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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
289:★教授 2003/06/16(月) 00:08 [happy@piano.interq.or.jp] お久しぶりです、忘れられてる人が大半かと思われる教授です。 復活したのに何の進歩もないまま使い回しする私って…。 前回の続き、恥ずかしながら少し詰まってまして…。 今月中には掲載予定ですので、期待しないで待っててください…。 ■■必撮! 仕事人 〜法正編〜■■ 「くー…」 ふふふ…。 法正のヤツ、またしても無防備に寝てるな。 ま、軽く一服盛ったんだけど。 …それにしても思ったより効くんだなぁ、目薬。 「うぅん…」 おっ、やけに色っぽい寝返りじゃん。取りあえず一枚ゲット。(シャッター音) これだけでも充分ミッション成功っぽいけど…クライアントの要望には応えないとねー。 鞄を漁り、例のブツを取り出すと…作業に取り掛かった…。 「…で、これが依頼の写真とテープよ」 某棟某所の暗室で私は先ほど入手した写真とビデオテープをクライアントに手渡す。 「うむ…君は仕事が早くて信用できる」 「当然。伊達に仕事人をやってないわ」 微笑んで見せたが、クライアントにはさぞ不敵に映ったはず。 だが、クライアントは白羽扇を片手に涼やかな目をしている。相変わらず食えないヤツ。 「報酬はキミの部屋の冷蔵庫に入れておいた。苦労して手に入れた銘酒、じっくり味わってくれ」 「毎度あり。またいつでも来てね〜」 私は契約完遂を確認してクライアントを完全に見送った。 さて…部屋に戻って打ち上げの一杯でも頂きますか♪ 同時刻、法正の部屋―― 「な、ななな…何コレー!」 鏡の前で自分の姿を驚愕の眼差しで見つめる法正の姿があった。 その姿は、某猫娘のライバルでもあるウサ耳娘のコスプレだった。 「け、憲和のヤツ! 一服盛ったなー!」 蒸気を出しながら憤る。 しかし、姿が姿なだけに却って可愛らしく見えてしまう。 ――そういう時に限って不幸は重複するもの。 怒る法正を余所に突如部屋のドアが開く、厳顔だ。 「法正、辞書借り…」 目と目が合う。厳顔が言葉を失い、法正が固まる。 「え、あの…その…」 思いきり動転して手をぱたぱたと振る法正。 「わ、悪い…私は何も見てないからな…」 「ち、違うの…これは…」 「み、見てない…お前がそんなコスプレ趣味だったなんて…」 「これは誤解だっ…」 ばたん…。 誤解されたままそっと閉まるドア。 「いやああああ!!!!」 法正の叫び声が虚しく部屋に響き渡ったとさ。
290:★ぐっこ@管理人 2003/06/16(月) 21:58 教授様復帰オメ(゚∀゚) Σ(;´Д`)…某ウサ耳にょ? 言われてみれば髪の色が… つうか憲和たん目薬は犯罪だよ…。 最近のは効かないともっぱらの噂ですから、旧製品を密かに持ち歩いてるのですな…
291:★アサハル 2003/06/16(月) 22:30 そいやラヴィアンローズは普段は三つ編みメガネっこでしたかΣ(゚Д゚*) その後法正たんは中華の誇るカリスマ同人屋・劉備ちゃんの 着せ替え人形になる、に3594ペリカ… つか、何ちゅーもん依頼してんですか諸葛亮(w
