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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
252:★教授 2003/04/20(日) 23:32 ■■甘寧VS凌統 ROUND2 -魯粛プロデュース 前編-■■ 「甘寧! 今日こそ白黒はっきりつけてやる!」 「突っかかってくるのもいい加減にしろよ!」 ロッカールームで衝突中の甘寧と凌統。 厳密には凌統が甘寧に突っかかってるだけなのだが。 周りで着替え中の除盛と丁奉は別段気にする素振りも見せない。 目の前で繰り広げられてる軽い修羅場は彼女達には見慣れたものだったのだ。 「またやってるよ。毎度毎度飽きないもんなのかな…」 「いいんじゃない? それで本人達が楽しければ」 所詮他人事の二人。 だが、凌統の投げたボストンバック(水着やら体操服がぎっしりつまってる)が除盛の側頭部に直撃。 くるりと一回転してコミカルに倒れる。 「じ、除盛!?」 丁奉が慌てて除盛を抱え起こそうとする。 しかし、今度は甘寧の投げたボストンバック(鉄アレイやらメリケンサック等の凶器がぎっしりつまってる)が丁奉を襲った。 「ぐはっ」 後ろ頭に直撃した勢いで除盛の上に覆い被さるように倒れる。 そんな哀れな被害者二人を全く意にも介さない甘寧と凌統。 一方的に突っかかられている甘寧もそろそろ我慢の限界なのだろうか。 こめかみにピクピクと血管が浮きあがり今にも襲いかからんばかりだ。 と、ロッカールームに一人の女生徒が入ってくる。 「…またやってるの。いい加減にしなさい、二人とも」 優雅な物腰で嗜める。 「あぁん…? ひっこんで…」 タンカを切りながら振り返る甘寧と凌統。 その目に映っているのは、周喩だった。 周喩はダウンしている除盛と丁奉の様子を見ると、厳しい目線で二人を見据える。 「う…」 甘寧も凌統もばつが悪そうな顔をしながらたじろぐ。 「二人とも、今からグランド30周! さっさと行きなさい!」 周喩の怒号がロッカールームに轟く。 「はいいっ!」 二人は稲妻のような勢いでロッカールームから出て行った…。 「くそぉ…オメーのせいなんだからな!」 「ふざけないでよ! そっちが悪いんじゃない!」 甘寧と凌統は走りながら責任転嫁を繰り広げる。 その下で肘や蹴りが飛び交っているのは言うまでもない。 「後1周だぞー。頑張れー」 グランドの真ん中でメガホンを片手に魯粛の棒読みの応援。 「子敬! もう少し気持ち篭めろよ!」 毒づきながらペースを上げる甘寧、そして負けじと凌統が横に並ぶ。 そのまま二人が並んでゴールした。 「わ、私の方が…少し早かった…」 息を切らしながら凌統。 「な…何言ってんだ! 俺の方が先だったろうが!」 甘寧もぜぇぜぇ言いながら反論する。 そこへ魯粛が近寄ってきた。 「凌統、残念〜。甘寧の方が先にゴールしたぞー」 薄笑いを浮かべて甘寧の手を掴んで挙げる。 「な…!」 納得がいかない様子の凌統と勝ち誇った様子の甘寧。 「残念だったな〜。やっぱ、俺の方が早かったみたいだわ」 「納得いかないよ! 何で!?」 地団太を踏んで悔しがる凌統。 「そうだな〜。胸の差ってトコかな?」 甘寧の胸を指で突つき、真顔できっぱりと言い放つ魯粛。 愕然とする凌統、そして… 「な…!? は、恥ずかしい事言うなーっ! って…触るなーっ!」 頭の芯から真っ赤になる甘寧。 しかし、魯粛はその抗議の声を余裕で無視する。 「さて…二回戦に移ろうか。次の種目は…これ!」 魯粛は懐から出した一枚の紙を二人に見せる。 「二回戦って…こ、これは…絶対嫌だ!」 「へぇ…面白そうじゃない」 紙を見た途端に体全体で拒否する甘寧。 それとは正反対に興味深深の凌統。 その紙には『コスプレ対決』と、でかでかとマジックで書かれていた。 「絶対嫌だ! 別の事にしようぜ! なっ!」 泣きそうな顔で魯粛に詰め寄る甘寧、必死だ。 そこに凌統がにやにや笑いながら近づく。 「試合放棄? なーんだ、情けないな〜」 「なんだと!」 甘寧が凌統に向き直る。 「逃げるの? いや、別に構わないけどね」 この言葉にカチンと来た甘寧。 「誰が逃げるか! やってやらぁ!」 勢いと怒りでつい口走ってしまった。 「じゃ、勝負は明日の昼休みで決まりね」 「え? あ、いや…これは勢いで…」 甘寧は慌てて自分の発言を取り繕おうとする。 ――が、時既に遅し。 「それじゃ、明日の昼休みまでに何するか決めといてね」 「分かったよ」 「ち、ちょっ! 子敬! 待てって!」 二人に投げキッスを寄越して魯粛はさっさと校舎に入っていった。 「明日が楽しみね。それまで首は預けとくわ♪」 自信に満ちた顔の凌統が挑発の言葉を投げかけてグランドから出て行く。 「…マジか…?」 甘寧は呆然とグランドに立ち尽くすしかなかった…。 そして、運命の朝がやってきた――。
