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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
900:海月 亮 2006/03/26(日) 00:01 呂蒙は様々な折衝事を孫皎に任せ、たまたま陸遜が出張ってきている丹陽棟を訪れていた。 その棟内に足を踏み入れてすぐ、廊下の向こうから出てきた一人の少女が呂蒙に気づき、駆け寄ってきた。 「や〜、また珍しいお客さんが来たもんねぇ」 「これはこれは君理棟長殿。あんた自らの出迎えとは恐れ入るな」 襟にかかる程度の柔らかなショートカットの黒髪を揺らし、その少女…丹陽棟切っての顔役・朱治が笑う。 「まぁこんなところで立ち話もなんだし、ちょっと寄ってく?」 「うーん…そうだな、たまにはゆっくりさせてもらおうかな」 呂蒙とてそう暇があったわけではないが、そもそも彼女は此処へ人探しに来ていたわけだから、それなら顔役である朱治に話を聞いたほうが早いと判断した。 「そーかそーか。ね、ちょっとお茶用意してもらっていい?」 「はい」 傍らに寄り添っていた少女が恭しく一礼して立ち去ると、呂蒙も朱治に伴われるまま階段を上っていった。 「随分、規律が整っているもんだな」 周囲をざっと見回し、思わず感嘆する呂蒙。 棟内に落書きのようなものは一切なく、廊下で無駄話しているような生徒もいない。そしてすれ違う少女達も軽く会釈し、挨拶して立ち去っていく様子は、長湖部の本部がある建業棟にも見られないものだった。 「コイツもやっぱり、あんたの人徳のなせる業かい?」 「いやいや、とてもじゃないけどあたし一人じゃこうはならないさ。ほとんど仲翔のお陰さね」 「仲翔だって?」 意外な人物の名前を聞き、呂蒙は鸚鵡返しに聞き返した。 仲翔…即ち会稽の虞翻も、呂蒙や朱治と並ぶ"小覇王"孫策時代からの功臣の一人だ。確かに彼女みたいな"キレるとコワい"タイプの文治官僚(ビューロクラート)がいれば、このくらいの状況を作り出すのも朝飯前だろうが…。 「確かあいつは幹部会にいたんじゃなかったのか?」 「それがねぇ…」 朱治は苦笑いして、 「あの娘、どういうわけか知らないけど、唐突にこっち寄越されたのよ。別に幹部会で何かやらかした話は聞かないんだけど…どうもあの性格だからね、丹陽の風紀更正の名目で厄介払い食らわせられたのかもしれないわ」 と肩を竦める。 虞翻は確かに経理に強いし、仕事振りも真面目なのだが、その生来の真面目さゆえか自分が正しいと思ったことは梃子でも曲げない性格だ。孫権も孫権で同じくらいに意地っ張りなものだから、普段何気ないところからでもかなりの軋轢が生じているだろうこと位は、容易に想像できた。 「なるほど…確かにそういう理由付けされたら、流石の子布(張昭)さんも何も言えないだろうな」 「まぁ、お陰で私は助かってるんだけどねぇ…」 ふと、校庭の方へ目をやると、一人の少女とすれ違った二人組の少女が、眉をひそめてこそこそ言っているらしい様子が目に映る。 すれ違ったプラチナブロンドの少女は、それを意に解するでもなく、そのまま歩き去ってしまう。 「相変わらずだなぁ…仲翔のヤツも」 その様子には流石の呂蒙も苦笑せざるを得なかった。 「…陸伯言? まぁ確かにあの娘も此処にいるけど」 執務室の一角、朱治の趣味で設置された畳三畳のスペース、お茶の用意されたちゃぶ台に二人は向かい合う形で胡坐をかいていた。 そこで思いもがけぬ名前が呂蒙の口から出たことに、朱治は小首を傾げた。 「どうしてまたあの娘の名前が? 確かによく働く娘だけど、そんな目立って何かすごいトコもないような気もするけど…」 「そいつは悪いけど詮索無用で頼むわ。で、今あいつは何処に?」 「うーん…あの娘そこらじゅう動き回ってるからねぇ…呼び出す?」 あぁ頼む、という言葉が喉まで出掛かった呂蒙だったが、何故かそうしてしまってはいけないような気がして止めた。 冷静になって考えてみれば、陸遜の件に関する証言は丁奉からしか得られていない。 合肥では確かに彼女の指揮振りを実際目にしているものの…まだまだ自分の中では彼女に対する評価材料が少なすぎる。 「いや…今日は余裕があるし、散歩ついでに探してみるよ」 「そお?」 丁奉の言葉を疑うわけではないが…だがその言葉を信じればこそ、いきなり面と向かってしまえば、陸遜は警戒し、その本音を明かそうとはしないだろうと呂蒙は思った。
