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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
243:教授 2003/03/29(土) 22:47 ■■ 法正の休日 ■■ 「んー…」 CDショップで新作を物色している法正。 普段から殺伐としている課外活動から離れれば、法正も一人の少女に戻る。 CDを選りすぐるその姿はどこにでもいる普通の女子高生だ。 「…あった♪」 目的の品を発見すると嬉々とした声を上げる。 早速ブツを手にレジで清算を済ませ、店を出た。 「寮に帰ってゆっくり聴こうかな〜」 ほくほく顔の法正、余程欲しかったのだろうか。 その時、向かいの通りから聞き慣れた声が響く。 ふと目線を向けると、そこには張飛を追いかける劉備の姿が見受けられた。 追いかける劉備は悪鬼羅刹を思わせる形相。 そして伝家の宝刀ならぬ伝家のハリセンをこれでもかというほど振りまわしている。 一方、逃げる張飛は必死な顔でハリセンをかわしながら走っていた。 「待てや〜! ウチの肉まん返さんかい〜!」 「く、食っちまったモンを返せねーって!」 「やかまし! 食いモンの恨みは恐ろしいんやで!」 実にくだらない理由だった。 だが、当人にとっては自身の進退に関わるほどの重大な事のようだ。 「私は何も見てない…見てないのよ…」 法正は見なかった事にして歩く速度を速める。 …と、今度は眼鏡屋の前に諸葛亮を発見。 休日のプライベートな時間なのに白衣を着こなし、白羽扇を片手に眼鏡を真剣な眼差しで見つめていた。 「ふむ…この眼鏡は彼女に合いそうだ…。いや…こちらも中々…」 時折、白羽扇を口元に当てて悩む素振りを見せる。 「…何やってんの…あの子は…」 関わり合いにはなりたくないと本能で感じた法正は横道に逸れてその場を後にした。 この道は寮まで多少遠回りになるが、以前の眼鏡事件(笑)もあるので迂闊に近づきたくなかったのだ。 「憲和に会わなかった事がせめてもの救いね…」 ため息を吐きながら寮への道を急ぐ。 と、悪戯な風が法正のスカートをめくりあげた。 「わ…」 スカートを押さえようとした、その時―― 「いただき!」 「ええっ!?」 法正の背後から簡擁が駆け抜けた。 それもカメラのフラッシュを3度ほど叩いて。 金魚のように口をぱくぱくさせる法正。 「相変わらず隙だらけ♪ じゃあね〜」 投げキッスを寄越して、簡擁は物凄い速度で走り去っていく。 すっかり油断していた。 簡擁はこういう瞬間、どこからともなく現れる。 前回で懲りてたはずなのに、ふとした気の緩みが招いた悪夢だった。 「何なのよーっ! 折角の日曜日くらい休ませろーっ!」 法正の怒鳴り声が昼下がりの街に木霊した…。 PS.卒業シリーズの合間に(爆)
244:★ぐっこ 2003/03/31(月) 01:11 うわはは! 法正たんの受難というか、いつもこういうドタバタやってるんですね、 帰宅部連合の面々…(^_^;) なんかこう、一番の常識人というか、ペースに慣れ切れていないで 割を食ってるのが法正たん、というシチュが(;´Д`)ハァハァ…
245:雪月華 2003/04/08(火) 02:54 長湖部夏合宿 その2 夏休み4日目の午前6時45分。朝日に煌く長湖の水面を右手に見ながら若々しい掛け声とともに約千人の長湖部員が早朝ジョギングを行っていた。後漢市を南北2つに分けている長湖の北岸と南岸(揚州校区限定)では気候がまったく違う。北岸は典型的な北日本的気候であり、湖岸には防風林の役目を果たす針葉樹が目立つ。さらに、冬になれば湖面は凍結し、アイススケートやワカサギ釣りをもを楽しむことができる。長湖のほぼ中央に位置する赤壁島を南に越えるとそれは一変し、湖岸にはヤシの木が立ち並び、ハイビスカスやヒマワリが咲き乱れる。冬でも雪は降らず、日中最高気温は27℃、夜の最低気温16℃と、ほとんどハワイと変わらない常夏の地域なのである。この校区だけが異常気象となった理由は、万博の折、撃ち上げられた気象操作ミラーの誤作動であり、この地域だけに他の地域の数倍の日光が降り注ぐことになってしまったからである。