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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
720:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:16 [nworo@hotmail.com] 「どもー! 実況の令孤愚です! 昜選手、素晴らしい動きです!」 令孤愚がマイクを握り、興奮したようにしゃべりまくる。 「枕を確保しようとした州泰選手の進路を読みきった上で先行し、隠れてやり過ごした上で後ろからの攻撃! これには州泰選手、どうしようもありません! 今の昜選手のプレイをどう見られますか、解説の諸葛誕さん」 「文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね」 解説どころか会話になっていなかった。 楽チンの目の前には毋丘倹が立っていた。 楽チンの背を冷たい汗が伝う。それはそうだ、毋丘倹と勝負するには楽チンには圧倒的に経験が足りない。 しかしそれでも姉譲りの胆力は健在であった。 「ここであんたを討ち取れるなんてね」 よし、声も震えていない。 楽チンは自分をほめてやりたくなった。 ぎゅっと枕を握り締める。 毋丘倹はその楽チンの両の手に目をやってから楽チンの目を正面から見据える。 「楽チン……」 両手に1つずつの枕を持ち、毋丘倹は流れるように動いた。 無造作に左手の枕が楽チンの眼前に投げ出される。 その枕は緩慢な動きで…… 「こんなので私の動きを止めるつもりかぁ!」 楽チンが左手で簡単に枕をキャッチしたそのとき…… 毋丘倹の右手の枕によって楽チンは足を払われ、尻餅をついた。 「……あんたが私を討ち取るなんて無理があるんじゃない?」 「毋丘倹選手、貫禄の勝利です。先に投じた枕で楽チン選手の視界を奪った上で、しゃがみながらの足払い! これには楽チン選手、対応できません」 「文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね」 令孤愚が恨みがましい目で諸葛誕を見た。 「さて……どこに隠れてんのかな?」 にやにやと笑いながら文欽が歩く。 実のところ敵の位置は大体わかっていた。 毋丘倹はさすがに気配を消す術にも長けているものの楽チンとの無用な勝負によって位置をさらけ出してしまった。 「まぁ、まずは昜、かな」 自分が昜ならどうするか考える。 さすがの文欽でも昜の地理把握能力には感服せざるを得ない。 昜はすでにこの旅館の1部屋1部屋に至るまで自分の空間として自在に移動することができるだろう。 ならば…… 考えろ、文欽。 自分がそんな能力を持っていたとしたら、『文欽』という人間をいつ、どこで襲うか…… 文欽の唇が笑みの形に持ち上がった。 いつ襲うか? そんなの決まっている。 「今だろうがぁッ!」 文欽はいきなり後ろを振り返り、枕を投げつけた。 後ろからそ〜っと近寄っていた昜はその一撃を顔面に受け昏倒した。 「えっと……文欽選手、お見事です」 「……ッ!?」 令孤愚がすごい目をした諸葛誕に睨まれた。
721:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:16 [nworo@hotmail.com] 「あんまりいたずらが過ぎるんじゃないかな、文欽」 ついに毋丘倹が文欽の前に立つ。 「そうでもないよ。みんな準備運動にも付き合ってくれないんだもん……毋丘倹だったら準備運動くらいにはなるかな?」 そのあまりにも大胆な発言に毋丘倹は苦笑する。 「ご期待に沿えるかはわかんないけど努力してみるわ」 そういいながら両の足を大きく広げ、両手に持った枕をやや後ろに構える。 投擲する気か? しかも両方? 文欽の心に迷いが生まれる。 