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464:岡本 2004/04/20(火) 18:47 ■ 邂逅 ■(13) 生徒集団間の勢力争いが絶えなかった蒼天学園において、戦略や謀略のみならず、戦闘に直接関係する武道や格闘技、戦闘術に秀でた生徒はどの時期においても数多く出現した。後代からそれを振り返って、所詮“見てきたような嘘を言い”の域を超えはしないものの “最強コンテスト”なる私選の番付をするものは多い。その上位陣の常連となる面々はいずれも大規模な騒乱が起こった時期の学生に集中しているのも当然であろう。 後に陳寿著の学園史“学園三国志”で扱われる時期もよく取り上げられる年代であり、 人外の範疇に入りそうな常識はずれの豪勇を示すエピソードを持つ人物が数多く存在した。そういったいずれ劣らぬ猛者の中でも、こと剣技とその駆け引きにおいては関羽が一目置かれていたらしいことは次の言い回しが残されたことで明らかであろう。 “関公面前要大刀” ― 関羽の前で刀を振るう = 身の程知らず 当時の張飛では知る由もなかったが、関羽はその豊富な鍛錬・実戦経験を元に布石をしいてチャンスを待っていたのである。これまでの打ち合いで手の内をそれほど見せず、足捌きか棟での打ち落としで対処していたのも駆け引きであった。 「せやぁ!!」 数度の打ち合いの後、改めて繰り出した張飛の三節棍が関羽の右膝を薙ぐように襲い掛かるが、なんと片足立ちで膝を折り曲げ回避してきた。その足を下ろす動作に合わせた踏み込みで、大技・右片手打ちが得物の間合いの差を埋めて張飛の右側頭部を狙ってすっと伸びてきた。実際、対薙刀対策として古流には膝を狙ったときに狙われた前膝を折り曲げてすかしたところを切り込む手がある。 “これがその余裕かぃ!だが甘いんだよ!!” 空ぶった引き戻しに恐ろしく呼吸を合わせてきたが、余人ならいざ知らず張飛なら対応できなくはない。それが長物と刀の埋めようのないリーチ差からくる余裕だ。それよりこれで胴ががら空きになった。カウンターへのカウンター、ダブルクロスカウンター狙いだ。 “もらったぜ!!” 中央部を右手一本で握り、関羽の攻撃をかがんで避ける勢いで三節棍のもう一端を関羽の右胴へ振り込んだ。これを喰らえば如何に強靭な身体の落ち主であろうと耐えられまい。 ガシッッ!! 張飛の目に映ったのは、会心の一撃が、抜き打たれた左手の鞘で絡めとられている様だった。右片手打ちは三節棍を絡めとるための見せ業だったのである。二刀の心得もある関羽ならではの伏せ技であった。 “がぁっ、なにっ?!” がしゃんと音を立てて、絡みついた三節棍とともに鞘が張飛目掛けてたたきつけられた。思わず左手で攻撃を受ける。視野がふさがって、一瞬ではあるが関羽自身からは注意が逸れた。即座に注意を引き戻したが、目の前に相手の姿はなく、長い黒髪がぶわっと尾を引いてたなびくのが映った、その先は…がら空きの左! “本命は左か!!” 模造刀を諸手に振りかぶり、これまでと比較にならない鋭さで風を巻いて袈裟懸けに切り込んできた。 “いけねぇっ、やられる…” 模造刀とはいえ、相手は棍の木製部を切り裂き、鋼の鎖に切れ込みを残したほどの手慣れである。その刃が如何に鍛えたとはいえ人体に当たればどうなるか…。生命の危機に本能が反応して、全身の血が引き背筋に冷たいものが流れ、アルコールとこれまでの剣戟で高揚した気分が一瞬にして冷めた。切り込んでくる相手の鋭い視線がそれに拍車を掛ける。 “ちくしょう、動きがやたらスローモーションに見えやがるぜ…。” が、こちらの体は指一本動かない。アドレナリンのせいで時が止まったように感じるだけだ。心臓の鼓動がやけに大きく響く…。 どくん 「その喧嘩っ、うちが預かったぁ〜〜!!」 一瞬後、張飛の視界は赤いもので遮られた。 … … … どくん 予期した衝撃はなく、静寂は心臓の鼓動で破られた。一瞬恐怖のあまり意識が飛んだようであった。 “オレ、助かったのか…?!” 赤いのは血でなく、関羽と張飛の間に飛び込んできた人物のパーカーの色であった。 張飛に振りおろされるはずの模造刀は二人の間に飛び込んできた眼鏡の女生徒の眼前でぴたりと静止していた。 「…全く、無茶をする御仁ですね…。」 呆れとも叱責ともつかぬ言とともに関羽は刀を引いた。あまりのことに正直毒気を抜かれたのである。張飛の方も戦闘継続の意欲を失っているようであった。人騒がせな方法ではあるが、取り敢えずの水入りはなった。だが、これからの展開は予想もできない。流れは鉄砲玉のように飛び込んできたこの人物が握っていた。