いまだ復旧の目処は立っていない。 早朝ジョギングとはいえ、そこは長湖部夏合宿(日程については>>216参照)。生易しいものではない。距離的には10Kmだが、すべてが舗装路というわけでは無論無く、ときに砂浜を走り、水深が腰まである幅10mの川を何本も渡り、石ころだらけの山道を踏破し、登り坂の数はそれこそ無数。あまりのハードさから「地獄の行軍訓練」との恐ろしげな通称で呼ばれ怖れられていた。だが、この行軍訓練もこの後の地獄のスペシャルメニューのいわばオードブルに過ぎないのである。現に合宿二日目の時点で、脱落し、泣きながら退部する者は70名を越えていたが、不思議と、3日目には脱落者は出ていなかった。そして4日目の行軍訓練が開始されていた。 「それにしても呂蒙サン、なんで凌統はあそこまで俺様を敵視するんスか?」 「…甘寧、あんた、それマジで聞いてる?」 「ええ。何でですかね?長湖にきてから、アイツに特別何かした記憶はないんスけど?」 甘寧は心底不思議そうな表情で、隣を走る呂蒙に尋ねた。 地獄の行軍訓練の半ば、5q地点近くである。1年生などはそれこそ必死で駆けているのだが、甘寧、呂蒙らはダベる余裕すら見せている。そもそもの基礎体力が並外れているのだ。 「あんたがまだ黄祖んトコいたとき、長湖部と黄祖んトコで遠征試合したよね。あんた、そのとき凌統の姉さんの凌操先輩をおもいっきり飛ばしたじゃないの?」 「…ああ!妙に突出してきた紫っぽい長髪の3年がいたから、逃げるフリして誘い込んで囲んだ後、全本気でアッパー食らわしたんッスよ。その直後にそっくりな顔した奴が乗り込んできて、船から落っこちたそいつを引き上げていったんスよね。道理で凌統と顔あわせたときに初対面って気がしなかったわけっスよ。」 「とにかく気をつけなよ。凌統は本気であんたを憎んでるんだからね。」 「んじゃ、凌統は姉の仇ってことで俺様を憎んでいるんスか?小さいやつっスね!」 「…誰の胸が小さいって?」 「おわっ!?凌統!?てめ、いつの間に?」 「小さい小さい好き勝手言ってるみたいだけどね、アタシ83あるんだよ。」 どうやら凌統、肝心なところを聞いていなかったらしい。その短慮を呂蒙が嗜めようとした。 「凌統、誰も胸のはなし…」 「そんくれぇで自慢になるかよ!俺様はなぁ、92あるんだぜ!」 「うそっ!?」 「バーカ。嘘だよ。いくらなんでもそこまででかいはず無いだろうが。邪魔になって仕方がねー。ま、てめぇよりあるのは確かだがな」 「何よ!でかけりゃいいってものじゃないでしょ!」 「てめぇ、さっき小さいって言われて反発してたじゃねーか!」 「やっぱり、胸の話してたんじゃないのよ!」 「…あなたたち、ずいぶん仲がいいのね。」 冷ややかな美声が果てしなく続くかと思われた口喧嘩を制した。 「げっ!副部長…」 「二人とも、自分の隊の引率はどうしたの?」 口喧嘩を続けるうちに走るペースが上がってゆき、隊列の中ほどを走っていたはずの二人はいつのまにか先頭を走る周瑜の近くまで来ていたのである。 「随分元気があまっているようね。」 「ご、誤解っス!もとはといえばこの凌統が…」 「いえ、この甘寧がもともとの原因で…」 「問答無用!ふたりともこの場でスクワット300回!隊列の最後尾が宿舎に帰着するまでに追いつけなかったら朝食抜きよ!」 「げっ!そんな殺生な!」 「監視役として陸遜を残すわ。いいわね陸遜?」 「えっ?ひょっとして私も追いつけなかったら朝食抜きってことに…?」 「当然」 「ええええええ!そんな!私が何を…」 じろり、と周瑜が陸遜を睨み、沈黙させた。どうやら一昨日の朝(>>216参照)のことをまだ根に持っているらしい。 こうして、その場には甘寧と凌統、とばっちりの陸遜が残された。甘寧と凌統はスクワットを開始し、二人のメンチに絶えられなくなった陸遜も半べそでスクワットを始める。まだ朝の7時だが強烈に照りつける太陽の下、すでに気温は21℃を超え始めていた。 7時10分。 「298、299…300!いよっしゃー!終わった!んで、甘寧はあと何回?」 