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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
229:彩鳳 2003/03/11(火) 01:00 皆様、お久しぶりで御座います。しばらく蕎麦屋のバイトで留守に していたので返事が遅れてしまいました。 また木曜日or金曜日には戦線離脱しますが、それまではなんとか動けます。 私もSSのお詫びから先に(^^;;; 「二人は同時に周囲を見渡し、同時に口を開いていた。」 の部分で、二人(曹操&夏侯惇)は何を頼んだんだ? って思った方は当然いらっしゃると思います。 すみませぬ。その辺りを書くのを忘れていました(ドキューン) SSの続きに紛れ込ませることが出来れば良いのですが・・・完全に泥縄ですね(^^; >アサハル様、 アサハル様のおっしゃる様に、蒼天学園の生徒はなんだかんだで熱いと思います。 (その「熱さ」の形はそれぞれですけど・・・。) 高校生としては洒落にならないくらいにハードな毎日ですけど、それはそれで 一つの幸せなのでは・・・とも思います。 >ぐっこ様、 曹洪はまだ会計係として出て来た事はありませんよね? 私は高校時代二つの部の会計を掛け持ちしていたので、実体験を元に会計係の 曹洪を書いてみた次第です。 学三の曹操は、お祭りになると景気良く金をつぎ込むこと間違い無いので(^^; 気の毒ですが曹洪には頑張って頂く事に・・・(それが無ければ会計ってヒマなんですけどね(^^; まだ構想段階ですが、部活だったら予算折衝があるので、そっちのネタでSS書ければ・・・ と思っています。(いかんせん、帰宅部が参加出来ないのがネックですが・・・) >雪月華様 「I・G・Vの戦い」 拝読致しました。 厳政の葛藤が上手く書かれていると思います。しかし、こう言う立場の人って 歴史的に見ると結構多いような気が・・・
230:アサハル 2003/03/13(木) 18:49 >雪月華様 厳政…!!熱い!熱いぞ!! うああー…こんな素晴らしいSSの後に続くのが私の駄漫画というのが 申し訳ないです…(;´Д`) しかし最近簡雍ツッ走ってますなー!ワインも醸造できるのか…凄い人だ。 てゆーか盧植はメガネっこでもいいかもと一瞬でも思った私を許して下さい。
231:★ぐっこ 2003/03/14(金) 00:26 >雪月花様 むう! 黄巾の、厳政の熱い戦いを拝見しました! 黄巾の連中、とくに中堅幹部は張角への忠誠と現実の狭間で、 かなり無理をしていたようですね… そして敵がたたる皇甫嵩らの思いもむなしく、学園史は悪化の 運命を辿るのですな… 続編に期待! 学三演義にも熱が入るというモノ! >彩鳳様 実体験こみですか!曹洪たん…(^_^;) ケチというところから現在の設定がある曹洪ですが、実際でも 色んなトコロから資金やら人員やらを掻き集めた苦労人なんですよね… >アサハル様 むう、私も眼鏡っ娘盧植に萌えているところです。 本を読むときなんかはかけてるんだろうな(;´Д`)ハァハァ…
232:教授 2003/03/16(日) 01:55 ■■卒業 〜甘寧と魯粛〜■■ 「よーし…二代目は行ったな…」 甘寧は孫策達が走り去った事を確認すると、背中併せになっている魯粛に呼びかけ る。 「魯粛! そっちはどうだ!」 「やっばいよ! 何か…わらわら出てきた!」 声を荒げて状況を簡単に説明する魯粛。 その目には、病院から巣を突つかれた蜂の群れの如く医師や看護婦、警備員から患者まで映ってい た。 「な、なんだ〜!?」 後ろを振り返った甘寧も、その異様な光景に思わず驚いてしまう。 「こらぁ! 患者泥棒!」 「絶対安静の患者さんを連れ出すなー!」 「俺達の公謹ちゃんを返せー!」 様々な声や雄叫びを上げながら追っ手達が迫ってくる。 ある種の殺気が篭ってるからこれがまた恐い。 「…興覇。ずらかるよ!」 「あ、ああ…。あれにゃ勝てる気がしねーし…」 魯粛は世にも不思議な光景に呆然としている甘寧の肩を叩いて走り出す。 後ろをちらちらと見ながらも甘寧が後に続く。 幸い、近くにバイクを止めていた事もあったので追っ手に追い付かれる事はなかった。 甘寧は素早くバイクに跨ると、思いきりアクセルをふかす。 消音機が抜かれた違法改造バイクから放たれた轟音に追ってくる病院関係者達が足 を止めた。 「へへん! 俺様のデビルアローの前じゃカミサマだって足を止めるぜ!」 得意気な甘寧。 