★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
2:★ぐっこ2002/02/07(木) 00:42
■■朝の風景■■


 少女たちの朝は(わりと)早い。
 全寮制である蒼天学園において、就寝時間は各々なれど、起床時間は決まって7:00。
 山の斜面沿いの、高層マンション群と見まごうほど密集した超巨大女子寮中に、
いつも通りのけたたましい起床ベルが鳴り響く。
 ――この朝も、穏やかな晴天であった。

「おはよーっ」
「おはよ…」
 珍しく朝練のない夏侯惇が、二段ベッドの下からはい出てくる。上から顔を覗かせて、
同室の曹操が元気よく挨拶。血圧低めの夏侯惇は、まだ眠そうだ。
「先トイレいく…」
「おっけー」
 曹操はパジャマ代わりのジャージ(※萌えポイント)を畳みながら、元気よく答えた。
(彼女は、効率がいいのか面倒くさがりなのか、枕元の手が届く範囲に着替えやポットや
ドライヤー一式を持ち込んでおり、二段ベッドの上はほとんど巣と化している)
 狭い空間で手早く着替えをすませると、曹操はひらりとベッドを飛び降りた。
「今朝は食堂で食べるよー!パン切らしてるから」
「わかったー」
 洗面所から顔を洗う音と歯を磨く音が聞こえる。
 やがて、眼帯をまきながら夏侯惇が出てきた。
「ちょっと遅くなったかな…」
「急げば間に合うよー」
 
 朝の寮食堂は、昼時の学食ほどでないにせよ、混む。
 モーニングセット(コーヒー付)400円は、多くの面倒くさがりの女子高生にとって
魅力的な料金設定だ。朝から果てしないお喋りを続ける者、新聞を広げてくつろぐ者、
遺恨でもあるのか殺気走った目で睨み合う者など、様々な連中が、わずか30分足らずの
朝食時間をそれぞれに過ごしていた。
 行列の最後尾に到着した曹操と夏侯惇は、トレーをひょいっとつかむと、そのまま行列を
無視して先へ行く。
 ムッとしてふたりをにらみつけた少女たちは、一瞬後、慌てて目をそらした。夏侯惇の
胸元の二千円章(※希少)と曹操の壱万円章は、彼女らにとって雲の彼方の存在なのだ。
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