「今271回目だ。」 「じゃあ、先行ってるよ。」 「てめ、待ってやろうって気はねぇのか!?」 にたり、と凌統は邪悪な微笑を浮かべた。 「てめ、何かたくらんでやがるな…」 「別にぃ」 そう言って、凌統は駆け出していった。 「ったく…陸遜、お前今何回目だ?」 「に、254回です…」 「そういや…なんでお前まで、スクワットやってるんだ?」 「お二人が睨むからじゃないですか!」 「睨んでねぇよ。ちょっと足が痛んで顔がひきつっただけだ。おい、あといいぜ。先行っとけよ。」 「え、いいんですか?」 「いいも何も、お前までやる必要ねぇだろうが。ホラ。朝飯逃すぜ。」 「じゃ、じゃあ失礼します!」 すこしよろめきながら陸遜が走り去り、その一分後、甘寧も後を追った。 7時25分。約2分前に行軍に追いついた凌統。そして今ようやく甘寧が追いついてきた。流石に息が乱れている。 「おっ、随分早かったじゃないの」 「てめぇ!たった3分先行しただけで、どうやったらあそこまでトラップ仕掛けられるんだよ!」 「急ごしらえだったから足止めにもならなかったかな?」 「十分足止めになってるぞ。陸遜には」 「え?マジ?」 「…俺様はしらねぇぞ。」 陸遜が朝食をとり損ねたのは言うまでも無い…合掌。 −−−−−−−−−−−−−−−−−− どうも、掲示板移転お疲れ様です。 無双3にハマっててしばらく執筆してませんでしたが、久しぶりにネタが浮かんだので記念、というカタチで投稿します(また季節外れネタ…)。 同時進行で、黄巾シリーズの董卓vs張角歌合戦というお馬鹿なSS書いているんですが、皇甫嵩ら後漢4天王や袁紹、曹操、劉備一統が絡んできて、萌え、ギャグ、シリアス入り乱れたかなりの大作に(汗)。完成はまだ遠いです。
246:★ぐっこ@管理人 2003/04/08(火) 23:59 雪月花様ナイス! 長湖部の地獄の合宿ですな。 なんかこう、甘寧たんがイイ感じのバカで嬉しいです(・∀・) 早とちりする凌統たん萌え。しかし83…むう…ハァハァ…つか、甘寧 たんもあのサラシの下は結構なアレなようですかい! 逆に陸遜たんは気の毒な役どころが多いですねえ(^_^;) これまた 萌えキャラ定番に… しかし最大の笑いツボは万博の折、撃ち上げられた気象操作ミラーの誤作動。 うわはは! これイイ! なんかこれくらい非現実的なことがあった方が面白い! うーん、長湖を挟んで南岸は、万年異常気象による熱帯雨林気候なわけで。 SWEET三国志の呉みたい(^_^;)
247:アサハル 2003/04/10(木) 01:30 (´-`).。oO(http://fw-rise.sub.jp/tplts/running.jpg) 雪月華様のSSを読んだ直後に描いたものなんですが、 あまりに走り描きにすぎるので丁寧に描き直そうとしたら ポーズが全然しっくり来ず動きが全然(元々ないけど更に) 無くなったのでもうちゃんと描かないことにしました。(馬鹿) てゆーか陸遜…(さわやかに合唱しながら合掌) 歌合戦SSのも楽しみにさせて頂きますー。後漢ズ…(*´Д`)
248:アサハル 2003/04/10(木) 01:31 閉じ括弧までリンクされちゃったよ…(つД`) http://fw-rise.sub.jp/tplts/running.jpg でつ。
249:★ぐっこ@管理人 2003/04/11(金) 00:05 甘寧モエ━━━━━━(;´∀`)━━━━━━!!!!ハァハァ アサハル様、あいかわらずのグっジョブ! うわー、年甲斐もなく胸にきましたよ胸に!これは…(;´Д`)ハァハァ… ちうか、こういうラフがサラッと描けて、しかも上手な方がうらやましくてもう! 凌統たんもナニゲに可愛くていいなあもう! ところでアサハル様、キャップ通知のメールって届きました?一応確認を…