ふと、魯粛を見ると… 「うう…興覇のアホ…やるならやるって先に言え…」 耳を押さえて蹲っていた。 「わ、わりぃわりぃ…。とにかく後ろに乗れや…な?」 「後で何か奢れよ〜…」 「分かったから…早く後ろ乗れって」 機嫌を損ねた魯粛を宥めながら、バイクに乗せる。 だが、ここで足の速い警備員の手が魯粛の肩を掴み、引きずり降ろそうとする。 「わあっ!」 「捕まえたぞ! おとな…しぃっ!」 しかし、その警備員は甘寧の蹴りをまともに顔に受けて倒れた。 「ふざけんな! 捕まってたまるかよ!」 「助かったけど…口上してる暇があったら早く出して! ほらっ!」 この間に、追っ手と二人の距離はもう目と鼻の先になっていた。 「仕方ねえ…。子敬! しっかり掴まってろよ!」 「え!? う、うん…」 甘寧の叫びに魯粛はぎゅっと彼女の体にしがみつく…ただしそこは思ったより柔らかかった。 「ひゃっ! そ…そこは違うだろ! もっと下だって!」 顔を烈火の如く染めて猛抗議する甘寧。 「あ…ご、ごめん」 改めて魯粛は甘寧にしがみつく。 「よーし! 行くぜ!」 気を取り直した甘寧の右手が目一杯絞り込まれる。 バイクは雷鳴を轟かせながら急発進。 だが、甘寧はここでブレーキを入れた。 左足を地面に付け、大きくバイクを傾ける。 そして再びアクセルを全開。 途端にバイクは甘寧の左足を軸に半回転し…そして軸を取り除く。 バイクは瞬時に追っ手達の方を向いた。 「悪いけどオメーらに付き合ってられねんだわ…往生しな!」 と、同時に一気に彼等に向かって発進。 「うわわ!」 魯粛は振り落とされないように懸命に甘寧にしがみつく。 この突然の甘寧の攻勢に驚いた病院関係者達はその場で腰を抜かしてしまった。 「へへ…なーんてな。アバヨ!」 甘寧はブレーキを握り、体重を移動させ、ハンドルを切る。 その卓越した一連の動きは、最早人間業とは言えない程のものだった。 瞬きをする程度の時間、それだけの間にバイクは既に反対方向を向いていた。 医師達との間隔、実に1メートルあるかないかだ。 そのまま返す勢いに乗り、甘寧達はそのまま走り去っていく。 呆然とする医師達の耳に鈴の音を残して――。 「なー…子敬」 「んー?」 「卒業したら大学だっけー…」 「そーだけど」 「あーあ…俺もちったぁ勉強すりゃ良かったかな」 「何よ、寂しいとでも言うつもり?」 「バカ言え。俺は勉強続けるよりも気ままにフリーターやってる方が性に合ってる さ」 「興覇らしいな、それ」 「それにな…卒業したからって会えないってわけじゃねーんだから」 「…分かってるよ。…それよりも今は…」 「ああ…そーだな…」 バイクを走らせる甘寧、そして後ろに乗っている魯粛。 その後ろには…。 『あー、そこのノーヘルの二人乗り。速やかに止まりなさい』 白バイが尾いていた。 「アホか、誰が止まるんだよ」 「興覇といると退屈しないよねー」 「…お前もアホだな」 「お互いにね」 二人は微笑むと、物凄い勢いで朝霧の中に溶けて行った――。
233:★ぐっこ 2003/03/17(月) 01:46 Σ(; ̄□ ̄)!! 「ひゃっ! そ…そこは違うだろ! もっと下だって!」 (;´Д`)ハァハァ… …いや、それはともかく! あの後にもまだドタバタが待っていたようで(^_^;) やはり公瑾たんは病院関係者のなかでもアイドルでしたか… 魯粛と甘寧、方向性はおなじだけど進路は全く正反対の2人、これからどういう 人生を歩んで行くやら…。 どちらにしてもスレンダーで奔放な女性になりそう。
234:アサハル 2003/03/17(月) 22:22 実は先んじてメールで読ませて頂いております(w >「俺達の公瑾ちゃんを返せー!!」 に腹筋痙攣せんばかりに笑わせて頂きました。怖ー 口が悪い魯粛ちゃんに萌え… しかしいいコンビだなあ…甘寧と呂蒙。
235:アサハル 2003/03/18(火) 13:54 気づくの遅いよ!というツッコミは重々承知の上ですが >>234…当然ながら「甘寧と呂蒙」ではなく「甘寧と魯粛」です。 すみませんすみません…あー・゚・(つДT)・゚・
