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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
728:烏丸 沙宮 2005/07/10(日) 20:13 五将軍+1の妹たち、の朝。 まず見えたのは少女の左足。外気にさらされて寒いのか、すぐ足を引っ込める。そこに。 「張雄!起きろ!!今日は日直だろう!」 張雄と呼ばれた少女は、寝ぼけ混じりに、布団を引き上げた。 「于圭、うるさい・・・。」 「うるさいじゃなーい!おりゃ!」 于圭と呼ばれた少女は、無理やり掛け布団を引っぺがし、自分のベッドへ押しやった。張雄は今度は敷布団をかけようとする。 「起きろっつってんの!」 肩関節を軽くひねり、あとの足やら腕やらを捕らえると、軽く引っ張る。そうして、今日も今日とて大音量の悲鳴が響くのであった。 「きゃああああああああ!!」 起きた二人は、徐蓋と李禎の部屋へ向かった。于圭が立ち止まる。 「どうかしたの?于圭。」 張雄が尋ねると、于圭は顔をしかめた。 「どうもこうもない。またあれが妙なものを作っていたら、今度こそ無事ではすまなくなるからな。」 于圭のいいように、張雄は首をすくめた。ありえないとでもいうように。 「いくらなんでも、李禎が居るところで作ったりはしないでしょ。徐蓋はそんなに常識はずれじゃないと思うな・・・。」 「私もそう思う。いや、そうであって欲しい。だが、あれは徐晃先輩と張遼先輩(じぶんのあねとそのゆうじん)の前で"マックスコーヒー"なるものを煮詰めていたからな。あれは煮詰めてはいけないだろう?だから、私はそんなに楽観的にはなれない。」 于圭が苦笑しながら張雄に説明すると、急に扉が開いた。見ると、噂の徐蓋である。 「于圭、あなたは私をなんだと思ってるの?」 呆れながら出てくる。後ろには李禎も居た。張雄が驚く。 「へえ、徐蓋起きてたんだ。」 「あの音量を隣で聞いてたら、誰だって起きるわよ。」 あの音量とは、言うまでも無く張雄の悲鳴の音量である。李禎がさわやかに言った。 「おはよう、于圭ちゃん、張雄ちゃん。張雄ちゃん、今日はよろしくね。」 「ああ、よろしく。」 そういっているところに、二つの人影が近づく。真っ先に気付いた李禎が挨拶した。 「あ、張虎ちゃん、楽チンちゃん!おはよう!」 「おはよー!今日もいい天気だね李禎!うけーたちおはよー!今日も凄かったねぇ、張雄の悲鳴。」 「おはよ。」 頭を抱えながら張虎は挨拶をする。徐蓋が尋ねた。 「どうしたの張虎。またいつもの?」 「うん。気にしないで・・・。」 いつものとは、立ち眩みのことだ。この少女は頻繁にある。まあ、成長している、ということだろう。楽チンが言った。 「それより、早く食堂行こう。お腹減ったー!」 その意見で、四人は食堂へ行くこととなった。
729:烏丸 沙宮 2005/07/10(日) 20:15 流石に、朝も早いこの時間、食堂には人がいなかった。四人は、自分の分のトレーを受け取ると、いつもの席へ向かった。 それぞれに食べ始めると、二人の女性が近づいてきた。 「あ、張遼先輩、李典先輩。」 真っ先に気付いた于圭が言った。それは、犬猿の仲とも呼べる組み合わせだった。そんな二人が食堂で食べるとは、珍しい。 「おはよう、皆。」 「おはよう。」 先輩が挨拶したからには、こちらも挨拶し返さないといけない。 「「「「「「おはようございます!」」」」」」 そして、二人は席に着いた。張遼は張虎の隣。李典は李禎の隣。真反対の方向であった。二人の先輩は気にしないで食べ始める。 やがて、李典がお代わりすると言い出した。飯櫃に一番近いのは張遼である。張遼が厭味たらしく言った。 「あらー、李典さんお代わりするの?運動しないのに?そ ん な だ か ら最近横っ腹が出てきてるんじゃありませーん?」 李典も負けじと言い返す。 「あらー、じゃあ張遼さんはお代わりしないの?そ ん な だ か ら試合中集中力が途切れたりするんじゃありませーん?」 二人の視線は、冷たい氷のように寒い空気を生み出した。それに気付いた徐蓋が言った。 「李典先輩、私がくみます!」 徐蓋の伸ばした手に、李典のお茶碗が乗っかると、張遼は『フンッ』とでも言うようにそっぽを向いた。それに胃を痛くしたのは李禎である。 「どうして二人とも、仲良くできないかなぁ・・・。」 学校へつくと、張雄と李禎とは分かれた。二人は日直なのだ。階段を上りながら、楽チンはのんきに言った。 「今日も仲悪かったねぇ、張遼先輩と李典先輩。」 「そうだねぇ。卒業しても、お姉さまと李典先輩の仲はよくならないと思うな。」 受け答えをする張虎も、のんきなことだ。于圭は呆れた。 「張虎、お前には自分の姉たちを仲良くさせようとする気は無いのか。李禎はあんなに胃を痛めてるというのに・・・。」 「だって、無駄でしょ?」 悪びれず答える。こんなのを説得するほうが時間の無駄である。そんなこんなで、教室に着いた。 「ねえ于圭、今日の数学の宿題やった?見せてー!」 教室に着くなりそんなことを言っている楽チンに、于圭は特大の怒鳴り声を浴びせた。 「そんなん自分でやれぇーーー!!」