292:岡本 2003/06/18(水) 23:20 ご無沙汰しておりました。忙中閑ありと言い訳して、ひとつ投下します。 それもまだ前後編の前編のみですが...。 ■天誅−前編−■ (1)白波五人女 蒼天学園暦29年6月に張角・張梁・張宝三姉妹によって引き起こされた黄巾事件は、蒼天学園生徒会 からすると主要3名の階級章が皇甫嵩・朱儁らの活躍で剥奪されたことにより1月足らずのうちにひと とおりの決着は見た。だが、黄巾党の根絶をなしたわけでなく、また事件決着後も黄巾の蜂起に賛同 する者は後を立たず、各地で蒼天学園の現状に不満をもつ者達が跳梁跋扈し一大勢力をなすようになる。 一例としては黄巾の蜂起に呼応して中山・常山・上党・河内地区あたりを根城に周囲を荒らしまわった サバゲー軍団、黒山軍(Black Mountain Force)がある。他にも著名な武闘派チーマーとしては同年9月 に河東地区白波峡谷あたりを根城に、元黄巾党の郭太を長として蜂起した”白き荒波(white surge)”がある。 集団戦術などどというべきものは持ち合わせていなかったのだが、元黄巾一党の中でも武闘派とか 精鋭と称されたいずれも劣らぬ荒くれ者が揃っており、柔弱化が末期症状を呈してした生徒会正規軍 と比較するとやたら喧嘩なれしており討伐は困難を極めた。 共同戦線を張っていた黒山軍(BMF)に対抗してホワイト・サージというハイカラな(死語)ネーミングをし、 白き波頭のエンブレムに基本装備はグリーンベレー風サバイバル仕様だったにも関わらず、 首領の郭太、主要幹部の楊奉、胡才、李楽、韓暹の5名は変に傾いた趣味をもっていたことから、 “白波五人女”として恐れられていた。彼女ら5名は初期のホワイト・サージと并州・司隷校区の執行部員、 風紀委員や生徒会鎮圧部隊との戦闘の際にヒーロー戦隊よろしく、以下の口上で見栄をきっていた。 (作者注:河竹黙阿弥“白浪五人男”の“稲瀬川勢揃いの場”の口上を元にしています。七五調です。) 郭太: ♪〜 問われて名乗るも おこがましいが、生まれは兗州 浜松在、十四の年から 親に放たれ、 身の生業も 白波の 沖を越えたる 夜働き、盗みはすれども 非道はせず、 人に情けを 掛川から 金谷をかけて 宿々で、義賊と噂 高札に 廻る配附の 盥越し、 危ねえその身の 境界も もはや十八に、人間の 定めはわずか 二十年、 十三校区に 隠れのねえ 賊徒の首領 黄天郭太 ♪〜 楊奉: ♪〜 さてその次は 江の島の 岩本院の 稚児あがり、 ふだん着慣れし 振袖から 髷も島田に 由井ヶ浜、打ち込む浪に しっぽりと 乙女に化けた 美人局、 油断のならぬ 小娘も 小袋坂に 身の破れ、悪い浮名も 竜の口 土の牢へも 二度三度、 だんだん越える 鳥居数、八幡様の 氏子にて 鎌倉無宿と 肩書も、島に育って その名さえ、 弁天小僧 楊奉 ♪〜 胡才: ♪〜 続いて次に 控えしは 月の武蔵の 江戸そだち、幼児の折から 手癖が悪く、 抜参りから ぐれ出して、旅をかせぎに 西国を 廻って首尾も 吉野山、 まぶな仕事も 大峰に 足をとめたる 奈良の京、碁打と言って 寺々や 豪家へ入り込み、 盗んだる 金が御嶽の 罪科は、蹴抜の塔の 二重三重、重なる悪事に 高飛びなし、 後を隠せし 判官の 御名前騙りの 忠信胡才 ♪〜 韓暹: ♪〜 またその次に 列なるは、以前は武家の 中小姓、故主のために 切り取りも、 鈍き刃の 腰越や砥上ヶ原に 身の錆を 磨ぎなおしても 抜き兼ねる、盗み心の 深翠り、 柳の都 谷七郷、花水橋の 切取りから、今牛若と 名も高く、 忍ぶ姿も 人の目に 月影ヶ谷 神輿ヶ嶽、今日ぞ命の 明け方に 消ゆる間近き 星月夜、 その名も赤星 韓暹 ♪〜 李楽: ♪〜 どんじりに 控えしは、潮風荒き 小ゆるぎの 磯馴の松の 曲りなり、人となったる 浜そだち、 仁義の道も 白川の 夜船へ 乗り込む 船盗人、波にきらめく 稲妻の 白刃に脅す 人飛ばし、 背負って立たれぬ 罪科は、その身に重き 虎ヶ石、 悪事千里と いうからは どうで終いは 木の空と 覚悟は予て 鴫立沢、 しかし哀れは 身に知らぬ 念仏嫌えな 南郷李楽 ♪〜 ホワイト・サージは近隣の太原地区、河東地区へ乱入し、抗争を繰り返して各種小規模サークルを半 ば強引に吸収して強力化し、とうとう司隷校区洛陽棟の生徒会正規軍でも手が付けられない勢力に成 長した。