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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
207:教授 2003/02/23(日) 05:08 ■■卒業 〜序章 曹操編〜■■ 「孟徳、急げよ〜」 「分かってるって!」 卒業式当日の朝。 トーストを頬張りながら夏侯淳が曹操を急かす。 いつもと変わらない朝の光景だ。 当の本人は下着姿で制服を品定めしていた。 その数はクローゼット一つでは納まりきらない程だった。 同室の夏侯淳はやたらと制服を詰め込む曹操を見兼ねて、自分のクローゼットを使わせている。 その為、自分の分のクローゼットは無くなり、仕方なく自分で作って隅においていた。 「いい加減、何か着ろよ」 コーヒーカップを優雅に傾けながら苦笑いの夏侯淳。 「んーと…どれにしよ〜…」 下着姿のままの曹操がクローゼットを文字通り引っ掻きまわす。 暫くして、はたと動きが止まる。 そして一着の制服を手に取った。 「これ! これがいい!」 その制服は曹操自身が生徒会長に就任した時に特別に作った服だった。 夏侯淳は曹操の手に掴まれた制服を見ると、右目を閉じ憂いを込めた笑みを浮かべる。 「…それか。そうだな、今日はそれがいいだろ」 「うん。この服は…奉公がいなかったら作れなかったもん…」 きゅっとその制服を胸に抱きしめる曹操。 制服の右腕部に『郭嘉奉孝』という名前が刺繍されている。 それは彼女達を大勝利に導いた現生徒会最高の頭脳の名前。 今は亡きその人物の功績は評価しても評価しきれない。 それだけに早すぎるその死は曹操達に悲しみの涙を与えた。 曹操は姿見を前に制服に袖を通していく。 一年以上も前に作った服だが、それでも曹操の体躯にぴったりだった。 「…奉孝。今日は一緒に卒業しようね」 鏡に映る自分の姿を見ながら、いるはずのない少女に言葉を掛ける。 …と、その背後に微笑む少女の姿が映った。 「…! 奉孝!?」 ばっと振り返る曹操。 しかし、その姿は見えず、夏侯淳が不思議そうな顔をしてこちらを見ているだけだった。 「…どうしたんだ? 何か見えちゃいけないものでも見たような顔して…」 「う、ううん…何でもない…」 曹操は苦笑いを浮かべてもう一度姿見の前に立つ。 すると、また郭嘉の姿が曹操の後ろに見える。 「奉孝…」 今度は驚かなかった。 むしろ、嬉しささえ込み上げてきていた。 鏡に映る郭嘉が囁いた。 『卒業おめでとう…これからも私は貴方を見ています…』 懐かしくも力強い声。 曹操の目に涙が溢れてくる。 そして、郭嘉の姿が鏡の中から消える。 「本当にどうしたんだ?」 姿見の前で立ち尽くす曹操を心配して夏侯淳が傍に近づいてきた。 「何でもないよ。それよりも、早くいこ!」 「お、おい!」 涙を乱暴に拭うと夏侯淳の手を握り駆け出す。 郭嘉が最後に見せた最高の笑顔と言葉は何よりも曹操の心に残り続けていた。 『本当にお疲れ様でした、会長。私はずーっと傍にいますからね♪』