236:雪月華 2003/03/18(火) 16:30 Departure -First Half- 曲の中盤に差し掛かったとき、喉に奇妙な痺れを覚えた。 突然、喉のあたりで何かが破れる感じがし、灼熱感と共に凄まじい激痛が喉を襲った。喉からの血が気管支に拒絶され、咳の衝動が襲いかかり、左手で口を押さえて咳き込んだ。肘まであるレースの手袋の掌が鮮やかな赤に染まり、猛烈な息苦しさが襲ってきたが、息を吸おうとすると血が気管に流れ込み、咳こんでしまう。苦痛と息苦しさに耐えかねて膝をつき、声を出そうとしたが掠れた唸り声となるだけだった。肌身離さず身につけているママに貰った黄色いスカーフに点々と赤い染みがついているのが見えた。左手は既に手首まで赤く染まっている。 不意に、目の前が深紅に染まり、暗転した。影のように何者かが覆い被さり、それの触れたところから感覚が消えうせてゆく… 覆い被さってきたものは「死」だろうか。楽になれる…解放される…そこまで思った時、意識の最後の断片が闇に沈んだ。 …また、あの時の事を思い出した。 上半身を起こして辺りを見回し、冀州校区総合病院の大部屋に居ることを思い出した。室内に自分以外の入院患者は居らず、8つあるベッドのうち、7つがマットレスを剥き出しにしている。時刻は…午後4時少し前。 「ん?目が覚めたか?」 窓の傍の花瓶に名残の紫陽花を活けていた白衣の女性が振り向く。校医の華陀先生。まだ20代だが、ありとあらゆる医道に通じ、日本医師会では「神医」と呼ばれるほどの存在らしい。性格に多少、難があるが… 「腹が減ったか?そろそろ、流動食をとってもいい頃だな。6時には運ばせるから、それまで読書でもしておけ。面会者があるかもしれんが、疲れたら遠慮せず追い出すこと。いいな。」 そろそろ会議がある、と言ってハイヒールを音高く鳴らし、華陀先生は出て行った。 壁の日めくりカレンダーを見て、入院、手術から5日が経っているのに気づいた。今までは点滴で栄養補給をしていたが、そろそろ胃が無為の休暇に飽きはじめていたことに気がついた。 初めて目を覚ましたのは手術後2日してからだった。つきそっていてくれた華陀先生は長湖部のところへ行き、入れ違いに、峻厳な雰囲気を漂わせた、黒髪の背の高い女生徒が面会に来た。生徒会の大物、皇甫嵩だった。学年は同じだが面識はほとんどない。立場からすれば憎むべき敵のはずだが不思議と恨みや怒りは湧いてこなかった。自分が原因となった学園の混乱を収めてくれたことで、いっそ感謝の気持ちすら湧いてきたほどだった。部下を伴わずに一人で来た事も、好感をもてた。きつめの雰囲気はあるが、根は優しい人なのだ。 無言の短いやり取りの後、それほど高額でもない階級章と、あの舞台の前に書いておいた退学届を、皇甫嵩は預かってくれた。それを見届けると猛烈に眠くなり、目を閉じるとそのまま眠った。 夢は相変わらず見ることができず、眠ると、辛い思い出ばかりが脳裏に浮かんだ。金銀妖瞳に対する執行部からの蔑視。異能の声ゆえに自分を追い出した合唱部。自分の制御を離れ、暴走した妹達。最後に見た夢。そして最後の舞台のこと… 3日目から何人かが面会に来た。多少、面識のある同級生。まだ熱心さを失わない親衛隊。彼女達とのコミュニケーションのために、携帯用のワープロを使っていた。目を覚ました時、華陀先生が貸してくれたのだ。 『筆談という手もあるが、君は面会者が多いだろうからな。紙とペンでは資源の浪費になる。』 ナスのような体型をしたオレンジ色の猫のような動物のマスコットがデザインされており、不思議とそのキャラクターに親近感を覚えた。 張宝と張梁は顔を見せなかった。伝え聞くところによると、相次いで飛ばされた彼女達は、ほとんど廃人同様になっているらしい。とくに張梁はまともに授業にも出席できず、寮で寝込んだままであると言う。 「失礼仕る。」 古風な言葉づかいの一人の女生徒が入ってきた。はっ、とした。女性にしてはずば抜けて高い身長。艶やかな長い黒髪、何度目かの舞台の後の握手会で会った一人だった。確か名前を関羽と言った。自分の視線をまともに受け止めた初めての人物。あの時は一言二言で別れたが、できればゆっくり話してみたいと思っていた。無意識に胸が高鳴る。 「お加減はいかがでしょうか?」 ベッドの傍の丸イスに腰掛けた関羽が躊躇いがちに尋ねた。すぐさまパタパタとキーボードに指を走らせる。 『まだ立ち上がることはできませんが、悪くはありません。関羽さん、でしたね。』 「覚えていてくださったのですか?」 『私の視線をまともに受け止めることができた人に会ったのは初めてでしたので。』 「優しい、綺麗な目です。もっと自信を持たれると良い。そんなことより…」 関羽が居住まいを正した。 「退学なさると人づてに聞きましたが、真実ですか?」 『この学園に居るとかつての私を応援してくれた人達と嫌でも顔をあわせることになります。もう彼女達の期待には応えることができない。それが辛いのです。すでに階級章は返還し、退学届も然るべき人に渡してあります。