并州校区総代の張懿がホワイト・サージの鎮圧に失敗し飛ばされるにいたり、劉焉の建議を うけて各校区「総代(=刺吏)」に代わってより権限の強化された「生徒会長(=牧)」を置くことを 決定したほどである。余談ではあるが、各校区の総代は校区の支配者というよりは、地区長の 監査役程度の権限しか持っておらず、さらには各校区正規軍の指揮権は地区長にあり、総代は 独立した軍事力を持っていなかったのである。
293:岡本 2003/06/18(水) 23:26 ■天誅−前編−■ (2)ホワイト・サージ 各校区生徒会会長の成立のように、ホワイト・サージは当時、間違いなく蒼天学園の流れを幾たびも揺 るがす潮流であった。地理的にも蒼天学園の中心たる司隷校区をその勢力範囲に押さえており、いか なる群雄よりも蒼天学園の歴史の鍵を握りうる位置にいたと言えなくも無い。だが、曹操はおろか 菫卓、袁紹、袁術のようなある種のカリスマを備えた指導者を持たず拠ってたつ政治方針も 持たなかったことから当時のどの群雄から見ても脅威といってよい戦闘力を有していたものの、 勢力基盤となる地区生徒達(特に絶対数の多い文化系生徒達)の抱きこみはまったく進まず “群党”の域を越えることは最後まで無かった。政情不安であった頃は後に生徒会の五剣士のひとり となる徐晃が楊奉の旗下にいたように、腕っ節に自身のある連中が集まってきてはいたが、 だんだん各地の群雄が勢力をまし、政情が安定してくるにつれ、文にも優れたような器量のあるもの は離れ、単なる喧嘩屋・チーマーの集まりとなっていた。 ホワイト・サージの幹部たちもそういった安定化の流れは察せられなかった訳ではなく、もっとも目端の 効く楊奉がいち早く蒼天会の擁立に動いたように、李傕・郭レの政権争いに際には楊奉をつてに 胡才・李楽・韓暹(そして匈奴高校の去卑)が両者の餌とされた蒼天会の実働部隊として李傕・郭レに 対抗し、“錦の御旗”側としての転身を図ったのである。この抗争で胡才が飛ばされたように、 ホワイト・サージは勢力で勝る李傕・郭レを相手にかなりの健闘を示し、蒼天会の生存には (文字通り生き延びただけという話もあるが)その戦闘力を生かして一方ならぬ貢献を果たしたといえる。 だが、その戦闘力を嵩に着て、山出し同然の李楽を筆頭に思慮の足りない無茶な発言や私欲に 駆られた暴力行動をとることが多く、蒼天会の面々からは、所詮は共に語るに足りない腕っ節のみが 自慢の不良の集まりと敬遠されていた。まだ目端の効いた楊奉・韓暹は何とか学園のシンボルたる 蒼天会会長を手中に納め続けることであわよくば権力の掌握を狙い、方向転換を考えて喧嘩屋から 脱却しきれない李楽と袂を分かった。これは李傕・郭レと結んだ李楽との内部抗争へ発展し、李楽を 飛ばし李傕・郭レを出し抜くことに成功したかと思われたのだが、戦闘力のみで定見を持たない集団と いう宿命からは逃れられず、結果、兗州校区で勢力を拡大していた曹操に、菫昭を伝手としての 蒼天会との接触を許し、学園暦30年の4月には“曹操の蒼天会会長擁立”という形で全てを攫われて しまうことになる。 