208:雪月華 2003/02/23(日) 09:11 懊悩 冀州校区[業β]棟保健室にて。 曹操が緊張した面持ちで丸椅子に座っている。 傍にはつきそいの許[ネ者]がぼーっと立っている。 パラパラとカルテをめくっていた校医の華陀がやがて重々しく宣言した。 「結果が出た。おぬしの頭痛の原因、それは…」 「ゴクリ…」 「脳腫瘍じゃ。すでに手遅れ。あと三ヶ月ももたん。」 「えええええーーーっ!!」 「嘘じゃ。そうでかい声を出すでない。」 「な、なんてこと言うんだよっ!このクソじじいっ!」 「ぐわっ!こ、校医に脳天唐竹割りを食らわすでない!」 頭を押さえる華陀と本気で怒る曹操。許[ネ者]はあいかわらずぼーっしている。 「どこも悪くないわい。強いて言えば、おぬしは一度に色々なことに頭を使いすぎじゃ。」 「どーいうことよ?」 「テストでは全科目90点台は当たり前。100点も珍しいことではない。8校区の統合生徒会長職。放課後の覇王の二つ名。おぬしは青春を謳歌しすぎじゃ。やらねばならぬこと、やりたいことがあまりに多く、それが人間の許容範囲を越え、頭痛を引き起こしておる。そうとしか言えんのう。」 「じゃあどうしろというのよ。いまさら自主返済して一般生徒に戻れとでも?」 「それはおぬしが決めることじゃ。とにかく、現状のままでは頭痛はさらに酷くなる。これだけは間違いないのう。」 「ところでおぬし郭嘉のことについて知りたがっておったの。」 「あたしは会長として部下の健康状態を知っておく必要があるのよ。」 「知らんほうがいい。知れば頭痛がいっそう酷くなるじゃろう。それでもか?」 「当然だよ!」 「許[ネ者]、すまんが席をはずしてくれんか?」 「うん。」 頷いて許[ネ者]が保健室を出ていった。 「後悔するでないぞ。ほれ。」 「カルテ…?。…ALS…。」 「筋萎縮性側索硬化症。脳からの信号が筋肉に伝わりづらくなる病気じゃ。信号が伝わらんとやがて筋肉は衰弱してゆく。影響が出るのは随意筋のみで、内臓の働きは損なわれんからいきなり命にかかわるということはないが、呼吸が浅く、困難になったり、何ともないところで頻繁に転んだりする。病状が進むと寝たきりになる。入学当初は、卒業まではもつと予想しとったのじゃが・・・」 「確か意識障害はでないはずだったけど…この間は座ったまま気を失いかけてたんだよ。熱も出てた。」 「そっちは半分、いやほとんどはおぬしに責任がある。」 「どうして?」 「確かにALSでは発熱や意識障害は起きん。だが、同時に風邪を併発したんじゃ。それも相当悪性の。原因は…わかっとるな。」 「北伐…」 「おぬしは別格として、許[ネ者]はもと女子プロ部。于禁、張遼、徐晃はみな剣道部じゃろう。だが郭嘉はどちらかといえば文化系。あまり野外活動には向いとらん。それをなんじゃ。あのクソ寒い幽州校区へ連れまわして戦(いくさ)などさせおって。」 「…」 「それでよく”会長として部下のため”などと。部下の向き不向きを見極められずして何が会長じゃ。」 「う…」 「まあ、すんだことじゃ。そう落ち込むでない。」 華陀が書類に何か書き込んでいる。 「郭嘉は来週から休学して入院じゃ。おそらくおぬしの在学中の復学は無理じゃろう。長引けば退学となるかもしれん。まだ寮で寝込んでおるから今のうちに見舞いを済ましておくとよかろう。もっとも、風邪が治らねばまともに話すのは無理じゃろうがな…」 華陀が時計を見た。13:25。 「話はこのくらいじゃ。ほれ、そろそろ戻らんと授業に遅れるぞ。頭痛薬の処方箋は出しておく。帰りにでも「黄帝薬局」にとりにいくといい。」 「…頭痛がおさまらなかったらまた来るよ。」 「おさまるはずはあるまい。あくまで薬は気休めに過ぎん。」 扉を開けると許[ネ者]が扉の傍で待っていた。 許[ネ者]と一緒に曹操は教室へ向かった。 (郭嘉の病気は…あたしのせい?まだ荊州校区や長湖の連中の事が残ってるのに…郭嘉。) 北伐に向かう前の郭嘉の言葉が思い出された。 『このあとは荊州、長湖だな。まあ、まかせとけって。