253:アサハル 2003/04/22(火) 22:12 甘寧って既に殆どコスプレっp(ry 徐盛と丁奉の見事な巻き添えっぷりにとりあえず笑わせて頂きました。 胸の差って…ってことは凌統の胸はサラシ巻いた甘寧より小… ところで魯粛って「〜しなさい!」と命令口調で言われたら 「ああん?誰に向かって口利いとんじゃこのアマ!!」って 逆ギレしそうな気がします。何となく。
254:★ぐっこ@管理人 2003/04/22(火) 23:41 ハッΣ(´Д`;)コス対決…っ しかしながら甘寧の方が、外貌的にバリエーション豊富な気もするが… 凌統たんはどう巻き返すのか!? >凌統の胸はサラシ巻いた甘寧より小(ry ワロタ。言われてみれば… 魯粛は周瑜のマブだったりしますので、確かに逆ギレするでしょうねえ…
255:岡本 2003/04/24(木) 02:59 ■十常侍の乱(前)■ 既に末期化していた蒼天学園連合生徒会の不甲斐無さが形に現れたのが黄巾事件とそれに触発された各地の反乱と見るならば、後の群雄割拠に示される学園騒乱の実質的な幕開けは何進のリタイアとそれによる洛陽棟の混乱−“十常侍の乱”−にあると目されることが多いだろう。 アイドルである妹の“Kai”がファンであった前蒼天会会長・劉宏とその妹・劉弁と姉妹の誓を交したことで、“垢抜けないもののちょっと愛嬌のある肉屋の看板娘”として平凡な学園ライフをおくるつもりだった何進の運命は急展開を示した。 なんと劉宏自身のご指名で、蒼天学園の実質最高責任者といってよい連合生徒会会長に推されたのである。ただ、何進自身はそれなりに頑張ってはいたものの、所詮“それなり”で、連合生徒会会長としての思考のスケールや実行力といった器量の需要と供給の天秤が完璧に破綻していた。野心など薬にもしたくない“気の優しい近所のお姉さん”の域を超え得なかった以上、正規の役職に着かない方が幸せであったのは間違いない。頼みの綱である連合生徒会の官僚組織ですら華夏研究学園都市の13校区を切り盛りするどころか、なんのかんの文句をつけ山のように送り届けてくる問題に対処しきれず運営機関としては末期症状を示していたのであるから悲惨であった。それに加えて黄巾賊蜂起というダブルコンボが見舞ったのであるから目も当てられない。 皇甫嵩・朱儁・盧植・といった将達が奮闘し首魁たる張角3姉妹達を処断することに成功したものの、自らの利権にのみ汲々としている蒼天会執行部“十常侍”が劉宏を動かし玉である彼女らを連合生徒会から放逐処分にすることになり、ダメージを受けた連合生徒会の傷口に薬を塗るどころか毒を塗る結果になった。劉宏に蒼天学園の現状を訴える声が直に届かない以上、唯一十常侍の障壁を超えて劉宏に話ができる何進が現状回復を訴えるのがとるべき方法であったのだろうが、悲しいかな何進自身の思考のスケールで把握できる世界がそれこそ洛陽棟に所在を構える蒼天会と連合生徒会が精一杯であり、“現状”の意味する蒼天学園規模での危険性を把握することなど不可能であった。 結果として中央集権を放棄し有能な(言い方をかえると野心に溢れた)人物を校区生徒会会長として送り込むことで各地の反乱に対処し安定化を図ったわけであるが、各校区の独立化に拍車を掛けることになる。 何進の勢力基盤は名目上とはいえ蒼天学園の最高権力者たる蒼天会会長・劉宏が持てる権力にあったのだが、これを独占していたわけでなく、蒼天会執行部“十常侍”と折半していたに過ぎなかった。 黄巾事件後の何進の連合生徒会会長としての役目は互いの存亡をかけた十常侍との権力の綱引きに終始することになる。 では、なぜ蒼天会と連合生徒会の連絡・調整役たる蒼天会執行部“十常侍”がそれほどの権力を持ちえたのであろうか。それについてはまず“カムロ”という存在について触れねばならない。 くだらないと思われる節もあるが、中華研究学園都市には奇妙なジンクスがある。 “位階・威勢を極めた組織の初代会長はなぜか胸が無い。” それに反して、抗争で敗れたライバル達や組織のNo.2以下の部下達、そして2代目以降の会長は 通常の統計どおりにばらけているか、あるいは非常に均整のとれた容姿を誇っているのである。 例を挙げれば 連合生徒会 始会長・政 蒼天学園 校祖 劉邦 蒼天学園 光武サマ 劉秀 は全員、“のっぺり”した体型、ぶっちゃけた話“ぺた”であったらしい。 