許昌棟へ蒼天会を移そうとした曹操の行く手を遮ろうと当時“最強”とまで称された戦闘集団を率いて 楊奉・韓暹は戦いを挑んだ。しかし、所詮個人戦闘の足し算に過ぎない彼女らは、数を生かす 集団戦術に長けた曹操軍団の敵ではなく、当時本拠地であった梁棟を失い、同4月、徐州校区の 席巻を図って劉備と対峙し戦力の強化を求めていた袁術を頼って落ち延びることになった。 権力の座から元のならず者集団に落ちたショックも手伝って楊奉・韓暹は袁術の庇護のもと 徐州校区・揚州校区で“かつあげ・喧嘩”を日常茶飯事として暴れ廻り、公孫瓚・袁術とともに “第一級お尋ね者”として懸賞課外点数をかけられることになる。 ここでも、楊奉・韓暹はなんら政治方針・定見を持たず、もっぱら欲望のままに動静をきめる集団 であることを露呈する。 劉備の徐州校区生徒会長からの追い落としでは、徐州校区への勢力拡大を望む袁術と曹操に破れ 戦力再編のための基盤を必要としていた呂布(正確には陳宮)の思惑が一致していたため手を むすんでいたのであるが、袁術が蒼天学園全体を望む意志を明らかにしてくるにつれ様相が 変わってくる。翌5月、無謀にも袁術は蒼天学園連合生徒会会長を自称した。学園全体から つまはじきされて“賞金首”にされることを恐れた呂布は、袁術が友好締結に送った使者である 韓胤を蒼天会への誠意の証として階級章剥奪処分にふし、結果もともと信頼関係があったとも思えな い両勢力の仲が決定的にこじれ、呂布vs袁術の全面対決と相成った。袁術はこのときのためと飼っていた楊奉・韓暹も動員し、張勲・橋蕤を主将としたバイク・歩兵合わせて数百人の軍勢を七方面 から呂布を攻めさせた。後に戦国最強軍団と評されることになる呂布軍団も高順・張遼以外は 基本的に個人戦闘の足し算に過ぎず全戦力も100〜200人そこそこであったため、数に圧倒的に勝る 袁術軍団には劣勢となる。呂布に韓胤の処断を示唆した沛地区長の陳珪は、呂布にこの戦況の原因 を作り出した責任をとるよう詰め寄られるが、有名な離間の策を提案し戦況をひっくり返したのである。 陳珪曰く、 「楊奉・韓暹がにわかに袁術と同盟したのは、もともと定見があってのことではないので維持することは できません。もともと利と衝動で動く連中ですから、十分に利を示した書簡ひとつで操ることは可能 でしょう。」 以外に筆まめな(内容と論旨は子供じみているが)呂布は楊奉・韓暹に手紙を送り、戦利品の私物化を 認めたうえで内応を依頼した。 策を示唆した陳珪が呆れるほどあっさりと楊奉・韓暹はこの誘いに応じた。 守備兵力をも戦闘に使えるように可能な限り袁術軍団を下邳棟に近づけて呂布vs袁術の会戦は幕を 開けたのだが、両軍団の先頭が300mまで近づいたところで楊奉・韓暹の部隊は一斉に蜂起した。 まったく警戒していなかった他の部隊へ背後からの突撃を行い、乱闘の最中、その戦闘力を生かして 計10名の主将を飛ばした。突然の裏切りに混乱する袁術軍団へ同時に呂布軍団も突撃を敢行、 混戦が続く中、小沛棟からも劉備の援軍として20名ほどを率いた関羽が到着し、駄目押しの攻撃を しかけた。結果、7手のうち2手が寝返ったとはいえ数において勝る袁術軍の総指揮官たる張勲の 部隊を大破し、次席指揮官たる橋蕤を生け捕りにする大勝利に終わった。 大勝利の殊勲として楊奉・韓暹は、利や衝動で何とでも動く連中という評価を裏付けたことも意に 介せず増長することになり、徐州・揚州校区で働く略奪・暴力行為も悪化の様相を示すようになる…。