250:★教授 2003/04/12(土) 00:15 ■■ 甘寧VS凌統 ROUND 1 ■■ 「あのアマ! どこいきやがった!」 胸元を押さえながら甘寧が更衣室から飛び出してきた。 周囲で休憩していた長湖部の下っ端(酷)連中が驚き振り返る。 ――が、全員が瞬間的に顔を俯かせた。 彼女達の目に映ったのは、まさしく『鬼』だったからだ。 「おいっ! 凌統がどこ行ったか知らねーか!」 空腹の極限に達した獣の咆哮のような怒声が下っ端に向けて放たれる。 特に何も悪い事をしていないはずなのに、小さく縮こまる下っ端達。 泣き出す女子もちらほら窺えた。 「し、知りません…」 泣きそうな顔で一人の女生徒が勇気を振り絞る。 だが、これは薮蛇だった。 「…隠すとタメにならねーぞ…」 未だ胸元を押さえる甘寧がずかずかとその女生徒に近づく。 「ほ、本当に知らないんで…ひぃっ!」 「さっさと吐け! 今すぐ言わねぇと…潰す!」 必死に知らないと言い張る女生徒の胸座を掴みあげ脅す甘寧。 怒声だけで泣きそうだったのに、間近で物凄い剣幕を見せつけられる。 もうそれだけで失神しそうになっていた。 しかし、この哀れな子羊を神様は見捨てなかった。 「はい、ストップね。この子、本当に知らなさそーじゃん」 甘寧の腕を横から掴む手。 ぎろりと甘寧がその手の主を睨みつける。 と、その姿を確認すると同時に目許が緩んだ。 「魯粛…」 「何があったワケ? それよりも、解放してやりなよ」 いつも通り、どこか人を食ったような笑顔を向ける魯粛。 甘寧は軽く舌打ちして女生徒から手を放した。 「うんうん。ただ恐いだけの先輩じゃダメだしね。その点、興覇は流石だよ」 「そ、そうか?」 それとなく甘寧を誉める魯粛。 だが、甘寧には見えないように周りの下っ端に手をひらひらと振っている。 ――今の内にどっかいけ 意味を理解したのか、そろそろと女生徒達がこの場を後にしていく。 「…で、何で怒ってるわけ?」 魯粛は胸元を押さえる甘寧の手を見ながら尋ねる。 その視線に気付いた甘寧が顔を紅潮させた。 「じ、じじ…じろじろ見んなよ!」 「いーじゃん、別に減るもんでもないし。それよりも何で?」 照れ隠しに怒る甘寧に受け流す魯粛。 口上ではやはり魯粛の方が一枚も二枚も上手のようだ。 「凌統だよ! あいつ…あいつが!」 「凌統?」 「あいつが俺のサラシ盗んでいきやがったんだよ!」 「ふーん…って、興覇…あんたまさか…」 魯粛が訝しげな表情を浮かべた。 そして、再び甘寧の胸元に目線を送る。 「な、なんだよ…」 「もしかして…世間一般で言うところの…『のーぶら』…ってやつ?」 禁断の単語が魯粛の口から飛び出した。 甘寧の頬の赤みに更に赤が追加されていく。 「は、はははは…恥ずかしい事言うなーっ!」 「わっ」 思わず甘寧が魯粛を掴み上げた。 この行動は後に甘寧のトラウマランキングの1位を独占する事になる。 掴み上げられた魯粛がぽつりと一言呟いた。 「…丸見え」 「…え?」 甘寧は一瞬理解できなかった。 ふと魯粛の視線を辿り…そして―― 「…っわああああっっっっっ!!!!!!」 甘寧は魯粛を放り出し、何処へともなく走り去って行った―― ――その頃の凌統 「ふふ…どんな反応しているのか楽しみー♪」 くるくると指先で甘寧のサラシを回していましたとさ。 後日、凌統は何者かの闇討ちに遭ったそうな――
251:★ぐっこ@管理人 2003/04/12(土) 20:44 Σ(´Д`;)ハァハァ… の、のーぶらの興覇たん…ウッ ていうか公績たんは後先考えて行動するべきだと思うのですよ。 でもこの二人って、その場の思いつきでイタズラはじめるから楽しいですねえ… 教授様のSSでは長湖部の狂言まわしは魯粛たんに定着してきましたな(゚∀゚) 曹操陣営だと、誰が適任なんだろうか…
252:★教授 2003/04/20(日) 23:32 ■■甘寧VS凌統 ROUND2 -魯粛プロデュース 前編-■■ 「甘寧! 今日こそ白黒はっきりつけてやる!」 「突っかかってくるのもいい加減にしろよ!」 ロッカールームで衝突中の甘寧と凌統。 厳密には凌統が甘寧に突っかかってるだけなのだが。 周りで着替え中の除盛と丁奉は別段気にする素振りも見せない。 目の前で繰り広げられてる軽い修羅場は彼女達には見慣れたものだったのだ。 「またやってるよ。毎度毎度飽きないもんなのかな…」 「いいんじゃない? それで本人達が楽しければ」 所詮他人事の二人。 