投擲は確かに遠距離の相手に対して有効だ。 しかし避けやすい、という欠点もある。 ……だったら避けて攻撃、だね。 にやり、と笑い文欽は毋丘倹の攻撃を誘うように大きく構えを取る。 一瞬、緊迫した時間が流れ…… 毋丘倹が両手の枕を文欽の足元を狙うように投げつけてきた。 ……なるほど、こういうことか。 文欽は感心する。 枕はほぼ横に並び、横に避けるというのは難しそうだ。 普通に避けようとしただけでは足を枕がかすっていくことだろう。 だが……! 「横がダメなら縦で……ッ!」 ジャンプして避ければなんの問題もない。 ましてや毋丘倹はすでに両手の枕を使い切り、武器がない状態だ。 取れる……ッ! 口元を哄笑するように歪めながら、しかし枕を投擲せずにより確実に止めを刺すために握り締める。 そのとたん毋丘倹はばっ、と廊下に伏せた。 文欽はジャンプしながら唖然とする。 両足を大きく広げ構えていた毋丘倹の向こう側には…… 「……いくら文欽でもジャンプしてるときに軌道を変えるのは難しいんじゃない?」 冷静な王基の超遠距離狙撃が宙を舞う文欽の胸に吸い込まれた。 「おっと王基選手、頭脳プレ……」 「うわはははははははははははははははははっ! 文欽ざまあみろー!」 解説しようとした令孤愚の頭を押さえつけ、諸葛誕が涙すら流しながら爆笑した。 「あー、気分いい! 気分いいから温泉いってくるー」 諸葛誕は鼻歌を口ずさみながら上機嫌でタオルを持って立ち上がる。 「いや、また入るのかよ!」 聞いてない。 諸葛誕はスキップでもしそうな足取りで立ち去り…… 「えっと……?」 マイクを持ったまま令孤愚は途方に暮れた。 昜がなぜか期待するような視線を令孤愚に送ってくる。 「あんた、どもるからダメ」 令孤愚の言葉に昜はショックを受けたように黙り込んだ、半泣きで。
722:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:17 [nworo@hotmail.com] ……残りは文舒。 ……だがこれは難敵だ。 毋丘倹と別れ、王基は廊下を走る。 どこにいるか想像もつかないがどこにいたとしてもおかしくない。 王基は長い付き合いの親友に思いを馳せる。 ……文舒なら絶対にありとあらゆる策略を駆使して自分を葬り去ろうとすることだろう。 王基は考えながら走り…… 前方から旅館の仲居さんが歩いてきた。 ぶつかるのもアレなので王基は走るスピードを少しだけ落とそうと…… 「……ッ!?」 バランスを崩しながらも仲居さんが投じる枕を避けた。 「……なるほど。そうきたか」 「ま、着替えちゃダメ、ってルールもなかったしね」 仲居さんから着物を借りたのであろう、にやにやと王昶が笑う。 ……まずいな。 心の中で王基が思う。 さっき枕を無理に避けたから、あまりにも体勢が悪すぎる。だが姿勢を直そうとする隙を見逃してくれるほど甘い相手ではない。 王昶はふ、と唇の端だけで笑いながら枕を持つ右手を下ろし、なにも持たない左手を上げる。 「……?」 いぶかしそうな表情の王基にくいくいと手首だけで挑発。 「待っててあげるから体勢立て直しなさい」 ……なにを考えているのかわからない。 ……でも彼女がなにを考えてるか想像して泥沼にはまるよりはマシか。 王基はゆっくりと体勢を立て直し、構えを取る。 「……礼はいわないからね」 「言ってほしくもない」 対峙する2人。 「……でもそんな優しい文舒に選択肢をあげる。Bチームはあとあなた1人だけ。降参するなら枕をぶつけないでおいてあげるけど?」 「わぁ、嬉しい。断ったらどうなるのかな?」 お互いに会話を楽しむ風を装いながら相手の隙を探そうとする。 「……そうね。断った場合は……何世紀も変わらない措置を繰り返すことになるわ」 「やれやれ……肉体労働は苦手なんだけどなぁ」 王昶は苦笑しながら背を丸め……左足を少し前に出し、手をだらんと下げた構えをとる。 