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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
791:雑号将軍 2005/08/07(日) 21:21 >王昶さん引退疑惑 おお!まだ出るんですね!いやあ、もう北畠蒼陽様王昶がみれなくなるではないかと危惧しておりましたので安心安心。なにせ北畠蒼陽様の作品を読んで以来、王昶が三國志\でフル稼働していますので。 >王渾王濬 いえいえ、まったく僕の言葉なんて気にしないで下さい。ふと読んでみたくなっただけなので。 資料ないと辛いですよね…。それがしも正史がないのでつらいのなんのって、今は三國志]武将ファイルで頑張ってます…。
792:北畠蒼陽 2005/08/13(土) 19:09 [nworo@hotmail.com] 「湿っぽいとこだねぇ! 早く中央に戻りたいよ!」 「……」 電車を降りて大声で第一声を放つ少女とそれに影のように従う少女。 『湿っぽいところ』よばわりされた荊州校区の皆さんは、剣呑な視線を少女たちに向けながらも特になにも言う様子はない。 少女たちにはまさにエリートのみが放つ風格、とでもいうものが備わっていた。 それに気おされた、というのはあまりにも言いすぎだろうが係わり合いになることを避けた、というのはあながち間違った見方ではない。 王昶と王基…… 学園1年生。 このとき2人は自信に満ち溢れていた。 愚者の嵐 このとき荊州校区は2人の大物とも呼べる人物の権力争いの最中であった。 かたや『曹操とともに戦った世代』であり対長湖部戦線の重鎮、満寵。 かたや董卓トばしの名委員長であるあの王允の従妹であり、自身も類まれな政治センスに恵まれた治世家、王凌。 この2人はもともと仲が悪く、『張遼、李典に続いて満寵、王凌というのはきっと中央執行部は対長湖部戦線メンバーは仲が悪くないと勤まらないと考えているか、そういう伝統を作ることが好ましいと考えているに違いない』と陰口を叩かれるほどであった。 王凌はここにきて目の上のたんこぶともいえる満寵を排除するために2人の子飼いの1年生を招いた。 王昶と王基である。 「さて、キミたちは私の指揮下にはいることになるわけだが、なにか質問は?」 満寵は目の前の2人に辟易しながら、それでも事務的な口調を崩さずに言った。 この2人が王凌の腹心ということは知っていたし、王凌になにか……まぁ、自分を排除することだろうが……言い含められていることも簡単に予想できることであった。 1人は静かに視線をこの部屋中にさまよわせて……いや、さまよわせているのではない。この部屋の防衛力を測っている。あまりにも冷静だ。 1人は制服すら身に着けてはいない。黒い着物、その背には白く『楽園』という文字……あまりセンスがいいとは言えないな。それと緋色の袴に身を固め後ろ髪を真っ赤なリボンでまとめている。挑発するような笑みを口の端に浮かべ、満寵を睨みつけていた。その自信は悪くない。 生意気そうな笑みを浮かべる王昶が口を開く。 「はーい、質問でーす」 バカにしたようにひらひらと手を挙げる。 「センパイってホントに私らを使いこなせるくらいスゴ腕なんスかー?」 けけけ、と笑う。
793:北畠蒼陽 2005/08/13(土) 19:09 [nworo@hotmail.com] 「貴様ッ……!」 激昂した妹……満偉が殴りかかろうとするのを右の手をわずかに上げただけで静止し、満寵はゆっくり口を開く。 「そうね。私が凄腕かどうかはじっくりと見定めればいいわ」 満寵の言葉に王昶は露骨に顔を歪め、舌打ちする。 「わかんねーヒトっスねー。アンタじゃ役不足だってことを遠回しに言っただけなんスけど!」 王昶の後ろでは王基が冷静に満寵の一挙手一投足を見定めている。 その王昶も傍若無人な言葉使いに見えるが目の奥には冷静の影が見え隠れしている。 なるほど……なかなかいいコンビだ。 