730:烏丸 沙宮 2005/07/10(日) 20:19 ごめんなさい、張虎の設定も好き勝手っぽいっすこれじゃ・・・。 それより、徐蓋のブラックな設定も活かせなかった・・・それよりキャラが大爆発してるのは于圭ですね。レッツ、突っ込み役。。。
731:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 20:50 [nworo@hotmail.com] >烏丸 沙宮様 うけータンかわいいよ。うけータン。 ちなみに多分、王昶&王基世代と五覇妹ズ(ごはいもず)は世代的にタメと思われるので私も小説に使いやすかったり! なんだ結局は自分がかわいいのか!あぁ、そうさ!(ナニ? でも実際になにをやったか、ってエピソードが残ってるのは楽チンの『しょかつたんにころされちゃった。てへv』だけなんだよなぁ…… エピソードなくて使いづらいなぁ。 うけータン、もっとがんばらなぁあかんよ?
732:雑号将軍 2005/07/10(日) 21:06 >烏丸 沙宮様 おお!ついに学三もここまで来ましたか!!たぶん、どこの三国志小説サイトさがしても、魏の五将軍の息子(妹)が登場するのはここしかないでしょう! お疲れですっ!お見事です!僕も于圭いいと思いましたよ〜。彼女らのキャラ絵が楽しみです! 僕も五虎将軍の娘たちやってみようかな。 そう言えば、呉でもし五将軍がいたとしたら誰だったんでしょうね。
733:海月 亮 2005/07/10(日) 22:09 >五覇妹ズ とうとう来やがったかッッ!!(;;゚Д゚) てかマックスコー○ーを煮詰めたらヤバいですよ、マック○コーヒーは。 海月も大学の旅行で出会ってトラウマになった飲みモノですし…(((((;;゚Д゚))))) >呉の五将軍 そういえばそんなの考えたこともないぜコンチクショウ_| ̄|○ 呉で五人…孫堅、程普、韓当、黄蓋、祖茂ですか?とか本気で言いそう。 その頃にはまだ組織としての「孫呉」という概念もなかったはずだし…。 呉書第十から適当に誰か見つくろってみます?
734:海月 亮 2005/07/10(日) 22:11 「独立政権を作るべきではない」 隣に腰掛けた、赤い髪の小柄な少女がそう呟く。 「董昭たちが何考えてるのかなんて知らないけどさ、文若が考えていることなら良く解ってるつもりだよ…でもね」 私が彼女と行動を共にするようになってから、既に二年の月日が流れていた。 乱れた学園を自らの手で立て直すと言って、ただがむしゃらに駆け抜けてきた少女と共に、何時か自分も彼女と同じ夢を見ているような、そんな気がしていた。 「“魏の君”の名前なんて、あたしにとっては“奸雄”の呼び名となんら変わることもないんだ」 「…ええ」 そう言った瞳も、彼女の心も、私が知る彼女のまま、変わることはなかった。 何時から、それが食い違っているように思えるようになったのだろう? 董昭が発議した、魏地区独立政権樹立運動の頃からだろうか? 彼女が、実績や品行を問題とせず、広く人材を募ると言う「求賢令」の発令を求めた時だったろうか? それとも…彼女が孔融先輩を不敬罪で処断した時から? もしかしたら、もう私が彼女と出会ったそのときから、それはあったのかもしれない。 私が勝手に作り上げた「彼女のイメージ」と、現実に目の前にいる「彼女本人」の違い、というものが。 -輪舞終焉- 私は部屋の中、彼女が寄越してくれたと言う箱を眺めていた。 何処にでもある、ケーキを入れるような真っ白な紙の箱。 中身は何も入ってなくて、何か書いてあるのかと思って分解してみても、文字どころか何の汚れも見当たらない。 中身のない、純白の空箱。 もしかしたらコレは、それ自体が彼女のメッセージなのかもしれない…そう思い至るのに時間はかからなかった。 その意味しているものに思い至った時、私はそれに気づいてしまった自分自身を呪わずにいられなかった。 「自分からはもう取るべきものは何もない」 すなわち、もはや「曹操」にとって、「荀撻が無用の存在である…そう示唆しているようにしか思えなかったからだ。 私の瞳から、堰を切ったように涙が溢れた。