901:海月 亮 2006/03/26(日) 00:01 それから数刻の後。 普段は利用することすらない豫州丹陽棟の地下食堂に、ふたりの少女がやってきていた。 放課後、暇をもてあました生徒の何人かや、あるいはマネージャーたちが活動計画の話し合いに利用するなど普段は賑わっている場所にもかかわらず、そのときはそのふたりしかいなかった。 ひとりは呂蒙。 もうひとりは緑色の髪をショートボブに切り揃えた、少々気弱そうな印象を与える少女…彼女こそが、探し人の陸遜、字を伯言その人であった。 「…あの…何の御用ですか?」 「あー、急に呼び出して悪かったな。うん、用事といえば用事。だが少しその前にあんたと話をしておきたくてね」 恐る恐るといった感じの陸遜をこれ以上警戒させないよう、呂蒙は勤めて自然に振舞った。 「…お話」 鸚鵡返しに聞き返す。 ここまで来る間にも呂蒙は、それとなく陸遜の一挙一動をそれとなく見ていた。 確かに一見、何処にでもいるごく普通の少女。 そして何より、かつて自分や甘寧から散々な目に遭わされたというトラウマがあるような様子も、今のおどおどした態度を見れば疑いようがなく見える。 しかし、呂蒙は確かに、その仕草の諸所に違和感を感じ取っていた。 陸遜がかつて自分の考えるような少女であったなら、恐らくどんな手を使ってでもこの場から早く逃げたいと思っても、結局自分の気の弱さ故最後まで引きずられてしまうだろう。 だが、呂蒙は陸遜が、今この場から如何に自然に切り抜け、やり過ごしてしまおうと考えているような余裕がどこかにあるような気がした。 確信があったわけではない。 だが、こわばっているその顔の中でただ一点…彼女の瞳だけが、冷徹な光を宿しているように、呂蒙には思えていた。 呂蒙は一筋縄ではいかないと考え、その日はとりとめもない話をして切り上げることにした。 そんなことが一週間ほど続いていた。 そのころになると、呂蒙はわざわざ丹陽まで出向き、陸遜を誘い出して昼食にまで出るようになっていた。 最初のころの警戒心もだいぶ和らいできたことを見計らい、彼女はそれとなく今の状況を話してみることにした。 「…そういうわけでな。仮に相手の龍馬を攻略するにしても、どうも二、三手足りないのさ。何処かでいきなりと金をぶち込んで一気に勝負を決めるとしたら…お前ならどう考える?」 「うーん…そうですねぇ。私は将棋のことはあまり詳しくないですけど…」 「見たまんま言ってくれていいよ。参考までに、あまり詳しくないって人間がどう考えるか興味があってな」 陸遜は、その言葉の真に意味するところを気づいていない…正確に言えば、今呂蒙が問おうとしていることの趣旨に気づいていないように見える…。 呂蒙は息を呑んだ。 陸遜はその手を指し示そうとして… 一瞬…ほんの一瞬、その表情を強張らせた。 「…すいません、やっぱりいい手は思い浮かびませ…」 「場所が悪いなら、変えても一向に構わないよ」 再び困ったように作り笑いに戻る陸遜に、呂蒙は初めて、その笑顔の下に隠された素顔を垣間見た気がしていた。 恐らくは、彼女も気づいたであろう。 何故相手の王ではなく、龍馬を狙っているのかが。 盤面の龍馬は関羽。 それを守るように囲う半壊状態の美濃囲いは現在の荊州学区。 そして何故呂蒙側がわざわざ飛角落ちなのか。 それはまさに、今の長湖部を意味しているものなのだから。 「…謀ったんですか…私を」 「ああ」 互いの強い視線が交錯する。 「あんたを試した非礼は詫びる。あんたがこういう資質をまったく見せないか…むしろ持っていないのであれば、あたしは公瑾や部長を裏切らずにすんだかもしれない」 陸遜の表情は変わらない。 