★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
664:雑号将軍2005/06/15(水) 22:06
 ■影の剣客 その四
 激戦が終わり、長社棟の体育館で行われたささやかな祝勝会。
「みんな、よく頑張ってくれた!今日は戦いの疲れを癒してくれ!それでは・・・乾杯!」
 皇甫嵩の音頭と共に祝勝会が始まった。
音頭を終えた皇甫嵩が舞台から降りると、朱儁がグラスを片手に立っていた。その横には朱儁よりも小柄な少女が背筋をピンとたたせ起立していた。
「どうした、公偉。こんなところで」
「あっ、義真。紹介するわ。今回義真の作戦を見抜いた――」
「皇甫嵩先輩ですよね?あたしMTB(マウンテンバイク)隊長をしてる曹操、あだ名は孟徳って言いますっ!あ、あのよろしくお願いしますっ!」
 朱儁が紹介しようとするのを遮って、少女つまり曹操はあいさつすると、腰を曲げるようにして頭を下げた。
「上官を見て硬くなるのはわかるが、もう少し落ち着いたらどうだ。朱儁まで使って私を捕まえようとしたのだ。なにか訊きたいことがあるのだろう?」
 皇甫嵩は舞台裏の壁にもたれかかり、腕を組む。
「・・・・・・さすがは皇甫嵩先輩。では、率直に伺います。皇甫嵩先輩の部隊はいったいなんなんですか?あの異常なまでの強さ。恥ずかしいですけど、戦場に着いたとき、足が震えました。そんなプレッシャーを放てる皇甫嵩先輩たちはいったい何者なんですかっ!?」
 曹操は見上げるようにして、長身の皇甫嵩の目をしっかりと見つめる。
「今回の作戦に参加した私の部隊は『抜刀隊』だ」
「『抜刀隊』・・・・・・」
 曹操は自分の記憶をひもとくが、どこにもその名前は記されていなかった。
 皇甫嵩は続けて言う。
「知らないのも無理はない。今回が『抜刀隊』の初陣だったのだ。皆、私と同学年の『格闘技術研究所』に所属している者たちだ。私を含めた『抜刀隊』のメンバーは皆、示現流を使う。そのため『人に隠れて稽古すべし』という心得に忠実でな。今まで表立って何かをしたことがないのだよ。言うならば影の剣客だ・・・・・・」
 皇甫嵩の凛とした声が舞台裏に響き渡った。
「影の剣客・・・・・・」
 曹操はそう呟いた。
話し終えた皇甫嵩が腕組みを解いたその刹那、皇甫嵩の話に聞き入っていたかに見えた曹操が皇甫嵩の胸に飛び込んできた。
「なっ、なんのつもりだ。曹操!」
 皇甫嵩の問いかけもなんのその、曹操はなにか考え事をしている。
「七二・・・違う・・・見切った!七六だ!」
 曹操の言葉が皇甫嵩の耳の先まで真っ赤に染め上げた。曹操は皇甫嵩のバストをズバリ言い当てたのだ。
 横にいた朱儁も曹操の見事な答えに目をパチクリさせている。
「はっ、離れんか。この無礼者!」
 皇甫嵩が強引に曹操を自分の胸から引きはがす。
「はあ、はあ・・・・・・。まったく貴様にはわずかな油断が命取りとなりそうだ」
 なんとか曹操を引きはがした皇甫嵩の息は上がっていた。
「お褒めにあずかり光栄です。お礼にこれ、差し上げます」
 曹操はそう言うと胸ポケットから一枚の写真を取りだした。
「誉めてなどいない!・・・写真?・・・・・・なっ!」
 皇甫嵩は絶句した。その写真には盧植に抱きつかれて狼狽した自分の姿が写っていたからである。
 皇甫嵩が顔を引きつらせ、こみかみをピクピクさせている。
そして、曹操を捕まえようと顔を上げたとき、つい数秒前までそこにいた曹操の姿はなかった。
「・・・公偉。ヤツは?」
「写真を渡すなり、帰っちゃったけど?」
 朱儁の回答に皇甫嵩は目を丸くして驚いていた。しばらく目線を落としていたが、あるとき何かが吹っ切れたのか大声で笑い出した。
「はっはっは!曹操か・・・・・・その名覚えておくぞ」
 皇甫嵩は振り返ると舞台裏にある窓から見える空に向かってそう言った。
「そんなに胸の大きさを当てられたのが悔しいの?」
「う、うるさいっ!い、行くぞ、公偉!」
「あ〜ん。待ってよ、義真〜!」
 皇甫嵩は朱儁から目をそらすと、スタスタと会場の方へと走っていった。
 外ではさわやかな秋風が吹き抜けていた・・・・・・。


  「あとがき」みたいなもの・・・・・・

 長くなってしまいました。ほんともう、なんかぐだぐだになってしまってますね。次回までにもっと練習しておきます・・・・・・。
 僕が皇甫嵩萌えになった理由は雪月華様の「倚天の剣」を読んで皇甫嵩のかっこよさに気がついたからです。だから、雪月華様の「倚天の剣」で紹介されていた皇甫嵩が大活躍する長社棟を書いてみたいなあと思って書いてみると・・・・・・申し訳ありません!僕のレベルではここまでしか表現できませんでした・・・・・・。
 戦いは「倚天の剣」で書かれていたことを基本にし、ほんのちょっとだけ手を加えさせていただきました。
 後、雪月華様の設定には「皇甫嵩と曹操が師弟のような関係」みたいなことが書かれていたような気がしたので、皇甫嵩と曹操の初めて?の出会いを書かせて頂きました。
 雪月華様。雪月華様が創られた設定を無断で使用してしまったことに不快感を感じられましたなら、なんとお詫びしたらよいかわかりませんが、この場を借りてお詫びさせて頂きます。
 こんな長々しい文章にお付き合い頂きありがとうございました。
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