それに反して、劉邦と最後まで覇権を争った項籍、勢力を警戒されて粛清された韓信、黥布、彭越は全員非常に魅力的な体型をしていたという。 男性でも、シーザーは若禿が入っていてナポレオンが小男と外見上のコンプレックスをもっていたことを考えると、人生妙なところでバランスが取れているのかもしれない。 現在でも“神聖Aカップ同盟”という秘密同盟があるが、そもそもの起源は政や劉邦が過去の因縁を忘れて肝いりで作った“洗濯板同盟”である。皇帝の高貴な容貌のことを”龍顔“というが、蒼天学園においては伝統的に蒼天会会長の容姿を”龍体“という。龍体=流体、つまり流体力学上抵抗の非常に少ない理想的な形、というひどい駄洒落から来るネーミングである。 なにはともあれ、位人身を極めた面々にとって、公私を問わず日常生活において外観上の理由で不快感を覚えるのは堪える物が有ったらしく、日常生活上の側近という形で“女性らしさを自分以上に感じさせない”者たちをパシリとして使ったのが“カムロ”の始まりといわれている。 “カムロ”即ち“禿”で、そもそもは平家が間諜として用いた髪を短く切りそろえた少年をさす言葉である。 蒼天学園では、 1.髪を“おかっぱ”といっていいショート・ボブまで切り詰め、 2.少年と見まがうばかりに胸がない、ブ○ジャ○いらずの 者が該当した。 最初は何らかの不始末をしでかした者のうち、2に該当するものが“焼きを入れる”ということでリンチまがいに女の子の命である髪を短く切られ、ブ○ジャ○なしかサラシのみの着用に制限され、“カムロ”になっていた。なお、この刑を女性にとって恐怖の刑ということで“怖刑(ふけい)”といっていた。 彼女たちは、そもそもが処罰者ということで能力を必要とする実務上の権限を初めは全然持たされていなかったのだが、形式上とはいえ最高権力者たる蒼天会会長にもっとも近い位置にいて連合生徒会との連絡・調整役を勤めるようになったことからだんだん権力を身に帯びるようになってきた。この風潮は悪化し、後には蒼天学園内で権力を手っ取り早く掴む方法として、蒼天学園の学生としての3年間、 “女性”としてのおしゃれは日常でも厳禁というデメリットにも関わらず自ら“カムロ”に志願するものもでるようになった。事実、曹操が実姉のようにしたった従姉妹の曹騰も志願した“カムロ”であった。 さて、話を元に戻すと、互いの存亡をかけた何進と十常侍との権力の綱引きは、情勢の判断力が決定的に不足していた両者のダブルノックアウトという形で終焉となる。 蒼天会及び連合生徒会がもはや野心に溢れた群雄に対してなんら強制力を持たないという事実はこの事件によって周知の事実となる。むしろ、この時期は、強制力と野心による反発がぎりぎりの均衡を保っており、誰かが先鞭を付けてしまえばあっさり天秤が傾く状態にあったといえるだろう。 これに気づいていた居た者は蒼天会及び連合生徒会内部にはごくごく少数しかおらず、何進と共に狂言回し的な役割を演じた者に、後に河北の巨人として知られる袁紹がいる。具体的には、独立化して強大な力を持つようになった各校区の群雄たちを十常侍達への抑止力として運用しようと考えたのである。危険を感じた十常侍は一発逆転を掛け、詫びをいれるという名目を立てに何進を彼女らの本拠地たる洛陽本部棟へおびき出し始末することを計画する。うかうかと乗ってわずか数名の随員と共に洛陽本部棟へ赴いた何進は、十常侍ら“カムロ”の闇討ちですっとばされることになった。もともと“カムロ”に嫌悪感を抱いていた袁紹は、何進のあだ討ちとばかりに反撃にでることになる。 十常侍の乱当日の袁紹の対処については以下のような記録が残っている。
256:岡本 2003/04/24(木) 03:00 ■十常侍の乱(後)■ “何進連合生徒会会長、十常侍に討たれる!”の報は洛陽棟郡全域に野火の勢いで広がっていた。数日間の連合生徒会対蒼天執行部の情勢は非常に緊迫していたこともあり、夜にも関わらず洛陽本部棟前の広場へ集まってくる学園生は多かった。にもかかわらず、便乗してそういった学園生相手に飲食系サークルが臨時店を開いているあたり、蒼天学園生のしたたかさを感じさせる。広場の片隅のオープン・カフェも時間を延長して店を開けており、情勢を見守る学園生が多く詰めていた。 袁紹本初が急ごしらえの演壇に立ち、立ち並ぶ生徒たちにむけ激を飛ばす。彼女らは連合生徒会の実働機関たる連合生徒会執行部の部員たちだ。袁紹はその恵まれた容姿と声、機知に飛んだ文句で演説達者として知られていた。