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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
298:教授 2003/07/01(火) 01:02 ■■必撮! 仕事人 〜皇甫嵩編〜■■ CAUTION! 皇甫嵩ふぁんの方に袋叩きに遭う事請け合いなので、皇甫嵩ふぁんの方は見ない方がいいかも… 「ふむ…提出書類はこんな所だろう」 凛とした顔立ちの少女は筆を置き、大きく息を吐いた。 その鷹の如き鋭い目線の先には蛍光灯の光。 時折点滅する、そんな蛍光灯を見てまた息を吐く。今度は溜息のようだ。 「公偉に蛍光灯の交換を頼んだのにな…全く」 溜息の後は苦笑い、そして大きな伸びをする。 彼女の名前は皇甫嵩。生徒会の重鎮としてその存在は全校中に轟き渡っている。 先の戦では指揮官として数多の生徒達の舵を取り、己もまた最前線に立ち数多くの戦果を挙げた。 厳しく前を見据える双眸には強く誇り高い意志、そして仇為す敵を射抜き退かせる獅子の威圧。その二つの強さが色濃く鮮明に映し出されている。 肩の力を抜いている今もその光を失う事無く輝き続けている。 「蛍光灯の替えは無いのか…?」 皇甫嵩は小会議室と呼ばれるこの部屋をごそごそと物色し始める。 余談だがこの小会議室とは名ばかりで、実際は雑用雑務処理を行う為だけにある部屋だったりする。 主に彼女や親友の朱儁や櫨植達が書類を整理したり資料を漁ったりしている。 平たく言ってしまえば、ここは皇甫嵩達の専用作業スペースなのだ。 ただ一人、丁原だけはこの部屋を休憩室代わりとして使用しており、やたらと散らかすので皇甫嵩達はその都度掃除をするなどの後始末をさせられている。 当の本人は掃除が終わる頃に見計らった様に現れてゴミ捨てだけしていたりする。 話が大幅に逸れてしまった――が、この部屋の構造が理解してもらえたと思うので善しとしておく。 椅子に乗ってロッカーの上の大きめのダンボール箱を開く。かなり埃をかぶっており、動かすだけで咳き込みそうになりそうな塵が舞う。 しかし、中には少々年代物の冊子や資料が入っているだけだった。 「無いな…仕方ない、明日にでも用意するとしようか…」 ダンボール箱を片付け椅子を降りようとする皇甫嵩。 その時、突然椅子がバランスを崩し上に乗っていた彼女を振り落としてしまう。 「なっ…うわぁ!」 予期せぬ出来事に皇甫嵩は派手に転倒してしまう。 「いたた…いきなり何事…ぶふっ!」 更に予測外の事象が皇甫嵩の身に降り注ぐ。 転倒したはずみで先ほど物色していたダンボール箱が彼女の頭に落ちてきたのだ。それも謀った様に絶妙な間で。 しかも皇甫嵩を直撃したダンボール箱はその衝撃で壊れ、中に入っていた埃まみれの書類の束が散乱する。 「…………」 余りに突然の出来事に暫し呆然とする皇甫嵩。 頭には冊子が乗り、制服は埃まみれ。先刻までの威風堂々とした姿は既に影も形も無くなってしまっていた。 大量の書類と埃の山に埋もれるその姿は、さながら戦場後に立つ敗軍の将の様。 丁度、その時だった。窓の外からキラリと何かが光ったのは。 「…何…っ! 何だ!?」 皇甫嵩がその光に我に返った。 そして光を確認しようと立ちあがろうとする――が、立てなかった。 情けない事に腰が抜けてしまっていたのだ。 「くそっ! 動け!」 ぺしぺしと自分の足を叩く。しかし、言う事を聞いてくれるはずもなく虚しい時間が流れるだけだった。 そして最悪の事態が訪れる―― 「義真〜。書類整理終わった?」 「そんなのテキトーにやっちゃいなよ〜」 小会議室のドアが開き、朱儁と丁原が入ってきたのだ。 その瞬間、世界が凍りついた。――刹那、二人の少女の爆笑が小会議室を包みこむ。 「見るな〜!! 笑うなぁ〜!!!!」 顔から火を出さんばかりの勢いで頬を紅蓮に染め上げ怒る皇甫嵩。 だが、朱儁も丁原もお腹を抱えて転げまわっておりとても聞いている風には見えない。 「どうかしましたか?」 そこに遅れて櫨植が現れる。と、中の様子を一望して目が点になってしまう。 「これは…義真?」 「何でもない! とにかく…出て行ってくれ〜!!!」 依然として炎色の顔で皇甫嵩が怒鳴る。 しかし、皇甫嵩の姿を見ていた櫨植の頬に突然朱が差す。 その表情に皇甫嵩がびくっと体を震わせた。 「ど、どうした?」 動揺を悟られない様に努めて平静を装う。 「義真…その…」 もじもじと目線を逸らす櫨植。そして―― 「下着…見えてるよ…」 「………」 再び凍りつく世界。 流石に朱儁と丁原も笑いが止まってしまった。 「お…」 皇甫嵩が右手に冊子、左手に辞書を握り締める。 「お前ら! でてけーっ!!」 皇甫嵩の怒叫と共に書類一式が宙を舞い出した。 「うわぁっ!」 「痛っ! やめろーっ!」 丁原は朱儁を羽交い締め、そして盾にしながらじりじり後退を始める。 勿論、盾にされている朱儁が皇甫嵩の攻撃を受けている。実に悲惨だ。 櫨植は既に外に退避してロザリオを握り締めていた。要領はかなりいい様子である…。 こうして激しい放課後が過ぎていったのであった。 後日――丁原、朱儁、櫨植の三人は皇甫嵩から口を利いて貰えなかったそうな。 某棟某部屋―― 「これ新聞に載せない?」 簡雍が一枚の写真を劉備に見せる。 「…載せたいけど、流石にこれはあかんやろ…」 皇甫嵩の醜態がはっきり映し出されたその写真に複雑な笑みを浮かべるしかない劉備。 結局、この写真は世に出まわる事なく簡雍のアルバムの中に納められる事になった。
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