294:岡本 2003/06/18(水) 23:46 連続で申し訳在りませんが、一応プロットなどを。 「チーマー100人切り(ぐっこ様執筆の作品"頭文字R"中で指摘あり)を 学三関羽が可能にするには、何らかの潜伏技術をもっていることが必須」 と考えていたところ、PS2で発売された立体忍者活劇”天誅3”をやって 「これだ、このネタつかえないか?」と思ったのがもとです。 徐州時代に、楊奉・韓暹が劉備に粛清されたところを使いました。 さしづめ、関羽が”力○”、張飛が”彩○”というところになります。 楊奉・韓暹が”天誅”される筋書きへ以下繋がるわけですが、ただやられるだけでは つまらんと白波賊について書いているだけでながくなり、前後2編組みと相成りました。
295:★ぐっこ@管理人 2003/06/20(金) 23:22 うお、さすが岡本さま、相変わらず圧倒的な文章量…(^_^;) なるほどお、白波の本家逆取り…。 確かに純粋な軍事力としては、旧白波の連中は、一つの勢力と言えるでしょうねえ… それを二人で蹴散らした関羽たんと張飛たんの活躍が見れるですね(;´Д`)ハァハァ…
296:一国志3 2003/06/21(土) 16:40 >>289 教授様 ∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / Φ Φ /思わず法正の髪の色を確認してしまったにょ。 ○w ´∀`○< ついでに、一国志3の立てたアフォスレも晒しあげするにょ。 ( ○ ) \http://gaksan2.s28.xrea.com/x/cgi-bin/12ch/read.cgi?bbs=gakuenn&key=1027249880 \_____________________
297:★ぐっこ@管理人 2003/06/24(火) 00:11 [sage] あ、懐かしい(^_^;) うーん、ぼちぼちキャラに関するガイドラインも決めた方がいいかもしれませんねえ…
298:教授 2003/07/01(火) 01:02 ■■必撮! 仕事人 〜皇甫嵩編〜■■ CAUTION! 皇甫嵩ふぁんの方に袋叩きに遭う事請け合いなので、皇甫嵩ふぁんの方は見ない方がいいかも… 「ふむ…提出書類はこんな所だろう」 凛とした顔立ちの少女は筆を置き、大きく息を吐いた。 その鷹の如き鋭い目線の先には蛍光灯の光。 時折点滅する、そんな蛍光灯を見てまた息を吐く。今度は溜息のようだ。 「公偉に蛍光灯の交換を頼んだのにな…全く」 溜息の後は苦笑い、そして大きな伸びをする。 彼女の名前は皇甫嵩。生徒会の重鎮としてその存在は全校中に轟き渡っている。 先の戦では指揮官として数多の生徒達の舵を取り、己もまた最前線に立ち数多くの戦果を挙げた。 厳しく前を見据える双眸には強く誇り高い意志、そして仇為す敵を射抜き退かせる獅子の威圧。その二つの強さが色濃く鮮明に映し出されている。 肩の力を抜いている今もその光を失う事無く輝き続けている。 「蛍光灯の替えは無いのか…?」 皇甫嵩は小会議室と呼ばれるこの部屋をごそごそと物色し始める。 余談だがこの小会議室とは名ばかりで、実際は雑用雑務処理を行う為だけにある部屋だったりする。 主に彼女や親友の朱儁や櫨植達が書類を整理したり資料を漁ったりしている。 平たく言ってしまえば、ここは皇甫嵩達の専用作業スペースなのだ。 ただ一人、丁原だけはこの部屋を休憩室代わりとして使用しており、やたらと散らかすので皇甫嵩達はその都度掃除をするなどの後始末をさせられている。 当の本人は掃除が終わる頃に見計らった様に現れてゴミ捨てだけしていたりする。 話が大幅に逸れてしまった――が、この部屋の構造が理解してもらえたと思うので善しとしておく。 椅子に乗ってロッカーの上の大きめのダンボール箱を開く。