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863:北畠蒼陽2006/02/17(金) 17:59 [nworo@hotmail.com]
夏の日差しがプールの水面に乱反射する。その眩しさに諸葛誕は目を細めた。
「いっやー、あっついねぇ! もう青春って感じだねぇ!」
隣にはご機嫌な王昶。王基はちょっと離れたところで泳いでいる。
「ちょっと静かにしなさいよ……っていっても聞いてくれるようなタマじゃないわね」
諸葛誕が自分のセリフに諦めたように視線を斜め下45度のあたりへ彷徨わせた。
「こう暑いと太陽に向かって叫んじゃうね! 青春セリフバンザイ!」
青春セリフってなんだ……
「あぁ、叫んでもいいから大人しくしてて」
「公休は不純異性交遊のエキスパートになりましたー!」
王昶は諸葛誕にエアウォーターガンの射撃を食らった。
「目がー目がー」
「水が当たったのは胸だし! あんたが向かって叫んだのは太陽じゃなくて女の子だし! そもそも不純じゃないし!」
泳いでいた王基が諸葛誕の方向に顔を向ける。
「……不純じゃないってことは男がいる事実だけは認めるのね」
「あんたらなにやってんのよ……」
視線を向けると諸葛恪が怖い顔をしていた。


なついあつのほにゃらら


「あー、やっほー、元遜」
「やっほー」
諸葛誕が嫌な汗を額に浮かべながら手を振る。王昶もまねをした。王基は無表情に手だけ振った。
「あんたら、なにやってんのよ……」
諸葛恪がもう一度同じ質問を発する。
「ほら、泳ごうと思って」
王昶が滅多やたら明るく答えた。
「あの……私は止めたのよ?」
諸葛誕が目線をそらす。
「泳ぎたい、それはわかった……で……」
諸葛恪が言葉の途中に無理やり笑みを浮かべる。額にはもちろん青筋。

「な ん で わ ざ わ ざ 建 業 棟 ま で 泳 ぎ に 来 る の か し ら ?」

「ん、だってここのプール広いじゃん」
王昶がこともなげに言って王基はこくこくと頷いた。んで泳ぎだした。
「泳ぐな人の話を聞けー!」
王基が不満そうな顔をして泳ぐのをやめる。
「いや……私は止めたのよ?」
諸葛誕は目線をそらしたまま。でもしっかり水着を用意しているので同罪だと思う。
「……まぁまぁ、夏休み中は無礼講」
とりなすように言う王基。
「無礼すぎるわッ! ……うっ」
頭に血があがってちょっとふらっときたようだ。
「あー、大丈夫?」
「はぁはぁ……大丈夫、ありがとう……じゃないわよッ! ……うっ」
ふらっときた。
「もぉ……ほんとに夏休み中だけだからね! それ以降来るんじゃないわよ! あとあんたらが来たらうちの部員がドン引きするから前もって襲撃を連絡してちょうだい!」
不機嫌な表情のまま、それでも何を言ってもムダと悟ったか諸葛恪がため息をついた。
「悪いわね、元遜」
「いいわよ。あんたもヘンなヤツらのお守り大変ね、公休」
従妹同士が苦笑を交わす中、王昶が張り切って宣言した。
「じゃ、前もって連絡ってことで明日明日ー!」
「毎日来るつもりかよッ! ……うっ」
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