465:岡本 2004/04/20(火) 18:48 ■ 邂逅 ■(14) 「こらっ、翼徳!あれほど他人様にその道具むけたらあかんてゆぅたやないかぁ!!」 赤パーカーの生徒からは、先ほどまで続いていた剣戟に負けないほどの叱責の声が上がっていた。伴奏にスパコーン、スパコーンといっそ気持ちがいいまでに張り扇の乱れ打ちが続く。打たれるほうの相手もこれまでの勢いはどこへ行ったのか、両膝を折って、頭を守るかのように合わせた両手を持ち上げて平謝りの体勢に入っている。先ほどの瞬間にアルコールが全て飛んでしまったようである。 「うぅっ、姉貴ィ〜〜、相手が歯ごたえありそうだったんでつい熱くなっちまったんだよぅ〜!ごめんよう〜〜。」 どうやらこの眼鏡の人物が、簡雍の言う“うちの大将”らしい。 「皆さん、お騒がせしてすんませんでしたなぁ。さぁさぁ、見世物はお開きでっせぇ。」 どうやらこの人物はこのあたりでかなりの顔役らしい。ギャラリーにもこの人物の素性は知れ渡っているようで、口々に勝手な感想は言っているものの素直に場を離れていった。 血の雨が降るか、という状況を強引ではあったがあっさりかたを付けてしまったのだ。 “…たいした御仁のようですね。” これで事は済んだもの、と鞘と刀袋を拾い模造刀を納め、甘酒の瓶と大皿の東坡肉は迷惑料に残してこの場を離れようとした。が、そうは行かなかった。 「そこのお人。すんませんなぁ、ウチのアホがご迷惑おかけしたようで。うちは新高1の劉備っちゅうけちな同人屋ですわ。親しいのは玄徳って呼んでくれますけど。こいつ、翼徳の姉貴分やってますんや。」 いかにもお気楽そうだが、いったんつかんだら離しそうに無い。なかなかの曲者だ。巧みにペースに乗せられそうである。 「大事に至らずにまとめられたのはお見事ですが、少々危険でしたよ。」 「いやなぁ〜、最初はちょっとやばいかって思うたけど、結局あんさん棟返したやないですか。それなら痛いで済むし。」 “!…この御仁、傍から見ていたとはいえ私が棟を返すのを見て取ったのか…。” “棟打ち”というのは時代劇のように相手の見ているところで棟を返して打つことを言うのではない。真剣で切ると見せて振りかぶった一瞬で相手に判らないように握りを変えて切り下ろすのである。相手は棟で打たれた衝撃を真剣で切られたものと勘違いして戦意を喪失もしくは失神するのである。同様に、時代劇における剣術の誤用例として、握りを変えたときにチャッと音が入る“鍔鳴り”がある。効果音としては格好がいいが、実際のところ、鍔の上下を切羽という矩形の金具(切羽詰まるの語源)で挟みつけ、これを柄できっちり押さえて目釘という芯で刀身に固定する日本刀の構造から考えると、“鍔鳴り”がするというのは切羽が緩々になっていて手入れの悪い刀(酷いときは振ったときにガタついた振動で目釘が抜け落ちて刀身が柄からすっぽ抜ける)のことを示すものなので、実は非常に恥ずかしいことである。また“鍔鳴り”がするようだと手入れ云々を抜きに相手に握りを変えたことを悟らせる可能性があるので関羽の模造刀ではそのようなことがないように手入れはしてある。 関羽の選択は“棟打ちで張飛を当て落とす”ことであり、当然、当事者である張飛には棟を返したのは悟らせなかった。闘争の場では相手は一人とは限らないので棟を返すのは一瞬であるし、またすぐに元へ戻す。棟打ちによる無力化は時代劇ほど単純なものではない。張飛の横へ回り込んだ一瞬で握りを変えたので、岡目八目とはいえ、見物していた者でもそれを見て取れたものはいないはずである。