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576:北畠蒼陽 2005/02/19(土) 22:50 [nworo@hotmail.com] 「よぉ」 曹騰は声の主を目で確認すると同時に背筋を伸ばす。 連合生徒会会長…… 「晁ォ会長……」 ……であった。 劉保が困ったような顔で晁ォの名を呼ぶ。 「どした?」 「ノックくらいしてください。いきなりはビックリするじゃないですか」 晁ォは劉保の言葉に初めて気付いたように手を打った。 「おぉ、すまんすまん。じゃあ……」 部屋から出て行く。 コンコン。 ノックしてからまた入ってきた。 「これでいいか?」 いいわけがない。 「えぇ、結構ですわ」 劉保はにっこり笑った。 ……曹騰には理解できない感情だった。 「で、だ……」 晁ォは気をつけの姿勢をとったままの曹騰に普通の姿勢でいるよう促すように手をひらひらさせる。 「楽にしていいぞ。取って食やしねぇよ」 別に食べられることを心配しているわけではない。 しかしまぁ、言われて休まないのも失礼な話ではあるので曹騰はまたチャイを飲む姿勢に戻った。 「うん……前に言ったあれだけど覚えてるか?」 あれ、と言われても困る。 「秘書室に推薦してやる、ってやつだ」 忘れていた。 「秘書室を極めれば蒼天会長の側近に行き着く……ま、お前の望みどおりじゃねぇか?」 忘れていたとはいえ確かに望みどおりであることは確かである。 曹騰はチャイで口を湿らせてる。 カムロになったときにいずれは蒼天会長の側近になりたい、という思いがあったことは確かだ。 蒼天会長の側近になり権力の座につきたい、という思いが昔はあったことは確かだ。 昔は、である。 今、権力がほしいか…… そう聞かれれば即答できる。 権力などいらない。 その意味では秘書室に入り込むのは望みどおりなどではない。 でも…… 曹騰は横を見る。 劉保は曹騰の秘書室への推薦を心から喜んでいるように見える。 だったら…… 劉保のために権力を使うのも悪くない。 答えなど最初から決まっていた。
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