★しょーとれんじすと~り~スレッド★
385:那御2003/12/20(土) 01:50AAS
注)このSSは、全て実話を元に構成されております。

長湖部調理実習  ~禁断の蒲茹でと豚汁入り~

「あ~、めんどくせぇ。なんで俺様がこんなことをしなきゃならないんだ・・・」
ボヤきながら米をとぐ甘寧。
その手つきは、ややおぼつかない様子である。
「まぁまぁ・・・数学よりはマシじゃないか。」
その隣でゴボウを洗う魯粛。こちらはなにやら楽しげである。

揚州校区の家庭科の授業。その一環として、今回の調理実習は行われていた。
勿論、一人で調理実習は出来ない。
班分けがあるわけだが――。

2班の周瑜班は勿論、班長周瑜が絶妙な料理の腕を振るうことが予想される。
1班孫権班には顧雍ら。4班程普班には歩シツらがいる。
文科系の彼女らも、なかなかの料理を作るであろう。
だが・・・3班だけは明らかに異彩を放っていた。

呂蒙班。その班員は、班長呂蒙以下、甘寧、魯粛、陸遜である。
陸遜は、この班編成を見て、自分の不運を呪ったという。
案の定、呂蒙は一言、
「伯言は手ぇ出さないでくれよ。お前が関わるとロクなことにならないからな。」
(それはこっちの台詞です・・・)
その一言を飲み込んだ陸遜は、ため息をついてうなだれた。

今回、学園から指定されたメニューは、白飯、秋刀魚の蒲焼、豚汁であった。
「終わり!モーちゃん皮むいて!」
ゴボウを洗い終えた魯粛は、呂蒙にゴボウをパスした。
「おい!これってどれくらいとげばいいんだ?」
「・・・既にとぎすぎです。」
あきらかにとぎすぎといえる米を見かねた陸遜が言った。
「じゃあ、それを水に浸しておいてください。」
「あいよ。」

ニンジン、ゴボウ、大根・・・
一通り野菜を洗い終えた4人。
「じゃあ、次は野菜を切らないとな。」
「よ~し、ここは俺様の出番だ!これを一番楽しみにしてたんだ。」
そう言うと甘寧は、おもむろに両手に包丁を構えて、まな板の前に立った。
「ちょ、ちょっと!何する気ですか!」
あわてて陸遜が静止する。
「え・・・何って、野菜を切る。」
「そんな切り方って・・・」
「いいんだって!どんな切り方したって、食えないもんじゃないだろ?」
「ま、まぁ・・・」
「じゃあ、行くぜ!うぉらッ!双剣連打!」
ダダダダダダダダダン!
まな板に置いたゴボウを、二刀流で叩き切っていく。
次々とまな板から飛び散っていくゴボウの欠片。
「うわぁ・・・、あの班絶対おかしいって・・・」
1班の朱桓らが、3班を横目で見ながら呟く。
「あの面子じゃあねぇ。」

「おもしろいな!次あたしにやらせて。」
楽しさに気付いたか、魯粛が目を輝かせて言う。
「あぁ。」
「じゃあ、興覇さぁ、あたしに向かってニンジン投げて。」
「は?」
またも予想外の展開に陸遜があわてる。
「投げるって・・・?」
「まー見てなって。」

「とりゃ!」
甘寧がオーバースローでニンジンを投げ込む。
「てぃッ!」

スパッ!

ニンジンが真っ二つに切れて、その半分は調理台のうえ、もう半分は床に落下した。
「あぁ・・・。やると思った・・・」
こうなることは見え見えだったのに、と陸遜が頭を抱える。
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