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520:北畠蒼陽 2005/01/21(金) 21:30 [nworo@hotmail.com] -覇者と英雄(1/4)- 「あら、おいしい」 袁紹が少し驚いたように箸を止めた。 世界有数の名門、袁ファミリーお抱えの料理人の手によるものである。不味いわけがない。ないのだが…… 「なかなか上質の和牛が手に入りましたもので……」 慇懃に料理人が頭を下げる。 袁ファミリーの厨房を預かる人間をして『上質』と言わしめるその素材の味はいかばかりか。 もちろん値段も庶民的なものではないであろう。 「ふ、ん」 袁紹は少し感心したように皿の上の料理を見た。 料理人のセンスをうかがわせる上品なもりつけに袁紹好みの薄味。 不意に袁紹は箸を置いて立ち上がった。 「え、袁紹様。なにかお気に召さないことでも……?」 狼狽する料理人に袁紹は大輪の笑顔を見せる。 「その逆。すごくおいしい。すごくおいしいから……」 袁紹は言葉を切り、傍らに控える張コウに声をかけた。 「車を出してちょうだい。曹操にこれを食べさせてやりたくなったから」 曹操と袁紹が対立を始めて久しい。 学園最大手新聞『蒼天通信』を掌握した曹操と冀州校区の覇者でありまさに最強の勢力を誇る袁紹。 その対立こそ学園の事実上の最高峰へと登る道であった。
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