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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
147:教授 2003/01/21(火) 23:11 ■■法正と眼鏡と写真■■ 「ウチのメガネ知らんか?」 「はい?」 会議室に入ってきた法正。 いきなり帰宅部連合総長、劉備にメガネの所在を尋ねられたのだ。 その劉備は人に尋ねるだけの事はあり、メガネを掛けていない。 法正の目には主がやたらと新鮮に映っていた。 メガネを外した劉備を見るのはこれが初めてだったからだ。 当の劉備はメガネを探して必死な様子。 「メガネって…頭に乗ってるのがそうじゃないんですか?」 法正は含み笑いをしながら答える。 「へ? あーっ! ホンマや!」 頭に手を伸ばし、自分のメガネを確認する劉備。 すちゃっと装備すると、いつものように微笑む。 「おーきにな。まさか、自分の頭に乗っとるなんて思わんかったわ」 「灯台下暗しって言いますし。意外な身近に落とし穴があるんですよね」 相槌を打つと法正は自分の席に移動する。 と、自分の席に置いてあるギンガムチェックの包装紙に包まれた小さな箱に気付いた。 それも、ご丁寧に『法正様専用』と書かれてある。 訝しげにその箱を凝視する法正。 「部長〜。この箱…何ですか?」 取りあえず疑って掛かる法正は部屋にいた劉備に尋ねる。 「さあ…ウチが来た時にはもうあったで」 「そうですか…」 贈り物と思しき正体不明の箱を前に悩む法正。 「これ…開けてもいいのかしら…」 箱を持ち上げて周囲をチェックしながら呟く。 重量は軽すぎと言っても過言でない程無かった。 「ま…いっか」 妥協したのか、包装紙を丁寧に取り除いていく。 そして本体が露わになった箱のフタを開けると…。 「……は?」 そこにはメガネがすまし顔で鎮座していた。 言葉を失う法正。 「なんやったん? …メガネか?」 劉備が後ろから覗き込んでくる。 メガネに興味があるのだろうか、法正に了解を取ってそのメガネを掛けた。 「うわっ…なんやコレ…。度が入ってないやん…」 霞む視界に慌てて自分のメガネを掛け直す劉備。 「度が入ってない? じゃ…伊達メガネなの、これ…」 伊達メガネと聞いて、ある事を思い出す法正。 以前、諸葛亮がメガネを掛ける掛けないで話(一方的だった)を持ちかけてきたのだ。 「…………」 法正は伊達メガネに手を伸ばすと、軽い気持ちで装着した。 すると次の瞬間、ロッカーがけたたましい音を立てて開き… 「もらった!」 …の声と、同時に飛び出してきた簡擁がシャッターを切った。 無論、ファインダーの視点はメガネを掛けた法正。 びっくりしたような顔の劉備と法正。 どうやら事態が呑みこめていないようだ。 それをいい事に簡擁が二度三度とシャッターを切りまくっていた。 フラッシュを何度か浴びると流石に誰でも我に返る。 「簡擁〜!」
148:岡本 2003/01/21(火) 23:12 >アサハル様 状況が読者の方々にイメージしやすいように雰囲気描写を 意識して書いたつもりでしたが、ここまでイメージを再現してくださるとは。 いや、感激の至りであります。
149:教授 2003/01/21(火) 23:13 「おっと…それじゃ、私はこれで失礼♪」 法正が歩みよるよりも素早い動きで会議室から脱出する簡擁。 その神懸り的な動きを見て法正は追い掛ける事を早々に諦めた。 代わりに劉備の方に向き直り、詰め寄る。 「部長! アレはどういうことなんですか!」 「そないな事言われてもなぁ…。それに写真の一枚や二枚くらいええやん」 「それはそうですけど…って、違います! 部長…ぐるだったんじゃないでしょうね…」 「昔っからアイツの行動パターンはウチにも読めんわ…。こっちかてびっくりしたっちゅーの」 劉備は胸を押さえて大きく深呼吸する。 彼女が嘘を吐いてない事は法正にも伝わってくる。 諦めてため息を吐くと、開きっぱなしのドアを閉める。 「私の写真撮って…何するつもりなんだろ…」 法正は小首を傾げながら伊達メガネを外した…。 後日 「法正〜見たよ〜」 馬超がにやにや笑いながら法正の元にやってくる。 「…? 何を?」 「メガネ写真だよ、結構可愛かったじゃん」 「…っ!?」 「いやぁ〜…メガネ掛けるとこんなにも…って、あれ?」 馬超が続きを言おうとした時には既に法正の姿はなかった。 「簡擁〜!」 会議室のドアを荒荒しく開く法正。 「騒々しいな」 中にいたのは諸葛亮ただ一人だけだった。 「簡擁…見なかった?」 「簡擁殿は見てないが…君のメガネ写真は拝見した。やはり想像通り綺麗だったよ」 諸葛亮は白羽扇を口元に当てて目を細める。 その言葉に一気に耳まで赤くする法正。 「ちなみに…これがそのネガだ」 そう言うと、諸葛亮は懐からネガを取り出した。 「あーっ! 何で持ってるのよ!」 「私が簡擁殿に依頼したのだ。喜んで引きうけてくれたよ」 淡々と口にするとネガを法正に投げて寄越す。 「やはり君にはメガネが似合う。私のプレゼントした伊達メガネ…大事にしてほしい」 ぽんと法正の肩を叩くと、そのまま会議室を後にする諸葛亮。 「…やられた」 がくりと膝を落とす法正、完全敗北だった。 これから後、法正は諸葛亮と簡擁の動きを注意深く観察するようになったのは言うまでもない。 今回の主役、伊達メガネは…と言うと…。 飛「なあなあ、コレどうよ」 劉「…アンタが掛けると微妙やなぁ…」 飛「なんでだよ!」 劉「アンタには宴会用の鼻メガネの方が似合ってるわ」 飛「なにをーっ!」 張飛の元へ嫁いでいたとさ。
150:教授 2003/01/21(火) 23:15 あとがき 皆様が真面目で心が熱くなるようなSSを書いてるのに…何書いてんだろ、私。 元はアサハル様の萌えイラストから来てます。パクリと言われればそれまでです。 こんなSSばかり書いてる私って…。(;_;)
151:左平(仮名) 2003/01/21(火) 23:50 >教授さん ご謙遜を。面白いですよ。笑いながら拝見しました。 作品数が多いので、全部はまだ見てないのですが…。皆さん、これほどのものが書けるのですから、他のジャンルも、ぜひ!