最近自信が出てきてさ、あっと驚く戦略戦術が次から次に沸いてきてんだからな。これからは会長にもラクさせてやれるよ。』 「裏切者…」 「ん?何?」 「…」 「変なの。」 郭嘉は自分の信頼を裏切った。無論裏切りたくて裏切ったわけでないことはわかっていた。そしてわかっていながら裏切者と呟いた自分を、曹操は激しく嫌悪していた。 頭痛がまた始まっていた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 烏丸の続きです。このあとほどなくしてtakayuki様の「曹操の涙」にシフトします。なんか最近重い話しか書いてないような… また出そうかな、諸葛亮…。四輪車=諸葛亮発明のソーラーカー=ゆかり車(!)で同乗した劉禅がトラウマになるとか(爆)。
209:★ぐっこ 2003/02/23(日) 23:09 Σ( ̄□ ̄;)!! またまた留守の間に神降臨〜 >彩鳳様 荊州編! 新野の新天地へやってきた劉備一党と、彼女らを観察する ふたつの視点…って一つは身内か(;^_^A それにしても、状況説明ありがとうございます。学三史のよきおさらい… 張飛は…きっと男子に生まれていたら半袖半ズボンで冬を通すタイプだったかも。 ヘタすれば凍結した長湖を車が通れるような、中華市の寒空で、コートを着ない で頑張る翼徳たん…。 …そうだ、司馬徽って結局教師でしたっけ、先輩でしたっけ(;^_^A ここのとこ各キャラ の低年齢化が進んでるから、「イイ! 凄くイイ!」の電波系先輩が有力だったっけか… >教授様 むう、一転してのシリアス系。 卒業曹操verですか〜。彼女も、色々ありましたが、やはり学園を去るにあたって心に 残るのは郭嘉ですね… 郭嘉が生きていれば学園史は…などというifではなく、一緒に曹操と卒業させてあげたかった… と素直に思います…。てゆうか彼女死なす設定にしたの私じゃないか…・゚・(ノД`)・゚・ >雪月花様 偶然なのでしょうか、ちょうど死に繋がる病に倒れる郭嘉が… 郭嘉の死に関しては、実はだいぶ前から腹案というか、実話に基づいたお話を考えて るので、いつかは発表したいですが…。とにかく、切なくなりますよね… 本人は隠してるけど、だんだんろれつがおかしくなってきたり、お箸が持てなくなって きたり…一日ごとに、身体の機能が低下してゆく恐怖…。しかも現在の人類の医学では、 回復する手だてさえない、死を待つだけの絶望… 郭嘉が活躍していたのは、そういう時期だったりします。そう、登場した最初から。 余談ですが、「Kanon」の真琴シナリオはこたえた…。
210:アサハル 2003/02/24(月) 01:06 か、神降臨しまくってますがなー!! 郭嘉たんの最期ネタ…皆様のSSを元にしてイメージに起こさせて 頂きました。 ALSという病気のことを考えると、高等部に上がった時点で 既に発病していたと考えられますんで… これをもちまして感想に代え…られるかヴォケ!!>自分 http://fw-rise.sub.jp/tplts/wind.jpg
211:彩鳳 2003/02/24(月) 09:24 >教授様 曹操サイドからの卒業式ですね。 郭嘉と共にある曹操・・・ BGMは「炎のたからもの」が似合いそうですね。 (「カリオストロの城」で使われた曲です。ご存知ない方は、下記アドレスを) http://www.biwa.ne.jp/~masayo-i/jmidi.html >雪月華様 そういえば、曹操も持病持ちでしたっけ(‐‐; あちこち忙しい人って、何と言うのか、自分のことを省みない人が多くいますからね・・・ >ぐっこ様 司馬徽は先輩案はありましたっけ?私もこのサイトに来て一年経ちましたが 知らない事がまだまだ多い様ですね・・・。(では済まされないかも(^^;;; >アサハル様 郭嘉はそうですね、自分に残された時間が無いのを知っていたからこそ 敢えてハードな仕事もこなしたんじゃないか、なんて思いますね・・・。
