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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
476:★ヤッサバ隊長2004/04/28(水) 00:19
よー、皆。あたしさね。
え?文章だけじゃわかんないって?
しゃーない、面倒いけど自己紹介するか。
あたしは姓は龐(ホウ)、名は統。あだ名は士元。襄陽棟出身。
世間じゃ「鳳雛」って言われて、ちーとばかり名前が知られてる女さね。
だけど、何故かセットで覚えられている「臥龍」諸葛亮孔明の方が知名度が高いだな、これが。
…ふん。どうせ、あたしゃ不細工で目立たない女だよ。
さて。今日は、そんなあたしが劉備さんの幕下に加わった時のエピソードでも話してやるかね。
ん? そんな話聞きたくない?
やなこった、嫌でも聞かせちゃるわ。
● 鳳凰飛翔 ●
あれは、劉備さんが荊州南部を統一した頃の話。
その頃のあたしゃ、長湖部の連中と一緒に行動する事が多かったっけ。
けど、あそこの上層部の連中ったら、あたしの事を口を揃えて「不細工」だとか抜かしよった。
そんな所にいたって気分が悪くなるだけだし、あんまりうだつが上がりそうになかったし、周瑜が引退した後、
魯粛の薦めで友人である孔明のいる帰宅部連合に参加する事になったんだけど……。
「なあ孔明。こないな娘が、ホンマにあんたの言っとった『鳳雛』なんか?」
部長の劉備さんってば、あたしのラフな格好を見てこう言い放ちよった。
やれやれ、人望厚い天下の劉備玄徳ともあろうお方までも、あたしの外見で判断して見下すなんてねぇ。
やっぱり所詮器の小さい奴なんだろうか…。
「いいえ、部長。外見で人を判断してはいけません。
この女性こそ、紛れも無く私の友人である『鳳雛』龐統です」
「ん〜、さよか。せやけど、ウチの方針としてまずは『班長』からやってもらおか」
劉備さんは、まだ私の力量っつーもんを理解していないようだった。
しょうがないので、とある班の班長になってみたものの、あまりにも仕事の中身がショボかったので、とてもやる気が起きなかった。
周りの生徒達は、私のボサボサの髪に分厚いメガネ、さらにはそばかすだらけの顔を見て、皆避けていたので、余計気分が悪かったし。
酒でも飲んでなきゃやってられなかったよ、ホント。
そんな訳で、とうとう班長の仕事をクビにされようかという頃、事態は一変した。
あたしを帰宅部連合に推薦してくれた魯粛から、劉備さんに書状が届いたのだ。
その後、慌ててあたしの元を訪れた劉備さんは、これまでの態度を一変させ、土下座しながら私に訴えかけてきた。
「龐統はん、ウチが悪かった!
あんたの才能を、もう少しで潰してしまう所やった!!
これからも、ウチらの為に働いて下さい!!」
どうやら魯粛が、あたしの為に世話を焼いてくれたようだった。
あたしは決して自分の実力に自惚れているつもりは無かったけれど、それでもあたしの事を正しく評価してくれたのだから。
「劉備さん、顔を上げて下さいな。
あたしゃ、そーゆーことをされるのが苦手でねぇ…ホント」
照れ隠しに、そう言ってみた。
帰宅部から除名される危機は去ったのでホッとしたのは確かだけど。
ともあれ、その後孔明の強い進言もあったのか、あたしゃいきなり孔明の次席について仕事をする事になった。
ついでに言っておくと、それまで溜まっていた班長としての仕事は半日で終わらせた。
「しっかしさぁ…アレだよねぇ。
あんたも運が悪いというか、何と言うか…。
あんたが部にずっと残っていたら、もう少し帰宅部のピンチを回避出来たかもねー。
少なくとも、関羽が暴走する事は無かったんじゃない?」
それから数年後。
あたしは卒業の際、既に学園を卒業した簡雍先輩と出会った。
酒好きという共通点もあり、互いに先輩後輩の垣根無しで、良く夜通し語り合ったもんだった。
今でも、その交友は続いている。
ちなみに、あたしが部にいられなくなった直接の原因である通称「落鳳事件」の際には自主退学も考えたが、勉学第一と考えて踏みとどまった。
「歴史に『IF』なんて禁句さね。
それに、もし『あの場』にあたし一人いたところで何かが変わったとは思えんし」
「ふーん、相変わらずの達観ねぇ。
どう?卒業記念に一杯やらない?」
「おっ、いいねぇ」
おっ、孔明の奴もこっちに来たみたいだ。
あいつってば、帰宅部の存続に奔走する余り、学業をおろそかにして単位を落として落第たあ、本末転倒だねぇ。
まぁ、あいつらしいって言えばあいつらしいけど。
「お二人とも、お揃いのようで」
「やー、落第生」
わざと強調して言ってみる。
これくらいからかっても良いわな。
「不注意で階級章を取られて、リタイアした人に言われたくありませんね」
「そう言うのを五十歩百歩って言うんだぞ、あんたら」
簡雍先輩の鋭いツッコミ。
この人、ボケだけじゃなくてツッコミまで出来たのか。
「悔しかったら、あたしみたく平穏無事に学園を卒業すりゃ良かったのにさ」
「…ふぅ、あんたにゃ勝てんよ。色んな意味で」
梅の花が咲き始めた校門を、3人で後にする。
ま、これからも何とかなるさね。
好きな酒と、かけがえのない友がいれば……。
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