それに刃を止めたときも、そのとき刃がどちらを向いていたかは正面にいたこの女生徒にはわからない。第一、これまでの剣戟の激しさから考えると、寸止めになると予想した見物人はほとんどいないため、剣が止まったことにのみ気がいったはずである。関羽自身がすぐ刀をひいて元の握りに戻したこともあり、そのとき刃がどちらを向いていたかは後でゆっくり思い返してもわかるかどうかは不明である。 となると、この女生徒は関羽が勝負どころで多分棟を返すと思って刀身を注視していたことになる。 「こら翼徳!どうせあんたが先に手ぇ出したんやろ!途中から見てたら、このお人、どうやら、極力あんたを痛めつけんようにことを納めようとしてたようやないかぁ!!」 お見通しである。関羽のほうを向いて続ける。 「…それに翼徳相手にして棟返すような優しいお人やったらうちが飛び込んでも多分寸止めくらいはしてくれるやろ思いましたしなぁ。」 あけっぴろげな人物ではあるが、そこまで自分の観察眼を信じられるものなのであろうか。それに、 “…私が、優しい…。” 面と向かって言われると面映いものである。関羽自身の持つ超然とした雰囲気もあいまって、ほとんどの相手は相対する際には良いにつけ悪いにつけ何らかのフィルターがかかっていた。このようなストレートな対応に関羽は弱いところがある。 「…だからといって、私が刃を止めるとは限りませんでしたよ。」 「でもあんさんは止めれたし実際止めてくれはった。それならええやないですか。」 裏表のないカラッとした笑顔でそういわれると反論に困る。こちらの弱いところというかツボを無意識であろうがついてくる。だが、それに付け込むという風もない。 ええでっか、とばかりに指を立てて、二カッと笑って続ける。 「なぁあんさん、“付き合い”ちゅうんはな、ウチの思うところ、心と心の“ドツキあい”ですねん。真剣になればなるほど相手の本音っちゅうか本質が見えてきますわ。ウチはけちな同人屋ですけど、そこらへんはちっとは分かってるつもりですわ。簡単に手ぇ出すようなこいつみたいな奴はまだ心が弱い。まぁ強い人はなかなか手は出さへんけど出すときは凄いんですけどな。あんさんは強いし優しいお人や。それは一件見てただけでもよう判りましたわ。」 不思議な人物である。こちらの心を意図せずに開かせるような懐の広さを感じる。争闘の直後ということで、張り詰めていた神経がほぐされるのを感じる。思わず表情が緩んだ。 それを見て、“おっ、笑いはった”と当人も嬉しそうに微笑んで、予期せぬ、いや内心期待していたかもしれない言葉を口にした。 「なぁ、あんさんお一人でっか?よかったら喧嘩の詫びというのもなんやけど、うちらと一緒に花見の続きでもやりまへんか?」 「…よろしいのですか?」 「折角ここまで足運んでもらいましたのに、このアホとの喧嘩でわやになったままお返しするのは気がひけますしなぁ。それに“袖摺りあうも多少の縁”言いますやろ。そうそう、あんさんのお名前聞いてへんかったなぁ、お聞かせ願えませんやろか?」 「…誠に失礼しました。申し遅れましたが、私、関羽と申します。皆は雲長と呼びます。」
466:岡本 2004/04/20(火) 18:49 ■ 邂逅 ■(15) 関羽としては最初はごたごたが済めばこれ以上関わるつもりはなかった。だから無礼を承知で仲裁にたったこの人物に名を告げるつもりは無かったのであるが、この人物との縁をこれで終わらせるのも惜しい気がした。この人となら蒼天学園でやっていけると感じた瞬間かも知れなかった。それに一見して乱暴者の張飛がこの劉備の妹分であるあたり、張飛自身もこの劉備と共感しあうものがあるのだろう。この姉貴分のために手間暇かけて美味い東坡肉を作ったあたり、ただの喧嘩屋ではない。 関羽は東坡肉の大皿を取り上げ、劉備と張飛のほうへ差し出した。 「….お受けください、迷惑料です。」 「…いや、それは姐さんがとったもんで…。」 劉備に東坡肉を振舞って喜ぶ顔を見れないのは残念である。しかし、落ち着いて考えれば、事情はともあれ自分は景品にすることを承諾したのである。