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526:北畠蒼陽 2005/01/26(水) 23:16 [nworo@hotmail.com] -或る少女の最後の日- 「うふふっふ〜♪」 少女はうかれていた。 子供の頃からずっといじめられてきた自分が今、この場に立っていることが信じられなかった。 自分は一生、地虫のようにはいつくばって生きていかなければならないのだと思っていた。 それが…… 今の状態はどうだ! これだけの戦功を打ちたて! あの才能の塊のような少女を出し抜いた! この自分が、だ! それがなによりも嬉しく、だからこそ少女は有頂天になっていた。 「や、やっと荊州校区に錦が飾れるかな」 少女の名前は昜士載。漢中アスレチック攻略戦の最大の功労者であり…… ……そしてこれから悲惨な末路をたどる、そんな少女。 「おきろ、田舎モノ」 「……へ?」 いつの間にか寝入ってしまったのだろう、昜を起こしたのは冷たい声だった。 「え……? 鍾会、さん?」 冷たく自分を見下ろすその少女と少女が引き連れる部下たちに周りを囲まれている状況に昜は目を白黒させた。 鐘会士季。 生徒会の大功労者、鍾ヨウ元常の実の妹にして生徒会の次代を担う、と期待される逸材。 子供の頃からずっといじめられてきた昜とは正反対の陽光のあたる場所をずっと歩いてきた才能の塊。 そしてともに漢中アスレチック攻略戦を任された戦友…… だったはずだった…… パシッ! 鋭い音が室内に響く。 昜はなにが起こったのか理解できないような顔をする。 事実、彼女にはなにが起こったのかわからなかった。 いや、なにが起こったのかはわかったがなぜそうなったのかがわからなかった。 鐘会が昜の頬を打ったのだ。 「え……あ、え? 鐘会、さん?」 「うるさいぞ、田舎モノ。私の名前を呼ぶな、汚らわしい」 鐘会の冷たい言葉に昜は魂が抜けたように黙り込む。 なぜこんなことになったのか…… 少なくとも攻略に挑む前はこんなことは言われなかった。 昜の言葉も認めてくれたし、だから昜も彼女のことが嫌いではなかった。 なのに、なぜ…… 「昜士載、生徒会からの辞令だ。あんたのどもりはうざいから階級章剥奪とする」 鐘会が昜の目の前に紙を突きつける。 確かにそれは昜の階級章剥奪の辞令だった。 もっとも反乱を企てたことによる命令であり、決してどもりが理由ではなかったが。 「そ、そ、そんなこと考えてません! 鐘会さん、お、お願いです! 生徒会に抗弁の機会をください!」 しかし鐘会はその昜を鼻で笑う。 「バカか、あんたは。抗弁なんかさせたらあんたが反乱を企ててないことがばれるだろうが」 なにを言われたのかわからなかった。 わかりたくなかったのかもしれない。 「い、今、なんと……?」 「田舎モノは理解も遅いなぁ」 鐘会が酷薄な笑みを浮かべる。 普段は小悪魔的な少女であるだけに凄みがある。 「つまり、ね」 鐘会が昜の階級章に指をかけながら優しく諭すように言う。 「私よりも才能のある人間は許さない!」 昜はもう疲れたような表情をして鐘会のほうを見ることしか出来なかった。 「鐘会さん、わ、私は……あなたのこと、ダイスキだったんですよ……」 「奇遇ね、昜。私もあなたのこと好きだったわ。この漢中アスレチックであなたがそんな煌くものをひけらかさなければもっと好きでいられたのにね」 ぴっ…… 音を立てて昜の胸から階級章がはずされた。 ------------------------------------------------------- 完全に救われない話を書いてみました。 いや、鐘会・イン・ザ・ダークはこんな感じじゃないかな〜、と。 鐘会ファンのみなさん、ごめんなさい >< でも頭の中で考えてた段階では昜のこと足蹴にしてたんです ><
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