だがその表情は、今まで呂蒙が見たこともない、陸遜自身の激しい怒りを感じた。 「…何処で、その事を…?」 「聞かないでくれ…それを教えてくれた奴も、悪気があったわけじゃない…けど今そいつの名を告げれば、そいつにも迷惑がかかることになる」 校舎からやや離れたその広場には人はいない。 呂蒙は始めから、この場で本心を明かすつもりでいたのだ。 「あたしは公瑾や子敬から請け負った荊州奪取を成し遂げたい…そのためにはお前の力が必要なんだ! この一戦だけで構わない…だから伯言、この一戦…この一戦だけでいい! 力を貸してくれ…っ!」 呂蒙は反射的に、大地に手をついていた。 どれほど時間がたっただろうか。 自分に愛想を尽かし、その少女は自分を置いて立ち去っていたかもしれない…と呂蒙は思っていた。 だが、自分はそうされても仕方ないことをしていたことも、重々承知していた。そしてそうなってしまえば、荊州を落とす機会は二度とはやってこないだろう。 関羽が蒼天会を攻めようとしている、今をおいてその機会はないかもしれないのだ。 そうなれば、自分はどうするだろう。 やはり周瑜と魯粛の後釜として不十分、というレッテルを貼られたまま、空しく部を去るのであろうか。 それとも、それを良しとせず玉砕して終わるのか。 「先輩…顔を上げてください」 ふと見上げると、ここ数日では、恐らくはもっとも自然な微笑を浮かべる陸遜の顔があった。 「先輩のお覚悟、確かに…私如きがどれほどお役に立てるか解りませんが…この一戦、全力を尽くさせていただきます」 呂蒙もまた、自分の至誠がようやく目の前の少女を動かすことができたことを知り、笑みを返す。 「…ありがとう…これでようやく、あいつらの顔を汚さずにすむかも知れない」 ふたりはしっかりと、その手を取り合っていた。
902:海月 亮 2006/03/26(日) 00:06 久しぶりに書いた作品が>>845の焼き直しであるというお話。 えぇ加筆部分はぶっちゃけ>>901だけなんですよね実は。 あとは細かい部分、台詞直したり誤字脱字点検したりとか。 で、一応これも続きがありましてね。 私めのことなんで何処かで、正史にも演義にも準拠のない創作が混じってきます。 これから転職活動しながらぼちぼち手がけてくる予定でありますよ--)y=~~~ とりあえず留守中の作品群にもこれから読む所存でふ。
903:弐師 2006/04/06(木) 19:26 ふうん、ここが南陽棟か。 玄関の前に立って、その姿を見上げる。 白亜の城、といったところか。 「お待ちしていました、公孫越さんですね?」 そうしていると一人の女性がこちらに歩いてきた。 ショートカットの艶やかな黒髪を持つその人、董卓と戦ったときに見た覚えがある。 ああ、そうだ、確か紀霊先輩だ。 高校柔道の「クイーン」と呼ばれる人だったっけ。 「あ、はい。どうも、よろしくお願いします。」 「ええ、では、こちらに。」 彼女に棟の中を案内される。外見のシンプルな美しさと異なり、至る所に金ピカのシャンデリアだとか、無駄に派手なカーテンが有ったりと、ここの棟長の性格がよく分かる内装だった。 そんな悪趣味な物の中を通り抜け、精神的苦痛を受けながらも棟長室にたどり着いた。 「じゃあ、私はここで・・・」 「はい、ありがとうございました。」 この悪趣味な空間の中で、私のそばにいた唯一のまともな感性の持ち主と別れると、一気に気が重くなる。 だけど、そんなことも言っていられない。 まず深呼吸して、私は棟長室のドアをノックした。 「失礼します。」 うわ・・・ 棟長室の中は、さらにお金のかかった・・・輪を掛けて酷いセンスのインテリアで構築されていた。 ねえ、先輩。 流石に床ぐらいは普通にしましょうよ。 何で其処まで金にこだわるんですか。金の床なんてテレビでしか見たことないですよ? 嗚呼、自分の顔が床に映る・・・ 「あら、公孫越さん、御機嫌よう。ほ〜ほっほ。」 だが、このセンスの伝染源は、更に・・・凄かった。 