212:教授 2003/02/24(月) 23:15 彩鳳様> 郭嘉と共にある曹操のBGM…イイ!! これを書いてる時は自作のバラードを聴いてましたが…『炎のたからもの』は完全にマッチしてます! 卒業シリーズは全部で10部構成の予定。 その一つ一つにBGMを考えたらキリがなさそうだ…。
213:★ぐっこ 2003/02/25(火) 23:32 >アサハル様 うが━━━━━━━━━━━━っ!!!! 郭嘉が…郭嘉が…っ うわ、これむっちゃツボ! 自分の死をも他人事のように踏破しようとする 鬼謀の少女の生き様が…。何かで絶対に使おう…・゚・(ノД`)・゚・ >彩鳳様 司馬徽生徒説ですが…そういえばここの掲示板ではないかったような…(;^_^A こちらでは先生説が有力ですので、当然先生でオッケーであります! そして、カリオストロの城のBGMですか〜。確かにしっくり合ってる…
214:教授 2003/03/03(月) 23:36 ■■卒業 〜法正の涙〜■■ 卒業式も滞りなく終わった。 周りには泣いてるコもたくさんいたけど…私には込み上げてくるものが何一つ無かった。 自分でも驚くくらい呆気なく感じられた。 卒業…まあ、勉学に関しては修めてるから卒業とは言えるだろうけど。 でも、何か納得できない。 満たされない…何かがまだあるの? 難解な迷路の何ランクも上の迷宮に迷い込んだみたい…。 答えは…何処? 「おーい、法正〜」 「ん…?」 コートを羽織り、教室を出たところで『酔いどれクイーン』こと、簡擁憲和に声を掛けられた。 いつも通りの元気そうな笑顔。 だけど、それも今日で見納めかしら。 「憲和、どうしたの?」 「一人で帰るの?」 一人で帰る? まあ…確かに誰かを誘うつもりもなかったし、お呼びが掛かってるわけでもないからね。 「そうね。一人で帰るつもりだったけど」 私の答えに憲和が首を傾げた。 「今日で最後なんだから、一人で帰るのは勿体無いぞ〜」 「…別に。今までとそう変わりはないわ…」 「さみしー事言わないように。友達甲斐のないセリフだからね、それ」 「友達…」 その単語に心の中で何かが揺れた…。 私を…友達だなんて…。 …何だろう、胸が…苦しい。 痛い程に締めつけられてる…。 それに…自分の鼓動が耳に届いてる…。 分からない…何でこんな事に…。 「ほーせー?」 「…憲和……っ! 何でもないよ」 心配そうに私を覗き込む憲和に我に返った。 でも…まだ症状は治まらない。 「何でもないって顔じゃないけどなー。っと、シチューとパシリが来た」 「卒業してもパシリ扱いってのも…」 私は苦笑いを浮かべ、憲和の見ている方に向き直る。 『お使い乾ちゃん』こと孫乾と『おじょーさま』ことビ竺のコンビが仲良く私達の元にやってきた。 と、早々に子仲がにこにこと微笑みながら口を開く。 「法正さん、一緒に打ち上げ行きませんか〜?」 「打ち上げって…私はやめとく…」 「何でよー」 憲和が抗議の声を上げる。 「…私が行っても…」 私はここで言葉を切った。 後には『楽しくなんかならないよ』って続くはずだったけど…。 三人に気を遣わせてしまいそうでイヤだった。 