騒動を劉備に預かってもらったこともある。こだわってこれ以上姉貴分に迷惑をかけるわけにはいかない。 だが…、 「ここまで手塩にかけたものを、おいそれといただくわけには参りません。」 背景を知り、劉備が気に入ってしまった以上、景品としてとったとはいえ、関羽としても黙って受け取るわけにも行かない。 このままでは意地の張り合いでまた押し問答になりそうであった。 膠着しかけたところ、救いの手が文字通り伸ばされた。 関羽の持った皿に劉備の手がすっと伸ばされて、東坡肉を一切れ摘み上げる。二人が反応するまもなくむしゃむしゃと頬張った。ほうっ、見張った目がとくりくりと愛嬌たっぷりに眼鏡の奥で動いた。 「翼徳、腕上げたやないか。美味いでぇ。」 張飛が状況を飲み込めないうちに畳み掛ける。 「昨日からじっくり煮込んでくれててんやろ、ごっつう嬉しいわぁ。おーきになぁ。」 関羽もまた劉備の意図を読んで動いた。 「ええ、私も美味しくいただきました。もう少しいただくことにしましょうか。…絶品ですよ。」 自分もまた一切れ口にし、張飛に微笑みかける。 流石に張飛にも分かった。再び収拾が着かなくなりそうなところを劉備が収め、そして関羽が折れてくれたと。二人が自分を許してくれたと。 ぶわっと両の眼に光るものが溢れる。 「姉貴、ごめんな…。…姐さん、ありがと…。」 「こらこら、なに泣いとんねん。あんたも食べえや。美味いもんはみんなで分け合う、そうすりゃもっと美味くなるってもんや。なぁ、関羽さん。あんさんもそう思うでっしゃろ。」 「ええ、そうですね。甘酒もまだ大分残っておりますし、いかがです。」 「ほう、こりゃええですなぁ。ちょっとした宴ですなぁ。翼徳、あんたもお流れ頂戴しぃや。」 「う、うん。姐さん、ごめんな、ホントに…。」 先ほどまでいきり立っていた張飛が今はやけにしおらしく関羽の杯を受けているのがなんとなく微笑ましい。 「関羽さんか…。なんか呼びづらいなぁ、“関さん”で構いませんやろか?年上の人には無礼かも知れまへんけど…。」 「いえ、お構いなく。私も貴女方と同じく新高1ですから…。」 「え゛っ、そうなんや…。」 流石の劉備もこのときだけは絶句したという…。 誕生日は劉備が関羽より一ヶ月早く、関羽は張飛より4ヶ月ほど早かった。 以後新学期までの2,3ヶ月で、彼女ら3名の縁は深まり、いつしか劉備を長姉、関羽を次姉、張飛を末妹とした“ピーチガーデン3姉妹”として知られることになる。 **************************************** 「…で、そのときの桃の花見をとった写真がこれってわけよ。私が昔っから歴史の観察者だってことがよく分かったぁ?こんなお宝画像撮ってたんだから。」 「…ええ、よく分かったわ。昔っから騒動の根源はあんただったって。張飛さんのそもそもの暴走の原因があんたの都合と酒にあって、起こした騒動が手がつけられないほど大きくなったことに慌てて、関羽さんと部長が沈静化させるまで逃げて部外者の顔してたから結局“3姉妹”に入れなかったってことが。」 表では如何に喧伝された歴史でも、その裏側など所詮こんなものなのかもしれない。 「うぅ〜、孝直ちゃん、お姉さんは悲しいよぉ〜。こんなひねた娘になっちゃってぇ〜。」 「多少ひねてるのは昔から。それに自業自得も少しは入ってるんじゃないの?大体、撮ったときはあの3人があれほどビッグネームになるなんていくら憲和でも夢にも思わなかったことはこの写真の存在自体忘れて保存が悪くてネガも処分していたことが何よりの証拠じゃない!!」 現在、この写真の焼き増しを持っている可能性があるのは当事者の3姉妹のみである。当然、非売品である。 「…いや、まだ遅くない最後の大もうけにはまだ…。」 「お生憎様。私たち階級章返却したから課外活動行為は退学処分よ。」 「…そうね、最期くらい後輩に土産やっとくか….。」 翌日、色褪せたこの写真は小さな額に入れられて帰宅部連合写真部の壁に歴史の瞬間として掛けられた。後、帰宅部連合が解体されたとき、その直後の騒乱で行方不明になったとの話があるが、司州校区洛陽棟の蒼天学園記念館の倉庫の片隅に眠っているという説もある。
