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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
105:教授 2003/01/11(土) 00:00 ■■ 関羽の巫女さん ■■ 日曜日の午前中、場所は常山神社。 境内で巫女服に身を包んだ少女がせっせと箒を動かしていた。 彼女の名前は趙雲子龍。 帰宅部陣営に属する薙刀の達人だ。 それと同時にこの常山神社の一人娘でもある。 「子龍、頑張ってるな」 ふと趙雲が顔を上げると長く艶やかな光沢を放つ黒髪の女性が立っていた。 「関羽さん、おはようございます」 丁寧に礼をする趙雲。 「うん、おはよう。今日はこの間借りてた本を返しに来たんだ」 関羽は持ってきた鞄を開くと、中から分厚い本を取り出す。 「折角の休日に持ってこられなくても学校で渡してくれれば良かったのに…どうもすみません」 「いや、暇だったしな。返せる時に返しておかないと」 関羽は微笑むと本を趙雲に手渡す。 と、関羽がある異変に気付いた。 「子龍…熱があるのか?」 「え? …いえ、大丈夫ですよ」 苦笑いしながら言葉を返す趙雲。 「………」 無言のまま関羽は趙雲の額に手を伸ばす。 ひんやりとした感触が額から全身に伝わる。 「やはりな…。体調が悪い時くらいゆっくり休みなさい」 「…今日は両親が用事で出かけてますので…私が掃除とか管理をしないと…」 「責任感が強いのは立派な事だけど、倒れでもしたら元も子もないわよ」 関羽は諌めるように声を掛けると、少し考え込む。 そして、意を決したように口を開いた。 「今日は…私が変わってあげるわ」 「そんな…悪いですよ…。私なら大丈夫ですから…」 趙雲は気丈にそう答えるが、激しく咳き込んだ。 「説得力ないぞ。今日する事を言ってちょうだい、私が変わりにやっておくから」 優しく微笑みかけると関羽は趙雲を抱き上げる。 「すみません…」 趙雲は申し訳なさそうに謝ると、作業の指示を関羽に伝えた。
106:教授 2003/01/11(土) 00:03 「さて…趙雲はあれでいいとして…」 関羽は趙雲を部屋まで運び(巫女服から猫柄のパジャマに着替えさせた)、自分が着るべき巫女服を見下ろした。 「サイズ…合うかな」 巫女服のサイズを気にしながらも袖を通していく。 案の定、彼女に見合ったサイズの服が見つからない。 「困ったな…」 苦笑いを浮かべながら巫女服を漁る関羽。 幸いにも関羽の体躯に合う巫女服を見つけ、着る事ができた。 「………髪も括った方がいいか」 鏡を見ながら髪の先端を藍色のリボンで括る。 出来あがった自分の姿を映しながら苦笑い。 「…我ながらはまってるな…」 ため息混じりに呟くと箒を片手に境内に出た。 「こうして見ると広いんだな…境内って」 内心、挫けそうだったが黙々と箒掛けを始める。 ある程度は趙雲がやってくれているとはいえ、その量は半端ではない。 「これを…趙雲は一人でやっていたのだな…」 感心しながら箒を動かす。 黙々とひたすら掃除を続けていたおかげか、1時間余りで8割辺りを消化できた。 「これは翼徳には絶対ムリだな…」 張飛が1時間以上も単調な作業を続けたら壊れそうだな…と思いくすくすと吹き出す。 「後は…境内の裏か」 足早に境内の裏手に回る。 しかし、そこは既に趙雲が掃除した後のようで綺麗に箒掛けされていた。 「こっちは済みか…」 関羽が境内の方へ戻ろうと踵を返した時だった。 「孟徳! あんまり走りまわるな!」 「分かってるって!」 聞き覚えのある声にぎょっとする。 思わず関羽は身を隠してしまった。 「……まさか」 境内の陰からそーっと顔を覗かせて声の主を確認する。 「今日は巫女さんいないよー?」 「中で掃除してんだろ? 邪魔しちゃ悪いから用事だけ済ませたらさっさと行くよ。淵も下で待ってるんだからさ」 そこにいたのは生徒会長こと曹操とその右腕、夏侯淳だった。 関羽は再び隠れ直すと心を落ちつかせる。 「お参りか…? よりにもよってこんな時に…」 間が悪いとはこのような事を言うのだろう。 しかし、関羽の不運はまだ続く。 もう一度様子を窺おうと顔を覗かせたところ… 「あ…」 「うっ」 曹操と思いきり目が合ってしまった。 「関羽見っけ〜」 とてとてと走りながら関羽の傍までやってくる曹操。 関羽の姿を見るなり、はしゃぎまくる。 「わぁ♪ 綺麗だね、巫女服」 「か、会長…」 はしゃぐ曹操に困惑する関羽。 それ以上に、こんな姿を見られたという恥ずかしさがあった。 曹操は更にとんでもない事を口にした。 「私も着たい」 「ち、ちょっ…それは…」 言い出したら聞かないのが曹操。 不可視のオーラが関羽を包みこむ。 しかし、神はまだ関羽を見捨ててはいなかった。