でも、それ以上に気になる事があった。 「それに、何で私を誘うの?」 私の言葉に三人がきょとんとした目を私に向けた。 な、何よ…その目は…。 「何でって…ねぇ?」 「うん、そうですね」 憲和と孫乾が互いを見合って頷き合う。 それにビ竺も加わった。 何か分からないけど…。 「あのね…法正さん」 孫乾が三人を代表して私に話し掛けてきた。 「何?」 「法正さんを誘うのって…友達だからなんですけど…」 「友達って…」 再び蘇る諸症状。 顔まで熱くなってきた…。 「え、えーと…友達って…、わ、私の事?」 な、何動揺してるのよ…。 「はあ? 法正以外の誰を指してると思うのよ」 憲和がさも当然のように答えを返してきた。 孫乾とビ竺も頷く。 「私が…友達…」 やっと…自分に納得いかなかった理由が分かった気がする。 私の事を…友達として見てる人がいなかった…。 いや、いないと思い込んでいた。 課外活動だけの仲間、友達未満の繋がり。 それだけ…ただ、それだけだと…ずっと思ってた。 でも…今、こうして目の前に私を友達と呼んでくれる人達がいる。 霞に隠れていた…もやもやしていた部分が見えてきた…。 「ほーせー♪」 「え…っ!」 憲和の声に顔を上げた途端、強烈な光が目に飛び込んできた。 「憲和…」 「へへー…法正の泣き顔ゲット♪」 「私の泣き顔って…あ…」 慌てて自分の頬に触れると、濡れた感触が伝わってくる。 「さぁて、法正の泣き顔も手に入れた事だし…行きますか!」 憲和が私の肩をぐいっと引き寄せ、そのまま歩き始めた。 「け、憲和〜…だから、近すぎるってば…」 「恥ずかしがる事ないじゃん」 悪戯っぽく笑う憲和。 「仲がいいですね」 「…喧嘩する程仲が良いと言いますし」 孫乾とビ竺もくすくすと微笑みながら、私達の後ろから付いて来る。 「全く…」 私は…無意識に自分の顔が綻んでいた事に気付いてはいなかった。 私達が校舎から出ると…そこには見た事もないような綺麗な光景が広がっていた。 「うわ…」 「綺麗…」 憲和と孫乾が感嘆の声を漏らす。 朝はまだ蕾だった桜が…今は大きく花を開き、文字通り咲き乱れていたのだ。 「早咲きの…桜ですか…」 ビ竺はそんな事を呟き、風に吹かれてきた桜の花弁を手に取る。 「私達の門出には…最高の祝福…だと思いませんか?」 にこりと微笑むビ竺。 その目尻には涙が滲んでいた。 私も目頭が熱くなるのを感じている。 孫乾は…溢れてるし、憲和は…潤んでる。 「卒業は別れじゃない…また…いつでも会えます」 「そうだね…。会えなくなるわけじゃないもんな」 ビ竺の言葉に感慨深く答える憲和。 答えてはいないが、私も孫乾もきっと憲和と同じ事を思ってるだろう。 と、憲和が何かに気が付いた。 「おっ、あそこにいるのは…玄徳とその妹達じゃん。合流しよっか?」 憲和の指差す先には…元総代達の姿が見えた。 私と…孫乾、ビ竺は顔を見合わせる。 「行こう!」 三人の声が重なった。 憲和はその答えに微笑みを返すと、そのまま駆け出した。 「私達も行こっ」 孫乾とビ竺は並んで走り始める。 私は…ゆらりひらりと舞う桜の流れを見上げていた。 「こんなにも心が軽くなったのは初めてだよ…ずっと、ずっと続いてほしい…」 心の中にあった本当の気持ちが素直に言葉に出来た。 もう少し早く気付いていれば良かったなぁ…。 ちょっと後悔。 「法正〜! 早くおいでよ〜!」 遠くの方から憲和が私を急かす。 「分かってる! そこで待っててよ!」 私は笑顔を向けると、親友のいる場所へと駆け出した。 きっと…心の底から笑っていられてるよね?
