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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
760:海月 亮 2005/07/21(木) 19:02 …知らなかった…今私が牛耳ってたのか(;´Д`)(>呉末 てか私はエモノを何にしようかにすら考えてなかった(^^A とりあえず丁奉が柳生新陰流&北辰一刀流、虞姉妹は流派未定ですが杖術のなにか、陸凱は御殿手、呂拠は少林の棍法って言うのが海月の妄想設定なのであります。 香取神道流とか二天一流なんかどうですかね? あと、一人称とかも変えちゃって吉かも知れませんよ? 精神的な成長を果たした、ってことで。
761:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:13 [nworo@hotmail.com] 「うわ! あつぅ〜っ!」 前線から聞こえてくる声に朱績は唇を噛む。 見上げれば校舎屋上に敵主将、王昶の姿。 その手にはカップ焼きそば。 どうやら屋上から下に向かって湯きりをしたらしい。 お湯の直撃を受けた人はいないようだが……こうもあからさまな挑発はむかつくっ! 鼻歌でも歌いだしそうな……いや、実際に歌っているのかもしれないが……表情で焼きそばにソースと青海苔を絡めている。どうやらマヨネーズは使わないらしい。 「……あい……つ……!」 朱績は眉を危険な角度に吊り上げながらぎゅっと竹刀を握り締めた。 夾石のディキシィ それは長湖部の人間にとって信じられないニュースであり、第一報を聞いたときは誰もが耳を疑ったものだった。 諸葛誕の蒼天会造反。 誰がこんな展開を想像したことだろう。 確かに長湖部にとって諸葛誕という人物は課外活動で実績を残しているわけではなかったが、それでも揚州校区の北側で睨みをきかせるその姿は目の上のたんこぶという以外の形容詞がなかった。 諸葛誕はすぐさま妹を長湖部に派遣し援軍を要請。 孫リンはこの機を逃さず文欽、唐咨らを派遣した。 長湖の畔が激情に揺れる。 本当に大丈夫? 承淵はあたしにそう聞いた。 そのときあたしはどう答えただろうか? よく覚えていない。 だけど恐らく……承淵を怒鳴りつけただろう。 『あたしがあの女に負けるとでも思っているの!?』と。 承淵の心配があたしの能力を疑っての悪意のある発言ではないことはわかっている。 あたしはわずか半年前にあの女にいいようにされ、陸凱によってなんとか救い出されたようなものだった。 心配する気持ちはわかる。 だけど…… ……だからこそあたしはあいつに勝たなきゃいけない。 江陵棟の主将として諸葛誕の援軍として動こうとすればどうしてもあいつとぶつからなければならない。 今度こそ…… 今度こそ目に物を見せてやる。 見てなさいよ、王昶! あたし……朱績は竹刀を振った。 あたしの予想通り王昶は私が援軍として動くことを阻むように新野棟から夾石棟までのこのことでしゃばり、そしてあたしを挑発するようにまともに戦おうとしなかった。 あいつの目的が時間稼ぎだってことはわかっている。 こっちが援軍にいけないことで困窮していくのは蒼天会ではなく長湖部。 あいつはただへらへらと時間を稼げばいい。 しかしあたしたちにはあいつらを無視して前に進むこともできない。 後ろに敵を残したまま前進するなんて危険な真似、できやしない。 つまりどちらにしてもあたしはあいつにつきあってやらなければならないのだ。 あいつをトばさなきゃいい夢なんて見ることできるわけないじゃない! その感情は多分、恋にも似てた。
762:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:14 [nworo@hotmail.com] ここ何日か夾石棟を包囲し、それを陥落させようと躍起になってはみたものの、あたしの打つ手はほとんど先回りして潰されているような状態であった。 あたしはあいつには勝てないんだろうか。 いや、弱気になっちゃダメだ、朱績! そして今日も…… 「しゅ〜せきちゃ〜ん!」 ……屋上からの拡声器の声。 1日に1度はこれを聞かされる。 挑発だとはわかっているけどどうしてもむかつく。 「期待してたんだよぉ? 半年前とは違う成長した姿見せてくれなきゃぁ」 『ふぁいとぉ』などと煽る。 ……ガマン。ガマンだ。 「それともあれですか〜? チキン・オブ・ハートの朱績ちゃんとしてはとりあえず逃げ帰りたい気持ちでいっぱいかしらぁ?」 くねくねと体を揺らす。 ガマンだ。ガマンしろ、あたし。 「まったくさぁ? そんなカタどおりの攻め方ばっかでおもしろい? おかしい? 狂おしい? こっちはま〜ったくおもしろくないよ〜」 ぱたぱたと手を振る。 ガマン…… 「まったく朱然センパイ? あのひとも後継者に恵まれなかったご様子……あ、それともこれで恵まれてるのかしら、ぷぷぷ」 口元に手を当てて笑う。 ガ……無理。 「お姉ちゃんの悪口を言うなーッ!」 「あ、やべ。聞こえちゃった」 拡声器を通してなんか言ってる。 「お姉ちゃんだったらお前なんか左足の薬指だけで一発だっつの!」 「……器用だな、おい」 若干引きながら王昶が呟いた。 「このバカー! おたんこなすー! ピザ屋のバイクー!」 「うわ、すごい悪口言われてる……ピザ屋はともかく」 あくまで余裕を見せ付ける。 あいつはなんだ? 神か? どんどん感情が高まってくる。 「王昶! 一対一で勝負だ!」 私の激情に落ちる沈黙。 「……なんで?」 たっぷり25秒の沈黙の後、王昶は心底不思議そうな声で聞き返した。 「なんで、って……いや、だって……へ、へへん! あんた、よわっちぃからやりたくないんでしょ! あー、わかるわかる。怖いんだもんねー?」 やっと攻め口が見つかった! あたしはどんどん言葉を回していく。 これで冷静な判断を失わせればいい。 かつてのあいつにやられたこと……それを思い出し、私は内心ほくそえむ。 「弱虫王昶ちゃん? ここはあなたみたいな子がいていい場所じゃないのよ? 公園のブランコに1人で座って夕日をバックに寂しそうにしてなさい……うわ、ほんと寂しそう! 同情するわ! 友達いないんだから仕方ないよねー!?」 「こ、この! 言わせておけばー!」 かかった! 「……なんて言うと思った? 残念。私の部下ちゃんズはみんなできた子でね。私は一騎打ちを断ったくらいじゃ信頼は失墜しないみたいよ?」 ぐ……ぬ、ぬけぬけとっ! あたしは言葉が空回りしたことに歯軋りをする。 「だいたいさ、なんつ〜か……私、直接的な暴力で泣かすのは好みじゃないんだよね」 ……もう勝ったつもりか。 ……勝てるつもりなのか。 「朱績、落ち着いて。こんなの、あいつの常套手段でしょ」 副将の全煕があたしに声をかけてくる。 えぇ、えぇ。あたしは落ち着いてますよ? 地獄の業火のように落ち着いてますとも。
763:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:14 [nworo@hotmail.com] 「まったく……一騎打ち? そんなバカなことばっかり言ってるとMNSVに犯されてえそ斑点病になっちゃうぞっ!」 えそ斑点病ってメロンの病気じゃないかッ! せめて人間様の病気を言えッ! ストレスがたまるのを感じる。 なるほど……承淵の心配どおりになった。 そう自分で思い当たった瞬間、なぜか心が楽になった。 なるほど。『突き抜ける』っていうのはこういうことなのか。 「朱績ちゃん、聞いてる? おぉ、不肖の主将よ。人の話を聞かないとは嘆かわしい」 王昶がわざとらしく首を横に振る。 なぜかそのときのあたしの心の中は余裕で満たされていた。 「全煕、全員を下げさせて」 傍らの全煕に指示を出す。 「え、でも……」 「いいから」 全煕の反論をにっこりと笑って封じる。 