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586:北畠蒼陽 2005/02/28(月) 16:42 [nworo@hotmail.com] 部屋に招き入れると人影はぶるっと大きく震えた。 梅雨といっても濡れれば寒いに決まっている。 服から雨雫がたれる。 こんな雨の中、コートも傘も差さずにずっと立ってたのか…… 「やぁやぁ……」 人影……孫程は弱弱しく笑った。 弱弱しい…… まさにそのとおりであった。 あれほどのバイタリティの塊であった孫程も心労によってか見る影もなく…… 「……やせ、たね」 そしてやせていた。 「いやぁ、ははは。ダイエットの手間省けちゃったよ」 普段の孫程であれば絶対に口にしないようなタイプの冗談…… それほど…… 中央はそれほどに腐りきっているのだろう。 「いやぁ……あはは」 孫程は笑いながらうなだれる。 曹騰は黙って孫程のぬれた体をタオルで拭いた。 孫程は拭かれるに任せるかのように黙って目を閉じる。 しばらくは布がこすれる音だけが室内に響いた。 「ふぅ」 ようやく服が乾き始めたころ…… 孫程がため息のような声を漏らした。 「なに?」 「いや、さ……」 苦笑の雰囲気。 「曹騰に見つけてもらえなかったらそのまま帰ろうと思ってたんだよ、ほんとはね」 「……」 再び沈黙。しかし今度はそれほど長くかからなかった。 「曹騰……済陰の君閣下に会わせてくれないかな」 「……会ってどうするの?」 決意を込めた声。 「言いたいこととか言わなきゃいけないこととか言うだけだよ」
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