467:岡本 2004/04/20(火) 18:55 岡本です。全15回と意味も無くやたら長い作品で申し訳ありません。 一気に読むと疲れますので、ごゆっくりお読みください。 日本にいる間に完成させるつもりでしたが、今日になりました。 元ネタは桃園結義ですが、 関羽関係は民間伝承から引っ張ってきたネタが多いです。 断っておきますが、一応中国版の三国志演義連環画を読んで、演義では どの武将がどの武器を使用しているか大体把握しています。 ただ、そのものずばりは面白くないという理由で、学三に起こす際には イメージに合う武器やスポーツ・格闘技に置き換えています。 関羽が香取神道流というのはあくまで学三(もっと言ってしまえば、勝手な私設定)限定です。
468:★ぐっこ@管理人 2004/04/23(金) 00:17 >>449 国重高暁さま、グッジョブ!曹操と陳登でしたか… なるほど、タイトルの意味がわかりましたわ(^_^;) 虎にせよ鷹にせよ、呂布の存在をよくよく表しているワードですものねえ… 誰からも、飼い慣らす、という発想を得られなかったのが呂布の不幸か。 それにしてもスール制度か〜…ホント、結婚の類ってどうしたものでしょうかねえ。 「義姉妹の誓い」ってのはちゃんとありますし… >>452-467 相変わらず凄いボリュームですね、岡本様(^_^;) これほどまでの長さになると、しょーとれんじではなく立派な長編ですので、 メールで頂ければありがたいです… さて、何度かに分けて読もうかと思いましたが、一気に読めました♪ ピーチガーデンの誓いの岡本版真相ですにゃ( ̄ー ̄) 随所ににやりとする民間伝承ネタあり! なるほど、劉備は通りがかった仲裁 ではなく、最初から張飛の悪徳商法のグルで…。簡雍が何故義姉妹から外れてる かという謎も解決〜 廖化になる前の惇さんもいいなあ…
469:那御 2004/04/25(日) 14:29 >国重高暁さま 結婚に関しては、これもまたちゃんと確定しておきたい事柄ですね。 だんだんと最期へと近づく呂布を見事に描いていますね。 「接着剤」、切れ者陳登のキツイ一言が、引導を渡すか・・・ >岡本さま う〜む、膨大な知識に裏打ちされた大作! 毎度お馴染み武道ネタから、今回は料理ネタにまで、本当に知識が幅広い・・・ 民間伝承も盛り込まれて、いやぁ楽しめました。 廖惇がイイのは私もですがw
470:岡本 2004/04/25(日) 16:12 〜 移ろい行くもの、受け継がれるもの 〜 学園三国志の舞台となった時期は、まさに激動の時期であった。学園運営活動に対する価値観や行動理念が学年ごとにくっきりと色濃く分かれ、主たる統治形態に固定概念など存在せず、時流に流されるがごとく、様変わりしていった。 末期の連合生徒会で声望があったのは、双璧といわれた皇甫嵩に朱儁、気骨の文官・盧植、北方の監視者・丁原。政務では千里の駒といわれた王佐の才・王允、カムロと実務の調整役として重きをなした袁隗。やり方に違いはあったとはいえ、彼女らは当時の連合生徒会を支える屋台骨であったはずである。が、如何に個人として優れていようと、その人物の価値観を取り巻く情勢や時の流れが許さない場合、表舞台から駆逐され退場せざるを得ないのが歴史というものであろう。彼女らが学園、蒼天会や生徒会にかけた思いにも関わらず、黄巾事件や菫卓の専横に示されるように、既に連合生徒会には自力で学園を統率するだけの能力を失っていた。それが各校区の総代・生徒会会長や地区長の独立を呼び起こし、群雄割拠の事態を招いたともいえる。結果、彼女らは連合生徒会と象徴たる蒼天会の権威失墜を回復することかなわず、学園の表舞台から不遇のままに消え去ることとなった。 彼女らにとって変わって、群雄割拠の時節に学園の表舞台に上がったのは、袁紹・袁術姉妹や公孫瓉に代表される世代である。彼女らは蒼天会や連合生徒会の無力さを肌で感じて中央から脱却した経緯を持つ。