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843:北畠蒼陽 2006/01/09(月) 11:00 [nworo@hotmail.com] 彼女はどぎまぎしながら少女のことを見ていた。 少女は黙って紙パックから牛乳を飲んでいる。ぶらぶらさせる足が可愛らしい。 「先輩、出身校区はどこなんですか?」 紙パックから口を離して少女が彼女に尋ねた。 「え、あ、うん。私は涼州校区」 「そんな遠くから?」 少女は彼女の答えに若干驚いたようだ。この校区出身ではないにしてももっと近い校区だと想っていたのだろう。 「うん、私、バカだからね。課外活動に参加しようと思ったら出身校区じゃなくても、どんなとこにでもいかなきゃ」 彼女の苦笑にも似た笑いに少女が眉をひそめる。 「課外活動は義務じゃありません……なぜそこまでして……?」 「はは、私が多少でも課外活動しておかないと妹が課外活動をするとき苦労するでしょ? 多少でもコネ……まぁ、ないよりマシ程度だけどさ……作っておいてあげないと、ね。私はこんなだけど妹は棟長……もしかしたらそれ以上になれるくらいの人間だと思ってるから」 彼女の言葉を少女は黙って聞き……そしてやがて深いため息を漏らした。 「先輩の妹さんはとても幸せ者ですね。ここまで想ってくれるお姉さんなんてなかなかいません」 自分の出身校区である涼州校区から、ここまで遠く離れた予州校区まで来て…… そして年下の棟長に疎まれ、文句を言われながらも…… それもすべて妹のため。 「先輩、もしよければ先輩のお名前と妹さんのお名前を教えていただけませんか? もしかしたら先輩の妹さんがいずれこの校舎の棟長になるのかもしれませんし……」 少女はそこまで言ってはっ、と気づいたように口を押さえた。そういった仕草は歳相応で可愛らしいのだが発言は大人びている。 「失礼しました。私は……」 彼女は少女の名前を胸に刻む。 「私は荀揩ニ言います」 うん、と彼女は頷いた。 「私の名前は……」 荀揩ヘ彼女と、その妹の名前を胸に刻む。 「私は董君雅。妹の名前は董卓よ」
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