ただし、オリジナリティは模倣から始まるとはいえ、その文言は借り物が多かった。 『我々は一人の英雄を失った。これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ! 十常侍に比べ我ら連合生徒会構成員の総課外点数は30分の1以下である。にも関わらず今日まで活動し続けてこられたのは何故か!執行部の諸君!我ら連合生徒会の活動目的が正義に他ならないからだ!一握りのカムロ達が中華市全域にまで膨れ上がった蒼天学園を支配して20余年、中華市に住む我々が自由を要求して、何度連中に踏みにじられたかを思い起こすがいい。連合生徒会の掲げる、学園生一人一人の自由のための戦いを、天が見捨てる訳は無い! 我らが連合生徒会会長、諸君らが愛してくれた何進は倒れた、何故だ!』 血管が数本音をたてて切れそうな勢いで熱弁を振るっていた袁紹が、聴衆の反応をみるため、そして演説にインパクトをつけるため、一息ついた。朗々たる袁紹の美声は、演壇前に集まっていた数十名の執行部員はもちろん、広場の全域に届いていた。ざわついていた広場全体がしんと静まり返る。 そのとき、オープン・カフェの片隅で、夜にも関わらずサングラスをかけ、ちゅ〜とクリーム・ソーダを飲んでいた燃えるような赤毛が印象的な小柄な生徒がぼそっとつぶやいた。 「へタレだったからよ。」 カフェにいた全員の視線が彼女に向く。その視線を気にした風も無く、再びストローを口に咥えた。 ちゅーーー、ズズズズズッ! 格好をつけたものの、クリーム・ソーダが既に無くなっていたことに気づかず、間の抜けた音がカフェに響く。バツの悪い空気が流れた…。 「だからええ格好しぃはやめろっていったろう、孟徳!」 「ここでやらずして何がお約束よぉ〜!」 相席していた片目に眼帯をつけた大柄な生徒が顔を真っ赤にして、すみません、すみません、と周りに頭を下げて小柄な生徒をひきずっていく…。 “なにをしたかったのかしら、孟徳は…。” 少々毒気を抜かれたものの、予定どおりに袁紹は演説を続ける。 『・・・学園内の混乱はやや落着いた。諸君らはこの混乱を対岸の火と見過ごしているのではないのか?しかし、それは重大な過ちである。十常侍に代表されるカムロ達は唯一絶対の犯すべからざる蒼天会会長を擁して生き残ろうとしている。我々はその愚かしさを十常侍の万札章所持者達に教えねばならんのだ。何進は、諸君らの甘い考えを目覚めさせるために、倒れた!勝負はこれからである。我々の体制は復興しつつある。十常侍とてこのままではあるまい。諸君の母も姉も、彼女らカムロの無思慮な抵抗の前に倒れていったのだ。この悲しみも怒りも忘れてはならない!それを何進は自ら連中の矢面に立つことで我々に示してくれたのだ!我々は今、この怒りを結集し、十常侍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る。この勝利こそ、階級章剥奪者全てへの最大の慰めとなる。蒼天学園生よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ学園生!生徒会は諸君等の力を欲しているのだ。Victory for Students!』 拳を突き上げ気勢を上げる袁紹にまずはサクラの袁術が、そして息のかかった執行部員達が呼応して喚声を上げる。広場に様子を見に来ていた連合生徒会とは直接関係のない生徒たちも、雰囲気に呑まれたのか徐々に気勢を上げる面子が増え、ついには喚声が広場全体に響き渡り洛陽本部棟を揺るがせた。 “よしっ、正義は我にあり!” 「蒼天学園の勇者達よ!いまこそ“カムロ”を一掃し、学園に秩序を取り戻すのだ!門を開けよ!」 身の軽い者数名が本部棟正門を内側から開けんと、素早く塀を乗り越える。 まさか強行するとは思っていなかったのだろう、正門に警備兵はおらずすんなりと門は開いた。 竹刀を手にした袁紹を先頭に本部棟敷地内へ執行部員達は雪崩れ込んだ。 目指す本部棟の入り口には流石に警備兵がおり、突然の乱入者に色めき立った。蒼天会所属の警備兵は儀礼的意味合いが強く(どこの国も近衛師団は最弱)生徒会執行部員には及びもつかないが、騒がれると面倒である。自身で制しようとした袁紹を抑えて、鉢巻を締め白襷を掛けた袁術が稽古用薙刀を構えて進み出る。 「わたくしたちの路を遮るとおっしゃいますの?袁家の路を阻むなど、身のほど知らずもいいところですわね。」 薙刀が袁術の頭上でひゅんひゅんとうなりを上げたとみるや、刃と石突が警備兵の脛を連続して薙ぎ払う。たまらず転倒したところを留めと肩を打ち据えられ、あわれな警備兵は失神した。 