735:海月 亮 2005/07/10(日) 22:12 そのあと、どのくらいの間、そうしていたのか解らない。 何時の間にかあたりはすっかり暗くなっていて、その夜闇の中、目の前に鎮座している白い紙箱が、妙に目立って見えた。 たんに瞬きもせずに目をあけていたせいのか…それとも、既に涙も涸れ果ててしまったのか…乾ききった私の瞳には、その白さがただ、痛かった。 私はそれを燃やしてしまおう、と思った。 この中に彼女との想い出も詰め込んで、一緒に焼いてしまえばいい…楽しかったことも、辛かったことも…そうすれば、楽になれるような気がした。 私はマッチと、火が周りに燃え移らないように大き目の皿を取り出し、その上に紙箱を置いた。 おもむろにマッチを一本取り出すと、ふと、脳裏にひとつの考えが浮かんだ。 「もし…このまま私が死ぬのなら…神様は幻でも見せてくれるのかしらね…?」 誰に言うともなく、そう呟く。 昔読んだ童話では、少女は寒空の中、売れ残ったマッチの火の中に、楽しかった思い出の日々の幻を見ていた。 だったら、すぐに消えてしまうマッチの火ではなく、この紙箱を燃やしたら、何が見えるのだろう? 捨て去ろうとした想い出が、走馬灯のように流れていくのだろうか? 自分がまだ、こんなことに思いを馳せるくらいの心の余裕があったことに、私は苦笑した。 そして…マッチに火をつけ、紙箱の中に投じた。 燃え盛る火の中に、やはり幻は見えない。 ましてや、私が彼女と過ごしてきた日々の想い出も、心の中に色褪せず残ったまま。 そんなことは解りきっていたことだ。この行為に何か意義があるかどうかなんて、期待はしていない。 だったら、私は何を求めていると言うのだろう? 彼女との想い出を、総てなくすことなのだろうか? それとも、またあの頃みたいに、一緒にいたいというのか? 「…解らないよ…」 私は頭を抱えた。 切なくて、苦しくて…気が狂いそうなほど、何かを求めているのに、その「何か」が見えてこない。 私は、この火に何を求めようとしたのだろう? いや、この白い箱の中に、何が入っていることを望んでいたのだろう? 心に渦巻く奔流が、その堰を破って噴出そうとした時。 「荀揩ヘ、荀揩ナあればいいんだよ」 はっきり聞こえたその声に、私はその声の方向へ振り向いた。 何時の間に開け放たれたのか…さして明るくもない廊下の非常灯が、嫌に明るく見えて私は目を細めた。 そこにいた人影が、一瞬彼女に見えた気がしたが… 「…公達」 いたのは、穏かな笑みを返す、同い年の姪っ子だった。 「伯母様、その箱の中には…何が見えました?」 その声の中に、求めて止まなかった幻はもう、消えうせていた。
736:海月 亮 2005/07/10(日) 22:13 それから、その火が燃え尽きるまで、ふたりでただそれを眺めていた。 相変わらず目に映るのは、炎の柔らかな緋の色と、その中で黒く小さく変わっていく、白かった紙箱の慣れの果て。 私には、まるでそれが今の…いや、これまでの自分のように思えていた。 緋の炎は彼女。 私はその中で、その炎が消えないようにしてきたんだと、そう思えてきた。 だったら…その「白い箱」が私自身であったと言うのなら… 「…なぁんだ」 私はきっと、とんでもない思い違いをしていたのかもしれない。 きっとこの白い箱には、最初私が思い込んだ意図など、何処にもなかった…。 「答え、見つかりました?」 「ええ…荀揩ヘ荀揩ナしかない、って、こう言うことだったのね」 私の心の靄は、もうすっかり晴れて…その向こうにあった私なりの「答え」を、ようやく見つけることが出来た。 合肥棟の屋上で、眼下の戦場を眺める少女ふたり。 眼下の喧騒に比べ、曹操と夏候惇がいるその場所だけが、まるでそこだけ別の世界のように静かだった。 「文若さんたち…引退、するんだってな」 「うん。でも…いいんだ」 背後に立つ従姉妹に振り向くこともなく、寂しげな笑顔を空に向けながら、曹操は呟いた。 「あたしの気持ち、ちゃんと解ってもらえたと思うから」 「そうか」 少女は、かつて自分を影ながら支えてくれた少女が身に付けていたストールを翻す。 (今まで…ありがとう。たまには、学園から出て一緒に遊びに行こうね) 今まで影ながら支えてくれた少女に、彼女はしばしの別れを告げた。 その瞳から流れる涙は、風が払ってくれた。
737:海月 亮 2005/07/10(日) 22:22 重苦しい話でごめんなさい_| ̄|○ 「蒼天航路」29巻と「静かなる夜のまぼろし」見てたらこんな話が書きたくなっただけなんです…。 二宮の変もそろそろやりたいんですが…構想がまとまらないので先にもうひとつの大ネタにとっかかります。 孫皓関係の話なので、多分めちゃめちゃ重苦しい話になるでしょう。
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