107:教授 2003/01/11(土) 00:04 「わ、悪いな…関羽」 危機的状況の関羽の元に夏侯淳がやってきて曹操を担ぎ上げた。 「わーっ! まだ話があるのに〜!」 「だから、まだ用事があるって言っただろー! 行くよ!」 夏侯淳に担ぎ上げられた曹操はじたばたと可愛い抵抗をしながらも、そのまま連れて行かれた。 一瞬の出来事に呆然とする関羽。 「こ、これは…助かったのか…?」 曹操達が去ってから3時間後。 関羽は掃き集めた落ち葉で焚き火をしていた。 「はぁ…人心地着いた気分ね…」 既に境内の雑巾掛けや窓拭きを終えている。 のほほんと落ちついていると、境内の方から見慣れた人物が何人も姿を見せた。 「おーい、関さーん」 劉備だ。 両サイドと後ろに張飛、劉禅、簡擁が付いてきている。 「義姉者、こっちです」 関羽が手を振りながら4人を呼ぶ。 「うわっ、関さん…何で巫女服着てるんや?」 「これには事情がありまして…そこっ! 写真撮影禁止!」 簡擁からデジカメを没収する関羽。 「ちぇっ…折角いいもの撮れると思ったのに」 不貞腐れる簡擁。 「関羽おねーちゃん…趙雲おねーちゃんは?」 劉禅がきょろきょろと趙雲の姿を探す。 「子龍ですか? 今…熱があるみたいで部屋で休ませてます」 その答えに泣きそうな表情を浮かべる。 「えー! 大変だよ、死んじゃうの?」 「アホ! 神社で不吉な事言うな! 簡擁、悪いけどこいつと一緒に子龍の様子を見に行ったって」 「御意」 簡擁は劉禅の手を引きながら神社の中に入っていった。 さながら、迷子を連れて歩くデパートの従業員のようだった。 だが、この時は誰も気付いていなかった。 簡擁の懐にもう一つデジカメが忍ばされていた事に…。 二人を見送って劉備が関羽に向き直る。 「まあ、なんや。事情は分かった気がするわ…子龍のヤツ、風邪引いとったんやな?」 「ええ。熱があるのにも関わらず仕事をしてましたから…大事を取って休ませました。よって、彼女の仕事を私が引き継いでやっていたんです」 「うん、よう分かったわ。大変やったな、関さんも…お疲れさん」 劉備の労いの言葉に嬉しさを隠し切れない関羽。 ふと、さっきから喋らない張飛に気付く。 「翼徳、何で喋らないんだ?」 「………」 張飛は関羽の問いに答えず、ただ左頬を押さえていた。 「あー、このアホな。虫歯にかかりよったんや」 劉備が屈託なく笑いながら張飛の左頬を突つく。 「んーっ!」 張飛は激しく抵抗。 「ほな、関さん。ウチはコイツ連れて歯医者行ってくるわ」 「そうですね、早く連れて行ってあげてください」 関羽は二人を見送ると晴れ渡った青空を見上げた。 「こんな平和が続けば…。ふふっ…無いものねだりか」 不敵に微笑むと箒を片手に社の中に姿を消して行った…。 おまけ 「趙雲おねーちゃん、大丈夫?」 「アトちゃんがお見舞いに来てくれたから、すっかりよくなりましたよ」 微笑ましい光景。 「…………」 趙雲に気付かれないようにデジカメを回し続ける簡擁。 「………(宴会の席で流そうかな♪)」 邪だった。
108:教授 2003/01/11(土) 00:07 あとがき えーと、まずはごめんなさい。 関羽と簡擁の性格が微妙になってます。 全体的に見ても非常に拙いので…ホント、申し訳ないです。
109:惟新 2003/01/13(月) 01:02 >(巫女服から猫柄のパジャマに着替えさせた) こうしたさりげない萌えポイントが光ってます(^_^;) …で、巫女さん関羽キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!! うおぉぉインスピが! インスピが舞い降りてまいりやがりましたよ! ロクなの描けないけど描きてぇっ! 描きたいけど当分暇がねぇっ! こ、この溢れかえる欲情(え?)をどこにぶつけたらいいんだぁああ!! ……ぷしゅ〜 落ち着きました(^_^;) 前回に引き続き…いいじゃないですか〜! 欲を言えば最後にもうひとつ何か欲しかったですが… でも! 存分に萌えさせていただきました! 熱っぽい趙雲タンと巫女関羽タン… ぐあぁ…!!(再暴走
110:アサハル 2003/01/13(月) 01:57 簡雍!グッジョブ!!(そっちかよ!!) 趙雲かわええ〜・・・ 関羽姐さんもかっこええ・・・ 巫女ブーム到来の予感。 そして惇姉に担ぎ上げられる(私この辺ネコみたいに 首根っこつかまれて持ち上げられている所を連想した) 曹操がまたかわええ・・・。 私も同じく存分に萌えさせて頂きました。ごちそうさまでした(・∀・)