えっと、すいません、手の甲を口に当てて高笑いするのはどうかと思いますが。ベタすぎです。 このご時世にこんな人本当にいるんだ・・・ 「はい。ご無沙汰しております。」 「ええ、ところで伯珪さんから、何の御用かしら?」 「はい、私どもの誠意と言うことで、白馬義従の娘達と共に、私が及ばずながらご助力に参りました。」 「あら、それはそれは、ありがたいことですわ。」 そう言って、また高笑いする。 「これであの女の最後も近づきましたわ・・・」 しかし、その笑いはすぐ途切れ、呪いの言葉へと変わった。 「あの女」とは袁紹先輩のことだろう、まったく、悲しい人だ。 聞くところによると、昔は仲が良かったのだそうだ。家を継ぐときになって家が割れて、それ以来不仲らしい。 常に自分が一番でないと気が済まないのだろう、まあ、まだそのために努力してるだけ他の連中よりは何倍もましなんだろうけど。 「失礼しましたわ、それなら、早速で申し訳有りませんが私の部下の孫堅さんが今あの女の将と戦っておりまして、加勢していただけないかしら。」 聞けば、孫堅さんが袁術先輩の口利きで豫州総代になったのが気にくわなかったらしく、同じ反董卓連合の仲間の筈の彼女に攻撃を仕掛けているそうだ。 「はい。では失礼いたします。」 そう言って、私は南陽を去った。 まったく、あんな所にいたら悪趣味が伝染する。 外に出て、白馬義従の娘達と合流したところで思いっきり深呼吸する。 周りの娘達は不思議そうな顔をしていたが、誰だってあんな所から出てきたら深呼吸したくなるだろう。 ひとしきり、「外」の空気を堪能した後、皆に指示を出す。 「じゃあ、皆さん、孫堅さんの所に行きましょうか。」 私は、袁術先輩なんかとは違う。 私は、お姉ちゃんのためなら ――――――――どんな事も厭わない。
904:弐師 2006/04/06(木) 19:27 「ああ、あなたが公孫越さんかい?」 「はい。よろしくお願いします、孫堅さん。」 「はは、同い年だろ?気楽に行こう。」 ふうん、この人が孫堅さん? 少し癖のある茶髪、赤いリボンに、整った精悍な顔立ち。 お姉ちゃんとは少しタイプが違うが、それでも相当の美人だった。 よかった、袁術先輩の部下って言うから、どんな奴かと思っていたが、とてもさっぱりとして付き合いやすいタイプの人のようだ。 「いや、にしても凄いな、あなた達のバイクの動きは。しっかり統制が取れてる。」 「そう?」 「ああ、素晴らしい。それに私たちはあまりバイクは使わないから、尚更そう見える。揚州は川ばっかだし、長湖に面してるからね。」 「へぇ・・・」 長湖か。名前は聞いたことがあるけど、私は見たことがない。 いつか、其処までの道を遮る奴らを討ち滅ぼして、絶対に、見に行ってやる! ・・・そしてウォータースポーツし放題!なんてね。 と、ふざけた妄想をしているうちに、こちらに駆け寄ってきた女性がいた 「孫堅様、報告に参りまし・・・あら、あなたが公孫越さん?私は程普っていうの、よろしくね。」 背が高く、少々あか抜けない感じの人、まあ、幽州校区の私があか抜けないなどと言えた義理でもないのだが。 「越さん、実は彼女も幽州出身なんだ。」 「あはは、そうなの。しかも北平だよ。」 そう言って程普さんはVサインを作ってにこっと笑ってみせる。 うん、そりゃああか抜けないはずだね・・・幽州だもんね・・・ははは、はぁ・・・ ま、まあそんなことは置いといて・・・ここは、本当に活気にあふれたいい軍だ。一人一人がとてもいい目をして、実に生き生きしている。 ・・・そう、袁術先輩には勿体ないぐらいに素晴らしい軍。 今に袁姉妹なんて討ち滅ぼしてあげる・・・楽しみにねぇ?孫堅さん・・・ ふふ、まあそれは今は置いておこう。 今は、ね。 「そうなんですかぁ、意外だったなあ。」 「他にも韓当って娘はあなたと同じ遼西出身なの。」 「へえ!ずいぶんと遠くからみんな仕えてるんですね。」 「まったくだ、私の出身は呉だというのに。ところで程普、何の用だ?」 「あ、そうでした。