だが、凌統の投げたボストンバック(水着やら体操服がぎっしりつまってる)が除盛の側頭部に直撃。 くるりと一回転してコミカルに倒れる。 「じ、除盛!?」 丁奉が慌てて除盛を抱え起こそうとする。 しかし、今度は甘寧の投げたボストンバック(鉄アレイやらメリケンサック等の凶器がぎっしりつまってる)が丁奉を襲った。 「ぐはっ」 後ろ頭に直撃した勢いで除盛の上に覆い被さるように倒れる。 そんな哀れな被害者二人を全く意にも介さない甘寧と凌統。 一方的に突っかかられている甘寧もそろそろ我慢の限界なのだろうか。 こめかみにピクピクと血管が浮きあがり今にも襲いかからんばかりだ。 と、ロッカールームに一人の女生徒が入ってくる。 「…またやってるの。いい加減にしなさい、二人とも」 優雅な物腰で嗜める。 「あぁん…? ひっこんで…」 タンカを切りながら振り返る甘寧と凌統。 その目に映っているのは、周喩だった。 周喩はダウンしている除盛と丁奉の様子を見ると、厳しい目線で二人を見据える。 「う…」 甘寧も凌統もばつが悪そうな顔をしながらたじろぐ。 「二人とも、今からグランド30周! さっさと行きなさい!」 周喩の怒号がロッカールームに轟く。 「はいいっ!」 二人は稲妻のような勢いでロッカールームから出て行った…。 「くそぉ…オメーのせいなんだからな!」 「ふざけないでよ! そっちが悪いんじゃない!」 甘寧と凌統は走りながら責任転嫁を繰り広げる。 その下で肘や蹴りが飛び交っているのは言うまでもない。 「後1周だぞー。頑張れー」 グランドの真ん中でメガホンを片手に魯粛の棒読みの応援。 「子敬! もう少し気持ち篭めろよ!」 毒づきながらペースを上げる甘寧、そして負けじと凌統が横に並ぶ。 そのまま二人が並んでゴールした。 「わ、私の方が…少し早かった…」 息を切らしながら凌統。 「な…何言ってんだ! 俺の方が先だったろうが!」 甘寧もぜぇぜぇ言いながら反論する。 そこへ魯粛が近寄ってきた。 「凌統、残念〜。甘寧の方が先にゴールしたぞー」 薄笑いを浮かべて甘寧の手を掴んで挙げる。 「な…!」 納得がいかない様子の凌統と勝ち誇った様子の甘寧。 「残念だったな〜。やっぱ、俺の方が早かったみたいだわ」 「納得いかないよ! 何で!?」 地団太を踏んで悔しがる凌統。 「そうだな〜。胸の差ってトコかな?」 甘寧の胸を指で突つき、真顔できっぱりと言い放つ魯粛。 愕然とする凌統、そして… 「な…!? は、恥ずかしい事言うなーっ! って…触るなーっ!」 頭の芯から真っ赤になる甘寧。 しかし、魯粛はその抗議の声を余裕で無視する。 「さて…二回戦に移ろうか。次の種目は…これ!」 魯粛は懐から出した一枚の紙を二人に見せる。 「二回戦って…こ、これは…絶対嫌だ!」 「へぇ…面白そうじゃない」 紙を見た途端に体全体で拒否する甘寧。 それとは正反対に興味深深の凌統。 その紙には『コスプレ対決』と、でかでかとマジックで書かれていた。 「絶対嫌だ! 別の事にしようぜ! なっ!」 泣きそうな顔で魯粛に詰め寄る甘寧、必死だ。 そこに凌統がにやにや笑いながら近づく。 「試合放棄? なーんだ、情けないな〜」 「なんだと!」 甘寧が凌統に向き直る。 「逃げるの? いや、別に構わないけどね」 この言葉にカチンと来た甘寧。 「誰が逃げるか! やってやらぁ!」 勢いと怒りでつい口走ってしまった。 「じゃ、勝負は明日の昼休みで決まりね」 「え? あ、いや…これは勢いで…」 甘寧は慌てて自分の発言を取り繕おうとする。 ――が、時既に遅し。 「それじゃ、明日の昼休みまでに何するか決めといてね」 「分かったよ」 「ち、ちょっ! 子敬! 待てって!」 二人に投げキッスを寄越して魯粛はさっさと校舎に入っていった。 「明日が楽しみね。それまで首は預けとくわ♪」 自信に満ちた顔の凌統が挑発の言葉を投げかけてグランドから出て行く。 「…マジか…?」 甘寧は呆然とグランドに立ち尽くすしかなかった…。 そして、運命の朝がやってきた――。
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