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856:北畠蒼陽 2006/02/05(日) 20:46 [nworo@hotmail.com] 「みなさんをお連れして頂戴」 「はいはい、了解」 袁紹の言葉に麹義は砕けた一礼をしてから部屋より退出する。 なんだ、この胸騒ぎは…… 公孫サンは嫌な予感に眉をひそめる。 「そちらは……部下に対しての躾が完全に行き届いているようね。まったく羨ましいわ」 嫌味でも言わないと……自分が抑えられない。 「まぁ、待っていなさいな」 ふん、と笑う袁紹。 「大将、つれてきたよ〜♪」 「入っていただいて」 廊下からの麹義の声に、視線を公孫サンから離すことなく袁紹は言う。 公孫サンは唖然とした。 そこに入ってきたのは自分の戦友たち……白馬義従の面々。その胸に輝く蒼天章に公孫サンは顔をほころばせた。 ……よかった。私のせいでトばされずにすんだんだな。 「よかったわ、貴女が忘れっぽいひとじゃなくて……この方々の顔も覚えておられなかったらどうしようかと思ったところよ」 公孫サンのその表情に満足したように袁紹は、その白馬義従の1人の蒼天章を中指で弾き飛ばした。 一瞬なにが起こったのかわからなかった。 「あらあら、どうしたのかしら、呆けちゃって」 袁紹はくすくすと笑いながら2人目の蒼天章に手を伸ばす。 「貴様ッ! やめろーッ!」 袁紹に飛び掛ろうとした公孫サンは……しかし後ろから顔良、文醜に肩を押さえ込まれ床に倒れる。 袁紹はくすくすと笑いながら……次々と蒼天章を弾き飛ばしていく。 「やめろッ! やめろーッ!」 悲痛な叫び。 袁紹は振り返る。 その目に……公孫サンは初めて恐怖を感じた。 笑みなどもうすでにその顔には浮かんでいない。あるのはただ純粋なまでの憎悪。 「劉虞さんがそういったとき貴女はどうなさったのかしら……?」 公孫サンは黙り込む。 これは罰だとでも言うのか…… 黙り込んだ公孫サンに袁紹は白馬義従からはずした蒼天章を公孫サンの顔めがけて叩きつける。 蒼天章は公孫サンの額にぶつかり、血が流れた。 「私は……貴女をトばしたことを誇らない。最も恥じるべき愚者、公孫サン、貴女はこの学園に通う価値もないわ」 袁紹の宣告にも公孫サンは答えることができず…… 翌日、公孫サンは転校届けを出した。 彼女がどこに転校したのかは学園史にも残されていない。
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