それぞれ、基盤としたものは各地に連綿と受け継がれた名声であったり辺境守備戦の実績であったりしたが、蒼天会に依存しない実力を背景に独自の秩序だてを模索していた。一面、実力が物を言う時節に突入したわけであるが、力のみで泳ぎきれるほど甘くも無かった。公孫瓉は白馬義従と呼ばれ恐れられた当時随一の機動戦力を有していたものの、劉虞を問答無用で飛ばしたことなどで政治的な失敗が重なって諸勢力からそっぽを向かれ、結局は袁紹との政治力や統治能力、声望も含めた総力戦で敗れ去った。袁術は、袁家の権威のみでは求心力には決定的にかけるということに気づかず、地道に自勢力の運営を行って地力を付けることを怠り、諸勢力間の叩きあいで勢力を減退させ、退場することになった。 残った北方の巨人・袁紹は最大勢力となり無敵と思われた。だが、彼女ですら、時流を読み、波に乗った姦雄・曹操の前に激闘の末、敗れた。曹操は、最初は袁紹の下働きから始まったものの、学園の混迷がいまだ深い中、勢力間の権力闘争に参加することで徐々に力を蓄えた。どの勢力も、万人の総意として蒼天学園全体に対し自己の権威を確固たる物と認めさせる根拠は薄弱であった。その点を見据えて、蓄えた実力だけをあてにするのでなく、流浪していた蒼天会会長・劉協を擁立して権威面での補強を行い、のし上がっていったのが曹操というわけである。 強大な群雄がサバイバルレースから脱落した中、リタイア必至と見られながらも、今なお駆け続けている弱小勢力の主がいる。劉備、あだ名は玄徳。 盧植門下生であり、公孫瓉の後輩でもある。が、彼女の行動理念や価値観は、この2人とは全く違っていた。それが全てとは言わないが、生き残った原因のひとつであることは間違いあるまい。 「うちはうちや。蒼天学園や連合生徒会についての考え方や価値観もまるで違うしな。第一、盧植先生や伯珪先輩自身が、そんなことは望んでへんかったやろし。」 だが、変化の渦中においても連綿と受け継がれるものはあった。学園生活にかける思い、熱意である。 “おまえの思うようにやれ。だけど最後くらい、先輩面はさせろ。” 徐州校区生徒会会長・陶謙の厄介になると決めて、公孫瓉の元から離れることを決意し別れの挨拶に赴いたとき、公孫瓉はそういって、身に付けていたクロスタイを外して劉備に渡したものだった。丁度、公孫瓉と劉備の活動方針や考え方にすれ違いが見え始めていたころだった。袂を分かつことを劉備が必要以上に気に病まないように、せめてさっぱりと送り出してやりたいという、妹分に対する気遣いだったのだろう。己の信念を胸に駆けようとしている者同士だからこそ理解できる相似と相違。 「正しいか正しくないか、時節に合ってたか合ってなかったかは別にして、一所懸命、自分の信じるものを貫こうと頑張った人らがこの蒼天学園にはいた。それだけは忘れとうないし、そういう気持ちは後輩のうちらが引き継いでいかないかんことやと思うんや。」 盧植、公孫瓉、陶謙、袁紹、劉表。 劉備がこれまで厄介になった先輩達である。 劉備は、引退したり中道で果てたりした彼女らの思いを受け継ぐかのように、彼女らに由来するものをその都度身に付けていた。盧植からは張り扇。公孫瓉からはクロスタイを。そして、陶謙、袁紹、劉表からは新しくあつらえて貰った伊達眼鏡、総帥旗の旗竿に赤パーカーを。 それらを身に付けていると、苦難をものともせず学園生活を精一杯に駆け抜けた彼女らの思いが感じられる。それが劉備の力になる。 過去となってしまった人物だけではない。劉備と共に歩み続けてきた者達。自身の未来を劉備に預けようと集ってくる者達。 彼女らと思いと共に、玄徳は学園を駆ける。 帰宅部連合の門出のこの日。 指示を仰がんとする面々を前に、届いたばかりの帰宅部連合総帥旗を担いで号令をかける。 「皆の衆、ほな行こか!」 数多の先人たちの思いをはらんだかのように、帰宅部連合総帥旗が“宅”の緑字も鮮やかに蒼天に翻った。
471:はるら 2004/04/25(日) 16:52 >>470 アサハルさまのイラストを見事活用しきって・・・ 岡本さまお見事です^^ 個人的には、伯珪姐さんの、 >“おまえの思うようにやれ。だけど最後くらい、先輩面はさせろ。” が、かなりかっこよかったです^^