お嬢様芸とはいえ、見事なものである。打ち倒した警備兵を尻目に快哉をあげる。 「いいですこと?わたくしの字は公路。わたくしの歩いた後に路はできるのですわ、おーほっほっほっ!」 妹の高ビーぶりに額を押さえたものの、袁紹は気を取り直して指示を下す。 「行けぃ!突入せよ!蒼天会会長を“カムロ”どもに渡してはならん!!」 袁紹の号令と共に、喚声を上げて執行部員達は本部棟へ乱入した。“カムロ”達と執行部員達との乱闘いや、戦闘力において遥かに勝る執行部員による一方的な“とばし”が随所で発生した。怒号と悲鳴が木霊し、蒼天学園の中心地たる洛陽本部棟は戦場と化した。 この時、洛陽本部棟には“カムロ”以外にも残務整理等にあたっていた蒼天会事務系生徒達が数多くつめていた。“カムロ”達は余り連合生徒会実働部員との接点が少なく、十常侍のような高位階級者ですらあまり顔を知られていなかった。 カムロの特徴は上に述べたように、 その1:“おかっぱ”と言っていいほどのショートカット・ボブ。 その2:実際にあるかないかは別にして、外観上は“ぺた”。下着は無しかサラシ。 必然的に、ショートカットで、“ない”者たち=“カムロ”と見なされ、該当者は実際にカムロであるかどうかに関係なく次々に捕捉され、階級章を剥奪された。 突入隊が外観だけを頼りに見境無く捕捉していることは直ぐに判明したため、この難を乗り切った“カムロ”でない該当者たちには、拘束されかかると前を開いて、「ないけど、ブ○着けてる〜!!」という涙混じりの屈辱的宣言を余儀なくされたものも多かったという…。 他の“カムロ”の面々が見事何進を屠ったという事で勝利確定と暢気に祝杯をあげていたなか、十常侍の事実上リーダーたる張譲は少しは連合生徒会内部の力関係が見えていたのか部下を本部棟入り口に貼り付けていた。急報で袁紹・袁術姉妹率いる生徒会執行部員の乱入を察知するや、かねてから用意していた付け髪と夜食の肉饅頭2個で偽装し、勝手知ったる洛陽本部棟の最短距離を疾走した。 “会長さえ押さえれば、まだ交渉の優位はこちらにある。” 半分寝入りかけていた現蒼天会会長・劉弁と従姉妹の“陳留の君”劉協を、突入隊が会長室に到達する前に確保することに成功。事態がつかめず、蒼天会会長の所在を吐かせようと本部棟の最深部まで突入してきた袁姉妹らに次々にとばされる他の十常侍や“カムロ”を見捨てて数名の側近と共に裏口から逃走したのだが…。洛陽棟の郊外で手ぐすね引いて待っていた涼州の餓狼の顎に落ちることになる。 袁紹は強硬手段をとることで、連合生徒会の天敵ともいうべき“カムロ”集団を一時的に駆逐することには成功した。とはいえ、犬を追い出して餓狼を招き入れ蒼天会と連合生徒会を共に飲み込まれる結果を導いてしまった。蒼天会と連合生徒会が餓狼から開放され暗黒時代に終焉を迎えるには更に数ヶ月の日数を要することになる。
257:岡本 2003/04/24(木) 03:04 >ぐっこ様 改装、お疲れ様です。 ダンパのほうがちょっと行き詰ったので、ちょっと”Aカップ同盟”で思いついた 小ネタで書いてみました。 表現が適切でない可能性がある場合、削除していただいて構いません。
258:★ぐっこ@管理人 2003/04/25(金) 22:11 うほ! 早速新設定投入の岡本作品が! 短編にまとめるのは惜しい舞台ではありますが、新設定のお披露目として、後続作品 や演義で補完するとしましょう! さておき! いきなりの神聖Aカップ同盟設定ワロタ。そこまで由緒正しい組織だったのか…(;´Д`) そして露骨に借り物っぽい演説の袁紹ステキ…♥ 逆に袁術お姉様もカコイイ! すみれ嬢ばりの女傑でございますな…。 あと、カムロじゃない証拠を見せる女子生徒たん萌へ…
259:雪月華 2003/04/27(日) 13:31 広宗の女神 第一部・洛陽狂騒曲 第一章 宿将たち 「…以上の証言、証拠から、盧植の備品横領の罪は明らかである。よって、対黄巾党総司令官職の罷免と二週間の謹慎を申し渡す」 執行部長、張譲の酷薄な声が洛陽棟生徒会室に響く。被告の席に立った盧植は、無駄だとわかりきっているからだろうか、うつむいたまま反論もしない。 何か違うな、と副官として生徒会長、何進の傍らに席を置く、書記長次席・袁紹は思った。 袁紹は公明正大、清廉潔白で知られる盧植を、生徒会の中では誰よりも、いや、蒼天会会長、劉宏よりも尊敬していた。1年生の時は何度か勉強を教わりに行ったことがあるし、生徒会に入って間もない自分の面倒を何かと見てくれたものだった。 