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960:北畠蒼陽 2006/09/23(土) 21:22 「あ、どもー」 ベッドに寝たまま何かを投げたであろうポーズの孫観が声をかける。いや、本当は孫観なのかどうかすらよくわからないのだが状況的に考えると間違いあるまい。 孫観(※不確定)の顔は真っ黒に塗りつぶされていた。あとギブスにも思う様落書きしてある。もう大変です。 しゃがんでいる臧覇。恐らく椅子をよけたのだろう。手にはマジック……油性か。 後ろでげらげら笑っている呉敦と尹礼。横で座ってにこにこしているのが孫観の双子の姉、孫康である。 泰山グループが勢ぞろいなのであった。 「やぁやぁ、諸君。私を抜かして騒ぐなんてひどくない?」 「お、曹操さん、書きます?」 「薦めんな、ボケー!」 臧覇の言葉に孫観(※不確定)がはしゃぐ。いや、はしゃぐのとはちょっと違うか。 「でも書くとこないねぇ」 油性マジックを受け取ったまま思案する曹操。 「大丈夫。脱がせばえぇんよ」 「そ、そうかっ!」 臧覇の囁きに天啓を得た曹操。 「だー! 脱がすってなんだ! お前、ぶっころ……お、おい、なんだよ、お前ら」 孫観(※不確定)が再びはしゃごうとして両脇を呉敦と尹礼にがっちり押さえつけられた。 「な、なぁ、冗談はやめようや?」 「はっはっは。冗談だったらもっとつけぬけたとこまでいってみようか」 呉敦が笑う。 「よ〜し、剥くぞう〜」 臧覇が指をわきわきさせ、曹操がきらきらした瞳で見つめる。 「ぎゃー! 姉ちゃん助けてー!」 唯一自由になる首を振って孫観(※不確定)が孫康に救いを求める。 「あらあら、相変わらず不幸な子」 にこにこ笑う。姉は役に立たなかった。 「待っててね、仲台ちゃん。仲台ちゃんがケガをしながらも勇敢に戦ったけど国のために今は休め、ってポエム書いたげるから。あと振威主将に昇進ね、やったぁ☆」 曹操が笑う。 「お、やったなぁ、エーシ♪」 「ちっともよくねぇー! やめろー!」 「んー?」 その音は許チョの耳にだけ届いた。 『うー』とかなんとか、そんな感じの音。 「んー……?」 何の音かとちょっと首を巡らせて……あとずさった。 そこには鬼が…… 「静かにしなさいっ!」 窓ガラスがびりびりと震えるほどの大音量で注意が入った。 みんな声の方向に注目した。孫観(※不確定)なんかは半脱ぎにさせられながらそっちのほうを見た。 天下の風紀委員長、陳羣。怒りの仁王立ちである。 「まったく!」 つかつかと輪の中心まで歩み寄って…… 「ここは病院ですよっ!」 手近にあったものに思い切り手を振り下ろした。 ビシ、といういやな感触が陳羣の手に伝わる。 「……?」 陳羣の手の下でギブスの石膏が割れ、孫観(※不確定)が悶絶していた。 孫観。あだ名は仲台。また一名をエーシ。 張角の乱のころから臧覇とつるみ、青州校区総代もつとめたことのある人間のあまりにもあっけない最後であった。 なむー。
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