退院すれば、そのまま学園を去ることになります。』 「それほどの才を持ちながら…惜しいことです。」 しばらく二人とも黙った。 「…拙者を恨みに思っておられないのですか?」 『何故、恨まねばならないのです?』 「貴女の妹御を我らは、飛ばしました。」 『あの子達は罪に対する報いを受けたのです。残念だ、という思いはあっても、恨みには思っていません。そして何より、誰よりも罪深いのは私自身なのですから。』 「解せませんな。貴女は広告塔として担がれただけということになっているのですが…」 『冀州校区合唱祭の折、私は妹達の暴走を止めることができたはずなのです。しかし、みんなの前で歌うという小さな幸せに拘ったせいで、学園中を混乱に陥れてしまい、結果的に妹達をはじめとする多くの人達の青春を奪ってしまった。誰が一番罪深いか、聡明なあなたならおわかりになるでしょう?』 「む…」 溌剌とした足音が病室の前を通り過ぎ、戻ってきた。 「姉者!こっちこっち。関姉がいたぜ!」 「どうも騒がしゅうしてしまって、えろうすんまへん。翼徳!病室に入る時はアイサツぐらいしいや!」 小柄だが元気の塊と言った感じの女生徒に続いて、制服の上から赤いパーカーを羽織り、眼鏡をかけた女生徒が恐縮しながら入ってきた。 「そないなことより、関さん。ずるいで〜。抜け駆けして学園のとっぷあいどるに単独インタビューなんかしよって。」 「インタビューなどと、拙者はただ、見舞いに…」 「ま、ええわ。…あ、えろうすんまへん、自己紹介がまだでしたな。ウチは劉備玄徳。」 「それでは改めて、拙者は関羽雲長。」 「オレは張飛翼徳!張飛の飛は「飛ばし」の飛…」 「それはええっちゅうねん。」 大見得を切った張飛に、すかさず劉備がツッコミを入れる。この劉備も、張飛も、恐れる風も無く自分の金銀妖瞳を見据えて話す。そこに好感が持てた。 「ウチら3人、血縁はあらへんけど、気が合うたんで心の姉妹っちゅうことになっとります。」 『関羽さんとは面識があります。いつかの舞台の後、サインを貰いに来ましたね。それも4人分。』 「せやった。あのあとウチら用事があったんで関さんに頼んだんでしたわ。ウチと翼徳と、憲和の分…」 『その憲和という方は?』 「あたしのこと。簡雍憲和、よろしくね。劉備とは小学校からの付き合いで…」 「おわっ!憲和いつのまに!」 「相変わらず神出鬼没なことですな、簡雍殿。」 見るからにルーズそうな女生徒がいつのまにか劉備の隣に立っていた。少しアルコールの匂いがする。関羽ですら入ってきたことに気がつかなかったらしく、驚いた表情をしていた。 『仲のよろしいことで。』 「かしましいだけですがな。とくに翼徳は色々面倒を起こしますさかい。」 『いえ、羨ましいことです。笑い、悩み、楽しみ、泣く。それを共有できる友人がいるのが青春でしょう。』 「いやいや…張角はんにもそういう友人はおらはるでしょう?」 『私には…親友と呼べる存在はいませんでした。』 「…さいですか…失礼なこと聞いてすんまへん。せや!ウチら4人が親友になったげるわ!それでええでっしゃろ?」 『ですが、私は後1、2週間でここを去ることになっています』 「たとえ数日でも友人は友人や!そういうのも青春の1ページになるんやで!な、関さん、翼徳、憲和。」 「そうですな。たとえ一瞬でもいい友人が増えるのは良きことです。」 「あたしも大賛成!」 「やれやれ、まるで小学生みたいだな。」 「なんやて!?行動原理が小学生以下の翼徳がなにえらそーなこと言うとんねん!」 「なにおう!?」 劉備と張飛が凄まじい勢いで口喧嘩を始めた。関羽と簡雍はあきれ返っている。なんとなく楽しい気分になり、笑いの衝動がこみ上げてきた。 突然、戸口のあたりから閃光が走り、10cmの距離までに近づいた劉備と張飛の顔の間を縫い、しかーん、と音を立てて壁に突き立った。それがメスの形をとったとき、冷ややかな女性の声が聞こえた。 「君たち、日本語が読めたら、そこの張り紙の内容を復唱してみたまえ。」 「…病室では静かに。」 「わかっているようだな。では、面会時間は終わりだ。帰りたまえ。それとも全員全治2週間でそこのベッドに並ぶか?私は一向に構わんぞ。新薬の臨床試験にはうってつけだからな。」 右手にはさらに4本のメスが光っている。噂では白衣の下には常にメスを20本近く仕込んでいるらしい。 「…か、帰ります。」 劉備たちはそそくさと去っていった。 「…さて、喉以外には異常は無いのだから明日あたりから少し歩き回っても構わんぞ。そろそろ疲れも取れただろうし、これ以上寝っぱなしでは足が萎えるばかりだからな。」 