確かに王凌が懐刀として信頼するだけのことはある。 だが…… 「ふぅ」 満寵はため息をつき椅子から立ち上がる。 「表へ出な」 ……まだ不足だ。 対峙する1人と2人。 南方戦線最高峰の女傑と2人の1年生。 校庭へ出た3人を校舎の中から興味深く皆が眺めていた。 もちろんこの南方の重鎮が負ける、などと考えている人間などいはしない。 生意気な1年生が何秒持つか、だけをただ興味深く眺めていた。 「あの目、気に入らなーい」 校舎のほうを睨みつけ王昶が呟く。 今、自分がこの校舎の英雄をどれほど挑発したか、は自覚していたし、それによってここの校舎の学生たちがどれほどの敵意を抱いたのかはなんとなくわかっているつもりだ。 だが敵意だけを自分にぶつけてあとは満寵に任せようとする、その根性が気に入らない。 「……」 だがその王昶に王基はちら、とも視線を向けることなく注意を喚起することもない。 『油断するな』とか『集中しろ』とかいう言葉は必要ない。悪態ついてるあの状況が王昶の集中、ってことか。 「センパイ、早く終わらせましょう。気分が悪い」 吐き捨てるようにいう王昶。 それをことさらに無視するように満寵は王昶の傍らに立つ王基に声をかける。 「そっちの……王基だっけ? あんたはしゃべんなくていいの?」 「……正直、あなたにかかっていくのは時期尚早だと思う」 ほう、と思う。 「……今、あなたをぶちのめしてもあなたに政治的に最大限のダメージを与えられるわけじゃない。本当はもう少し工作したかった」 ただの腰巾着かと思ったら……言ってくれるじゃないか。
794:北畠蒼陽 2005/08/13(土) 19:10 [nworo@hotmail.com] ふ、と笑みを浮かべる自分に満寵は気づいた。 「いいね。いいよ、お前ら……若いうちは多少の無謀は許される」 久しぶりの…… 「それを躾けるのは……年長者の『権利』だ」 ……本気だ! 中天に月が昇っていた。 「……文舒……生き返った?」 「んあー」 校庭に2人の影が大の字で転がっていた。 ケガをしていない場所のほうが少なく、立つ気力すら残っていない。 2人はずっと…… ……悪夢のような2分を経て、気絶していた。 「……あれが……曹操先輩と一緒に戦った世代、なのね」 「リビングレジェンド、ってやつね……いや、あれは無理だわ」 夜闇の中に苦笑の雰囲気。 「どうする?」 「……どうする、って?」 聞き返す王基に王昶は聞かなくてもわかるくせに、と唇を尖らせる。 「私は……あの満寵『先輩』からその経験も知識も実力も……すべて吸い取ってやる。それまで中央には帰らない」 「……そうね。私も悔しいもの」 満身創痍。だが心はなぜか晴れ晴れとしていた。 「んじゃがんばろっかね」 「……そうね」 月が2人を照らす。 …… …… …… 「って、のはまぁ、昔の話だがねぇ」 「うっわ。お姉ちゃん、無謀さんだったんだ」 王家の食卓。なぜか王基もいる。 まぁ、なぜか、というか王昶の執務室での昼食なのだが。 ちなみに今日は弁当である。 手作りではない。コンビニ弁当。 女子高生3人がコンビニ弁当、というのはビジュアル的にいかがなものか。 「……あれが……まぁ、ターニングポイントだったことは確かね。今でも満寵先輩は怖いわ、私」 「あの人にゃあ逆らえない」 しみじみと呟く2人に王渾の口元が引きつる。 王渾にとってはこの2人こそがリビングレジェンドである。それが怖いという満寵先輩というのはどんなのだ、と。 ……ひょい。 「って……伯輿ーッ! 私のだしまきタマゴ、略奪してんじゃねーッ!」 「……ほほう、タマゴに名前が書いてあったのかな?」 平然とタマゴを食べる王基。 「てめぇ、表ぇ出ろーッ!」 王家の食卓は今日もにぎやかだった。 「騒がしいね、まったく……オシオキ、かな」 ある卒業生が大学の休暇を利用して懐かしい校舎に足を踏み入れていた。 「まぁ、それも『権利』だね」 にやにやと笑いながら彼女は懐かしい執務室のドアに手をかけ……
