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571:北畠蒼陽 2005/02/18(金) 13:17 [nworo@hotmail.com] -Sakura- 第3話:平野突羽根 劉保、曹騰、梁商の3人は劉保の部屋でくつろいでいた。 ……広い。 広すぎる…… これが特権階級というものなのか…… 曹騰は唖然としたが、よく考えたら自分もこの部屋に住むことになるのだ。 さらに唖然。 「……わたくし? 2年生ですわ」 ファーストインパクトは恐怖しか感じなかった梁商も話してみるとやけにいいひとだった。 劉保はお茶を入れると言って(本当は梁商が『わたくしがやります』と言ったのだけど劉保が自分がお茶を入れたい、と言って譲らなかったのである) 「梁商さんは〜……じゃあ劉保のおつきかなにかなの?」 「えぇ、そうお考えください」 よかった。もう呼び捨てても怒られない。 曹騰はない胸をなでおろす。 「曹騰さんはどうしてカムロに?」 「え〜と……私のお姉ちゃん、曹節っていうんだけど『一流の人間になるためには一流のものに触れ続けるのが一番だ』ってのが持論で。この学園都市の『一流』ってやっぱり司州だからどうしてもここにきたくて。でも私、カムロになるくらいしかここにくる方法がなかったの」 私、頭が悪いから、と言ってえへへ、と笑う。 「なるほど……」 正直な曹騰の答えに梁商も苦笑をもらした。 「……だったらこうしてはどうかしら」 台所でお茶を入れていた劉保がティーカップを手に持ちながら話に加わる。 「私と一緒の先生に勉強を教えてもらう、というのは……はい、梁商さん、どうぞ」 「ありがとうございます、次期生徒会長……なるほど、『一流』に触れる、という観点から見るとそれもいいかもしれませんね。班昭先生をはじめとして学園の頭脳と呼べる方々に教わることができますから」 細い目をさらに細めてティーカップに顔を近づけお茶の香りを楽し……もうとして梁商は固まりつく。 なんで緑茶なんだろう…… まぁ、飲めるからいいか。梁商はにこにこと笑みを顔に貼り付けたままなにも言わない。 「はい、季興さんもどうぞ」 「ありがとう……でも私なんかが一緒に教えてもらってもいいの?」 「えぇ、かまいません」 にっこりと微笑む劉保につられて笑いかけながら曹騰はティーカップの中身を指差した。 「ところでなんでこれりょ……」 その瞬間、風圧にも似た強大な『気』が曹騰を襲う。 にこにこと笑顔の梁商。 その目は『次期生徒会長が入れてくださったお茶だ。黙って飲め』と語っていた。 「どうかしましたか?」 「なんでもないよ」 冷や汗を隠しながら曹騰は笑みを浮かべ、ティーカップを傾けた。 緑茶はおいしかった。
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