215:惟新 2003/03/04(火) 10:36 >岡本様 >広宗のG・P・M むむっ! 相変わらず圧倒させられる作品! こりゃガンパレやっときゃよかったなぁ… それなりに楽しんで読ませていただきましたが、それだけに何か悔しい(^_^;) >雪月華 >烏丸征伐反省会 あ、こんな所にも簡雍が(^_^;) ド迫力戦闘描写は岡本様に続く超新星のヨカーン! 今後とも大期待〜! >懊悩 ALSといえば、ホーキング博士も若くしてこの病にかかられたんでしたね… ああ、郭嘉…(ノД`) >教授様 >簡擁と張飛 〜こんな日常もたまにはね〜 うおっコミカルだっ! スカートめくられて慌てる張飛カワ(・∀・)イイ! >卒業 〜序章 曹操編〜 郭嘉がコンボでキタヨ…(ノД`) そうです。みんなで卒業するんですよ、ね… >卒業 〜法正の涙〜 ああ、ヨカタね法正…(T▽T) それにしても教授様、苦手とか言いながらシリアスでも良いものを書かれているじゃないですか! >アサハル様 郭嘉。・゚・(ノД`)・゚・。 近い終末を知りつつ、最期まで自分らしくあり続けた彼女。 そこには多くの苦悩や、恐怖があったことでしょう。 それを見事に一枚の絵で表現なされましたね… 余談ですが、自分の前途に絶望して地下鉄に火を放ち、多くの人を巻き添えに自殺を図る人だっているわけで。 願わくば、郭嘉のような、絶望に打ち克つ強さを… >彩鳳様 >雪道の交錯 三姉妹の心温まる冬の光景。 いいですな〜ほんわかぷーですよ〜 そしてここにも湧いて出た簡雍! もうすっかり簡雍ブームですな(^_^;) 続きが楽しみ…
216:雪月華 2003/03/05(水) 00:45 長湖部夏季強化合宿。 孫堅が提唱し、孫策が受けついだ、夏休み開始から1週間にわたって行われる長湖部名物行事であり、そのハードさは孫権が三代目部長に就任した今も衰えていない。そのスケジュールは、 6:00 起床・洗顔・身支度 6:30〜7:30 長湖南岸(10km)早朝ジョギング 7:30〜8:10 朝食&宿舎の掃除 8:15〜10:00 全員での基礎体力づくり (10分休憩) 10:10〜12:00 〃 12:00〜13:00 昼食・ミーティング 13:00〜15:00 各種目ごと練習 (10分休憩) 15:10〜17:30 〃 17:30〜18:00 全員での柔軟体操 18:00〜 自由時間(外食可) 21:00 門限(違反者は翌日、練習量2倍のペナルティが課せられる) 23:00 消灯 となる。 生徒会が荊州校区を席巻し、赤壁島の決戦が差し迫った今、イメチェンに成功した周瑜が部長の孫権の全権代理として総指揮にあたっている。脱落者、不適応者は容赦なく退部となるため、黄蓋ら3年生からは不評を買っていたが、その効果については異論のはさみようがなく、いわば実績が不満を押さえ込んでいた形であった。 …23:30 消灯時間は過ぎているが、いまだ眠る気配の無い一室がある。消灯といっても、3年生が一度各部屋を見回るだけで、それさえやり過ごせば後は結構自由な時間が持てる。 灯りを消し、なにやらボソボソと語り合う数人の気配。 魯粛、甘寧、凌統、呂蒙、蒋欽の長湖部問題児軍団に加え、陸遜、朱桓ら数名の1年生の姿も確認できる。話の内容は、怪談のようだ。修学旅行、合宿など、若い者同士の一夜の定番である。 「…つまりさ、いないはずの5人目がいたのよ。」 懐中電灯で顔を下から照らした魯粛が話を締めくくる。話をする者には懐中電灯が渡され、場を演出するために使用される。 「つまんねぇな。どっかで聞いたぜ。その話。」 「黙って聞きなよ。」 洗いざらしの金髪を無造作にタオルで包んだいわゆるタオラー状態の甘寧に凌統がつっこむ。 この二人、仲は悪いくせに不思議と隣り合って座ってしまう。教室でも、食堂でも、練習でもシャワー室でも。 「次は、えーと、一年生の君。」 「はいっ!任せてください、とっておきがあるんですから!」 仕切り役の呂蒙に指名を受けたのは朱桓休穆。部長の孫権の同級生で、スポーツ万能で学業成績もいい。性格も思い切りがよく、長湖部期待の新星の一人である。 