右手にはしっかりと枕が握られ…… ……なるほど。王昶はホンキってわけだ。 ……恐らくあの体制から一瞬で間合いを詰めながら振りかぶった枕で攻撃してくるつもりなのだろう。 王基には王昶の攻撃までの動きがありありと脳裏に浮かんで見えた。 ……だったら王昶が動いた瞬間、機先を制して枕を投擲する。 王基の心は決まり……そしてお互いが相手の動きを待つ…… ふ、と王昶の目が驚いたように見開かれ、伸び上がって左手を振った。 王基の後ろにいる『誰か』に合図するように。 ……誰!? 王基の集中力が一瞬削がれ…… それが致命傷になった。 気づいたとき、王昶の顔がほんの目の前にあり…… 「もうBチームは私1人だー、ってさっき言ってたじゃん」 優しくすら聞こえる言葉と同時に王昶は右手の枕をぽん、と王基の肩に当てた。
723:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:17 [nworo@hotmail.com] ぱちぱちぱちぱち…… 場違いなほどに緊迫した空間に拍手が響く。 「王昶、すごいなぁ。王基を一蹴かぁ」 ずっとその決戦の行方を見ていたのだろう、毋丘倹が柱の影から顔を出す。 「一蹴ってほどでもないさ。今日はたまたま私に軍配が上がっただけ」 毋丘倹がいたことに驚くことすらなく興味もなさそうにため息すらまじえながら王昶がいう。 「私はどう料理してくれるのか、楽しみになってきちゃうな」 「我に策なし。困ったなぁ」 嬉しそうに微笑みながら構えを取る毋丘倹に王昶はにやにやと笑いながら再び猫背になる。 一触即発。 緊迫感だけがどんどんと高まっていく。 現生徒会最強を決めるにふさわしい勝負が…… 王昶の後頭部に枕がぶつかった。 ……あっけなく終わった。 王昶だけでなく対峙する毋丘倹も不思議そうな顔をする。 「私がいるってこと、忘れてもらっちゃ困るわね」 ……胡遵。 「あ、いたっけ。すっかり忘れてた」 「あー、地味すぎだよぉ」 王昶だけでなく毋丘倹からも忘れられていた。 「え……忘れていた、って冗談、よね?」 胡遵の言葉に2人はそろって首を横に振る。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ひどいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 胡遵は泣きながら走り去った。 あまりといえばあまりな仕打ちである。 「えぐ……えぐ……」 戦い終わってみんなで温泉に浸かっていた。 大浴場だから結構広い。 「胡遵泣かないで。大丈夫だから」 州泰が慰めているがなにが大丈夫なのだろうか。 文欽と諸葛誕は目すらあわせようとしない。目があったら血の雨が降る、多分。 楽チンはお湯に顔を半分浸からせてぶくぶくさせて遊んでいる。結構満足そうだ。 毋丘倹は文欽と諸葛誕のフォローに入ろうかどうか迷っているようだ。気苦労が耐えない性格である。 令孤愚は昜をからかって遊んでいるようだ。確かにからかいがいはあると思う。 「……文舒、ぼーっとしてどうしたの?」 同級生たちをただ見ていた王昶に王基が声をかける。 「いや……変なやつらだなぁ、と思ってね」 「……朱に交われば赤くなる、ってやつね。文舒も十分に変だってことを自覚したほうがいいと思う」 王基の身も蓋もないセリフに王昶は苦笑を浮かべながら手ぬぐいを頭の上に乗せた。
724:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:18 [nworo@hotmail.com] まったく関係ないけど七夕会話。 王昶「あぁ!? 織姫と彦星!? 勝手にデートしてるがいいさ、ファミレスの天の川支店で!」 王基「……ロイホじゃないと思う。多分、ガスト」 諸葛誕「お前ら、うるさいよ!」 というわけで修学旅行です。 私の出身学校では2年で修学旅行だったんでそんな感じです。 枕投げとか雪合戦ってのはいくらでもホンキになれるんだなぁ、とか思いました。 >雑号将軍様 前にちょいと話題になった高句麗の件なんですが魏書の東夷伝にモロ答えが書いてありました。 高句麗は遼東郡の東1000里くらいのとこにあって、南は朝鮮・ワイ貊と、東は沃ソと、北は夫余と国境を接してるんだって。丸都山のふもとに首都があって、その領域は2000里ぽっち、戸数は30000。 戸数が30000ほどだったら人口は15万人強ってとこでしょうね。 いや、兵力20000を動員、ってすげぇがんばったよ、位宮サン。 ただがんばりすぎて余力がまったくない状態です。民衆も不満ありありな状態だろうからそれ以上無理ができないし。
725:海月 亮 2005/07/10(日) 01:21 >卒業演奏 おお…ついにこのシーンがSSになろうとは…。 これは私にも何か火がつきましたですよ? むしろ何かいじるとしたら海月は周瑜&献サマ&曹丕&長湖部一味だな…(←何コレ? >枕投げ戦争 (・∀・)イイ! これ本当に笑えますよ!てか諸葛誕がナニかいい味だしまくってますよ!? そしてどもりで令狐愚に一蹴される昜に、最期まで目立たず泣きながら走り去る地味っ娘胡遵! てかもうすべてのシーンが明確に浮かんできてますよー!?(;;゚Д゚) いや、GJですよ本当。 欲を言えば、折角話題に出たんだから「特○野郎●チーム」みたいなナレーションがあれば尚…。 海月も大ネタを執筆中。 その前に荀揩ナ何か、書いときたいなぁ。あと献サマ卒業式の裏ネタとか。 書きたいもの多すぎるよ何とかして・゚・(ノД`)・゚・
726:雑号将軍 2005/07/10(日) 11:11 >北畠蒼陽様 お見事っ!これが修学旅行ですよね!!暴れ回った後、ゆっくりとみんなで大浴場or温泉に入る。…うちの修学旅行はユニットバスでしたけど。 いやあ、もう諸葛誕と文欽の仲の悪さ炸裂ってかんじですな!昜の喋り方、いいですねえ〜。 >高句麗の件 あ、ありがとうございまする。よくわかりました。なるほど〜それ以上徴兵したらもう住民蜂起でうちから滅んじゃいますね。 それでも毋丘倹は頑張ったんでしょうなあ。なにせ倍の兵力と対峙し打ち破ったんですから。 海月様も新作の制作に着手されたとのこと、僕も頑張って完成させないとっ。
727:烏丸 沙宮 2005/07/10(日) 20:10 僭越ながら・・・。 >枕投げ 楽チンが可愛いよ!!これぞ烏丸の求めていた楽チンちゃんですウボアー。 修学旅行の夜ってわくわくしますよね。 今のところ、五将軍妹者たちの小説はあるのですが・・・。そうだよなほかのキャラのも書かなきゃだよなウボアー ハイ、ちゃんとUPしてからいいます。こういうことは_| ̄|○
728:烏丸 沙宮 2005/07/10(日) 20:13 五将軍+1の妹たち、の朝。 まず見えたのは少女の左足。外気にさらされて寒いのか、すぐ足を引っ込める。そこに。 「張雄!起きろ!!今日は日直だろう!」 張雄と呼ばれた少女は、寝ぼけ混じりに、布団を引き上げた。 「于圭、うるさい・・・。」 「うるさいじゃなーい!おりゃ!」 于圭と呼ばれた少女は、無理やり掛け布団を引っぺがし、自分のベッドへ押しやった。張雄は今度は敷布団をかけようとする。 「起きろっつってんの!」 肩関節を軽くひねり、あとの足やら腕やらを捕らえると、軽く引っ張る。そうして、今日も今日とて大音量の悲鳴が響くのであった。 「きゃああああああああ!!」 起きた二人は、徐蓋と李禎の部屋へ向かった。于圭が立ち止まる。 「どうかしたの?于圭。」 張雄が尋ねると、于圭は顔をしかめた。 「どうもこうもない。またあれが妙なものを作っていたら、今度こそ無事ではすまなくなるからな。」 于圭のいいように、張雄は首をすくめた。ありえないとでもいうように。 「いくらなんでも、李禎が居るところで作ったりはしないでしょ。