対黄巾党総司令官として盧植が黄巾党の本隊600人を正規軍450人でじわじわと圧倒し、250人までその数を減らして黄巾党の本拠地、広宗音楽堂の攻囲に取り掛かったのは昨日のことである。攻囲の陣中に左豊という監査委員がやってきて露骨に賄賂を要求してきた。盧植は「陣中の備品は公のもの。あなたにそれを私物化する権利はありません!」と明言し、左豊を叩き出したのだが、唐突に翌日召還され、この結果である。少し握らせればおとなしく左豊は帰ったのだろうが、盧植にはそれができなかったらしい。 退室を命じられた盧植がうつむいたまま生徒会室を出て行く。今度食事にお誘いしてみようか、そう思ってしまうほど、盧植の背中は袁紹には頼りなく見えた。盧植の退室に続き、後任の総司令選抜の協議が始まった。が、協議とは名ばかりで、執行部、つまり張譲らの一方的な提案を何進がそのまま承認しただけだったが。 選抜された人物の名が、袁紹をますます暗鬱な気分にさせた。 うつむいたまま生徒会室を出た盧植を、皇甫嵩、朱儁、丁原の三人が心配そうに迎えた。三人とも、高等部進級以来の友人同士であり。皇甫嵩と朱儁、丁原と盧植は寮のルームメイトでもある。 皇甫嵩、あだ名は義真。体育委員会所属の格闘技術研究所所長と生徒会執行部員を兼ねる生徒会の重鎮中の重鎮であり、知勇の均衡が取れた生徒会随一の用兵巧者との名が高い。174cmの長身、誇り高い気質と、男性的な言葉遣いとがあいまって、一般生徒からの人望はきわめて高い。生徒会、蒼天会には絶対の忠誠を誓っているが、張譲ら執行部の上層部へは、あまり好意をもっていないようである。 朱儁、あだ名は公偉。皇甫嵩に次ぐ用兵の腕を持つ生徒会の宿将。機動性に富んだ速攻の用兵に定評があり、皇甫嵩を『静』とすれば朱儁は『動』。前髪のひとふさが天を向いて逆立っており、その速攻の用兵とあいまって、好意を持つ者からは「紅の流星」と呼ばれ、悪意ある者からは「シャ○専用」と呼ばれている。成績は中の上。噂好きで口は悪いが、人情家で屈託のない性格のため、あまり他人に恨まれることはない。皇甫嵩とは悪口をたたき合う仲ながら、小等部時代からの無二の親友である。 丁原、あだ名を建陽。匈奴南中学出身で、あの鬼姫・呂布と、後の生徒会五剣士筆頭・張遼の先輩にあたる。4人の中では一番小柄だが、特に武芸を嗜んでいるわけでもないのに、ケンカは一番強い。并州校区総番…もとい総代であり、部下を率いての突撃力は目を見張るものがあるものの、他の三人と違って、学業成績は壊滅的によろしくなく、三年生に進級するために、全教科の補習、追試を受けねばならなかったほどで、すべてを切り抜けることができたのも盧植の「3日連続徹夜猛勉強」によるところが大きい。なぜか近々統合風紀委員長に就任することが内定しており、様々な儀式や雑務のため、ここ数日は洛陽棟に詰めている。盧植とは蒼天学園高等部入学からの親友である。 「しーちゃん(※子幹)…やっぱ、コレ?」 丁原が手刀で首を切るジェスチャーをして尋ねた。 「階級章は何とか無事だけれど、2週間の謹慎よ」 盧植は力なく頷く。謹慎、とはいっても授業には出ることができる。ただ、階級章を剥奪された者と同様に課外活動への参加は厳禁される。言ってみれば、期間を限って「死んで」いることになるのだ。 「自分で自分の首を締めるとはこのことだな。生徒会も、そしておまえ自身も」 「シンちゃん(※義真)、言い過ぎだって!」 「いえ、義真の言うとおりよ建ちゃん(※建陽)。もう少し融通が利いていれば、今日にでも黄巾党を壊滅させえたのに…」 「ああ、惜しいことをした。そう思うよ」 執行部の策謀だな、と皇甫嵩は察した。本来、カリスマ性と集団指揮能力に秀でた皇甫嵩が総司令となり、盧植が参謀としてそれを補佐し、別れた敵に対しては遊撃隊として皇甫嵩に次ぐ指揮能力を持つ朱儁と、突撃力に優れた丁原がそれぞれあたる、というのが生徒会側にとっては最高の布陣であったはずだ。しかし、それでは常々執行部上層部に反感を持っている皇甫嵩ら4人の力が強くなりすぎ、張譲らに都合が悪い。そこで一番武官らしく見えない盧植を総司令とし、その下に皇甫嵩らをつけ、4人の分断を狙ったものだろう。しかし、盧植は意外に将才を発揮し、その配下となった皇甫嵩らも進んで協力したため、戦局が有利に運んだ。そのため執行部は左豊を送り込み、盧植を失脚させたのだろう。目先のことに気を取られて小細工を繰り返し、大局の見えない張譲らが皇甫嵩には腹立たしいかぎりである。 「義真…」 盧植が考え込んでいた皇甫嵩の手を取り、彼女を慌てさせた。 「な、なんだ?」 「後のことはお願いするわ。そして、あの子を、張角を救ってあげて。