華陀先生も出て行き、病室は私一人になった。六時まで英字新聞を読み、運ばれてきたお粥を食べるとそのまま眠った。 2年間の胸のつかえが取れたような気がし、不思議と、その日からまた楽しい夢を見ることができた。 劉備たちは2日に1度はやってきた。そのつど病院の中庭まで一緒に歩き、ベンチに座って一時間ほど歓談した。やりたいことが見つからないので幽州、冀州校区のサークルをはしごする毎日らしい。 気の置けない仲間との会話。一時的にせよ、こういう時間をもてたことを誰かに感謝したい気分だった。 入院して2週間が過ぎ、退院の許可が出た。…つまり退学の日。 「経過は順調だ。もう声を出してもいいかもしれん。やれることはすべてやったが、以前と同じ声が出せる確率は35.94%位だな。もちろんあの超音波は二度と出せないことは確かだ。」 それでよかった。もともと2度と欲しい力でもない。 午前10時、身支度を済ませ、華陀先生一人に見送られて病院を出ると、そのまま寮に向かう。平日であるため、他の生徒の姿は無い。階段を上り、自分の部屋に入る。もともと殺風景な部屋は机と本棚を運び出したおかげで一段と殺風景になっていた。私服に着替え、制服を手提げバッグにしまい、部屋を出て鍵をかけた。鍵を舎監の孟嘗君さんに返し、寮を出ると、中原市場で購入した自転車に跨った。 振り返って冀州校区鉅鹿棟の建物をしばらく眺めた。今ごろは二時間目の半ばだろうか。入学からの2年と少しの学園生活が脳裏をよぎる。その中で一番印象に残った思い出が、ここ数ヶ月であったことを改めて感じた。 頭を振って迷いを払い、父さんの待つ外界、青州校区の東の端へ向けてペダルを踏み込んだ。 −−−−−−−−−−− 黄巾の乱完結編の前半です。 ち○ちちと張角の関連がわからない人は…金銀妖瞳つながり(w。 それでもわからない人は、あ○まんがと銀○伝を観…いや聴いてください。 しかし霧○聖先生や、か○み先生等、女医っていい性格してる人が多いような(w
237:雪月華 2003/03/18(火) 16:33 Departure -Conclusion - 校区どうしをつなぐ道路はアスファルト舗装されており、自転車を走らせるには絶好の環境にあった。昨日までの梅雨空が嘘のように晴れ渡り、水溜りが太陽の光を反射して煌き、気分が浮き立ってくる。 不意に、体の中から言葉が溢れ出てきた。 ♪The light of morning gold fades and a dazzling blue sky appears (朝の黄金の光が薄れ、眩しい蒼天が現れる) 自分で自分が信じられなかった。声が出る。それもあの力を得る前の自分の声。何の気兼ねもなしに歌えたあの時の声。この数ヶ月で一番欲しかったものだった。 溢れ出た言葉は自然に音階が整い、歌となって夏の冀州校区の野原に響く。 ♪From west,black cloud appear and the whole sky is covered ♪Stars in the whole sky end and oppose black cloud ♪Black cloud obtain lightning and tear between stars ♪Three novas drive off lightning and black cloud retreat to west ♪Stars also lose a settlement and are scattered to the whole sky (西のかたより黒雲が湧き起こり、蒼天を覆う。満天の星達は集い、黒雲に抗する。黒雲は稲妻を得て、星達の間を縦横に引き裂く。三つの新星が稲光を追い払い、黒雲は西へ退く。星達もまとまりを失い全天へ散らばる。) いつの間にか校区の境を越え、青州校区に入っていた。梅雨明けの煌く風を感じる。今まで味わったことの無い開放感を感じた。 さらに言葉は歌となって溢れ出す。 ♪Black cloud are scratched out by lightning and lightning runs to an east ♪Two stars change to the sun and are located in north and the center sky ♪Although the star which became the moon goes to south sky, but it disappears by impatience. ♪Three novas which drove off lightning serve as jewelry and both wings,respectively,change to a dragon,and are located east sky ♪The north sun is the increase of a size slowly,The central sun runs about busily ♪Two new moons are produced,and the star which twinkles is held and it is located in the southern sky ♪A dragon is driven off by lightning in an east sky and stays at the sky of the central sun ♪Lightning is scratched out by the central sun and a dragon hears under the central sun about an opportunity (黒雲は、稲光によりかき消され、稲光は東へ走る。二つの星が日輪へ変わり、北と中天に拠る。月へと変わった星は南へ赴くが、焦りにより消え去る。稲光を追い払った三つの新星はそれぞれ宝石、両翼となり龍に変化し、東に拠る。北の日輪はゆっくりと大きさを増し、中天の日輪は忙しく駆け回る。新たな二つの月が生まれ、輝く星を抱き、南の空に拠る。龍は稲光により東を逐われ、中天の日輪のもとに身を寄せる。稲光は中天の日輪によりかき消され、龍は日輪のもと、機会を窺う。) どこか予言めいている…と思わないでもなかったが、言葉は次から次へと溢れ出してくる。 鮮やかに音階が定まり、流麗な歌となって青州校区の夏の野原に響く。 ♪The north sun tends to take in the central sun,takes advantaging of it,and a dragon raises a male shout in the east sky ♪One of the two of the southern moon disappears,the star which twinkles supports the small moon and it is changed to a new crescent ♪Suddenly,the central sun tends to move to an east and it is going to take in a dragon ♪A dragon leaves one of the two's wings,and escapes to the basis of the north sun ♪The north sun and the central sun come into contact with,and a dazzling light is emitted ♪The dragon which left north goes to the southern sky,and obtains a tooth ♪The wings of one of the two of a dragon scratch out the light of two north stars,and leave it to the sky of the south in which a dragon is ♪The sun of haughty north loses the cause that it can shine,by the arrogance ♪It runs to the central sun after the sun which retreated to north,and it is taken in (北の日輪が中天の日輪を取り込もうとし、それに乗じた龍は東の空で雄叫びをあげる。南の月のひとつが消え、小さな月を輝く星が支え、三日月へと変える。突然、中天の日輪が東進し、龍を取り込まんとする。龍は片翼を残し、北の日輪のもとへ逃れる。北の日輪と中天の日輪が触れ合い、眩い光を放つ。龍は南の空へ行き、牙を得る。龍の片翼は北の二つの星の光をかき消し、龍の拠る南の空へ去る。傲慢な北の日輪はその傲慢さによりその輝けるもとを失う。