『なにがいいものか』という全煕の顔。多分、彼女はまだあたしが感情に突き動かされてる、と思ってるんだろう。 気持ちはわかる。 でもあたしには勝算があった。 全煕が渋々、全員を後退させる。 「……?」 拡声器からの声はない。でも当惑の雰囲気だけは伝わってくる。 ……大丈夫だよ? その当惑に答えを与えてあげる。 あたしは全煕にさらに指示を出したあとゆっくりと拡声器のスイッチを入れた。 「やぁやぁ、さすがは名将? あたしじゃ太刀打ちできないからこのまま撤退させてもらおうと思うんだけどそういうのってどんなもんかな?」 あいつは…… 王昶は確かにすごい。それはもう認めざるを得ない。 でも、だからこそ。 今、あたしは撤退を宣言した。 実際にその選択肢も幕僚会議で出ている。 あたしはあくまで援軍。援軍『だけ』で決まる勝負なんてこの世に存在しない。 要するに主戦場の朱異ががんばってくれさえすればあたしまでがんばる必要はないのだ。 そう思っても……誤解させてもおかしくないのだ。 だから撤退する。 王昶ならそれを追撃することだろう。 後方からの攻撃というのはいつでも、誰にとっても弱点だからだ。 しかも相手はあたし……王昶にとって安全牌以外の何者でもないだろう。 だから追撃させる。 王昶に校舎の主力部隊を空にさせる。 その隙に伏兵に校舎を攻めさせる。 今、全煕に精鋭を募らせている。 あたしが弱いからこそ…… ……必ず王昶をトばすことができる。 あたしは確信していた。
764:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:15 [nworo@hotmail.com] 「ふ〜ん」 冷静な声が校舎の拡声器……王昶……から聞こえる。 「なるほど、私が追撃してるうちに伏兵で校舎を直接攻めようって? その攻め方は『いい』ね。ちょっと感心した」 ……ッ! あたしは呆然とする。 こいつはなぜこんなにも……ッ! 「あぁ、誤解しないで。私は本当に褒めてるんだよ? 実際にいきなりだったら本当に撤退してるとこを追撃することに頭が回ったと思う……ただ朱績ちゃんの今までの言動からするとそれが考えられない。裏がある、と思っただけ」 作戦自体は本当に素晴らしいね、拡声器からの声。 あたしはしかし……屈辱に震えていた。 褒められても嬉しくもなんともない! しかも見破られたのがあたしの今までの言動自体だったなんて! 悔しくて涙が出そうだ。 「しまったな。『羽化』……させちゃった、かな」 王昶の意味のわからない呟きにも反応の余裕がなかった。 あたしは…… そのとき拡声器を通じて聞こえてきた声はあたしの理解を完全に超えたものだった。 「玄沖、しばらくあんたが主将代理ね。好きなように指揮してみなさい」 指揮権の譲渡? どういうこと? 「今までで一番楽しませてくれた朱績ちゃんのその作戦の敬意を表して一騎打ちなんてどんなもんだろう?」 あたしはきっとそのときとてもマヌケな顔で校舎を見上げていたんだと思う。 「朱績ちゃん、おまたせぇ♪」 王昶が笑いながら校舎の外から出てくる。 手にはなんの変哲もない丸い棒。木刀よりちょっと長いだろうか……あれがあいつの武器? ブラウスにタイ……それはいいとして頭に赤いベレー帽。ブレザーのかわりに迷彩柄のハーフコート、手は袖に通さずいつでも脱げるように肩にかけてあるだけらしい。スカートのかわりに迷彩柄のハーフパンツ……これはなにかの主張があるんだろうか? あたしは応じることなく竹刀を構える。 ここで…… たしかにあたしは弱いかもしれない。 でもやっと自分の土俵に誘い出せた。 それがとても満足だった。 あたしの表情に気づいたのか王昶が表情を緩め、そしてため息をひとつ。 「……さっきのね? 伏兵で校舎を奪い取っちゃおう大作戦、ね。本当に素晴らしいわ」 王昶が笑いながら語りかける。 隙を作ろうというのだろうか? あたしは油断なく王昶の様子を伺う。 