徐蓋はそんなに常識はずれじゃないと思うな・・・。」 「私もそう思う。いや、そうであって欲しい。だが、あれは徐晃先輩と張遼先輩(じぶんのあねとそのゆうじん)の前で"マックスコーヒー"なるものを煮詰めていたからな。あれは煮詰めてはいけないだろう?だから、私はそんなに楽観的にはなれない。」 于圭が苦笑しながら張雄に説明すると、急に扉が開いた。見ると、噂の徐蓋である。 「于圭、あなたは私をなんだと思ってるの?」 呆れながら出てくる。後ろには李禎も居た。張雄が驚く。 「へえ、徐蓋起きてたんだ。」 「あの音量を隣で聞いてたら、誰だって起きるわよ。」 あの音量とは、言うまでも無く張雄の悲鳴の音量である。李禎がさわやかに言った。 「おはよう、于圭ちゃん、張雄ちゃん。張雄ちゃん、今日はよろしくね。」 「ああ、よろしく。」 そういっているところに、二つの人影が近づく。真っ先に気付いた李禎が挨拶した。 「あ、張虎ちゃん、楽チンちゃん!おはよう!」 「おはよー!今日もいい天気だね李禎!うけーたちおはよー!今日も凄かったねぇ、張雄の悲鳴。」 「おはよ。」 頭を抱えながら張虎は挨拶をする。徐蓋が尋ねた。 「どうしたの張虎。またいつもの?」 「うん。気にしないで・・・。」 いつものとは、立ち眩みのことだ。この少女は頻繁にある。まあ、成長している、ということだろう。楽チンが言った。 「それより、早く食堂行こう。お腹減ったー!」 その意見で、四人は食堂へ行くこととなった。
729:烏丸 沙宮 2005/07/10(日) 20:15 流石に、朝も早いこの時間、食堂には人がいなかった。四人は、自分の分のトレーを受け取ると、いつもの席へ向かった。 それぞれに食べ始めると、二人の女性が近づいてきた。 「あ、張遼先輩、李典先輩。」 真っ先に気付いた于圭が言った。それは、犬猿の仲とも呼べる組み合わせだった。そんな二人が食堂で食べるとは、珍しい。 「おはよう、皆。」 「おはよう。」 先輩が挨拶したからには、こちらも挨拶し返さないといけない。 「「「「「「おはようございます!」」」」」」 そして、二人は席に着いた。張遼は張虎の隣。李典は李禎の隣。真反対の方向であった。二人の先輩は気にしないで食べ始める。 やがて、李典がお代わりすると言い出した。飯櫃に一番近いのは張遼である。張遼が厭味たらしく言った。 「あらー、李典さんお代わりするの?運動しないのに?そ ん な だ か ら最近横っ腹が出てきてるんじゃありませーん?」 李典も負けじと言い返す。 「あらー、じゃあ張遼さんはお代わりしないの?そ ん な だ か ら試合中集中力が途切れたりするんじゃありませーん?」 二人の視線は、冷たい氷のように寒い空気を生み出した。それに気付いた徐蓋が言った。 「李典先輩、私がくみます!」 徐蓋の伸ばした手に、李典のお茶碗が乗っかると、張遼は『フンッ』とでも言うようにそっぽを向いた。それに胃を痛くしたのは李禎である。 「どうして二人とも、仲良くできないかなぁ・・・。」 学校へつくと、張雄と李禎とは分かれた。二人は日直なのだ。階段を上りながら、楽チンはのんきに言った。 「今日も仲悪かったねぇ、張遼先輩と李典先輩。」 「そうだねぇ。卒業しても、お姉さまと李典先輩の仲はよくならないと思うな。」 受け答えをする張虎も、のんきなことだ。于圭は呆れた。 「張虎、お前には自分の姉たちを仲良くさせようとする気は無いのか。李禎はあんなに胃を痛めてるというのに・・・。」 「だって、無駄でしょ?」 悪びれず答える。こんなのを説得するほうが時間の無駄である。そんなこんなで、教室に着いた。 「ねえ于圭、今日の数学の宿題やった?見せてー!」 教室に着くなりそんなことを言っている楽チンに、于圭は特大の怒鳴り声を浴びせた。 「そんなん自分でやれぇーーー!!」
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