まではもつと予想しとったのじゃが・・・」
「確か意識障害はでないはずだったけど…この間は座ったまま気を失いかけてたんだよ。熱も出てた。」
「そっちは半分、いやほとんどはおぬしに責任がある。」
「どうして?」
「確かにALSでは発熱や意識障害は起きん。だが、同時に風邪を併発したんじゃ。それも相当悪性の。原因は…わかっとるな。」
「北伐…」
「おぬしは別格として、許[ネ者]はもと女子プロ部。于禁、張遼、徐晃はみな剣道部じゃろう。だが郭嘉はどちらかといえば文化系。あまり野外活動には向いとらん。それをなんじゃ。あのクソ寒い幽州校区へ連れまわして戦(いくさ)などさせおって。」
「…」
「それでよく”会長として部下のため”などと。部下の向き不向きを見極められずして何が会長じゃ。」
「う…」
「まあ、すんだことじゃ。そう落ち込むでない。」
華陀が書類に何か書き込んでいる。
「郭嘉は来週から休学して入院じゃ。おそらくおぬしの在学中の復学は無理じゃろう。長引けば退学となるかもしれん。まだ寮で寝込んでおるから今のうちに見舞いを済ましておくとよかろう。もっとも、風邪が治らねばまともに話すのは無理じゃろうがな…」
華陀が時計を見た。13:25。
「話はこのくらいじゃ。ほれ、そろそろ戻らんと授業に遅れるぞ。頭痛薬の処方箋は出しておく。帰りにでも「黄帝薬局」にとりにいくといい。」
「…頭痛がおさまらなかったらまた来るよ。」
「おさまるはずはあるまい。あくまで薬は気休めに過ぎん。」
扉を開けると許[ネ者]が扉の傍で待っていた。
許[ネ者]と一緒に曹操は教室へ向かった。
(郭嘉の病気は…あたしのせい?まだ荊州校区や長湖の連中の事が残ってるのに…郭嘉。)
北伐に向かう前の郭嘉の言葉が思い出された。
『このあとは荊州、長湖だな。まあ、まかせとけって。最近自信が出てきてさ、あっと驚く戦略戦術が次から次に沸いてきてんだからな。これからは会長にもラクさせてやれるよ。』
「裏切者…」
「ん?何?」
「…」
「変なの。」
郭嘉は自分の信頼を裏切った。無論裏切りたくて裏切ったわけでないことはわかっていた。そしてわかっていながら裏切者と呟いた自分を、曹操は激しく嫌悪していた。
頭痛がまた始まっていた。
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烏丸の続きです。このあとほどなくしてtakayuki様の「曹操の涙」にシフトします。なんか最近重い話しか書いてないような…
また出そうかな、諸葛亮…。四輪車=諸葛亮発明のソーラーカー=ゆかり車(!)で同乗した劉禅がトラウマになるとか(爆)。
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