あはは、すいません・・・。」 苦笑していた程普さんの顔が、少し険しくなる。少し視線もうつむきがちになった。 「袁紹配下の周昂が、部下を連れてこちらに向かっています、こちらより・・・大分人数は多いようです。」 「へえ、そうか、ありがとう。」 衝撃的な、報告。 しかし孫堅さんは顔色一つ変えずに私の方を向き、軽く笑いかける。まるで、「面白いじゃない?」と問いかけるように。 私は何も言わず、笑い返す。 それで、私の言いたいことは通じたのだろう。その笑顔のまま、よく通る声で命を下す。 「みんなー、袁紹の手先がこっちに遊びに来たみたいだ。しかも向こうさんは大人数と来てる。」 皆、彼女の前に隊列を組む。整然として咳一つ聞こえない。 その場にいた全員が、彼女の一挙一動に注目している。 「どうだ?面白いだろ!?お客さんが多い方がパーティーは盛り上がるってもんだ!さ、お出迎えにいってやろう!」 ぴんと張りつめられた空気を、彼女の一声が振るわせる。 「全軍、出陣!」 ――――――――彼女の清冽な声に応じて鬨の声が響き渡る。 ――――――――地の底から響くような衝動が私を揺さぶる。 ――――――――体の奥から喜びにも似た感情が込み上がる。 そして、全てが混ざり合い、迸る―――――――― ――――――――さあ、やっと面白くなってきた。
905:弐師 2006/04/06(木) 19:28 >雑号将軍様 越、気に入っていただけましたか。よかったですw なにやらいまいちキャラが固まりきってませんが、これからもよろしくお願いします。 あと受験!頑張って下さい! 年下の私が言うのも僭越ですが、是非、夢をつかんで下さい! >冷霊様 楊懐が素敵です!!! 「タマと……季玉といる益州校区が私達の居場所なんだ。私の中にある益州校区に君はいない」 って言葉にもうしびれちゃいましたよw続きが楽しみですw あと公孫サンは結構人間関係が凄いですよね、 越が孫堅と一緒に戦い 劉備とは同門で 単経、田揩はエン州と青州の境界のあたりで曹操とにらみ合ってた(らしい)というw >海月 亮様 いいですねぇ、将棋に例えた駆け引き。 呂蒙を認め、力を貸すことを決意した陸遜。 関羽を討とうとする緊張とプレッシャーが伝わってきます。 では、御無理をなさらず、頑張って下さいw
906:雑号将軍 2006/04/09(日) 22:32 >弐師様 おお、今度は袁術がお出ましだ!!なんというか、あのタカビー全快なあたりがちょっとキてて素敵ですね。 いえいえ、お気になさらずに。うまくいけばいいんですがね…。まあ、あがけるだけあがいてみせますよ。
907:北畠蒼陽 2006/04/10(月) 00:15 おう? なんかしばらく見ないうちにいろいろあがってますよ!? とまぁ、すっかり過去の人っぽいです、私(笑 >海月 亮様 お、ついに関羽包囲網始動ですか。 長湖部、というか呉は正直知識が薄いのでどう書かれていくのか楽しみにさせていただきまするよ! >弐師様 んふぅ…… 袁術好きなんですよ、袁術! (自分くらいは好きでいてあげないとかわいそうじゃない?の理論。王允とかが当てはまります) 袁術、私も書いてみたいなぁ…… まだ書いたことがなかったですよ。
908:海月 亮 2006/04/13(木) 20:46 ひさびさなので感想から。 >冷霊様 よく見たらまだ続くのですな・・・。 楊懐と高沛がどういう最期を遂げるのか・・・あるいは、更にそのあとどうなっていくのか気になります。 >弐師様 既に既出の話題ではありますが・・・袁術のキャラが本当に際立ってますね。 此処までお約束だとぐうの音も出ませんね。お見事と言うほかないです。 あと孫堅軍団。何気に私まだ孫堅軍団は手を出してないような・・・。 >北畠蒼陽様 いやー・・・何処まで史実に沿ってるかどうか解りませんよ、私の場合はww と言うわけで>>898-901の続きから。