472:★ぐっこ@管理人 2004/04/26(月) 00:35 [sage] (゚∀゚)! 確かにカコイイ! 公孫瓉先輩、ホントにキャラとしてはつかみづらいところがありますが、 それでも盧植先生の「後輩」で、劉備の「先輩」でいたかったのですよね… 一代で駆け抜けた曹操と違い、劉備は多くの人の夢やら何やらのリレーを 引き継いでいたのですな(´Д⊂
473:はるら 2004/04/26(月) 18:26 ■■盧毓が行く■■ はじめましてー、盧毓です。 わたしはかなり前の連合生徒会の盧植の妹で、 今は蒼天会の文サマこと曹丕さんのもとでスカウトとして働いてます。 ところで、わたしはこの学園じゃあんま、たいした事じゃないかもしれませんけど、 結構数奇な学園生活を送ってるんですよー。 そこで!! そのお話を皆さんに話そうと思います。 〜 姉は総司令官!? 〜 と、いうわけで姉盧植との思い出について話していきたいと思いますー。 あれはあたしが中2の時でした………。 「あら、子家……。ここは連合生徒会の管轄の部屋よ。ダメじゃない…」 あっ、子家っていうのはわたしの事ですよ。で、話に戻ります。 「えっ、……でも、to不定詞がわかんなくって…」 姉は少し困惑してちょっと考えて、 「……わかったわ。不定詞は大切だからね。お姉ちゃんが教えてあげるわ!!」 姉はいっつもわたしに、いえ、皆に優しかったです。 姉の瞳を見てると、何かこう、”癒される”っていうか、なんか神秘的なモノがありましたね。 ……でも神秘的って言ったら張角さんの方が数枚上手でしたけど。 「あ、ありがとー!おね―ちゃん!!」 姉は教えるのが上手かったです。あ、劉備さんと公孫サンさんも姉に勉強習ってたんですよね!! しかも姉はそれでいて蒼天会の参事官。それに比べてわたしは……。うぅー。 っとと、話がずれちゃいましたね。 姉の教師魂に火がついて三十分くらい経ったとき、 コンコン! 「盧植さーん?連合生徒会の何進ですけど、いらっしゃいますか??」 「あ、はい!どうぞ!!」 「失礼しま〜す。………あ、よく整理してますね〜」 「い、いえ、それ程でもありませんよ」 姉はきちっとした性格だったので整理整頓がよくできていてこの部屋もとても綺麗でした。 それにしても何進さん、何進さんの方が姉よりも位高いのに何か立場逆みたいに見えますよね。 「それで、今日は何でまた??」 「あっ、いや、最近張角さんが大変なことになってるじゃないですかー。 あっ、でも私は張角さんの声はいい声だと思うんですけど、蒼天会サイドはそうは思ってないみたいなんですよ。 それで実は盧植さんを総司令官として張角さんと戦ってもらいたいんですけど……、どうでしょうか?? …あ、嫌なら良いんですよ!!」 「…………身に余る光栄です…私なんかでよければ……」 「盧植さん、ありがとう!!。任命式はまた日を追って知らせますんで、今日はこれで!」 で、何かわたし、何進さんの眼中に完全に入ってなかったっぽいです。 うぅー、少しは気ずいて下さいよぉ〜。 で、それから二日後に任命式があったそうです。 ………え、わたしですか?もちろん入れませんでしたよ。 忍び込んだんですけどね、捕まって怒られてしまいました。でも偶然通りかかったおねーちゃんに助けてもらいました。 おねーちゃんありがとー♪ というわけで、今回は姉盧植と何進さんの邂逅をわたしが 偶然見てしまった事を話させていただきましたー。 この後姉は、皇甫嵩さん、朱儁さん、丁原さんらと協力して張角さんを追い詰めていったんですね。 そして姉はちょっとした事で総司令官を辞任させられちゃうんですよね。 しかしそれはまた別の物語。またの機会に話させてもらうとしましょう。 それじゃ、またね〜〜〜!!!! ― 盧毓が行く〜姉は総司令官!?〜 完 ―
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