★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
624:北畠蒼陽2005/03/18(金) 11:35 [nworo@hotmail.com]
「戦場で余計なこと考えてるとトばされるよ、伯輿。今は同級生がどう、って話じゃない。私たちが戦ってるのは同級生、カン丘倹じゃない。ただの敵」
……文舒に叱られた。
……反省。確かに王昶の言うとおり。迷いは戦いのあとに置いておくものだ。
……
……? 文舒?
「ん? なに?」
……その拡声器はなに?
「いや、これで投降促すの。戦いがなければそれに越したことはないしね」
……戦いがなければそれに越したことはない、という彼女の言葉は正論だ。
……でも、なぜか私は言い知れない不安を感じた。

「あー、あー……カン丘倹のとこのみなさ〜ん。毎度おなじみの生徒会ですー。あんたがたは完全に包囲されてまーす!」
……拡声器を通して文舒の声が響き渡る。
「みなさんが叛乱起こしてー、故郷のお母さん、泣いてるんじゃないかなぁ! きっとお母さん、涙流しながらこう言うんじゃないかなー? 『人生に絶対はない。でも人に迷惑かけたらあかん』……お母さんそう言ってあんたがたのことを育ててきたんじゃないかー!?」
……不安的中。文舒は説得に向いてない。それも致命的に。
……しかもなんでお母さん、関西弁?
「うぅ……お母さん!」
「まてまて、秀! あれは敵の誘降の策略だ!」
……寿春棟の中から声が聞こえる。
……あれでなんで泣けるか。
「危ない危ない! 敵の策略に引っかかるところだった!」
……危なかったのか。

「私は生徒会の胡遵です! みなさんを説得しにやってきました!」
文舒の次に拡声器を持ったのは胡遵だった。堂々としてる、声だけは。
「みなさんの叛乱に一般学生は迷惑を被っています! 一般学生にこれ以上の圧力をかけないためにも矛を収めてもらえないでしょうか!」
言うことは立派だ、言うことは。
「うぅ……ごめんよ、一般学生!」
「まてまて、秀! そういったこと前もってわかってただろうが!」
……寿春棟の中から声が聞こえる。
……面白いなぁ、棟内。
「このようなあなたがたの暴虐に対し……」
「うるさいぞ! 地味っ子、胡遵!」
……あ。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん! 地味なんて酷いーッ!」
胡遵は拡声器を捨てて泣きながら走っていった。
「ウィークポイントをついた一言。敵ながら見事だね」
……うん、お見事。
……いつの間にか役目を終えて私の隣に来ていた文舒に私も深く頷いた。
……文舒がやけにすっきりした顔をしていたのが気になった。そんなにお母さん話をできて満足なんだろうか。
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