★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
485:那御2004/05/02(日) 21:50
気がつくと、私は中庭のベンチに横になっていた。
・・・あれ?さっきまで私は、廊下で伯瑜さんに頭を下げ・・・

「お目覚め?」
頭の上のほうから、聞き覚えのある声。

「・・・って、ええぇーーーっ!!!??」
私が今、頭の下に敷いているもの。それはなんと伯瑜さんの膝だった。

「・・・そんなに驚かないで貰えない?」
「うひゃあっ!」
私は思わず、がばっと飛び起きてしまった。
せっかくの伯瑜さんの膝枕・・・もうちょっと横になっていればよかったかも・・・

「・・・私、あの後どうなったんですか?」
私は恐る恐る訊いてみた。
「いや・・・さんざん喚いたあと、貴女、抜け殻みたいになっちゃって・・・。
放っておくのも悪いかと思って、ここに連れてきたわけ。」

「・・・まずかった?」
赤面して黙り込んでしまった私に、伯瑜さんは尋ねる。

「でも、貴女、面白い娘だね・・・私に好き好んで近付くなんて。」
「いや・・・あの・・・」
あぁ・・・私は今、憧れの伯瑜さんと話している。伯瑜さんって、思ったより取っ付きやすい人だったんだなぁ・・・
そして改めて見ると、美しい方だ。長い黒髪・・・どこか憂いを秘めたような瞳。
・・・って、私は何を考えてるんだ・・・

「貴女、占いやってるの?」
「えっ?」
伯瑜さんの唐突な、それも核心に迫る質問。
「そ、それは・・・」
「その顔を見ると、ある程度は齧ってるみたいね・・・」

伯瑜さんは、少し考え込んでから言った。
「私ね・・・私の知識を誰かに教えたいとは思ってないの。別に意地悪とかそういう意味じゃなくて。」
「どうしてですか?伯瑜さんの占いは、これからもずっと引き継いでいくに相応しいものだと思うんですが・・・」
「私は占いは『易』とかの概念とはちょっと違って、まずその対象をよく観察して、本質を見極めるの。」
「はぁ」
「だから、他人の目や言葉を信用したりしては、この占いが根底から崩れることになるの。分かる?」
「・・・」
「私の占いは、明らかにすることは困難だと思うの。だって他人を信用することができないから。
他人に話すことができないから。全て自分ひとりでやらなければならないのよ・・・。これって悲しいことだと思わない?」
「でも・・・」
「それに占いで知った未来が、必ずしも良いものだとは限らないのよ。でも、結果は結果として受け止めなければならないのよ。」

その言葉一つ一つに、伯瑜さんの心の憂いが詰まっていた気がした。
『他人を信用できない』もの。こんな悲しいことは、確かにない。
伯瑜さんの瞳に宿る、暗い影。その正体を、私はたった今、知った。

「・・・だから、こんな昏い世界に踏み込まないほうが無難だと思うの。どう?これでも分かってくれない?」
「伯瑜さん・・・。伯瑜さんは、私も信じていないんですか?」
「えっ?」
「他人を信じられないなら、私も信じることができないんですか?」
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