「これは、人に聞いた話じゃなくて私が実際に体験したことなんです…」 「私が小学校4年の頃、母が風邪をこじらせて入院したので父はお手伝いさんを雇ったんです。Aさん、としておきますね。外国の方らしいのですが、日本語が堪能で、仕事も速く、正確なので父はとても気に入ってたんです。」 「外国っていうと、東南アジアあたりか?」 「タイ人だとAさんは言っていましたが…なぜか、うちの飼い犬がやたらとAさんに吠え付いたんです。今までは絶対に他人に吠えたりしなかったのに。」 「へぇ…」 「雇って1週間たったあたりで、…見てしまったんです。」 「何を?」 「あの日の夜、2時ごろでした。私はトイレに行こうと思って、2階の自分の部屋から1階に降りていったんです。そこで信じられないものを見てしまったのです。」 座が静まり返る。 「Aさんがいました。ただし首だけで。首から下が無くて、向こう側の洗面台が見えたんです!」 朱桓が懐中電灯をつけて顔を下から照らした。 その顔が3m近く上、天井近くに見えた! 「うわあぁーーー!!!」 どすん、ばたん、ゴキッ! 電灯がつけられた。 朱桓は積み重ねた布団の上に立っていただけだった。 面白そうな顔をしている魯粛。あまり動じていない蒋欽。後ろ手をついて仰け反っている呂蒙。微妙な表情をしている甘寧。そして…なぜか甘寧の首にしっかりと抱きついている凌統。一番驚いたのは間違いなく彼女である。 「ほ、ほんとの話、それ?」 「はい。信じてもらえないかもしれませんが、本当です。あの後、Aさんの部屋へ逃げていったので、追いかけたら、部屋の中でAさんが泣いていました。あのあと、すぐ辞めちゃいましたっけ。」 「追いかけたって…あんたは凄いわ。」 「……凌統。」 「なに?」 「…いつまで抱きついてるつもりだ?」 「あっ…」 慌てて凌統が離れる。 「俺様にはそんな趣味は無いんだが…」 「う、うるさい!物のはずみよ!」 「ところで陸遜は…あ」 呂蒙の隣に座っていた陸遜が目を回して仰向けに倒れている。暗闇の混乱の中、仰け反った呂蒙のエルボーをまともに顎に受けたらしい。 無防備に気絶している陸遜を眺めていた魯粛にふと、悪戯っぽい笑みが浮かんだ。計画を他の者に耳打ちする。 やがて話がまとまり、甘寧が頭側を、魯粛が足を持って部屋からいずこかへ運び出していった。 …視界のエメラルド色のもやが晴れてくる。起きたら顔を洗って、歯を磨いて、寝床を整理したら着替えて食堂に。今日はトーストと紅茶のセット。残っていたらベーコンエッグも… 陸遜が目を開けるとそこには見知った、しかしそこにいるはずの無い人の寝顔があった。意識の混乱が収まり、その人物が周瑜であることに気がつくと、慌てて跳ね起きる。つられて周瑜も目を覚ました。 「な、なに、何?なんで!?」 「ちょ、ちょっと陸遜!?どうして私の布団に!?」 「ち、違います!違います!!違いますっ!!!」 何が違うのかわからないがとにかく否定する。董襲、陳武、徐盛らが起きだしてきた。絶体絶命のピンチである。昨夜、魯粛の提案で集まり、怪談話をしたところまでは覚えているが、そこから先の記憶が無い。なにやら顎のあたりが痛むが…。 廊下のほうで複数の笑い声が聞こえ、逃げるように足音が遠ざかっていった。 「あ!まさか…まてー!」 陸遜が慌てて部屋を飛び出してゆく。部屋の隅では魯粛が狸寝入りで笑いを堪えるのに苦労していた。 …夏休みの間、陸遜は周瑜に口を聞いてもらえなかったらしい。 ーーーーーーーーーーーーー ちょっと季節外れですが、張角SS推敲の合間に息抜きのつもりで書いたものです。 実際の朱桓もこの妖怪に遭遇しているらしいです…。 最後の悪戯は、高校時代、実際に修学旅行で悪友数人と行ったもので、真っ先に寝た者を隣の部屋の誰かの布団に添い寝させるという荒技です。異性の布団だとシャレにならないことになるので、同性の布団に添い寝させ、そのまま私達も部屋に戻りました。…翌朝、隣の部屋から絶叫が(^^;)…徹底したアリバイ工作&黙秘で事件を迷宮入りさせましたが、今、この場で真相を明かします。
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