795:北畠蒼陽 2005/08/13(土) 19:11 [nworo@hotmail.com] 王昶&王基のボコされ話、書かないって言ったのに…… はいほう、嘘つき北畠です。狼少年でも可。 「オオカミがきてたぞー!(過去形)」 はい、勢いだけであとがき書いてます! しかしこの文章のまとまってなさはなんだ!? 小学校の作文でも余裕でこれ以上の文章書かれてそうでかなりしょんぼりです。スランプかなぁ…… なんか書くだけ書いたけどそれだけ……って感じですね。ほんと申し訳ない。 もっと文章上手くなりたーい。 あと20億円くらいほしーい(関係ない)
796:雑号将軍 2005/08/13(土) 22:29 あわわ!北畠蒼陽様、これで今週四本目ですよね?すごいです…。どうやったらここまでたくさんのネタが思い浮かぶのでしょうか?ほんともう一日かけてお聞きしたいくらいです。 これがこの前言われた、王昶の学園史デビューの話ですな! スランプいや、大丈夫ですよ!(僕の保証があてにはなるかは不明ですが…。) 僕は満寵が格好良く感じました。曹操時代のメンバーは根っからの戦争屋ですからね。強いですよね。
797:海月 亮 2005/08/17(水) 00:39 そして国家予算くらいの金が欲しいけど、使い道の思い浮かばない海月が来ましたよ(え? 満寵…いや、王昶もだけど…このあたりの連中の描写は流石の一言に尽きます。 つかどーしてそんな格好良く書けるのやら。私めもあやかりたいものです^^A そしてキャラの年齢設定とかわりとどうでもいいことが気になる海月…
798:北畠蒼陽 2005/08/17(水) 18:43 [nworo@hotmail.com] はいほう! 格好よくかけないよ! かけないよ! 書きたいよ! いや、ほんと精進が必要です^^; >年齢設定 女の子に年齢を聞いちゃいけません! うそです、ごめんなさい! 満寵/曹丕・陳羣・鍾ヨウ・趙雲と同世代 王凌/曹叡・曹真・司馬懿・孫権・陸遜と同世代 王昶/劉禅・姜維・昜・司馬師・司馬昭と同世代 王渾/司馬炎・孫晧と同世代 ……ってつもりで書いてます。 海月様キャラで言えば王昶&王基世代は丁奉たちの1個上ってつもりで書いてます。 王渾は丁奉たちの1個下ですね。 満寵>王昶>羊コというのが私の中では対長湖部戦線黄金リレーですだよ。 王凌は……ん〜、どうなんだか、あのひとは……
799:北畠蒼陽 2005/08/20(土) 16:01 [nworo@hotmail.com] 冷気が立ち込めている。 上弦の月が天に輝き、その光はやけに眩しい。 冬の長湖湖畔。 水面は月の光を照り返し、幻想的ですらあった。 そこに1人の少女が立っている。 この寒空の中、稽古着と稽古袴。 八尺槍……長さ3.6mもの稽古槍を手に幾度も幾度もゆっくりと構えを取る。 激しい動きなどなにもなく、ただ静寂に包まれた基本の動作。 その張り詰めた空気が……わずかに揺らいだ。 「伯輿、待ったか?」 言葉とともに缶コーヒーが投げつけられる。 「……ううん、そう待ってもいないわ」 伯輿……王基は構えをとき、投げられた缶コーヒーを受け取った。 缶の熱気が冷えた指にしみわたる。 「さみぃなぁ、しっかし」 あとから来た少女……令孤愚が肩をすくめる。 湖畔に2人の少女が対峙する。 冷気の天秤 「……悪かったわね、こんなときに呼び出して」 王基はゆっくりと缶コーヒーのプルトップを開け、口に含み、あまりの甘さに顔をしかめた。 「いやいや、王基主将の相談とあればいつでも駆けつけるさ」 ひょい、と肩をすくめる令孤愚。 そのおどけた仕草に王基は苦笑を浮かべる。 「で、実際のとこ、相談ってなんなの? まぁ、私だけを呼んだってことで文舒には内緒のことなんだろ?」 「……そう。そうね……文舒のことだから気づいちゃうかもしれないけど……基本的には内緒にしておきたいわね」 わかりにくい王基の言葉に苦笑を浮かべる令孤愚。 「まぁ、気づかれても仕方ないけどあまり気づかれたくない、ってことか……ってことは基本はオフレコ、だろ?」 