かなり埃をかぶっており、動かすだけで咳き込みそうになりそうな塵が舞う。 しかし、中には少々年代物の冊子や資料が入っているだけだった。 「無いな…仕方ない、明日にでも用意するとしようか…」 ダンボール箱を片付け椅子を降りようとする皇甫嵩。 その時、突然椅子がバランスを崩し上に乗っていた彼女を振り落としてしまう。 「なっ…うわぁ!」 予期せぬ出来事に皇甫嵩は派手に転倒してしまう。 「いたた…いきなり何事…ぶふっ!」 更に予測外の事象が皇甫嵩の身に降り注ぐ。 転倒したはずみで先ほど物色していたダンボール箱が彼女の頭に落ちてきたのだ。それも謀った様に絶妙な間で。 しかも皇甫嵩を直撃したダンボール箱はその衝撃で壊れ、中に入っていた埃まみれの書類の束が散乱する。 「…………」 余りに突然の出来事に暫し呆然とする皇甫嵩。 頭には冊子が乗り、制服は埃まみれ。先刻までの威風堂々とした姿は既に影も形も無くなってしまっていた。 大量の書類と埃の山に埋もれるその姿は、さながら戦場後に立つ敗軍の将の様。 丁度、その時だった。窓の外からキラリと何かが光ったのは。 「…何…っ! 何だ!?」 皇甫嵩がその光に我に返った。 そして光を確認しようと立ちあがろうとする――が、立てなかった。 情けない事に腰が抜けてしまっていたのだ。 「くそっ! 動け!」 ぺしぺしと自分の足を叩く。しかし、言う事を聞いてくれるはずもなく虚しい時間が流れるだけだった。 そして最悪の事態が訪れる―― 「義真〜。書類整理終わった?」 「そんなのテキトーにやっちゃいなよ〜」 小会議室のドアが開き、朱儁と丁原が入ってきたのだ。 その瞬間、世界が凍りついた。――刹那、二人の少女の爆笑が小会議室を包みこむ。 「見るな〜!! 笑うなぁ〜!!!!」 顔から火を出さんばかりの勢いで頬を紅蓮に染め上げ怒る皇甫嵩。 だが、朱儁も丁原もお腹を抱えて転げまわっておりとても聞いている風には見えない。 「どうかしましたか?」 そこに遅れて櫨植が現れる。と、中の様子を一望して目が点になってしまう。 「これは…義真?」 「何でもない! とにかく…出て行ってくれ〜!!!」 依然として炎色の顔で皇甫嵩が怒鳴る。 しかし、皇甫嵩の姿を見ていた櫨植の頬に突然朱が差す。 その表情に皇甫嵩がびくっと体を震わせた。 「ど、どうした?」 動揺を悟られない様に努めて平静を装う。 「義真…その…」 もじもじと目線を逸らす櫨植。そして―― 「下着…見えてるよ…」 「………」 再び凍りつく世界。 流石に朱儁と丁原も笑いが止まってしまった。 「お…」 皇甫嵩が右手に冊子、左手に辞書を握り締める。 「お前ら! でてけーっ!!」 皇甫嵩の怒叫と共に書類一式が宙を舞い出した。 「うわぁっ!」 「痛っ! やめろーっ!」 丁原は朱儁を羽交い締め、そして盾にしながらじりじり後退を始める。 勿論、盾にされている朱儁が皇甫嵩の攻撃を受けている。実に悲惨だ。 櫨植は既に外に退避してロザリオを握り締めていた。要領はかなりいい様子である…。 こうして激しい放課後が過ぎていったのであった。 後日――丁原、朱儁、櫨植の三人は皇甫嵩から口を利いて貰えなかったそうな。 某棟某部屋―― 「これ新聞に載せない?」 簡雍が一枚の写真を劉備に見せる。 「…載せたいけど、流石にこれはあかんやろ…」 皇甫嵩の醜態がはっきり映し出されたその写真に複雑な笑みを浮かべるしかない劉備。 結局、この写真は世に出まわる事なく簡雍のアルバムの中に納められる事になった。
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