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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
800:北畠蒼陽 2005/08/20(土) 16:01 [nworo@hotmail.com] びくり、と令孤愚の背が震える。 「なんのことかな?」 「……無理に答えなくていいわ。質問の形式をとってはいるけど実際はただの確認だから」 王基の言葉に黙り込む令孤愚。 「……文舒も気づいてるけどね。あの子はクーデター……というか乱というものを許せない性質だからね。あの子、あれで意外と生真面目なとこあるから……だから今回、王凌さんとクーデター阻止の板ばさみで結構、つらい思いしてる」 ……誰にも言わないけどね、そんなことは、と付け加える。 「……私は公治ほどには王凌さんを買ってない……あなたさえいなければ……」 令孤愚の背が王基の隙をうかがっているのがありありとわかる。 王基もすでに稽古槍を両の手に持ち、戦闘体勢に入っていた。 「……あなたさえいなければ……クーデターは失敗する」 「文舒のために戦うって? かっこいいねぇ」 「……えぇ、私は文舒の剣だもの」 誇り高く答える王基。そして…… 「あっそう」 言葉とともに令孤愚が動く。 渾身の抜き手が王基の眉間を正確に狙う。 会話の最中に戦闘に移行…… 無手として槍という武器を対峙するために相手のタイミングを完全にはずした攻撃。 それは間違いなく令孤愚のこれまでの人生で最高の一撃だった。 王基は目をつぶり…… 令孤愚が湖畔に倒れていた。 その一撃は王基に届くことなく…… その手は天に届くことなく…… 槍の間合いに素手で飛び込むなどという無謀。 そうせざるを得ないよう仕組んでいたのは自分だ。 「……」 令孤愚の胸からはずした蒼天章を手のひらの上で弄ぶ。 そしてなにも言わずに倒れた令孤愚に一礼し、王基は歩き出した。 …… …… …… 新野棟の一角の兵団長執務室。 放課後の倦怠感の中、王基と王昶はぼーっとしていた。 王基はクロスワードパズルの雑誌を手にソファに寝転び、王昶もファッション誌などを手にポテトチップなどを食べている。 「……文舒……薩摩鶏、名古屋コーチンと並ぶ日本三大美味鶏ってなに? 5文字で2文字目が『ナ』」 ポテトチップをとる手を止め、一瞬、記憶を探るかのように視線をさまよわせる。 「あ、『ヒナイドリ』だね」 「……さんきゅ」 そしてまた沈黙。 「そうそう。公治が病気療養のために蒼天章の返上をしたんだってね」 「……へぇ」 ……さすがに情報が早い。 内心の想いを顔に出すことなく王基は軽く返事をする。 王昶が立ち上がったのが視界の隅に見えた。 そして近づく気配。 王昶は王基の横で立ち止まり、その肩に手を置く。 「ごめん……いやな仕事押し付けた」 「……気にしなくていい。文舒と私は一蓮托生だもの」 ……さすがに気づかれたか。 苦笑しながら……王基はそれでも満足感を感じていた。
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