111:★ぐっこ 2003/01/13(月) 15:42 おなじくゴチです教授様! (;´Д`)ハァハァ…いいなあ…もう…萌える… 簡雍もイイ感じだ(^_^;) さて…はやいところガンパレ熱を沈静させて学三補強にかからねば…
112:惟新 2003/01/13(月) 17:20 結局描いちまいやした… http://members.jcom.home.ne.jp/holly-night/kannu.GIF シチュは「写真を撮ろうとした簡雍を叱る関さん」 真っ白なのはCGに慣れたら彩色しようという小さな野望です(^_^;) …良く考えたら玉川様やアサハル様におねだりした方が良かった罠。
113:惟新 2003/01/13(月) 18:05 改めて読み直してみたら箒は持ってそうにないですねぇ… デジカメを持たせるべきであったと反省。
114:郭攸長若@凡ミス 2003/01/13(月) 23:24 [azumaio@hotmail.com] ■信念と迷い 黄巾事件は終わった。 だが、蒼天学園を取り巻く動乱は既に収拾不可能な所まで来ていた。 黄巾事件の収拾に貢献し、その名声を学園中に轟かせた少女・皇甫嵩。 終わりを知らぬかのように思えるその動乱に、彼女は一人思いを馳せていた。 コンコン。 部屋の戸が叩かれる音、気が付けば時間は夜の九時を回っていた。 「先輩・・・私、閻忠です。ちょっとお話宜しいですか?」 「閻忠か・・・あぁ、入れ」 不機嫌なようにも思えるぶっきらぼうな態度、彼女にとっては普通であった。 後輩である閻忠もそれを知っているからこそ、何も言わずに扉を開けた。 「失礼します・・・」 閻忠は靴を脱いで部屋に上がった。 どこか真剣な面持ちだがそれは彼女とて同じこと・・・いや、もしかして閻忠も同じようにこの動乱に思いを馳せていたのかもしれない、彼女はふとそんなことを思った。 「何か飲むか?」 「いえ、すぐお暇しますのでお構いなく・・・」 僅かな沈黙の末、閻忠が口を開いた。 「先輩、チャンスってとても貴重な物なんですよ」 唐突な話だった。 閻忠という少女は唐突に話を切り出す節がある。 だから彼女もそれを心得ていた。 だがそれにしても、今までにない唐突な切り出し方である。 困惑する彼女をよそに閻忠は言葉を続けた。 「この学園をリードしてきた人達は皆、チャンスを上手く掴んだからこそそれが出来たんです。どうして先輩は、こんなチャンスを前にしながらそれを掴もうとしないんですか?」 「どういうことだ・・・?」 閻忠のかつてない勢いに押されながらも、彼女は口を開いた。 閻忠は言葉を続けた。 「この学園をリードするのに地位なんて関係ありません。先輩のような功績を挙げられる人が、あんな生徒会長のような能無しの下にいるなんてあってはならないことです! 先輩の威光は生徒会中に広がり、学園の外にまで聞こえ渡っています。多くの生徒達が先輩に注目し、先輩の為に尽くそうといきり立っているんです。それなのにあんな会長の下にいて、どうやって無事に学園生活を終えることが出来るんですか!」 閻忠の声は、興奮で高ぶっていた。 「私は生徒会に付いて行くと決めた人間、その心を忘れることはない。なのに何故そんな事を言う・・・!」 彼女は高ぶる感情を抑えて言い返した。 それに対し、閻忠もまた言い返す。 「それは違います! 昔、韓信先生は劉邦先生から受けたもてなしを裏切ることができず、蒯通先輩の言葉を拒否して、旧蒼天学園の勢力を三分するチャンスをむざむざと見逃しました。今、生徒会の勢いは当時の劉邦先生や項羽先生より弱く、先輩の力は韓信先生よりもずっと強大です。ですから先輩が立ち上がれば風雲のような勢いを巻き起こすことができるんです。学園中をまとめ上げ、生徒会を掌握し、蒼天会を押しのけて先輩が学園トップの座に就くこと、これこそチャンスを生かす最高の決断です! 先輩のような聡明な人が事態を見極めず、チャンスに先手を打たなければ、必ず後悔することになるはずです。それではもう手遅れなんですよ!」 感情を抑えず、精一杯力説した閻忠は息を切らしていた。 「先輩・・・」 彼女の目は真剣であった。 しかし彼女は何も言わない、ただその真剣な眼差しを閻忠に向けているだけだった。 「し、失礼しました!」 居たたまれなくなった様子で、閻忠は部屋を出て行った。 そして閻忠が部屋を出て行った後・・・。 「私がそんなことをしたって、学園は変わらない・・・いや、変われないさ・・・」 彼女は一人呟いていた、自分に言い聞かせるようにして。
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