★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
869:弐師2006/02/19(日) 19:56AAS
「あ、あのぉ・・・」
「ん?」
声をかけられて、振り返る。
そこには、小柄な、いかにも気の弱そうな少女が立っていた。
何度か、北平棟で見かけたことのある顔だが・・・はて?
「ぜ、単経さん・・・ですよね?」
「ああ、そうだけど。」
「私、田揩っていいます・・・その、弟子にしてください。」
「?」
何を言っているのだろう。変わった人だ。
そういえば、田揩。
そう、そうだ、そんな名前だったな。
ああ、すっきりしたな。
「じゃあ、そう言うことで。」
すっきりしたところで行くか。
「え・・・」
田揩君が唖然としているが、どうしたんだろう?
「あの・・・弟子・・・」
ああ。
そうだった。
つい私は人に言われたことを忘れてしまう。
悪い癖だ、まったく。
「いいけど、何故私の弟子などになりたい?私は裁縫もペン習字もできないぞ?」
「い、いえそんなのじゃなくて、その・・・」
彼女は自分の話をたどたどしくし始めた。
自分の気の弱さ、そんな自分が嫌いで変わりたいということ。
なるほど、それで仏頂面で有名な私のところに。
よし、納得。
「じゃ、そう言うこ・・・」
「待ってください!」
ああ。
なんかついさっきもこんなことが。
これがデジャ・ヴというものか。
「まあ、話は理解した。それで、だ、田揩君。」
「あ、田揩でいいです、弟子ですから。」
「・・・」
私はどうしたらいいのだろう。
ううむ・・・
「あれ〜単さん。どうしたの?」
おや、越君。
助かった。
これで何気なくこの場を・・・
「おお、田さんまで。二人って仲良かったんだ。二人とも仲良くね。それじゃあ、ばいばい。」
ふむ。
これってもしかして気を逸したのではないだろうか?
これが戦だったら飛ばされてたぞ。
って、そんなことはどうでもいい。
まあ、しょうがないか、諦めよう、降伏だ。
「・・・わかった、だが、私は人に何か教えるのは苦手だ。其処のところは覚えておいてくれ。」
「いえ、そんな、そばに居させてもらえるだけで良いんです。」
「あと、私のことも単経で良い。師匠などと呼ばれても困る。」
「はい!単経さん!」
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