北へ退いた日輪は中天の日輪に取り込まれる。) いつしか青州校区の半ばを越え、外界への境界に近づきつつある。まだ言葉は溢れ続けていた。気分が高揚しているせいか、不思議と疲れは感じない。 ♪The sun used as one goes to south ♪Although the clouds which should be held were obtained,the dragon which cannot obtain time takes many stars with it,and escapes to southeast ♪A new crescent unites with a dragon and sends back the sun to north by the power of the wind from southeast ♪The star which pursued the sun and which can twinkle loses light in the middle of a way,and disappears ♪A dragon goes to west sky and gains control of the ground in the twinkling of an eye ♪And the sky is divided into the sun, the moon, and a dragon. (一つとなった日輪は南へ向かう。雲を得たが、時を得られない龍は、多くの星達を引き連れ、東南へ逃れる。三日月は龍と結び、東南からの風の力で日輪を北へ逐う。日輪を追った輝ける星は道の途中で力尽き、消える。龍は西へ行き、瞬く間にその地を制する。かくして、日輪、月、龍により空は3つに分かれる。) スカーフをほどき、夏の風に託した。風に弄ばれながらどこかへ飛んでゆく…。もうそろそろママの想いから解放されてもいい頃だと思った。 さらに歌声は澄み渡り、冴え渡る。 ♪Furthermore,although a dragon tends to go to north sky,a new crescent plucks off the wings of one of the two of a dragon,and it changes to half moon ♪Although the angry dragon attacks half moon,one of the two's wings are already lost by himself out of anger ♪Although the dragon which lost both of wings still goes to east sky,the shooting star which appeared suddenly breaks jewelry ♪But a dragon survives and hangs down the tail to south sky ♪The sun darkens,a sunspot appears and the size is increased gradually ♪A dragon loses a tooth,clouds and a sunspot fight it and clouds disappear in the middle of a way ♪The sun covers all dragons and attaches a dragon to eternal sleep in the sun ♪Suddenly, the sun is wrapped in the flame which blew off from the sunspot, and the sun is born again. ♪The new sun swallows the moon from west and north,and sky serves as only the sun ♪Soon,the sun sets to south and night steals near from north (さらに龍は北へ向かわんとするが、三日月が龍の片翼をむしり取り、半月へと変化する。怒れる龍は半月を襲うが、自分自身でもう片方の翼を失う。両翼を失いし龍はそれでも東へ向かうが、突如現れた流星が玉を砕く。だが龍は生き延び、その尾を南へ垂らす。日輪が翳り、黒点が生じ、次第にその大きさを増す。