「もう、ね。この時点で私の負けなわけ。わかる? つまり……」 王昶は言葉を切り、ため息2回目。 「……私は朱績の才能を開花させてしまった。これはカンペキに私の失態、ね。だから……」 あ…… 王昶の言葉からあたしに対するちゃん付けが取れた。 あたしは……王昶に認められた。 「……絶対に建業棟に帰さない。才能がまだ蕾であるうちに刈り取らせてもらう」 言葉とともに王昶は少し身をかがめ、コートをあたしに向かって投げつける。 視界を奪うつもりか……! 左上から鋭角なものが振り下ろされるイメージがなんとなく頭の中に浮かぶ。 あたしはそれにとっさに竹刀を合わせた。 棒の重い一撃があたしの手を痺れさせる。 でも……でも受け止められた。
765:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:15 [nworo@hotmail.com] 「へぇ……これは本当に開花させちゃったかな。しまったな」 無表情で無感動に呟く王昶。 これがこいつのホンキか! あたしは素早く様子を見るための距離をとる。 棒の長さは木刀以上……実際にどれくらいだ!? 間合いがとりづらいことこの上ない。 「突けば槍、払えば薙刀、持たば太刀……神道夢想流杖術、王昶、参る」 じょ、杖術!? 聞いてない! 技を見たこともない……つまり王昶がどんな間合いで仕掛けるのかまったく想像もできない…… 「こうしようか。あんたは私の体に竹刀をかすらせれば勝ち。私はあんたの蒼天章をはずせば勝ち……現時点ではそれくらいの実力差がある」 バカにしてっ! ……とはちっとも思わなかった。 ただ相手が塩を送ったことによってチャンスが広がったと思った。 30分前の自分ならきっと王昶のその言葉だけで冷静を失い、ラッキーとは思えなかっただろうな……自分に苦笑。 しかし…… 王昶を見る。 まったく『殺気』とか『覇気』とか、そういったものが伝わってこない。 伝わってくるのはただ純粋な戦闘力。 こいつは…… こいつは……なにかをしよう、というんじゃなくただ呼吸をするのと同じ感覚で私をトばそうとしているんだな…… 私は心を決める。 決めるのは最初の一発。 後の先で一太刀浴びせる。 竹刀を正眼に構え、目をつぶり、一呼吸。 「天眞正傳香取神道流、朱績、参ります」 「よく吼えた。泣いて謝っても許さないからね」 王昶が無感情に吐き捨てる。 あとはただゆっくりと…… 無言で時間が流れていく。 空気が張り詰める。 なにも…… 王昶が動いた。 あたしはどう動いたのか覚えていない。 「……ちっ」 王昶は自分のブラウスの袖を見下ろし、不機嫌に眉根を寄せた。 足元には朱績が倒れている。 完全に首筋に一撃を叩き込んだ。 まぁ、しばらくは起き上がることもできないだろう。 夢の中の住人でいるがいいさ、と思う。 だが…… 王昶のブラウスの袖は鋭い刃物で切り取ったように裂け、腕の肌が姿を見せていた。 避けたつもりだったけど……予想以上に鋭かった、か。 今、こうして倒れた朱績の蒼天章をはずそうと思えばいつでもやれる…… だけど…… 「……ま、約束は約束か。向こうの剣は私をかすった。朱績の勝ちには違いない」 本当は……約束なんぞ反故にしてでもこいつをトばしておいたほうが蒼天会のためになることは間違いないが…… 「……ちっ」 倒れた朱績を助けようと、非好意的な視線を向ける全煕に目をやる。 「私のせいで長湖部に名将が誕生してしまった。早く回収して手当てしてやりな……そして呪われろ」 手をひらひらと後ろ手に振って王昶は校舎の中に消えた。
766:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:15 [nworo@hotmail.com] 「あれ……あたし……?」 ぼーっとする頭をさすりながら起き上がる。 「痛!」 首筋を押さえる。 なにか……あったっけ? 「朱績ー! 気づいたんだねー!」 全煕があたしの胸に飛び込んでくる。 「う、うわわっ!」 あたしはそれを支えきれず倒れこんだ。当然後頭部を打った。 「〜っ!」 「……いや、悪かったって」 睨みつけるあたしに全煕が謝る。 「とりあえず朱績が……いや、朱績主将が眠っておられる間に夾石棟からは撤退しました」 全煕の言葉…… あぁ、そうか…… あたしは夾石棟で王昶と一騎打ちをしたんだっけ…… あたしが眠っていた、ということはあたしは負けた、ってことか。 ……? 蒼天章はあった。 「へ? あたし勝ったの?」 「んー、勝ちかと聞かれれば……んー、勝ち、かなぁ?」 歯切れ悪っ! 「まぁ、いいや。あたしたちが撤退することで王昶が油断するのなら……あいつが油断しきったときにもう一度攻めかかればいい。そのための休憩」 あたしの頭にはどうやって攻めるのか、往路では思いつかなかったような考えが湧き水のように噴出していた。 「お姉ちゃん、よかったの?」 王家の食卓。 王昶と王渾が鍋を囲んでいた。 まだ残暑が激しいのに。 「玄沖、白菜も食べなさい、白菜も」 「いやぁーッ!」 王渾が嫌がる。 「いやじゃない。栄養あるんだから食べるの」 「だめぇーッ!」 王渾が嫌がる。 王昶は有無を言わせず王渾の取り皿を白菜満載にした。 「あぁッ!? お姉ちゃん、ひどい! この暴君ッ!」 「なんとでも言いなさい」 呆れるように王昶は豆腐を口に運んだ。 「で、よかった、ってなにが?」 「んっと、朱績? のこと」 王渾の言葉に王昶の右眉がつりあがった。 「い〜わけないでしょ〜!?」 しかも声が裏返っている。 「ん、ごほん……あれは完全に大失敗。長湖部を潰すのがまた遅れたことは間違いないわね」 王昶は平然を装って言うがこめかみが高速で痙攣している。 「あー……あはは。でもほら……ね? うん、大丈夫だよ」 王渾が言う。なにがだ。 「……」 「え? お姉ちゃん、なに?」 王昶の聞こえないほど小さな言葉に王渾が聞き返す。 「く……」 「く……クエン酸ナトリウム?」 なぜ添加物なのだろう? 「くきぃーッ!」 「わぁ! お姉ちゃん、奇声を上げてもお鍋してるときのちゃぶ台返しはダメーッ! キケンーッ!」 王家の夜はふけていく。 建業棟。 「公緒ちゃん、どうだった?」 承淵の心配そうな表情にあたしは笑って親指を立てて見せた。 「まぁ、結果は残せなかったけど、それ以上に大事なものをゲットしたよ」 あたしの言葉に承淵も笑顔を見せる。 ……これから。これからだ! あたしは北の空を見上げて指鉄砲を撃った。
767:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:16 [nworo@hotmail.com] はいほう、週刊北畠蒼陽です。 あ、いらないとか言わないで! へこむから! へこむから! というわけで朱績復権の一幕です。 本当はもっと一騎打ち描写をねちっこくやろうと思ったんですけど……よく考えたらそういうときってどう動いたかぜんぜん覚えてないんですよねぇ、自分でも。 客観的に見たらどう動いたのかわかるけど、自分がやると無意識ですからねぇ…… なのでこんな感じになりました。うん、一人称ならこんなもんかと。 >天眞正傳香取神道流 神道夢想流杖術って香取神道流の流れを汲んでるんで本当はあんまり使いたくなかったんですよねぇ。 まぁ、あんまり見たことがないエモノって意味ではいいかな、と思ったんでそのまま書くことになりました。 いや、書き直したんですよ、これでも?(笑 >承淵 えぇ、必要ないのに丁奉がでしゃばって意外とおいしいトコもってってるのは一応、海月様リスペクトってことでひとつ(笑