あの子はとても苦しんでる。私にはわかるの…」 盧植の手に力がこもる。力強くその手を握り返して皇甫嵩は頷いてみせた。 「わかった。この皇甫嵩、必ずこの乱を鎮圧し、あの子を救ってみせる。そう、誓おう」 「ありがとう、義真…」 そこまで言うと、堪えきれなくなったのか、盧植の頬に一筋の涙が光った。 突然、弾かれたように盧植が皇甫嵩の胸に飛び込んできた。 「お、おい、子幹!?」 あまりのことにあわてる皇甫嵩。盧植は答えず、皇甫嵩の胸に顔を埋めたまま、少女のように泣きじゃくっていた。 皇甫嵩はとりあえず、慰めるように盧植のふわふわの髪を優しく撫でた。さわやかなシャンプーの芳香が立ち昇り、皇甫嵩をますます困惑させた。皇甫嵩は学園内の一部腐女子から偏った人気を得ており、よからぬ噂もいろいろあったが、本人はそういうことはいたって苦手な真人間であった。一部の者には感涙ものであるこのシチュエーションも、本人にとっては、ただ迷惑なだけでしかない。 朱儁と丁原が顔を見合わせ、小声でささやきあった。 「あーあ、完全に二人の世界に入っちゃった…」 「マズイよ〜、こーちゃん(※公偉)…ここ結構人通り多いのに…やばっ!あの人達アタイら見てる!」 「えーと、あの、義真、子幹。あたし達これから用事あるから、これで…」 「シンちゃん、しーちゃんを寮まで送っていってあげて。あーそれから、くれぐれも成り行きで変なことしないように!」 「な、何だ!?変なこととは!?」 皇甫嵩は慌てて盧植を引き離す。盧植も我に返って赤面していた。 「じゃあ、ごゆっくり、ご両所」 「鳳儀亭なんか行っちゃダメだよー!」 朱儁と丁原は笑いながら走り去っていった。 「まったく、あいつらは…」 「あの、義真、これから二人で…」 「お、お前まで何を言い出す!私にはそのケはないと常々…」 「そ、そうじゃなくて…」 赤面してうつむいた盧植が消え入りそうな声で誤解を打ち消した。 「これまでのこととか、これからの戦略を引継ぎしたいから、これからファミレスにでも行こうかなと…」 「そ、そうか、そうだな。何を勘違いしたんだろうな、ハハ…」 「…」 「時間は…5時か。ちょっと夕食には早いが、とりあえずピーチガーデンに行くか」 皇甫嵩と盧植はややぎこちなく、連れ立って昇降口へ向かった。
260:雪月華 2003/04/27(日) 13:34 広宗の女神 第一部・洛陽狂騒曲 第二章 トラブル・メイカー 皇甫嵩らが去ってから約10分後、何進ら生徒会の重役達がぞろぞろと生徒会室を出てきた。最後に冴えない表情で袁紹が生徒会室を出てくると、大きく伸びをして、湿って汚れた空気を肺から追い出す。 「ずいぶん浮かない顔してるねぇ、袁紹」 手持ち無沙汰で生徒会室前の掲示板を見ていた大柄な女生徒が、からかうように尋ねた。 文醜。袁紹の入学時からの腹心であり、後日、ナイトマスターと呼ばれることになる勇猛の士である。 猪武者との周囲の評判だが、優れた集団指揮能力と戦術立案能力を有するため、袁紹は重用していた。 袁紹が棟長を勤める汝南で剣道部の指導にあたっている顔良と仲がよく「心の姉妹」の誓いを結んでいるらしい。 「機嫌も悪くなるわ、文醜。自分で望んで入った世界だけど、梅雨時の地下室みたく湿っぽくて汚れていると、いつか自分まで汚染されそうな気がするのよ。こんなことならいっそ…」 「「私が」かい?いずれはそうなるとしても、そこから先をこの場で言うのは危険すぎるよ」 軽く文醜が嗜めた時、 「あっ!本初ー!」 快活な声が廊下の奥から響いてきた。誰かな、と思ったがすぐにわかった。自分を本初と呼び捨てる人間はいまのところ校内に一人しかいない。 声のした方から軽快な足取りで小柄な少女が走ってきた。曹操、あだ名を孟徳。袁紹よりひとつ下の幼馴染であり、つい最近、袁紹の推薦で生徒会書記、騎隊長に任じられている。先の頴川における野戦では派手な戦功もたてていた。 「何の用…あっ!?」 駆け寄ってきた曹操はそのまま袁紹の胸に飛び込んできた。あまりのことに文醜も唖然とし、とっさに動けないでいる。 「ちょ、ちょっと孟徳!いきなり何するのよ!」 「だって、本初っていつもいい香りするんだもの。う〜ん、高貴な香…今日はジャスミンかな?」 「そんなことはいいから早く離れて!恥ずかしいでしょ!」 「…87、いや、88!また大きくなってる…この牛乳女!」 「な!!…」 ズバリと当てられ、耳まで真っ赤になる袁紹。曹操の数ある特技の一つである。抱きつくだけで胸の大きさわかるのだ。確度は99%(自称)であり、荀掾A張遼、関羽らの他、数十人がその被害に遭っている。