龍は牙を失い、雲と黒点が争い、雲は道半ばで力尽き掻き消える。日輪が龍を覆い尽くし、龍は日輪の中で永遠の眠りにつく。突然、黒点から噴出した炎に日輪は包まれ、生まれ変わる。新たな日輪は西と東より月を飲み込み、空は日輪のみとなる。やがて日輪は南へ沈み、北より夜が忍び寄る…) 言葉は溢れ出すのをやめた。大きく息をつく。満足感が潮のように胸に満ちた。昨日までの懊悩が嘘のように消えていることに気づいた。 後ろを振り向くと、遠くから2台の自転車に分乗した4人が近づいてくるのが見えた。劉備、関羽、張飛、簡雍の例の4人。学園を去る間際にできた1年生の友人達だった。関羽と簡雍の乗った自転車は何事も無く停止したが、劉備と張飛の乗った自転車は、完全に停止する前に張飛が降りようとしたためバランスを崩し、2人を巻き込んで派手に転倒した。自転車のスタンドを立てた関羽が慌てて駆け寄る。 「姉者、大丈夫ですか?」 「あたたた…翼徳!ちゃんと止まってから降りぃや!」 ずれた眼鏡を直しながら劉備が張飛をこづく。 「いいのですか?まだ授業中のはずですが…」 「かまへんかまへん。そないなことより、もう会えんかもしれん友人を見送る方がだいじ…って張角はん!?喋れるようになりはったんですか!?」 「ええ、ついさっき。」 「それはなにより!しかし冀州校区合唱祭で我々が聞いたあの「声」とは微妙に違いますな。心を強烈に震わせる何かが抜け落ちて、優しさが増している…」 「ええ。これは去年までの私の声、いわば本来の私の声なのです。」 「華陀先生恐るべし、というところですな。」 「ところで張角はんはこれからどないするおつもりです?」 「姉者、そのようなことは…」 「実家に帰って、改めて地元の高校に転校し、将来は音楽関係の仕事をしたい、と思っているのですが…。」 「何度も言うようですが、自信をもたれることですな。学業はもとより、人付き合いでも、我々のようにその眼を怖がらずに付き合ってくれる人も、探せば必ず居るはずです。」 「そうだぜ。世の中には目が見えない人だって沢山居るんだ。この学園にも片目が見えない奴だっているしさ。色が違ったりビームが出るぐらい、何もおかしいところは…」 「ビームなんか出せるかいな!」 ハリセンの小気味いい音が響く。 「まあとにかく、遠く離れてもこの同じ蒼天の下にはウチらは必ず居ります。つらくなったらウチらのことを思い出すとええです。」 「ええ。忘れはしません。あなたがたことは…ずっと。」 「せや!お別れに一緒に写真撮ろうや!憲和!準備はおっけー!?」 「いいよー」 5歩ほど離れたところでは簡雍がカメラを3脚にセットし終わったところだった。ファインダーをのぞく。 「ハイ、張角さん、もうちょっと右よってー。張飛はそのままで、関羽はもうちょこっと左。劉備ー、あたしの場所空けといて。じゃあいくよー。」 シャッターボタンを押した簡雍が駆け寄ってくる。しばらく5人ともそのままの姿勢で固まった。 このときが永遠に続けば…ちらっとそう思った瞬間、シャッター音が響いた。 「…あかん、目ぇ閉じたかもしれへん。憲和、悪いけどもう一枚。」 「しょうがないなあ…あ、張角さん、あとで連絡先教えて。写真できたら送るから。」 …結局、取り直しは5回に及んだ。劉備はこういうことには拘る性格らしい。 「元気でなー!」 「またどっかで会おうぜ!」 「がんばってねー」 「お達者で…」 4人4様の別れの挨拶と握手を受け、父さんの車に乗り込む。乗ってきた自転車は劉備達に譲った。車が発進し、4人の姿と学園の門が遠ざかってゆく… 「…学園に活気に満ちた時代が来る。あの子達をはじめとする覇気に満ちた1年生によって…。騒々しいだろうけど、重く沈んだよりは、はるかにましでしょうね。それを見ることができないのが唯一の心残り。できればもうすこし遅く、あの子達と同時期に入学できてたらよかった…。」 -The end of beginning- ────────────── 完結です。 張角の歌…日本語で詩を書いてから翻訳ソフトを通し、細かく文法直しただけなので、語呂悪すぎですが…(加筆修正コソーリ希望)。(^^;
238:アサハル 2003/03/20(木) 20:34 Σ( ̄□ ̄;張角たん、天使声の次は予知能力!? …ごめんなさい嘘です。 何というか…言葉が見つかりません。感動ッス。・゚・(つДT)・゚・ 5年後ぐらいにはニューエイジ辺りで大物になっていそうな気がします。
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