909:海月 亮 2006/04/13(木) 20:48 長湖部の総本山・建業棟棟長執務室。 普段なら暇をもてあました幹部たちが屯し、長湖部長孫権を中心に賑やかに過ごしているこの場所は、この日に限っては不気味なほどに静かで…何処か重い空気に支配されている。 執務室の中に居たのは数人の少女。 執務室の机に腰掛けた、金の巻き髪と碧眼が印象的な少女は長湖部長孫権。 その背後に侍している、黒髪を頭の両サイドでお団子に纏めた小柄な少女は、その孫権第一の側近を自負して憚らない「長湖一の使い走り」谷利。 それと向かい合う形で立っているのは呂蒙。 場に居る少女たちの表情は固い。 −武神に挑む者− 第二部 原石と明珠 「…此度の荊州学区攻略においては、この名簿に加えた誰一人として外しても成立しません。また、この機会を逃せば永劫、荊州奪取はならないかと存じます」 淡々と言上する呂蒙。孫権はなおも黙ったままだ。 呂蒙にも孫権の沈黙の理由は解っている。 その名簿の一番下、そこには確かに陸遜の名前が存在していた。 丁奉の話から、陸遜の件は当然孫権にとっても他人事ではないことを呂蒙は知っていた。孫権の様子は、そのことを裏付けているといっていい。 「…本当に」 内心のさまざまな感情を抑えるかのような、震える声で孫権がつぶやく。 「本当に、伯言以外の適任者は居ない…そういうんだね?」 「ええ」 そこでさらにわずかな沈黙をはさむ。 孫権は流石に、誰から聞いたのかなどとは訊いて来ないようだ。丁奉の性格を考えれば孫権には話しているのかもしれないが…いや、おそらくは。 「子敬さんがね…自分の後任として、本当は最初伯言の名前を挙げていたんだ」 一度目を伏せ、そして寂しそうに笑う孫権。 「子敬さんが認めたあなただったら…もしかしたら何時かは気がついちゃうとも思ってたよ」 呂蒙にも言葉が出ない。 「…一度だけ、なんだよね?」 念を押す様に、彼女は問いかける。 「私の、命に賭けて」 呂蒙は真剣な眼差しでそれに応えた。 二人の視線が交錯し、やがて、 「解った。その代わり…無茶はさせないでね」 「はい」 呂蒙は拱手しながら、孫権の英断にただ感謝するだけだった。 呂蒙は続けて陳べる。 「そして願わくばもう一人…現在丹陽棟にて閑職にある虞仲翔を、アドバイザーとして同行させたいのですが」 「え?」 一瞬、苦虫を噛み潰したような表情を見せた孫権は、怪訝な表情を浮かべた。 「どうして…?」 呂蒙はその表情から、やはり最初自分が思ったとおり、虞翻が孫権に嫌われた為に放逐されたのだということを確信した。 「彼女の性格は周知するとおり。ですが、あの性格ゆえ力を持て余せば更なる毒気を吹くのみです。ならば、その毒こそ我々ではなく、外に向けてやるべきでしょう」 呂蒙は丹陽棟でその姿を見る以前より、荊州攻略の切り札として虞翻の"公証人"としての活用を考えていた。だが、中央で事務経理の中核をになう彼女を前線へ招聘するのは不可能、と半分諦めてもいた。 だからこそ、丹陽にいる彼女を見たとき、初めは自分の幸運を喜んだ呂蒙ではあったが…部内の"和"をを何よりも尊重するはずの孫権が、その名を聞くだけで不快な顔をすることに何か悲しさのようなものを感じていた。 「…部長、"奇を容れ異を録す"を規範とするあなたが、何故そこまで彼女を嫌うのか…あたしには少々解りかねます」 「う…でも、どうしてもあのひとがいると、みんな気まずくなって黙っちゃうんだよ…だからきっと、あのひとは幹部の中枢じゃない場所のほうが、その良さを引き出せるかと思って…」 現実、虞翻は後方支援や前線の活躍が目立つ経歴もある。現実に丹陽での風紀は厳格に守られ、治績を挙げている。 しかしその口ぶりからは、やはり結果論から来る取り繕いにしか聞こえない。 呂蒙はため息をついた。 「でしたら、ひとつ騙されたと思ってあたしに彼女の身柄も預けていただけますか? あいつの本性、見せて差し上げますから」 孫権は困ったような顔でしばらく考え込んでいたが… 「解った」 と、何処か釈然としない表情のまま呟いた。
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