★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
415:7th(ver.祭り)2004/01/18(日) 20:55AAS
世界は平和だろうが、今の簡雍は平和とはほど遠い所に居た。
一人対数百人。かつて如何なる者も経験していないであろう戦争。タイトルを付けるならば、
まさに『真・三国無双』……シャレにならない。
そしてここに、またしても簡雍の前に立ちはだかる影が三つ。
「さぁ簡雍!!」中央に立つ、『壱』と書かれた赤色の覆面をかぶった少女が絶叫する。
「いい加減に!!」向かって左、青い覆面に『弐』と書かれている少女がそれに続け叫ぶ。
「捕まって下さいね」と、向かって右の黄色い覆面の少女がおっとりと言った。予想通り、覆面には『参』と書かれている。
「○陽戦隊サ○バルカン!?」
「違う!我々は『内政戦隊ショッカン4(−1)』!!」
簡雍のツッコミは、予想を遙かに超えたエキセントリックな答えで返された。
ホントにこの部はアホばっかりか。そう深刻に考えざるを得なかった夏の日だった。
「えーと、取り敢えず左から伊籍、孫乾、糜竺?」
「違う!左からショッカンブルー、ショッカンレッド、ショッカンイエローだ!!」
「……なんだそりゃ」
何か色々とはっちゃけすぎの三人。あきれ果てる簡雍。
ちなみに簡雍が三人を見分けたのは胸の大きさだ。孫乾<糜竺<伊籍である。
「なんかアホくさくなってきたわ。ってことであんたらスルーね」
「こら!逃げるな!」
逃げるなと言われて立ち止まる簡雍ではない。キックボードに乗って、すたこらと去っていく簡雍。
「こうなったら…ショッカンビークル!!」
そう叫ぶや、ごそごそと植え込みをあさる三人。そして取り出される、一台の買い物自転車。
それにさっそうと飛び乗る三人。自転車の三人乗りは違反です。
「待てーい!!」
叫ぶ孫乾…もといショッカンレッド。ただ乗っているだけのイエロー。そして鬼のようにペダルをこぐブルー。いせ…ブルーの中の人も大変…と言うか死にそうだ。哀れなり。
当然、三人乗りの自転車なんぞで簡雍に追いつける筈もない。見る見る距離は離れていく。
「はー、大変だねぇ…」
後ろを振り返り、のんきにのたまう簡雍。しかし次に前を振り向いたとき、その目は驚愕に見開かれた。
前から迫り来る人、人、人。ついに捜査本部は人海戦術に訴えることにしたようだ。
後ろを仰ぎ見れば必死こいて追いすがる伊籍、孫乾、糜竺。…必死なのは伊籍だけだが。
進退窮まったか、そう思って周りを見回した簡雍は細い路地を見つけた。そこに一筋の光明を見出した簡雍はすぐさまそこに駆け入った。

そこまでだった。
急に足を取られ、キックボードごと転倒する簡雍。
「あたた…って何よコレ!」
地面にぎっしり敷き詰められた粘着シート。引き剥がそうとするも、よけいに絡まってしまう。
「かかったわよ!やっちゃて!」
頭上より降ってくる法正の声、そして投網。

捜査開始より3時間57分。  簡雍、捕縛。




白いワンピース、手編みのサンダル、麦藁帽子。
白いテーブル、白い椅子、木漏れ日の影。
さらりと流れる髪、銀縁の眼鏡、手に持った詩集。
どこからどう見ても、生粋の文学少女にしか見えないのだ。あの簡雍が。
「おお〜〜〜〜〜」
ギャラリーからあがる、感嘆のため息。
はっきり言って想像以上だった。
「いや〜見違えたわ」
簡雍をひん剥いて着替えさせた劉備が言った。ちなみに彼女の提唱したゴスロリは多数決により僅差で却下されている。
「グレイトですぞ簡雍殿。どうです、そのまま眼鏡を着用しては?」
と諸葛亮。簡雍が眼鏡をかけているのは、勿論彼女の提案によるものだ。
「うぅ、持って帰りたい…」
「テイクアウトはオッケー!?」
「はうー、何かソッチの道に目覚めそう」
等々、なにやら怪しい声が飛び交う中、簡雍は面白くなさそうに、テーブルに置かれたグラスの氷をストローで突っつく。

不意に、風が吹いた。
麦藁帽子が舞い、簡雍は為す術もなくそれを見送った。それはさながら一枚の絵のようで。
「をををっ!!記録班、今の撮った!?」
「ばっちりです!カメラ、ビデオ共に撮りました!」
「グッジョブ!後でみんなで見るわよ!」
親指をびしっと立てて、法正が言った。
「いやー、それにしても予想以上ね。みんなで追っかけた甲斐があったわ」
「……追っかけられた方はたまったモンじゃないんだけど」
「まぁまぁむくれない。憲和だって乗り気だったでしょ。自分でこんな飲み物まで用意して。で、これ何?アイスティー?あ、レモン入っているからアイスレモンティーかしら?」
「あぁ、それ?ロング・アイランド・アイスティー」

『……って酒かよっ!!!』

簡雍を除く全員の声が、夏空にこだました。





※補足
ロング・アイランド・アイスティー

ドライ・ジン………15ml
ウォッカ………15ml
ホワイト・ラム………15ml
テキーラ………15ml
ホワイト・キュラソー………15ml
レモン・ジュース………30ml
コーラ………40ml
レモン・スライス………1枚

クラッシュド・アイスを詰めたゴブレットに、
上記の順で注ぎ、ステアする。
レモン・スライスを飾り、ストローを添える。

茶なんぞ一滴も入っておりません。
1-AA