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94:教授 2003/01/07(火) 23:51 それから後も、年増発言は後を立たなかったが二人はいつも通り過ごしていた。 周りからどう言われようとも、二人の仲は間違いなく良かった。 同じ3留だからとか、年が同じだから…そんな陳腐な理由ではなく、本当に気が合う親友同士なのだ。 「総代よりも…先に貴方にだけは話しておきたかったから」 厳顔は真っ直ぐに黄忠の目を見据える。 黄忠もその言葉と真剣な眼差しを受け、それに応える。 そして続きを促すように頷いた。 「私…ここで引退する事に決めたわ」 ひどく重圧感のある言葉。 だが、黄忠は取り乱さなかった。 いつもと何ら変わらぬ姿勢を崩さない。 「そう…」 「…漢升は驚かないんだな」 落ち着き払った黄忠を見て、却って厳顔の方が動揺する。 「ここに呼び出された時に…何となくそんな気がしてたからね」 黄忠がどこか寂しげな笑みを浮かべて付け加えた。 「そっか…」 厳顔はどこか嬉しいような安心したような気分になった。 親友は自分の考えてたよりも、ずっと強い。 引退しようとは前々から考えていた。 だけど、自分の言葉で親友の心を乱すような事があれば…今後の指揮系統に支障を来たすかもしれない…。 そんな事が脳裏を過ってなかなか言い出せなかった。 でもその考えは杞憂に過ぎなかった。 だが…黄忠はそんな事を言ったのだ。 「それじゃ…私も一緒に引退しようかな。年が年だしね」 ひゅうと吹いた一陣の風が二人の髪を大きく靡かせた。 一瞬の沈黙の後…厳顔はその言葉に首を横に振る。 「まだ…貴方は駄目」 ここで初めて黄忠の瞳に動揺の色が表れた。 「何でなのよ…。貴方が引退するのは自由…私が引退するのも…」 「自由だ…って言いたいの? 貴方にはまだ大事な仕事が残ってるわ」 厳顔は神妙な表情で黄忠の言葉を遮った。 「大事な…仕事?」 黄忠は自分の言葉を先に言われ、どうしたらいいのか分からないような顔で聞き返す。 「そう…大事な仕事よ。貴方には…まだ後輩達への指導がある」 「そんな…そんな事なら貴方にだって…!」 感極まって普段出さないような大声を張り上げて厳顔の肩を掴む。 その顔は悲壮感で一杯だった。 厳顔はゆっくりと首を振ると、言葉を紡ぎ始めた。 「貴方じゃないと出来ない事よ…。荊州校区の生徒に関しては私は全く分からない、何よりも貴方の方が私より優れてるし…他の誰よりも経験が豊富だから」 「それなら…二人でやればいいじゃない! それが嫌なら貴方は益州校区の生徒達だけでも…」 「…この校区の生徒達には早く総代達に慣れてもらいたいの。それに私はもう十分役目を果たしたわ…だから、ここで身を引くの」
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