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746:北畠蒼陽 2005/07/17(日) 10:40 [nworo@hotmail.com] 「〜♪」 王昶がお気に入りの洋楽を口ずさんでいる。 王基がそれを胡散臭そうな顔で見た。 王昶はスカートの丈をヒザ下まで伸ばし、別に目に異常があるわけでもないのに右目にアイパッチをつけている。本人に聞いたら『ファッションだ』と言い張ることだろう、恐らく。 ちなみにアイパッチにディフォルメされ可愛くなったドクロのマークが描かれているところなんぞはもうどうツッコんでいいのかすらよくわからない。 だがそういう王基からして曹爽副官時代に着ていたボレロを身に着けているのはアナーキーっぷりを存分に発揮しており、いい感じといえるかどうかすら微妙なのだが。 東興の日 その日、長湖部の巨人、孫権が引退した。 これは蒼天会にとって混乱しているであろう長湖部を打ち倒す千載一遇のチャンスであった。 司馬師はこの機を逃さず諸葛誕と胡遵を東興に、王昶を南郡に、毋丘倹を武昌に進めさせた。 これは現蒼天会を代表する人材であり、まさに司馬師のこの一戦にかける意気込みが伝わるものであった。 「まさに無人の沃野を征くが如し♪」 王昶が本陣とする仮設テントの長机に腰掛けながらご機嫌に呟いた。 王基は微妙な表情をする。 確かに『無人の沃野』だ。人がいなさ過ぎる。 恐らく東興か武昌に全軍を集結させているのだろう。 そちらの戦線が敗れれば……あまり好ましい事態にならないことは確かだろう。 王昶が王基の表情に気づき苦笑する。 「わかってるって、私だってバカじゃない……まぁ、かった〜い校舎があるんだからそれを利用した防衛、ってのが正攻法。多分、敵が集結してるのは胡遵のとこだろうね」 「……うん。だったら今、惜しいものは時間」 「そぉそ♪ OGの孫ビン先輩は敵国に攻められた趙を助けるために敵国の本校舎に直接攻めかかったらしいけどね。つまり私らのなすべきことは……」 「……今だから建業棟を目指す。それがわかってるんだったら……」 すぱこーん。 王基が王昶の頭をスリッパで叩いた。 いい音がした。 「……テントなんか撤収してとっとと動く。一刻一秒の無駄は許せないわ」 「えぇい、伯輿だけが副官ならわざわざ意思確認なんて必要ないわい! 他にもひとがいるから意思疎通のための会議が必要なんでしょ!」 頭を庇うように腕を上げて王昶が王基に抗弁する。 ……まぁ、それもそうか。 王昶の妹の王渾をはじめとして幕僚には恵まれている。だが恵まれてはいるものの意思疎通は重要だ。 「……じゃ、もういいでしょ。動く動く」 「ぇー、まだいいよー。胡遵も諸葛誕もバカじゃないんだから。まともに戦闘せずに時間稼ぎに徹してさえくれれば私と毋丘倹でなんとかするさ」 王基が拳を振り上げると王昶はカンフーポーズで対抗した。よくわからない。 伝令が息を切らして王昶のテントに飛び込んできたのはちょうどそんなときだった。
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