★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
685:北畠蒼陽2005/06/19(日) 12:30 [nworo@hotmail.com]
「……って知ってるぅ?」
「はぁ?」
李崇は唖然として部長……孫権の言葉に頷くことも出来ず、語尾を上げて聞き返した。
その態度はいささか礼儀知らず、といわれてもおかしくないものであったが当の孫権は気づかないようで『ちょっと会ってみたいかもね〜』などと言っている。
李崇は孫権の目をまじまじと覗き込んだ。
まだ孫権が精神不安定状態から脱却していないかと思ったのだ。
しかし李崇の思惑に反し、孫権の目は明らかに正気だった。李崇はさらに愕然とする。

――正気でそんなのがいると思ってるのッ!?

いや、いやいや。もしかしたら自分の聞き間違いかもしれない。
そうそう、自分の聞き間違いだとしたらなんの問題もない。
「あの、部長……あの、もう一度、おっしゃってもらえます?」
李崇の言葉に孫権はにっこりと笑っていった。
「揚州校区の臨海棟に美少女宇宙刑事がいるんだってさ♪」

李崇はかなり死にたくなった。


戦え☆美少女宇宙刑事 王表!
第7話『きゃっ♪ 部長さんに会っちゃった☆』


そんなわけで李崇は臨海棟にいた。
なんで自分がこんなところにいるんだろう、とかそういうことは何度も考えたけどもう考えるのはやめた。
んっと、名前は確か……
棟長に『美少女宇宙刑事』とやらを探させてる間に棟長室の柔らかいソファに寝転がって李崇はその資料をぼんやり眺めた。

名前は王表。
普通の日本語をしゃべり、普通のご飯を食べるが、ややマヨネーズが好きらしい。
授業にはあまり出ていないらしくクラスに姿を見せることはまれらしい。

――普通のひとじゃんッ!

李崇はこれまで何度も繰り返した心の中のセルフツッコミを敢行する。
「あの……李崇さん」
「ん、あ、あぁ。見つかった?」
物思いにふけっている間にいつの間にか帰ってきたらしい棟長の言葉に李崇は現実に強制的に引き戻された。
「えぇ……見つかっちゃいました」
棟長は言外に『見つからなければよかったのに』と雄弁に語りながら残念そうに頷いた。
その気持ちは今の李崇にはよくわかる。
「大丈夫。あとは私が引き受けるわ……よくがんばったわね」
「すいません、お願いします。私じゃもう無理です」
完全に弱気に陥ってしまった棟長を痛ましく眺めながら……
李崇はその背中に隠れるようにしている小柄すぎる人影を見た。
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