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838:北畠蒼陽 2006/01/08(日) 17:00 [nworo@hotmail.com] 「やっぱり久々だとずいぶん埃もたまってるわね……」 いち早く荷物を部屋に置いて、応接室でくつろいでいた王昶に、やはり部屋に荷物を置いてきたのであろう、2階から下りてきた王凌が声をかけた。 王基と令孤愚はまだ部屋で荷物の整理中。 王允はキッチンでご飯を作っているようだ。 王昶も王允の手伝いをしようとしたのだが『お客様はもてなされるのが礼儀よ』とやんわり断られてしまったので手持ち無沙汰なのである。 つまり応接室にはお姉様とたった2人なのだ。 「……あ」 それと自覚した王昶は顔が赤くなるのを感じる。 それに気づいているのかいないのか、王凌は王昶の座っているソファのそばにより……壁を指でなぞり…… 「ほら、ここなんてこんなに……」 そのままバランスを崩して王昶の上に倒れてきた。 そしてシーンは冒頭に移行する。 下から王昶は王凌の体を抱きしめながらドキドキしていた。 ちょっと重たいがそんなことは問題ではない。 王凌の匂いとか体温とかそういったものがいろいろ感じられて……鼻血が出そうだった。 「はい、そこまでー」 「……17時台でそれ以上の展開はダメよ」 2階に2人ほどお邪魔キャラがいたのを忘れていた王昶は真っ赤になって王凌から離れた。 「文舒、ラブコメなら私らのいないとこでやれ」 「……ま、あとで思い出になるわね」 令孤愚はからかうようにいい、王基は冷静に手元にあるデジカメを確認する……ってデジカメーッ!? 「伯輿……それはどんな思い出なのかな?」 「……お姉さまに押し倒されたのになにもできなかったヘタレな思い出」 冷静に受け流しながら満足そうに頷く王基。 いい画像が撮れていたらしい。 「にゃんだとーッ!?」 王昶は王基につかみかかろうとし、王基は2階に逃げる。あとはお定まりの鬼ごっこ、だ。 少し呆然としていた王凌だったがやがてくすりと笑みを漏らす。 「彦雲姉、ご機嫌じゃん」 ととと、と階段をスキップするように下りたった令孤愚が王凌の顔を覗き込む。 「そうね……」 2階ではどすんばたん、という音。 「楽しい夏休みになりそうだな、って思って……ね」 呟いてくすり、と笑う。 「みんなー、ご飯できたわよー」 王允の声が別荘に響いた。 夏の一番星が別荘の上に輝く。
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