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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
65:玉川雄一2002/04/01(月) 00:08
◆ 学園世説新語・第4話 〜鍾姉妹のドキドキ☆メイクアップ大作戦!〜 ◆
草木も眠る丑三つ時。っつぅ言い方は古くさいか。要するに、深夜。
良い子も悪い子も寝る時間、とりわけ女の子が夜更かししてちゃあいけない時間帯のこと。
ここは蒼天学園学生寮。ゴソゴソという物音に、鍾ヨウは目を覚ました。
もとより、“あの”張遼が寝ずの警備をしているという事実無根の噂が立っているぐらいのことはあり、
誰かが忍び込む、ということは万に一つもありえない。となれば、物音の主は同室の人物に違いなかった。
「ねえ士季、やっぱりやめましょうよ」
「大丈夫だって。お姉ちゃんは心配性なんだから…」
(あら、二人してなにやってるのかしら?)
どうやら、ルームメイト、というか妹なのだが、鍾毓と鍾会が二人して何やらやらかしているようだ。
鍾ヨウは何とはなしに、声を掛けずに密かに見守ることにしてみた。気付かれないように体勢を変え、声のする方に注目する。
「えっと、確かここに…」
「ねえ、本当にあるの?」
鏡の前で、何かを探しているらしい。別に見つかって困るもの… は見つかるような所には置いていない(笑)のだが、
妹たちが何をしようとしているのかはまだ分からない。
「間違いないよ。朝、姉さんがここにしまうの見たもの。 …あ、あったあった!」
「ちょっと、声が大きいわよ! 姉さんが起きたらどうするのよ」
(…まあ、もう起きてるけどね)
鍾ヨウは心の中で苦笑する。ちなみに、鍾毓は姉妹の真ん中なので、鍾ヨウを「姉さん」と呼び、妹は「士季」と呼ぶ。
末妹の鍾会は、長姉の鍾ヨウを「姉さん」、次姉の鍾毓を「お姉ちゃん」と呼び分けていた。
ともあれ、二人は目当てのブツを発見したようだった。窓から差し込む月光のお陰で部屋の中はうっすらと明るくなっており、
目が慣れてきたこともあってその手にしているのが何であるかおぼろげながら分かるような…
「これこれ。新色なんだって。アタシも使ってみたい、って言ったら、
姉さんたら『あなたにはまだ早すぎるわ』って言うのよ。失礼しちゃうわよね」
「まあ、確かにねえ… でもどんなのかなあ。私にも似合うかな」
(なるほど… ホントに、あの娘は目ざといんだから)
つまり、鍾ヨウのルージュを持ち出しているのだった。まったく大した姉妹である(笑)
いい意味で大人びて見える鍾ヨウには、ちょっと濃いめの色が何とも艶やかなイメージを与える。
美女揃いの姉妹の中でセンスの良さも卓越しており、嫌味にならないのがさすがというべきか。
二人の妹も負けず劣らずで、三者三様の美少女っぷりをいかんなく発揮していた。鍾会は別の意味で特に。
どちらかというと小悪魔系の彼女には少々おマセなぐらいではあったが、素質は十分なのである。
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