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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
250:★教授2003/04/12(土) 00:15AAS
■■ 甘寧VS凌統 ROUND 1 ■■
「あのアマ! どこいきやがった!」
胸元を押さえながら甘寧が更衣室から飛び出してきた。
周囲で休憩していた長湖部の下っ端(酷)連中が驚き振り返る。
――が、全員が瞬間的に顔を俯かせた。
彼女達の目に映ったのは、まさしく『鬼』だったからだ。
「おいっ! 凌統がどこ行ったか知らねーか!」
空腹の極限に達した獣の咆哮のような怒声が下っ端に向けて放たれる。
特に何も悪い事をしていないはずなのに、小さく縮こまる下っ端達。
泣き出す女子もちらほら窺えた。
「し、知りません…」
泣きそうな顔で一人の女生徒が勇気を振り絞る。
だが、これは薮蛇だった。
「…隠すとタメにならねーぞ…」
未だ胸元を押さえる甘寧がずかずかとその女生徒に近づく。
「ほ、本当に知らないんで…ひぃっ!」
「さっさと吐け! 今すぐ言わねぇと…潰す!」
必死に知らないと言い張る女生徒の胸座を掴みあげ脅す甘寧。
怒声だけで泣きそうだったのに、間近で物凄い剣幕を見せつけられる。
もうそれだけで失神しそうになっていた。
しかし、この哀れな子羊を神様は見捨てなかった。
「はい、ストップね。この子、本当に知らなさそーじゃん」
甘寧の腕を横から掴む手。
ぎろりと甘寧がその手の主を睨みつける。
と、その姿を確認すると同時に目許が緩んだ。
「魯粛…」
「何があったワケ? それよりも、解放してやりなよ」
いつも通り、どこか人を食ったような笑顔を向ける魯粛。
甘寧は軽く舌打ちして女生徒から手を放した。
「うんうん。ただ恐いだけの先輩じゃダメだしね。その点、興覇は流石だよ」
「そ、そうか?」
それとなく甘寧を誉める魯粛。
だが、甘寧には見えないように周りの下っ端に手をひらひらと振っている。
――今の内にどっかいけ
意味を理解したのか、そろそろと女生徒達がこの場を後にしていく。
「…で、何で怒ってるわけ?」
魯粛は胸元を押さえる甘寧の手を見ながら尋ねる。
その視線に気付いた甘寧が顔を紅潮させた。
「じ、じじ…じろじろ見んなよ!」
「いーじゃん、別に減るもんでもないし。それよりも何で?」
照れ隠しに怒る甘寧に受け流す魯粛。
口上ではやはり魯粛の方が一枚も二枚も上手のようだ。
「凌統だよ! あいつ…あいつが!」
「凌統?」
「あいつが俺のサラシ盗んでいきやがったんだよ!」
「ふーん…って、興覇…あんたまさか…」
魯粛が訝しげな表情を浮かべた。
そして、再び甘寧の胸元に目線を送る。
「な、なんだよ…」
「もしかして…世間一般で言うところの…『のーぶら』…ってやつ?」
禁断の単語が魯粛の口から飛び出した。
甘寧の頬の赤みに更に赤が追加されていく。
「は、はははは…恥ずかしい事言うなーっ!」
「わっ」
思わず甘寧が魯粛を掴み上げた。
この行動は後に甘寧のトラウマランキングの1位を独占する事になる。
掴み上げられた魯粛がぽつりと一言呟いた。
「…丸見え」
「…え?」
甘寧は一瞬理解できなかった。
ふと魯粛の視線を辿り…そして――
「…っわああああっっっっっ!!!!!!」
甘寧は魯粛を放り出し、何処へともなく走り去って行った――
――その頃の凌統
「ふふ…どんな反応しているのか楽しみー♪」
くるくると指先で甘寧のサラシを回していましたとさ。
後日、凌統は何者かの闇討ちに遭ったそうな――
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