3年生になってからは不思議とやらなくなったが、その理由は「狼顧の相」状態の司馬懿に試みてトラウマになったからだといわれているが、真偽は定かではない。 「お馬鹿ッ!」 「遅いよっ!」 横薙ぎの平手打ちを、曹操は跳び退って難なくかわした。踏み込みと共に襲い掛かる返しの平手も軽く屈んでかわす。燕が身を翻すように反転して駆け出そうとしたとき、素早く回り込んだ文醜が両手を広げて立ち塞がった。 「ここは通さ…あっ!」 サッカーのスライディングの要領で、曹操は文醜のわきの下をくぐりぬけた。さらに、立ち上がりざま片手を跳ね上げ、文醜のスカートを思い切りめくり上げる。 「わっ!」 「あれ残念、スパッツか。相変わらず色気「ゼロ」ですね〜。文醜先輩?」 「き、貴様ぁ〜!!」 ことさらに「ゼロ」を強調され、激怒した文醜は、笑いながら逃げ出した曹操を追いかけようとしたが、袁紹の笑い声が、それを押し止めた。 「…笑わないでよ。ま、元気になったようで良かったけどね」 「ええ。あの子を見てるとなんだか楽しくて」 「無礼だけど、不思議な奴だね」 「そういえば…何の用だったのかしら?」 疑問がわきあがり、袁紹は軽く首をかしげた。 昇降口を走り出た曹操は、一台のバイクと、その傍らに立つ女生徒を見つけ、駆け寄った。 「やっほー、妙才、みんなは?」 「惇姉は礁棟で剣道部の練習。子孝は相変わらずパラリラやってるし、子廉は相変わらず取り巻きと一緒に闇マーケットに入り浸ってるわね」 「いつもどおりってことね」 「そろそろ風紀も集団で駆けつけてくるから…って、孟徳、さっきから何見てるの」 「さっきの生徒会幹部会の議事録」 「幹部会って、あんた、確かまだ下っ端じゃ…」 「さっき本初からスってきたのよ」 「そんなもの、何に使うのよ?」 「近代戦の基本は情報だよっ!正確で有為な情報をなるべく早く入手すればそれだけ今後の戦略が組みやすくなるの!」 「戦略…ねぇ」 「なにせアタシの学園生活の目標は『目指せ!蒼天会会長!』だからね。時間を無駄にしてる暇は無いのよ」 「今、何かとんでもないこと口にしなかった?」 「気のせい気のせい…さて、そろそろかな?」 「え?」 曹操がファイルに目を通していると、校舎の奥から絹を裂くような悲鳴が聞こえてきた。周囲にいた生徒達が、何事かと校舎の奥を見やる。 「さっすがお嬢様。悲鳴もお上品であらせられること」 「…孟徳、あんた、袁紹先輩に何をしたのよ?」 「別れ際にスカートのホックとファスナーに細工をね。40歩くらい歩くと自然にスカートがストーンと落っこちる仕掛けだから、誰がやったのかはわからないよ。本初ってば、今日は珍しくパンストはいてなかったからすごいことに…」 「孟徳ーーーーーーーッ!!!!」 校舎の奥のほうで怒りに燃えた叫びが轟いた。雷喝、というべきで、様子をうかがっていた生徒たちが思わず一歩跳び退くほどの怒りがこもっていた。 「『怒声もお上品』ってとこかしらね?ところで、あっさりバレてるみたいだけど?」 「そーだね。じゃ、礁まで逃げるよ。あっ!田豊せんぱーい。これ本初に返しといてくださーい!」 偶然、近くにいた袁紹の腹心、田豊にスってきたファイルを投げ渡すと、夏侯淵に渡された半球型のヘルメットを素早く被り、バイクの後部座席に身軽に跨る。夏侯淵はすでにフルフェイスヘルを被り、エンジンを始動させていた。 「待ちなさい!孟徳ーッ!!」 「そこのバイク!止まれー!」 腰のあたりを押さえた袁紹と風紀委員一個小隊がそれぞれの目的で昇降口を走り出てきた。だが、時すでに遅く、後輪を派手にスピンさせてバイクが走り出しており、どちらもその目的を果たすことはできなかった。 「アディオス・アミーゴ(※さらば我が友)、キャハハハハ!」 「孟徳ーッ!おぼえてなさいよーッ!」 曹操の高らかな哄笑に袁紹の無念の絶叫が重なる。黄巾の乱の最中だが洛陽棟は騒々しくも平和のようだった。 1−1 >>259
261:雪月華 2003/04/27(日) 13:44 岡本様の力作に続くことになって恐縮ですが、以前ちょっと話題にした歌合戦SSです。といっても前フリですが。 実を言うと、全部できてます(^^;。歌合戦より、皇甫嵩がメインですが… 皇甫嵩。横光では登場1コマ、白目、台詞なしと、部下の雛靖よりひどい扱いですが、後漢書ではやたらカコイイエピソードが目立ちます(なにか高順と似てる)。 まあ、劉備や呂布とほとんど関わっていないので演義では目立たないのも無理ありませんが… 残りは、空気を読みまして追々…
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