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555:北畠蒼陽 2005/02/10(木) 16:34 [nworo@hotmail.com] 「うっわぁ」 曹騰はその巨大な建物に驚きの声をあげた。 司州蒼天女子寮。 さすが学園都市の首都の寮である。 その威容はまだこの司隷特別校区に到着して間もない曹騰を驚かせるに十分なものだった。 「ふふ、どうしました?」 曹騰の驚いた顔を見て劉保はくすり、と笑った。 「びっくりしたよ〜。こんな大きいんだねぇ」 心の底からの驚きに劉保はまた笑みを漏らす。 「さ、お姫様。こちらが女子寮になりますわ」 「うん、苦しゅうない」 劉保の言葉に曹騰は尊大に頷き……吹き出した。 「く、くくく……劉保っておもしろいんだね」 「そんなことはありませんわ……さ、司州蒼天女子寮へようこそ」 劉保が曹騰を招き入れる。 そこも……曹騰が見たことがない別世界だった。 「ほぇ〜」 感嘆にもならないような声をあげる曹騰。 それを微笑ましげに見ていた劉保の顔が不意にこわばる。 「ここにおられたんですか」 「あ、えぇ……ただいま帰りました」 曹騰は劉保に声をかけてきた女性を横目で観察する。 背の高い、しかし目の細い女性である。 竹刀を片手に持っていることから恐らくは軍人なのであろう。 ぽわぽわとした喋り口調ながら劉保には礼儀を尽くしているようだ。 しかし……そう、親しそう、という言い方は少し違うような気がする。 どこかに遠慮が感じられる口調。 まぁ、無遠慮よりはいいだろう…… 自分のことを棚に上げて(曹騰の心には棚が108個ある)曹騰は女性の胸を見た。 でかい! いや、そうじゃない! 女性の胸には燦然と輝く二千円札階級章。 カムロの自分にとっては雲の上のひとである。 思わずびしっと気をつけをしてしまう。 というか…… 「劉保……ねぇ、このひと……」 誰? と聞こうとする曹騰の目の前になにかが突き出された。 目で追うと……女性の手元に……って、竹刀!? 「うわぁッ!」 跳び退る曹騰。 女性はにこにこと笑みを浮かべたまま竹刀を曹騰に向けたまま…… (こ、こあい……) 目の前の女性はとりあえず名前がまだわからないので曹騰の中で『ぽわぽわ暴力的二千円』と命名された。 そのまんまである。そうでもないか。 「そこのカムロ……この方を誰だと考えているのかは知りませんが呼び捨てにする所見をぜひとも伺いたい」 「え? ……えぇ?」 呼び捨てにする所見、ってあんた…… 「梁商さん、季興さんは……このひとはなにも知らないの!」 慌てて女性……梁商と呼ばれたか……の腕にすがる劉保。それでも竹刀の切っ先はピクリとも動かず曹騰に突きつけられたまま。 「なにも? ……なにも、とはどういうことです?」 劉保は梁商に答えず曹騰に向き直り、少し痛々しい笑みを浮かべた。 「隠していたわけじゃないんですけど……私、次期蒼天会長に指名されているんです」 劉保の言葉に曹騰は意識が遠くなりそうになった。 雲の上どころか大気圏の上のひとだ。すでに人間ではない……
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