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200:教授 2003/02/20(木) 00:07 ■■法正 〜卒業前夜〜■■ 三月。 冷たい風が徐々に暖かくなってきている。 また一つの冬が終わり、そしてまた一つ春がやってくる。 それでも夜風はまだ身を凍えさせるだけの冷たさを持っている。 「………」 法正はそんな夜の帳の中を歩いていた。 黙々と前だけを見つめるその顔からは、彼女が何を思いそして何を考えているのかは窺えない。 白い吐息が冷えた夜の風に流される。 彼女の足がふと止まった。 そこは益州校区で最も美しく、最も古くからあると言われている桜の樹の下だった。 「……卒業…か…」 まだ蕾の桜を見上げ、小さく呟く。 月明かりの下に映し出されるその無機質な表情。 目の前に根付く桜の方がよっぽど躍動感がある…。 他人が見ればそう思わざるを得ない程に無感情だった。 「…私は…何を卒業するんだろう…」 法正は右手を樹に当て、眼差しを蕾に…そして天へと向ける。 梢の隙間から満天の星と、煌びやかな月が見えていた。 「…私が自分に納得できていないのに…。卒業した先に答えなんてあるの…?」 星と月に向けられる清水のような淀みのない眼が次第に潤んでいく。 心の奥から瞼の裏に様々な映像が矢継ぎ早に送られてくる。 不遇な劉樟時代…自分の力を発揮できた帰宅部連合…。 そして話題にも上らないちっぽけな…それでも楽しかった記憶。 引退してからは普通に過ごしてきた。 それもまたかけがえのない思い出。 それが…明日終わりを迎える。 「長いようで短い…とはよく言ったものね…」 法正は微かに苦笑いを浮かべた。 樹を一撫でし、そして踵を返す。 「答えは…分からない。でも、明日…みんなに会えば…巡り合えるかもね…」 自分にそう言い聞かせるように呟くと、そのまま来た道を引き返して行った。 そして…卒業の日の朝日が昇り始める―― ■あとがき 3月の頭には投稿したいと思っている卒業ネタの予告編用です。 お見苦しい文章で大変申し訳なく思っております。
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