152:惟新 2003/01/22(水) 00:48 >教授様 簡雍タンは果てしなく神出鬼没ですね(^_^;) つーかおのれ諸葛亮、やってくれる! この孔明タンなら 「法正が性格キツいって? ふ、むしろ萌えポイントだ!」 とか言ってのけそう… で、簡雍。ある意味三國一の豪傑(^_^;) 個人的に蜀では一番おいしいキャラだと思ってたり… >左平(仮名)様 そのとおりです! というわけで、ぜひがんばってみましょうよ、教授様! …と偉そうに言ってしまいましたが、私の方では 萌えSSを書くと途中で暴走してしまいそうで、自粛してたり(^_^;) なかなか新境地は遠いですなぁ…
153:アサハル 2003/01/22(水) 01:14 やっぱ強えわ、簡雍((( ;゚Д゚))) つかずっとロッカーの中に入ってたのね・・・ 更にプラス諸葛亮の最凶コンボ・・・絶対敵に回したくねー! 個人的に最後の劉備と張飛のやりとりに爆笑しました。 鼻眼鏡てアンタ。 で、前々から法正は好きだったんですけども、最近 めちゃめちゃかわいく見えてしょうがないっす(*´△`*)
154:玉川雄一 2003/01/22(水) 01:16 とりあえず、憲和タンの株が上がってきているようなので。 パシャッ パシャッ パシャッ . ∧_∧ パシャッ パシャッ ( )】 ←簡雍 . / /┘ パシャッ. ノ ̄ゝ
155:★ぐっこ 2003/01/23(木) 00:06 ↑ワロタ。 そりゃそうと! 教授様最近ナイスなペース! はやいところhtmlに してしまって(;´Д`)ハァハァしなきゃ! 神の挿絵もあることですし☆( ̄ー ̄) 学三ってのはこういう(;´Д`)ハァハァを求める世界も大切なのですよ! 感謝。 ここんところ法正たんが振り回されっぱなしでワタクシも大好きであります!
156:教授 2003/01/24(金) 00:41 ■■帰宅部解散 〜非業の烈女〜■■ 「なんで…なんでなんだよ!」 会議室に轟く怒声と打撃音。 声色に違わぬ形相の少女は、主であり実の姉でもある少女に詰め寄る。 「劉シンさん、落ちついてください!」 周りにいた幹部達が怒りの炎に燃え上がる彼女を宥めにかかる。 「うるさい! どけっ!」 少女は幹部達を押しのけ、姉の前に仁王立ちする。 彼女の名は劉シン。 帰宅部の創設者、劉備玄徳の妹だ。 熱く潔い性格は帰宅部内から益州校区でも有名だった。 最も、どれほど小さい事でも納得できない事や卑怯な振る舞いを良しとしない厳しい性格は周りから疎遠を呼ぶ事になっていたが。 その劉シンは今正に怒りの限界点を振り切っていた。 「…禅姉、悪い冗談はよせよ…。降伏? …ははっ、そんなわけないやろ?」 乾いた笑みを浮かべ、姉――劉禅の肩に手を置く。 と、劉シンの手に信じられない感覚が伝わった。 「禅姉…、何で震えてるんだよ…」 「…………」 上目遣いで劉シンを見る劉禅。 その瞳には、怯えの色が見て取れた。 ――姉は…自分に怯えている…の? そんな思いが過った時だった。 「貴方みたいに威圧するだけじゃ駄目なのよん」 人を食ったような口調。 全員が声の主に振り向く。 そこにいたのは、黄皓であった。 「あんた…か? 禅姉にいらん事吹きこんだんわ!」 劉シンの怒りは、黄皓に向いた。 今にも飛びかからんばかりの勢いだ。 しかし、劉禅の口から劉シンを絶望させるに十分な言葉が飛び出した。 「シンちゃん…恐いから遠く行って…」 「禅…姉…」 劉シンは愕然とすると同時に体の力が抜けていった。 「禅姉は…この…玄姉や孔明さんや張飛さんや関羽さん達が必死に守ってきた帰宅部を…そんなあっさり放棄するんか…?」 つぅ…と劉シンの頬を涙が伝う。 それは鮮烈な赤だった。 ――血涙を流す程の訴え。 だが、それが劉禅に伝わる事はなかった。 劉禅は俯き、妹と顔を合わせないように背け続けていたのだ。 「ほら、部長命令よん。さっさと出て行ってね〜」 黄皓が劉シンの背をぽんっと押す。 その顔には勝ち誇ったような嫌らしいものが浮かんでいた。 その場にいた幹部達も顔を背け、誰一人として劉シンを見ていなかった。 「こんなん…納得できん…」 震える小さな声、小刻みに揺れる肩。 「…こんな…こんな運命に従うくらいやったら…」 劉シンは階級章を引き千切る。 「こんなもんいらへん!」
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