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951:冷霊2006/09/14(木) 15:11
葭萌の夜〜白水陥落・後〜

「冷苞、トウ賢!二人とも待ちなさい!」
「だから東州じゃなくてオレら二人ならいいんでしょう?」
「二人も含めて東州は、タマちゃんの命令があるまで動いちゃダメなんですよ〜?」
冷苞とトウ賢は扉の前に立ち塞がる扶禁と向存を見下ろした。
二人の瞳にあるのは決意の色。
だが、行かせたら劉備に大義名分を与えてしまうだけではない。
二人をも失うことになるだろう。
成都からの連絡では、劉璋宛に楊懐と高沛が闇討ちを図ったので返り討ちにしたという書状が届いていた。
文面は丁寧であったが、内容は明らかな宣戦布告であった。
「関羽に張飛すら連れてきてない、敵は荊州の新兵ばっか……躊躇う理由は何処にあるんです!」
冷苞が拳を壁を叩きつける。
「心配要りませんって。敵の内情もこうして姉貴から……」
「残念だけど、子敬も永年や孝直と共謀してたそうよ」
扶禁の言葉にトウ賢の表情が凍る。
「……マジかよ……くそっ!」
トウ賢が壁を蹴飛ばす。
トウ賢にとって孟達は親戚であり、姉のような存在であった。
今でこそ活躍の場は異なるが、幼い頃は良く共に遊んだものだ。
「……他に内通者は?」
冷苞が尋ねる。
「まだ調査中。でも、大半の連中は親劉備派になってるだろうし期待するだけ無駄よ」
「劉備さん、あちこちのサークルに挨拶してましたからねぇ〜」
向存が徐に紙束を冷苞へと渡す。
それは益州校区に在籍する全メンバーのリストであった。
荊州から流れてきた連中もいた為かかなりの厚さがある。
「……先輩、もしかして全部……」
「ふぇ?」
向存はきょとんとした顔で冷苞を見つめ返す。
「ああ、大丈夫だよ。扶禁にも手伝って貰ったし、半分は黄権や王累に任せてるから〜」
笑顔だが目には疲れの色が見える。おそらく寝てないのだろう。
「とにかく信用出来るのは張任に厳姉に……ま、半分もいるかどうかしらね」
扶禁が溜息を付く。
「……なら成都棟に行ってきます。タマさんに許可を貰ってくれば……」
「その必要はありません!」
バァンと音を立てて扉が開けられた。
そこに立っていたのは劉循。
「循?一体どういう……」
冷苞の言葉を遮り、劉循は言葉を続ける。
「お姉ちゃんがやっと決めてくれたんです!劉備さんを相手に戦うって……益州校区を守ってみせるって!」
「よし!」
冷苞が待ってましたとばかりに手を打った。
「タマちゃんからオッケーが出たなら、もう大丈夫ですねぇ〜」
「そうね……今から反撃よ。で、具体的にはどう動くの?」
扶禁が視線を劉循に戻す。
「えっと、扶禁さんと向存さんは葭萌の奪還、冷苞とトウ賢は私たちとここを拠点にして守るって!」
「そう……わかったわ。守るならフ水門が鍵になるから注意して。アタシ達はロウ水経由で狙うから……頼んだわよ!」
「了解です。劉備の階級章……オレらで必ず取ってみせます!」
冷苞が練習用の模造刀を手に取る。
普通より長めに拵えて貰った特注品である。
頼むときにも一悶着あったが、今は頼んでおいて良かったと思える。
「無理はしちゃ駄目ですよ〜?相手には件の鳳雛もいるって聞いてますし〜」
向存が心配そうに三人を見る。
「大丈夫です!劉カイさんや張任お姉さまも応援に駆け付けるって言ってましたし!」
「張任ねぇ……へぇ。張り切ってた理由はそういうことか」
冷苞がニヤリと笑みを浮かべる。
「べ、別にそういうわけじゃ……」
思わず小さくなって赤面する劉循。相変わらず判り易い娘である。
「とにかく時間があまり無いですし、つもる話は帰ってからしましょうね〜?」
向存が冷苞の背中をポンと叩く。
「あ、そうですね……。んじゃ、張任さんが来るまで準備しとくか。な、トウ賢、循!」
「はいっ!」
「ん?ああ、りょーかい」
元気良く答える劉循、そして生返事を返すトウ賢。
四人はそれぞれに出立の準備を始める。
「劉備かー……」
少しだけ広く感じる部室の中、トウ賢は一人呟いた。

    To Be Continued to Battle of Husui & Kabou
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