768:海月 亮 2005/07/23(土) 23:27 キタ――――――――――――(゚∀゚)――――――――――――!!!! てかココまでやられちゃったら私ゃどうすりゃいいんだ!?(;;゚Д゚) ついでに言えばこれから繁忙期にはいるっぽいんでSSが(ry てかやはり王昶がカコイイ(;´Д`) いろいろ頑張っちゃ見たが、今の海月では逆立ちしてもこれ以上の王昶を書けん…。 くそう、こうなったら絵だ!絵で支援するッ!!(;;゚Д゚)ノシ で、気を取り直して。 繁忙期に入るのはマジなので、大ネタの一発目を落っことしておきます。 明らかに尻切れトンボなので、先の展開は色々想像して見てください(←無責任
769:海月 亮 2005/07/23(土) 23:29 降り注ぐ雨の中、向かい合った少女たち。 同じ長湖部の旗を持って対峙しているのだが、それが学園無双の演習などではないことは、双方の先頭に立つ少女ふたりがかもし出す異様な雰囲気が否定している。 目の前に立つかつての友を、何の感慨もない冷たい瞳で見据える、紅髪で長身の少女。 それと対峙する狐色髪の少女の表情は、困惑しきっていて…今にも泣き出しそうにも見えた。 「…どうして」 狐色髪の少女が、絞り出すように言葉を紡ぐ。 「どうしてなんだよっ、どうしてあんたが長湖部を裏切るんだよ…世議っ!」 「…裏切り、か」 紅髪の少女の吐いた言葉は、何処までも静かに…そして冷たかった。 「孫峻や孫チン、それに学外から紛れて来た雌ギツネに食い散らかされたアレを…あんたはまだ、長湖部だと言うの…?」 「…っ!」 「あたしは認めない。もう、長湖部なんてものは、存在しないんだ」 止まぬ雨が、彼女の涙にも見えた。 「いいかげんに目を覚ませ、承淵! あんたが真に“長湖部”を想うのであれば、もう終わらせてやるべきなんだ!」 「違うっ!」 狐色髪の少女が頭を降る。 「まだ…まだやり直すことだってできるんだよ! 幼節も、敬風も、公緒も…みんなみんな、そのために必死に頑張ってるんだよ!? まだまだこれから、ううん、むしろあたしたちの手で新しい長湖部を…」 「寝惚けるな!」 その大喝に、狐色紙の少女は口を噤まされた。 「あたしは、もううんざりだ…尊敬するひとたちが、大切な友達が、仲間が…あたしは部長の一門に使い潰されるなんて真っ平ご免なんだよっ!」 「…世議」 紅髪の少女が、背に差していた棍を取り、目の前の少女に突きつけた。 「だから、あたしが間違っているってなら…あんたがあたしを止めろ、承淵。あんなクズ共にあたしが粛清される前に、せめてあんたの手であたしを葬って見せろ…!」 その悲愴な宣言と共に、少女は棍を構えた。 決着は一瞬だった。 紅髪の少女の乱調子が、小柄な体を容赦なく打ち据えてくる。 狐色髪の少女は、紙一重でその乱撃をかわしながら、それでも尚、彼女を止めるべくその言葉を模索した。 だが、紅髪の少女の決心が変えられないと悟り…柳生天に構えた大木刀で、少女の棍を一撃で粉砕した。 そして、残りの部分で捨て身の攻撃を仕掛ける紅髪の少女と、狐色髪の少女が放った“月影の太刀”が交錯した。 淀みのない太刀筋は、一瞬で紅髪の少女の鎖骨を砕き、その意識を彼方へ飛ばした。 だが、捨て身に放った棍の一撃は、幼さを残した少女の顔を確かに捉えていた。 少女が昏倒するのにあわせて、その顔から血の飛沫が飛ぶ。 「…どうして…」 呟いた少女の顔から、紅の雫が涙のように滴り落ちて…秋雨に濡れる大地に溶けた。 -長湖に沈む夕陽- 「…夢、か」 まだ薄暗い部屋の中、目を覚ました丁奉はその痕を確かめるかのように、顔に触れた。 彼女の左目の下には、未だ消えることのない傷跡が残っていた。 半年前、晩秋の氷雨の中で戦ったかつての親友・呂拠の放った最後の一撃によってつけられたものだ。 それまで良く笑う素直で真面目な性格だった彼女は、その日以来、めっきり口数も減り、笑うこともなくなっていた。 公式記録によれば、呂拠は孫チンのもとに長湖勢力が力を結集したのを知り、自ら階級章を返上したことになっていた。 それ以後、呂拠の姿を長湖部管轄校区で見たものは誰もいない。
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