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779:北畠蒼陽2005/07/30(土) 20:06 [nworo@hotmail.com] AAS
「うあぁぁぁぁぁん! お姉ちゃん助けてー!」
泣き声とともに王渾が王昶の執務室に入ってくる。
王昶はいなかった。
かわりに王基がいた。
王基が少しびっくりしたような顔で扇子を手に持ってソファに座って涼んでいた。
日の丸に『Japan!』と金で書かれた扇子。
「ん、と……伯輿ちゃん、その扇子、すごいセンス悪いよ」
「……これ、あんたの姉さんの扇子だよ」
王渾はホンキで嫌そうな顔をした。
「うわぁぁぁぁ……」
顔だけじゃなくて声も出た。


統率指揮概論T


部屋に入ってきたときに比べ幾分落ち着いた王渾に王基が尋ねる。
「……で、文舒なら今、買い物にいってるけどなにか用?」
「うん、あのね、私、墨テキ教授の統率指揮概論Tをとってるの」
王基は頭に墨テキの顔を思い浮かべた。
「……あのひと、優しいけど怖いからね。それで?」
「うんー……で、レポートを宿題に出されたの。学園課外活動における統率法において注意しなければならない点をできる限り詳しく述べよ、って」
……なるほど。それで姉の話を聞きにきたわけか。
確かに王昶であれば話を聞いて、まとめるだけで十分なレポートになるだろう。
「……感じないこと」
「お姉ちゃんに話し聞こうと思ったのにいないんじゃどうしよ、って……え? 伯輿ちゃん、なに?」
聞き返す王渾に王基は苦笑を浮かべる。
「……もし私でよければ話をするくらいかまわないけど?」
「わぁー、伯輿ちゃん、ありがと!」
王渾はにぱぁと笑った。

「……有名な映画でね、カンフースターがこんなセリフを言ってるの。『考えるな。感じろ』って」
「あぁー! ブルーさん!」
……なんでブルーで切るか。
多少ツッコみたいものを残しながら王基は話を続ける。
「……人を指揮するってのはまったく逆の作業。『感じちゃダメ。考えなさい』ってとこかな」
「ふむ」
小首を傾げて考える。
「どういうこと?」
わかってなかったようだ。
「……敵の動き、味方の動き、双方の人数、天候、地形、時間、時期、温度、湿度……人によっては成績とか教授との相性とかを考えなきゃいけないこともあるかもね……つまりそういった要因をすべて考えることによって判断を下すこと」
「考える……?」
王渾は『う〜むむむぅ?』と頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「んでも一瞬の判断ってないの? 『こう感じたからこうだ!』っていうのはよく話とかであると思うんだけど……」
「……そういうのは3つのパターンにわかれるわね。まず1つ目は計算が異様に早い人」
……『名将』の部類に入るわね、と王基は付け加える。
「……これがすごい、ってのはまぁ、言わなくてもわかると思う。瞬時に、しかも総合的にすべての要因を計算しつくした上で判断し、決断する、ってのは誰にでもできるもんじゃないわ」
「なるほど」
頷く王渾。
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