★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
723:北畠蒼陽2005/07/10(日) 00:17 [nworo@hotmail.com]
ぱちぱちぱちぱち……
場違いなほどに緊迫した空間に拍手が響く。
「王昶、すごいなぁ。王基を一蹴かぁ」
ずっとその決戦の行方を見ていたのだろう、毋丘倹が柱の影から顔を出す。
「一蹴ってほどでもないさ。今日はたまたま私に軍配が上がっただけ」
毋丘倹がいたことに驚くことすらなく興味もなさそうにため息すらまじえながら王昶がいう。
「私はどう料理してくれるのか、楽しみになってきちゃうな」
「我に策なし。困ったなぁ」
嬉しそうに微笑みながら構えを取る毋丘倹に王昶はにやにやと笑いながら再び猫背になる。
一触即発。
緊迫感だけがどんどんと高まっていく。
現生徒会最強を決めるにふさわしい勝負が……

王昶の後頭部に枕がぶつかった。

……あっけなく終わった。
王昶だけでなく対峙する毋丘倹も不思議そうな顔をする。
「私がいるってこと、忘れてもらっちゃ困るわね」
……胡遵。
「あ、いたっけ。すっかり忘れてた」
「あー、地味すぎだよぉ」
王昶だけでなく毋丘倹からも忘れられていた。
「え……忘れていた、って冗談、よね?」
胡遵の言葉に2人はそろって首を横に振る。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ひどいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
胡遵は泣きながら走り去った。
あまりといえばあまりな仕打ちである。

「えぐ……えぐ……」
戦い終わってみんなで温泉に浸かっていた。
大浴場だから結構広い。
「胡遵泣かないで。大丈夫だから」
州泰が慰めているがなにが大丈夫なのだろうか。
文欽と諸葛誕は目すらあわせようとしない。目があったら血の雨が降る、多分。
楽チンはお湯に顔を半分浸からせてぶくぶくさせて遊んでいる。結構満足そうだ。
毋丘倹は文欽と諸葛誕のフォローに入ろうかどうか迷っているようだ。気苦労が耐えない性格である。
令孤愚は昜をからかって遊んでいるようだ。確かにからかいがいはあると思う。
「……文舒、ぼーっとしてどうしたの?」
同級生たちをただ見ていた王昶に王基が声をかける。
「いや……変なやつらだなぁ、と思ってね」
「……朱に交われば赤くなる、ってやつね。文舒も十分に変だってことを自覚したほうがいいと思う」
王基の身も蓋もないセリフに王昶は苦笑を浮かべながら手ぬぐいを頭の上に乗せた。
1-AA