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521:北畠蒼陽2005/01/21(金) 21:31 [nworo@hotmail.com] AAS
-覇者と英雄(2/4)-

「も、孟徳ッ!」
「……う、にゃあ!?」
夢の中で泣きながら電子レンジの塩焼きを食べることを強制されていた曹操はその慌てたような声に叩き起こされた。
時計を見る。
……布団にはいってから1時間ほどである。
曹操は恨めしげに自分を叩き起こした隻眼の少女……夏侯惇にいった。
「いい夢見てたのに……それに寝てから1時間って起こされると一番つらいんだけど……」
本当に『いい夢』だったのかはよく思い出せないが。
「ばッ……! それどころじゃない! 袁紹が今、本陣のすぐそばまでやってきてるんだッ!」
「……ふぇ?」
曹操はぼ〜っと瞬きをした。

「久しぶり」
夜闇を照らす月明かりの中の袁紹の笑顔に曹操は苦笑する。
袁紹が今、いるのは自分の陣の前だ。
今、自分が『かかれ』と一言言えばいかに袁紹といえどもひとたまりもないだろう。
現に曹操側の面々は曹操のその『ヒトコト』を待ってじりじりしている様子が見て取れる。
今は敵味方に別れてはいるが曹操と袁紹は幼馴染だった。袁紹のその口調はまったくその当時のままだった。
今のこんな現状でも昔のままでいる袁紹を曹操はほんのちょっとだけすごいと思った。
「今日はうちの料理人がいい素材、手に入れたんでね。おすそ分け」
曹操は不審を顔に浮かべた。
「まさか電子レンジ?」
「……は?」
「いや、なんでもない。忘れて」
袁紹はなにを言っているのかわからない、という顔をしばらくしていたがすぐに肩をすくめてぱちん、と指を鳴らす。
曹操側の面々が『おぉ〜』と控えめな歓声を上げた。
「おすそ分け……昔はよくやったでしょ」
袁紹はくすり、と笑う。
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