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587:北畠蒼陽 2005/03/04(金) 01:51 [nworo@hotmail.com] -Sakura- 第7話:墨染 「……」 部屋の中には沈黙が落ちていた。 曹騰、梁商にとって孫程の言葉は悪い話ではない。 もはや失うものなどなにもない。 しかし…… 「孫程、さんとおっしゃいましたね」 「……はい」 劉保は静かに孫程に語りかける。 「私に……お姉さまの指名なさった後継者と争え、とおっしゃるの?」 窓の外では雨が降っていた。 孫程の話は単純なものだった。 今の学園は秩序を失いつつある。 また劉保はなんらかの罪があって次期蒼天会長の座から降格されたわけではなく、前会長、安サマが閻姉妹の悪口を信じたために降格されただけにすぎない。 本来であれば蒼天会長は劉保が継いでもいいはずなのである。 秩序回復のために劉保に蒼天会長になってほしい。 孫程の話は本当に単純なものだった。 「お姉さまの意思に逆らうのは私の本意ではありません。申し訳ありませんが聞かなかったことにさせてもらいます」 蒼天会の内外で閻姉妹の横暴に対する批判の声は根強く残っていた。 劉保が一声発すれば理解あるものの賛同が得られるであろう。 ただ…… 劉保本人だけがそれに反対していた。 「済陰の君閣下……学生たちはみな秩序を求めています。貴女が一声発すればそれに賛同し、貴女を蒼天会長の座へと導くことでしょう。決して勝ち目のない戦いではありません」 孫程の言葉に劉保はゆっくり首を横に振る。 「勝ち目のあるない、が問題ではないです。ただお姉さまと争いたくないだけなのです……孫程さん、これ以上なにもおっしゃらないでください」 曹騰、梁商にとって劉保の今の状況は当然、納得できるものではない。 しかし劉保がそう考えているのであれば反論することなどできはしない。 劉保は奥に下がり、部屋に曹騰、梁商、孫程だけが残された。
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