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761:北畠蒼陽 2005/07/23(土) 21:13 [nworo@hotmail.com] 「うわ! あつぅ〜っ!」 前線から聞こえてくる声に朱績は唇を噛む。 見上げれば校舎屋上に敵主将、王昶の姿。 その手にはカップ焼きそば。 どうやら屋上から下に向かって湯きりをしたらしい。 お湯の直撃を受けた人はいないようだが……こうもあからさまな挑発はむかつくっ! 鼻歌でも歌いだしそうな……いや、実際に歌っているのかもしれないが……表情で焼きそばにソースと青海苔を絡めている。どうやらマヨネーズは使わないらしい。 「……あい……つ……!」 朱績は眉を危険な角度に吊り上げながらぎゅっと竹刀を握り締めた。 夾石のディキシィ それは長湖部の人間にとって信じられないニュースであり、第一報を聞いたときは誰もが耳を疑ったものだった。 諸葛誕の蒼天会造反。 誰がこんな展開を想像したことだろう。 確かに長湖部にとって諸葛誕という人物は課外活動で実績を残しているわけではなかったが、それでも揚州校区の北側で睨みをきかせるその姿は目の上のたんこぶという以外の形容詞がなかった。 諸葛誕はすぐさま妹を長湖部に派遣し援軍を要請。 孫リンはこの機を逃さず文欽、唐咨らを派遣した。 長湖の畔が激情に揺れる。 本当に大丈夫? 承淵はあたしにそう聞いた。 そのときあたしはどう答えただろうか? よく覚えていない。 だけど恐らく……承淵を怒鳴りつけただろう。 『あたしがあの女に負けるとでも思っているの!?』と。 承淵の心配があたしの能力を疑っての悪意のある発言ではないことはわかっている。 あたしはわずか半年前にあの女にいいようにされ、陸凱によってなんとか救い出されたようなものだった。 心配する気持ちはわかる。 だけど…… ……だからこそあたしはあいつに勝たなきゃいけない。 江陵棟の主将として諸葛誕の援軍として動こうとすればどうしてもあいつとぶつからなければならない。 今度こそ…… 今度こそ目に物を見せてやる。 見てなさいよ、王昶! あたし……朱績は竹刀を振った。 あたしの予想通り王昶は私が援軍として動くことを阻むように新野棟から夾石棟までのこのことでしゃばり、そしてあたしを挑発するようにまともに戦おうとしなかった。 あいつの目的が時間稼ぎだってことはわかっている。 こっちが援軍にいけないことで困窮していくのは蒼天会ではなく長湖部。 あいつはただへらへらと時間を稼げばいい。 しかしあたしたちにはあいつらを無視して前に進むこともできない。 後ろに敵を残したまま前進するなんて危険な真似、できやしない。 つまりどちらにしてもあたしはあいつにつきあってやらなければならないのだ。 あいつをトばさなきゃいい夢なんて見ることできるわけないじゃない! その感情は多分、恋にも似てた。
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