頷く王基。 「オッケーオッケー。ま、なんで私なのかはわからんがな」 王基に背を向け、長湖に向かって石を投げる。 「私が王基と会うことは彦雲姉にすら言ってないわ。ほんっとにオフレコの相談乗っちゃうぞ」 彦雲姉……王凌の名前を出して確約する令孤愚。 風のない長湖に石が飛び込んだ波紋が広がっていく。 王基も令孤愚もただ黙ってその光景を見ていた。 「いいにくそうだなぁ」 「……まぁ、ね。でも言わなきゃいけないことでもあるからね」 ため息をつき王基は令孤愚の背中に語りかける。 「……まず公治。基本的に私はあなたのことを高く買ってる」 「おやおや、そりゃありがたいねぇ」 石が投げ込まれる。波紋。 「……王凌さんのブレーンとして、その能力は過はあっても不足はまったくない。私がもし委員長であればあなたを側近として指名したいくらい」 「えっと……そんな手放しで褒められると恥ずかしいぞ」 照れたように頭をかく令孤愚。 そして王基は決定的な言葉を投げつけた。 「……曹彪さんはなんて言ってる?」
800:北畠蒼陽 2005/08/20(土) 16:01 [nworo@hotmail.com] びくり、と令孤愚の背が震える。 「なんのことかな?」 「……無理に答えなくていいわ。質問の形式をとってはいるけど実際はただの確認だから」 王基の言葉に黙り込む令孤愚。 「……文舒も気づいてるけどね。あの子はクーデター……というか乱というものを許せない性質だからね。あの子、あれで意外と生真面目なとこあるから……だから今回、王凌さんとクーデター阻止の板ばさみで結構、つらい思いしてる」 ……誰にも言わないけどね、そんなことは、と付け加える。 「……私は公治ほどには王凌さんを買ってない……あなたさえいなければ……」 令孤愚の背が王基の隙をうかがっているのがありありとわかる。 王基もすでに稽古槍を両の手に持ち、戦闘体勢に入っていた。 「……あなたさえいなければ……クーデターは失敗する」 「文舒のために戦うって? かっこいいねぇ」 「……えぇ、私は文舒の剣だもの」 誇り高く答える王基。そして…… 「あっそう」 言葉とともに令孤愚が動く。 渾身の抜き手が王基の眉間を正確に狙う。 会話の最中に戦闘に移行…… 無手として槍という武器を対峙するために相手のタイミングを完全にはずした攻撃。 それは間違いなく令孤愚のこれまでの人生で最高の一撃だった。 王基は目をつぶり…… 令孤愚が湖畔に倒れていた。 その一撃は王基に届くことなく…… その手は天に届くことなく…… 槍の間合いに素手で飛び込むなどという無謀。 そうせざるを得ないよう仕組んでいたのは自分だ。 「……」 令孤愚の胸からはずした蒼天章を手のひらの上で弄ぶ。 そしてなにも言わずに倒れた令孤愚に一礼し、王基は歩き出した。 …… …… …… 新野棟の一角の兵団長執務室。 放課後の倦怠感の中、王基と王昶はぼーっとしていた。 王基はクロスワードパズルの雑誌を手にソファに寝転び、王昶もファッション誌などを手にポテトチップなどを食べている。 「……文舒……薩摩鶏、名古屋コーチンと並ぶ日本三大美味鶏ってなに? 5文字で2文字目が『ナ』」 ポテトチップをとる手を止め、一瞬、記憶を探るかのように視線をさまよわせる。 「あ、『ヒナイドリ』だね」 「……さんきゅ」 そしてまた沈黙。 「そうそう。公治が病気療養のために蒼天章の返上をしたんだってね」 「……へぇ」 ……さすがに情報が早い。 内心の想いを顔に出すことなく王基は軽く返事をする。 王昶が立ち上がったのが視界の隅に見えた。 そして近づく気配。 王昶は王基の横で立ち止まり、その肩に手を置く。 「ごめん……いやな仕事押し付けた」 「……気にしなくていい。文舒と私は一蓮托生だもの」 ……さすがに気づかれたか。 苦笑しながら……王基はそれでも満足感を感じていた。
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